ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
「艦長!方位220より、艦隊接近中、阿賀野型1、吹雪型4です」
「えっ!?」
すぐさま双眼鏡に近寄って覗き込む明乃。確かに、こちらに接近する艦艇があった。
「ブルーマーメイドとホワイトドルフィンの艦…じゃない」
「かといって、こちらの艦でもないですね」
記録員の納沙幸子(ココちゃん)が言う。
「シロちゃん、あの艦隊の所属わかる?」
「私にも…」
「撃っちゃう?」
ねこみみパーカーの西崎芽衣(メイちゃん)が、今にも撃ちたそうに言う。そんな中だった。
「艦長、発光信号です!」
声を上げたのは右舷航海管制員の内田まゆみ(まゆちゃん)だった。
「発光信号!?読み上げて」
「”晴風に連絡、異常なければ返答せよ”」
「返答して」
「はい!」
そういうと”こちら晴風、電装機器故障のため、光信号で通信を行う、こちら異常なし”と送った。
そして、あちらから返ってきたのは”これよりシュペーのスクリューシャフトを打ち抜き、一時的にシュペーの速力を奪う、協力されたし”だった。
「艦長、どうしますか?」
ココちゃんが聞いてくる。
「今は、やるしかない――シロちゃん」
「わかりました」
そういうと、明乃と真白はお互いの持っている鍵を差し込んだ。
「装弾はじめ!」
ガシャンという声とともに、自動装てんシステムが動き始めた。
能代side
「艦長、晴風より返答、電装系に異常あるものの、異常なしだそうです」
「晴風は正常、ってことは残りはシュペー…けど、返答がないわね、それで、晴風は?」
「こっちの作戦に参加する旨を伝えてきました」
「了解、こっちも大きく出れるわね」
「えぇ、いつでもいけます」
「わかった、私は艦橋に行くわ、個々を頼む」
「はい!」
能代は艦橋に向かう。艦橋に向かうと、あの若手幹部もいた。
「艦長――」
「えぇ、砲雷撃戦始めます。艦隊陣形よろしくね」
「了解、機関全速一杯!」
「単縦陣航行、晴風を二番目に」
「晴風との引き潮に注意して頂戴」
「了解!」
エンジン保護システムが解除され、最大速力で航行し始める。
「シュペー発砲!」
「取舵一杯!全員気を付けて!」
ものすごい勢いで方向を変えていく能代。
「シュペーの航路を牽制して、吹雪・叢雲、魚雷発射!」
『『了解!』』
そういうと吹雪と叢雲から魚雷が発射される。しかしシュペーはよけるそぶりも見せない。そして、シュペーも撃ってくる。
「シブヤン海はこんなもんじゃないわ」
それをかわしつつ応戦していく能代。そんな中だった。
「艦長!シュペーより、小型艇が発進!真っすぐ、晴風に向かっています!」
声を上げたのは右航海管制の水兵だった。
「なんですって!?各艦通達、あの小型艇に一発も当てないように!!」
「小型艇にシュペーの砲弾がヒット、乗員投げ出されました!」
「晴風よりスキッパー発進!小型艇に向かっています!」
「まったく、ちょこまかと!」
その直後シュペーの左舷で魚雷が爆発し、水しぶきがあがる。同時にその衝撃波でシュペーが速力を低下する。
「残念ね…捕捉済みよ!撃てっ」
能代の号令とともに、一斉にシュペーのスクリューシャフトに向けて砲弾が発射された。
「シュペーの機関停止――」
ほっと胸をなでおろす能代
「この海域から離脱するわよ、第三船速、各種損害報告」
「了解、本艦隊に報告しておきます」
「第二艦隊旗艦長門より連絡、ポイントチャーリーでの合流を伝えてきました」