百夜茜は生き残る 作:さんの羊
…まだまだ序盤なのでいつ天キャラしかでてこれません。
セラフのキャラはもっと先になります。
「あの傍若無人な紅月光生徒会長がご執心の百夜茜ちゃんってここにいますかー!?」
突然部屋の扉がものすごい音を立てて開き、それと同時に男の声が大きく響いた。
「なっ!なんですかっ!?」
…突然の事に私は驚くばかりで読んでいた本も思わず落としてしまった。
すると金髪で長髪の顔が整った男の人が部屋に入り、おもむろに私が落としてしまった本を拾って渡してくれた。
「あ、ありがとうございます…?」
「いえいえ、どういたしまして♥」
お礼を言うと彼はニコニコとした顔で私をじっと見つめてくる。
「いやぁ~まさかあの月光君がロリコ…
彼がおもむろにそう何か言いかけた瞬間、
「いきなり他人の部屋に突撃する奴があるかクソ兄貴ーッ!!!!!」
ドカッと私の顔をガン見していた人がいきなり誰かから飛び蹴りを食らい、私の視界を横切った。
「!??!?」
突然の罵声と衝撃にわたしは思わず固まってしまった。
「いたいですよ~ハスガ~…いきなりお兄ちゃんに飛び蹴りはないでしょ~」
「うるせぇっ!!いきなり他人…しかも女の部屋に突っ込む奴があるか!!」
なにやら私の部屋でやけにイケメンな二人が言い争っている。どういう状況なのこれ…
しかし、途中で二人とも呆然としている私に気がついたのかとたんにこちらに顔を向ける。
「えーっと…とりあえずあなたが噂の茜ちゃんですか~?僕はセルジュといいます。以後お見知りおきを」
「あー…なんか兄貴が悪かったな。いきなりで、…あ、俺はハスガだ。」
セルジュさんとハスガさんと言うらしい。
二人とも兄弟のようだ。
「…えっと、大丈夫です、なれてますから。」
この部屋に誰かが突然入ってくるのはもはや日常になりかけている。
それでハスガさんがいろいろと何かを悟ったのか
「あー…なんかお前も苦労してんだな…」
と、同情の視線を向けられた。
「そりゃそうですよ~!なにせあの傍若無人な俺様生徒会長君の弟子ですよ~?逆に苦労しない人なんているんですかねぇ~?」
セルジュさんがヤレヤレといった様子でそう言う。
「あ、いやでも、月光さんはとても親切な方です。赤の他人の私にいろいろ教えて下さって…」
私が慌てて否定すると、
「いや~健気な子ですねぇ~茜ちゃんは~」
~♪~♪~♪~
セルジュさんが話している途中でその時どこからか音楽が流れてきた。
「あ…すみません、僕の携帯です。女の子からの電話が…少々失礼しますね…。…もしもし~?」
そのままなんと携帯で話始めた。
「あ、アユミちゃん?…え?今度はいとこのお姉さんが不治の病に…?わかった!僕がなんとかお金を…!!」
セルジュさんが何やら怪しい話を少しだけ真面目な顔でしていると、
「いい加減にしろォォォー!!」
ハスガさんがセルジュさんにまたもや怒鳴る。
「…ックソ!!兄貴の目を覚まさせてやる…!!えっと…茜!邪魔したな!」
ハスガさんがそう言うと、ズルズルとセルジュさんを引きずって私の部屋から出ていった。
(兄弟…か、)
二人が出ていった後、私は少し考えてしまう。
私の頭に思わず家族の顔が思い浮かぶ。
…守れなかった、死んでいった家族の顔達が。
(ぜったいに…強くなりたい。強くなって、私は…)
胸に覚悟を握りしめ、もっと頑張らなくてはと思い、私は再び本を読み始めた。
…がんばります。