ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

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友永の意思を継ぐもの

 

「そんで艦長どうかしたの?まさか、出るの?」

「まぁ、その可能性が高いってことです」

「わかった、一応構えておくよ、けど、まさかとは思うけど後ろのあれは出すことはないよね?」

彼女は親指で格納庫の後ろの扉を指す。

 

「いえ、あれは出さない予定です」

「…B7Rみたいなことにならなければいいけどね~」

「そうですね」

二人で軽く言葉を交わす。

 

「ま、そういうことですので、よろしくお願いしますね」

「うん、わかった」

そういうと、その場を去る赤城であった。

 

 

 

 

 

ヴォーッ!!ヴォーッ!!

御蔵島周辺を少し大きめの艦艇が航行していた。しかし、その形は普通の艦艇ではない。主砲は一門、武装も第二次大戦の物ではない。そして、艦橋には巨大な六角形の板が張り付けられている。

 

「――第三船そーく!おもーかーじ30度よーそろー」

「第三船速!面舵30度!」

太平洋艦隊がその設立時から計画されていた八八艦隊計画の艦船が、大海原を航行していた。先頭にいるのは、改こんごう型イージス艦『こんごう』である。それに続くように同型艦、きりしま、あたご、ちょうかい、まやが夕張の指揮の下、艦隊を組んで行動していた。

 

「夕張さん、航海は順調といったところですね」

「えぇ、問題なしね」

夕張の隣の下士官が双眼鏡を手に取りながら、隣の夕張に話しかける。

 

「にしても、この艦って合法なんですか?」

「提督曰く、限りなくグレーな艦艇よ」

「まぁ、本来というよりか、搭載火器は、一応アスロックだけということになっていますけど、トマホーク、ハープン、スタンダードなどが満載ですからね」

「緊急時に取るべき対応を取る、それが提督のモットーだけどねー」

「…規格外でしょ」

「ま、私も満足といえば満足なんだけどね、そういえば時間は?」

「一三〇〇五分前です」

「あら、もうそんな時間だったのね、CICに向かうは」

「わかりました」

夕張は艦長の席から降り、艦艇下部のCICに向かう。

 

 

 

CIC(戦闘指揮所)

 

「みんな、準備はどう?整備終わった?」

「夕張さん、順調です」

CICにいた技官がスパナ片手にいう。

 

「了解、各種計器は?」

「問題ありません」

「わかったわ、実戦形式は初めてね、けどうずうずするわ」

そういいながら、夕張はマイクを取る。

「教練対空・対水上戦闘よーい!」

『教練対空・対水上戦闘よーい!繰り返す教練対空・対水上戦闘よーい!』

夕張の号令が繰り返され艦内に響き渡る。

 

「AWS用意よし」

「SPY、戦術データリンクシステム、オンライン」

「総合戦闘システム用意よし」

「各部対空・対水上戦闘用意よし!」

士官が告げてくる。夕張はCICを一通り見渡し

 

「了解、SPY-1作動」

「了解」

艦内警報が鳴らされる。

 

「SPY-1作動!」

そういうと、レーダーや各種計器にデータを表示していく。そんな中だった。

 

「――SPY-1レーダー目標捕捉、方位170、距離24000…この艦影は小型艦影です」

「小型艦艇?」

夕張はレーダー画面に駆け寄ると、確かにレーダーは小型艦艇をとらえていた。

 

「御蔵島の司令部に関連情報があるか確認して頂戴」

「了解」

そういうと、その情報が御蔵島の艦隊作戦司令所に伝わり、すぐに返信が来る。

 

「夕張さん、艦隊作戦司令部から返信です、海上安全委員会のデータベースに当該海域を航行中と思われる艦船なしとのことです」

「アンノウンね」

「了解、アンノウン!」

「航空機一機、発艦用意!」 

『航空機一機、準備でき次第発艦』

そういうと、実験艦後部から一機のヘリコプターが飛び立った。

 

 


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