ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

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能代の作戦

「晴風が攻撃されています!」

「なんですって!?」

能代は驚くしかなかった。なぜなら、その情報を知らなかったからだ。

 

「晴風と攻撃している艦に停船命令を出して」

「了解」

艦があわただしくなる。能代は砲撃が止まると思っていたが

 

「艦種判明、攻撃しているのはアドミラルシュペーです!」

「ドイツの留学生艦!?」

「シュペーからの応答ありません!」

「止むおえないわね、吹雪に連絡してちょうだい」

 

 

 

side 吹雪

 

「艦長!能代より発光信号、威嚇射撃一発、シュペーを狙えです」

「了解、威嚇射撃一発、目標シュペー撃て!」

「レーダー照準にて管制…撃て!」

炸裂音とともに、吹雪の砲塔から弾が飛び出していく。そんな中、シュペーがこちらに近づいていくる。

 

「シュペー、速力低下せず…シュペー発砲!こっちに来ます!」

「対空戦闘!近接防御火器システム(CIWS)攻撃はじめ!攻撃はじめ!後進一杯!」

「了解!」

どこからかマジかよという声とともに、艦がガクんという衝撃に襲われる。同時に、一気に後ろに動き出す。

そして、まるでチェーンソーのような炸裂音とともに、シュペーの弾を迎撃していく。

 

「迎撃成功――」

「ふぅ・・・」

胸をなでおろす吹雪。視線の先のシュペーは相変わらず晴風を攻撃している。

 

『おい吹雪姉、大丈夫か!?』

「うん、こっちは大丈夫」

連絡を入れてきたのは深雪だった。

 

『ったく、恐れ知らずだな、シュペーは』

「うん、いきなり撃ってきたからね」

と話している最中だった。

 

『能代よ、第三水雷戦隊各艦に下令、対水上戦闘用意!』

「了解!対水上戦闘用意!」

吹雪の号令で艦内があわただしく動き始める。

 

「各種砲塔装弾はじめ!」

そういうと、第一砲塔から第三砲塔まで弾が込められていく。

 

『艦隊、シュペーの左舷に出るわよ、単縦陣航行!』

『「了解」』

その声とともに、吹雪達は動き出した。

 

 

 

能代の戦闘指揮所では、能代と幹部乗員たちが集まって対策会議を開いていた。

 

「艦長、このまま防戦一方であれば、いずれCIWSの弾が尽きます、かといって主砲で砲弾の迎撃は困難を極めます」

確かに、能代もこの世界に来てから大幅な近代化改修が行われたとはいえ、それでも限界は存在する。

 

「手持ちのチップじゃ、話にならないってことね」

レントゲン写真のようにシュペーの詳細情報が出る。

 

「叛乱艦ですからね、本来ならば撃沈やむなしですよ?」

「けど、相手は学生艦よ――迂闊なことはできないわ」

「確かに、艦橋に砲弾を撃ち込んだら、国際問題になりかねませんね」

幹部の言葉に語気を強めていう能代。

 

「血を流させたくないわ、双方にね」

「では、砲塔を狙ってみるのは?」

「いい案だけど、失敗して弾薬庫にでも引火したら沈没するぞ」

「かといって魚雷で攻撃は、威力が強すぎるからな…」

そんな議論の中、能代の真向かいにいた若手の幹部が口を開いた。

 

「艦長、今回の目的は晴風の確保です、とにかく晴風から引き離しましょう」

「引き離す?何か案でもあるの?」

「はい、シュペーのスクリューシャフトを打ち抜くんです」

「それは良い案ね!では、作戦を立案して頂戴、みんなその流れで行くわよ」

「えぇ、異論ありません!」

「すばらしすぎて何とも言えないですな、」

「こういう考えができるから若者はいいんだ」

次々と賛同の意見が飛び交う。そして、すぐさま作戦が立案され、

 

「実行!」

能代のゴーサインとともに作戦が実行されることになった。


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