ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
『晴風を発見、方位――』
作戦司令室内に全館放送で情報が流れる。同時に、目の前の巨大なディスプレイに情報が上がる。
「この海域にいましたか」
大和は海図と今後の流れを考えていると、赤城が戻ってきた。
「戻りました」
「おかえりなさい、晴風が見つかりました」
「見つけたのは?」
「夕張さん率いる実験艦隊です」
「提督もまたとんでもないものを――」
その性能にあきれたようにいう赤城。
『晴風の200km圏内、大型艦航行――所属参照…第二艦隊です!』
そんな中、晴風を中心に200kmの円の中に、巨大な艦艇が一隻入ってくる。
「ホント、運がいいということはこのことですね、第二艦隊に晴風の情報を通達、すぐさま向かわせてください」
『了解しました』
そういうと、士官たちが第二艦隊に連絡を取り始める。同時に、もう一つの艦艇が、第二艦隊の反対側からやってきていた。
第二艦隊――旗艦〝長門〝
「あぁ、わかった」
提督である光近は、艦隊作戦司令部からの連絡を自ら受けていた。
一通り内容を聞き終え、受話器を置く。
「提督、艦隊作戦司令部から何かあったのか?」
「ここからかなり近い海域で晴風が見つかった」
「「「!?」」」
艦橋内に衝撃が走る。光近は近くのマイクを再び取り、
「一刻も早く晴風の保護が求められる、第二艦隊はこれより、晴風救出に向かう!」
そして一間を起き
「長門!」
「了解!目標航洋艦晴風、最大船速!おもーかーじ、30度よーそろー!」
「最大船速!面舵、30度!」
一気に速度を上げる長門。同時に、後続艦も速度を上げる。光近は、再びマイクを取る。通信相手は第三水雷戦隊の面々だ。
「能代、聞こえているか?」
『こちら能代、聞こえているわ』
「第三水雷戦隊を連れて、現場海域に一足早く行ってくれ」
『わかったわ』
それだけいうと能代隊が艦隊の後方から右にずれ、長門などを追い抜かしていく。
『こちら飛龍、能代隊を先にだすの?』
話は聞こえていたらしく、飛龍が通信を入れてきた。
「あぁ、先に出す」
『直掩機、回しておくね』
「頼む」
それから五分もたたずに飛龍の航空隊が空へと上がっていった。
第三水雷戦隊は、旗艦である能代の他、吹雪、深雪、叢雲、白雪の軽巡一隻に駆逐4隻の計6隻編成の戦隊である。主に太平洋艦隊での水雷戦隊の役目は、空母と戦艦の護衛、潜水艦の警戒、また哨戒、掃海の任務が主であり、主に各艦隊に二個水雷戦隊が担当することになっている。
時として、その足の速さから現場海域にいち早く駆け付けるのも水雷戦隊の役割である。
「こちら能代、第三水雷戦隊各艦、聞こえている?」
『こちら吹雪、通信良好』
『深雪、聞こえているぜ』
『叢雲、聞こえているわよ』
『白雪、聞こえています』
どうやら特に何もなく聞こえているようだ。
「さて提督からの指示は晴風の補足、可能であれば確保よ、手荒なことはせずに行くわよ」
『『『了解』』』
各艦の新しく改修、換装された|新式機関≪ガスタービンエンジン≫がうなりを上げる。
全員が単横陣で航行していく。そんな中だった。
「艦長!晴風が攻撃されています!」
右ウィングの監視員が声を上げる。
「なんですって!?」
第三水雷戦隊に衝撃が走った。