ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
電話の連絡先は、宗谷真霜一等監察官だった。
『それで、何があったの?』
「こちらで晴風を保護しました、全乗組員は無事です」
『ほんとに!?』
「本当です、それと少し厄介なことになりましてね、晴風は一時的にこちらで預かります」
『何かあったの?』
「猿島の件、晴風乗員の話だと、猿島が攻撃してきたということになっています、それに海上安全委員会からの撃沈に関しての報が出ています、晴風乗組員全員の保護のため、こっちで保護します」
『わかったわ、猿島の件、もう少し調べてみるわ』
「お願いします、陸では真霜さんが頼りですから」
『わかっているわ、それでなんだけど?』
「はい、なんでしょう?」
『真白元気だった?』
「あぁ、妹さんでしたか?元気でしたよ、こっちに驚いていましたけど」
『そういえば、貴方と会うの初めてよね?』
「そうですね、相変わらず雰囲気が似ていましたよ」
『私に似ているからね、真雪には似ていないけど』
「まぁ、どうなんでしょうね?以外に似ているところもあるかもしれませんよ」
『ないない、ま、そういうことだから、晴風の件任せたわよ』
「はい、任されましたよ」
そういうと通話が途切れた。
「では、向かうとしましょうか」
そういうと光近は晴風に向かった。
晴風艦橋――
「――ということで、この晴風に乗艦することになりました米内です、よろしく」
そう光近は晴風に乗艦することになった。理由はいろいろといえる理由や言えない理由もある。
『よ、よろしくお願いします』
艦橋要員たちはものすごく緊張していた。無理もない、さすがに所属やその規模を知っているものであれば、緊張しないわけがない。
「ま、そんな緊張しないでいいさ、こっちも緊張しているんだから」
かくいう光近も緊張している。さすがにこの状況はいろいろとあるが役得な面、かなりつらい。
さすがに同年代の女子と寝食が一緒というのは、緊張する。
「(艦娘はあれは別だったからな…)」
多少、問題はあったものの、大丈夫だったが今回は違う。
「提督さんも緊張するんだ」
「まぁ、人間ですから」
ちなみに、晴風には各種通信機器が持ち込まれており、光近は晴風に居ながらも通信が出せる。
「では、早速出航しよう」
そういうと、持ち込まれた通信機のマイクを取り
「第二艦隊出航!」
そういうと、艦隊各艦が汽笛を鳴らす音とともに、艦隊が動き始める。
空母と戦艦は各種水雷戦隊に囲まれ、旗艦となる晴風は重巡が左右についた。
それから出航して数時間、航路も安定したので
「では、見回りでも行ってくるとするよ」
「あ、私も行きます」
名乗りを上げたのは、記録員で書記の納沙 幸子だった。
「えーと、納沙さんだよね?」
「はい、ココでいいですよ」
「わかった、ココさん、行きましょうか」
そういうと艦橋を任せ光近は艦を見回ることにした。
晴風、主砲付近――
「武田さん、主砲の状況はどうですか?」
ココちゃんが主砲の修理をしている二人に声をかける。修理しているのは、砲雷科の武田 美千留と小笠原 光だった。
「見ての通り点検中、大部分が自動化されているけど、点検が大変だよ」
「確かに、この手のものはねー」
「どーお、ひかり―」
「まだなんか、ぐずっているんだよね、この子」
「小笠原さん、あとどれくらいかかりますか?」
光近は主砲の上にいる少女に聞く。
「提督さん、日没までには何とかするよ」
「まぁ、無理しないでくれよー」
「よろしくおねがいしますー」
「「はーい」」
そういうと、その場を去る光近とココちゃんであった。