ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
「あれ、言ってなかったっけ?」
「き、聞いていませんよ!司令官!」
「・・・おぅ」
吹雪に軽く責められる。
「それで、あなたのお名前は?」
「い、西崎芽衣です!」
「米内です、よろしく西崎さん」
「は、はい!」
彼女と握手を交わす光近。それから、彼女と別れ光近は艦長室に案内され
「では、失礼します」
「どうぞ」
部屋に入り、用意されていた椅子に座る。それから、光近は彼女の方をしっかりと見据える。やはり、この先どうなるのか不安らしく少し表情が暗い。
「明乃さん」
「は、はい」
「そんな暗い顔をしないでください、今回は唯の聞き取りだけです、あなたは私が聞くことに正確に答えてくれればいいんです」
「わかりました」
「では、はじめましょうか」
「はい」
そういうと、紙で彼女の言うことを書き取っていった。その頃、外では
「――ふ~ん、晴風の中ってこうなっているんだ~」
吹雪は警戒哨戒のため、晴風の艦内を歩いていた。厨房の近くを通った時だった。
ガチャ
厨房の扉が開かれ、中から双子が出てきた。そのうちの片方がこちらに気づいた。
「ん?見たこともない顔だけ・・・あなた、だれ?」
「あ、ごめんなさい、私は、太平洋艦隊第二艦隊第三水雷戦隊所属の、駆逐艦の吹雪です」
「も、もしかして艦娘さんですか!?」
「えっ、あ、はい」
「へぇ~」
そういうと、じろじろと見てくる彼女。ちなみに、吹雪も彼女とは面識があった。
「(そういえば、この顔どこかで・・・)どらやき――」
「どらやき?ありますよ」
「持ってくるよ~」
首をかしげる彼女。そして、もう一人の方が厨房にはいってどら焼きをもってきた。
「もしかして、杵崎さん?」
「はい、そうですけど」
そういうと、吹雪は彼女の両手を取り。
「いつもどらやきおいしく食べさせてもらっています!」
ものすごく興奮していた。
「え、もしかして吹雪さんって、あの吹雪さん!?」
「はい!吹雪です!」
「いつもありがとうございます」
「いや~あのどら焼きおいしいんですよ~」
「そういっていただけると嬉しいです」
照れている彼女。
それから聞き取りも進んでいき、そしてひと段落つく。
「もう一度確認します、先に攻撃してきたのは、猿島と?」
「はい、猿島です」
「…それでその反撃のために模擬魚雷を使用した」
「そういうことです」
「……」
これは困ったことになった。光近はペンの後ろの部分をおでこに当てながら考える。
「(さて、おそらく彼女らの報告は本当だろうな、嘘偽りもない…しかし、これをどう上層部に報告するかだな…)」
さすがに海上安全委員会がある以上、このことはいずれバレる。その時に彼女らがどうなるかが問題だ。
「(もみ消しだろうな…とはいえな……)」
今までのあちらであればそうすると考えていると。
「あの……どうかしましたか?」
「少しな、少しだけ悩まさせてくれ…」
そういうと、光近は悩み始めた。