ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
第二艦隊――旗艦 長門 執務室
光近は、長門の艦長室兼執務室でその推移を見守っていた
「ふぅ…無事だったか」
「みたいだな」
執務室に飛び込んできた情報で胸をなでおろす光近。その隣にいる長門。
「それで晴風からは?」
「乗員の安全を確約してほしいと来ています」
「そりゃそうだろう、それでこっちからは?」
「確約すると伝えています」
「うん、それで、晴風との舷付け中といったところか?」
「あと5分といったところです」
「わかった」
そういうと光近は制服を身にまとう。
「行くのか?」
「さすがに当事者同士が話し合わないといかんだろう?」
「まぁ、そうだな、お前もくるか?」
「いんや、あぁ、それともし晴風に乗艦するなら、吹雪と白雪を連れていけ?」
「戦闘終わったばっかだろう?どうして?」
「護衛と交流だそうだ、陸奥が言っていた」
「あいつらしいな、せっかくだ、古鷹も連れていくとしよう」
「わかった、伝えておこう」
この世界で艦娘という存在は認知されているものの、一般人や特にかかわりのない人たちにとっては、物珍しいものなのだ。それから、長門の後部甲板に降りると
「お待ちしておりました、司令官」
敬礼した吹雪と白雪と古鷹がいた。
「ありがとう、それとそんな堅苦しくなくていいよ、お互い交流なんだから」
「は、はい!」
ガチガチに緊張している吹雪。
「(そういや、民間人とはあまり駆逐艦たちもつながりがないからな、ここまで読んでいたのか陸奥は?)」
ちなみに当然のことながら民間人との交流が多い艦娘もいる。特に横須賀方面の艦娘は総じて民間人との交流も多々ある。
「では、行こうか」
「「「はい」」」
そういうと、左舷側のラッタルに向かった。それから、艦内通路を通って、左舷側のキャットウォークに出る。晴風の方を見れば、艦長も乗組員も全員こちらの姿に驚いている。
「ぜ、全員、気を付け!」
長門左舷からのラッタルから晴風に降りる。
「気を付け!敬礼!」
晴風の艦長、岬明乃さんの号令で、出迎えに来ていた乗組員達が敬礼する。光近もそれに返礼する。
「ありがとう、おろしてくれ」
「はい」
多少のことはあるが概ね出来ている。光近は、晴風の方を向き直り
「はじめまして、あなたが艦長の岬明乃だね?」
「はい、晴風艦長、岬明乃です」
「はじめまして、太平洋艦隊の司令長官、いや提督の米内です」
「はじめまして、太平洋艦隊第二艦隊第三水雷戦隊の吹雪です」
「同じく白雪です」
「古鷹です、よろしく」
と三人の挨拶が続く。光近はふと、艦長の隣にいた副艦長に気づく。
「もしかして副長の宗谷真白さんだね?」
「は、はい!晴風副長の宗谷真白です」
「お姉さんにはお世話になっています」
ここは悟られずにと頭を下げる光近。それに慌てる真白。
「さて明乃さん、どこか腰が据えて話せるところはないかな?」
「はい、私の部屋でよろしければ」
そういうと艦橋を通って、艦長の部屋に向かって歩き出す。
「うそ、お兄さん提督だったの?」
艦橋を通ろうとすると、あの時の褐色肌の少女と、猫耳の輪郭の形をしたリボンを付け、猫の顔を模したフードのパーカーを着用した少女がいた。
「メイちゃん」
「あ、ごめんなさい!」
「ハハハ、いいよ、そんな堅苦しくしなくて、私は君たちとほぼ同年齢だからね」
「・・・えっ?」。
まず驚いたのは明乃。
『えぇえええええ!!』
吹雪達もなぜか驚いてた。