百夜茜は生き残る 作:さんの羊
がんばります。
私はあれから一人で考えていた。
強くなるには人間をやめなければならない。
人間じゃなくなる。
…でもそれってどういうこと?
大兎さんが言っていた。
仲間を守るために人間をやめたって。
そこで私は気がついた。
(私には…復讐することしか…理由がないんだ…。守るものなんて…無い…。)
家族を失った私は自分には守るものが無いと今更ながらに気づいた。
夜、私が屋上で悩んでいると、サイトヒメアさんが偶然あらわれた。
「…あら?あなた、ここでなにをやっているの?」
相変わらず人間場馴れした美少女。
相も変わらず冷たい視線を私に向けてくる。
彼女は本当に人間ではない。最古の魔術師と呼ばれる魔女らしい。
…彼女自身は自分のことをどう思っているのだろうか?
…だから、私は直接聞いてみた。
「サイトヒメアさんは…人間じゃ、ないんですよね?」
「…?よく意味がわからないけれど…そうよ…?」
サイトヒメアさんは、何を言っているのかよくわからないといった様子でこちらを訝しげに見てくる。
…それから私はサイトヒメアさんに話した。自分が強くなるためには人間をやめなければならないことを。
サイトヒメアさんは私の話を聞くと、
「…どうでもいわね。人間か人間じゃない事になぜこだわるのかが私にはわからない。つまりは強いか弱いかってことでしょ?」
サイトヒメアさんは強気で私にそう言いはなった。
「強いか…弱いか…?」
「あなたは自分が強くありたいか弱くありたいかを純粋に問われている、そういう事でしょう?」
サイトヒメアさんのその言葉を聞いて、私は気がついた。
(そっか…)
…なにを迷うことがあったのだろう。
人外になると言っても吸血鬼のように私利私欲の為だけの生き物になるわけではない。
ただ強くなるか弱いままでいるかという事だけだった。
サイトヒメアさんの言葉にとたんに私の気持ちが晴れた。
月光さんや大兎さんは…私に強くなる覚悟があるかということを聞いていただけだったのだ。
そんなものは…。
(最初から…あるに決まってる…!私は強くなる…!強くなって、必ず吸血鬼を殺す…!!)
「ありがとうございました!サイトヒメアさん!おかげで吹っ切れました。私は…強くなります!」
私はヒメアさんにそう言って急いで部屋に戻って明日に向けて今自分にできる修行をすることにした。
(…もう、なにもこわくない、迷うことなんて、無い!!)
「本当に人間って…変わってるのね…
サイトヒメアは、一人、屋上でそう呟いた。
私はあれから一人で考えていた。
強くなるには人間をやめなければならない。
人間じゃなくなる。
…でもそれってどういうこと?
大兎さんが言っていた。
仲間を守るために人間をやめたって。
そこで私は気がついた。
(私には…復讐することしか…理由がないんだ。)
(守るものなんて…無い…。)
そんな事をずっと考えてもう3日が経った。
私が夜屋上で悩んでいると、ヒメアさんが来た。
「…あら?あなた、ここでなにをやっているの?」
相変わらず人間場馴れした美少女。
彼女は本当に人間ではない。最古の魔術師と呼ばれる魔女らしい。
だから、聞いてみた。
「ヒメアさんは…人間じゃ…ないんですよね」
「…?よく意味がわからないけれど…そうよ」
それから私はヒメアさんに話した。自分が強くなるためには人間をやめなければならないことを。
「…どうでもいわね。人間か人間じゃない事になぜこだわるのかが私にはわからない。つまりは強いか弱いかってことでしょ?」
「強いか…弱いか…?」
「あなたは自分が強くありたいか弱くありたいかを純粋に問われているという事でしょう?」
それを聞いて私は本質に気がついた。
(そっか…)
なにを迷うことがあったのだろう。
人外になると言っても吸血鬼のように私利私欲の為だけの生き物になるわけではない。
ただ強くなるか弱いままでいるかという事だけだった。
月光さんや大兎さんは…私に強くなる覚悟があるかということを聞いていただけだったのだ。
そんなものは…。
(ハナからあるに決まってる。私は強くなる。強くなって、必ず吸血鬼を殺す…!!)
「ありがとうございました!ヒメアさん!おかげで吹っ切れました。私は…強くなります!」
私はヒメアさんにそう言って急いで部屋に戻って明日に向けて今自分にできる修行をすることにした。
「本当に人間って…変わってるのね…」
サイトヒメアは、ただそう呟いた。
私は朝早くに、大兎さんに修行をつけてもらうために電話し、約束をした。
(…よし!これからがんばる!どんなことでも…耐えきって見せる!)
拳を握り、私は大兎さんとの待ち合わせの目的地である屋上へ向かう。
そして扉を開けると…
「大兎~❤」
…何故かサイトヒメアさんが大兎さんに抱きついてイチャイチャしていた。
「ヒメア、もうすぐ俺茜ちゃんの修行みなくちゃいけない時間だからさ、そろそろ離れて…」
「ええええ~?」
大兎さんのその言葉を聞くと、不満そうにサイトヒメアさんが頬を膨らませている。
サイトヒメアさんのその姿は、まさに恋する乙女で女の自分から見てもとても可愛いと思った。
「ねねねね、じゃあさ、ギューってして!ギューって!」
「ええぇ~?」
「ねねねね、お願い大兎~!」
サイトヒメアさんに見つめられ、大兎さんが諦めたように、少しサイトヒメアさんを愛しそうに見つめ、
「…一分だけだぞ?」
と、言いながら大兎さんはサイトヒメアさんを抱き締めた。
「あは❤大兎大好き❤」
…泉さんが言っていたサイトヒメアさんの恋人って…大兎さんだったのか…!!すっごく意外…!!
サイトヒメアさんはいつもの気高い美少女から、恋するかわいい美少女になっていた。
…恋とは恐ろしいと私は思った。
まさに恋は盲目とはこの事だな…とも知った。
(サイトヒメアさん…幸せそうだなぁ…)
「…あら?あなた…」
「…ん?あ、茜ちゃん!?えと、これはその…!」
サイトヒメアさんがこちらに気がついたのか私に視線を向ける。
そして、大兎さんもそれにビクッと反応した。
…大兎さんがサイトヒメアさんと抱き合ったまま焦ったような恥ずかしいようなまま私を見た。
「…えっと、さっきはなんか…ごめんな?」
「あ、いえ…」
…なんとなく凄く気まずい雰囲気になった。
「えっと…覚悟はできたんだな?」
大兎さんは改めて、私にそう聞いてくる。
「は、はい!!」
私はそれに勢いよく返事をした。
「そうか…んじゃ、頑張ろうな!俺もできるだけ精一杯協力するし!」
私の返事を聞いて納得したのか、大兎さんが笑顔で手を差しのべてくれた。
「はい!!」
私は大兎さんの差し出した手を掴んだ。
…私が、強くなるために。
…短いなぁ…。
明日もできたら続きをいれます。