百夜茜は生き残る 作:さんの羊
「きゅ、吸血鬼…!?」
私は思わず身構えた。
その少女はこちらを見ると、口を開いた。
「ふーん…この子が月光が拾った子供ね…」
…彼女の口から「月光」という名前が出てきた。
見ればみるほど吸血鬼の特徴と一致する。が、月光さんの名前を出していたってことはやはり月光さんの知り合いなのか…?
「…えっと…あなたは誰ですか…?」
おずおずとそう聞くと、少女は苛立ちを表しながらこちらをキッと睨み付けた。
「…はぁ?下等な人間なんかに何で私が名前を教えなくちゃならないの?」
威圧感を放ちながら少女は私を見下してそう言った。
…「下等な人間」その言葉はまさしく自分は人間ではなく人外と言っているようなものだった。
「あなたは…吸血鬼…ですか…?」
「吸血鬼…?私をあんな下等種族と一緒にしないで」
恐る恐る聞くと見た目に合わず結構な毒舌が返ってきた。
「…あなた、月光に拾われたんでしょう?」
「…え?はい、まぁ…。」
「ふぅん…見たところでき損ないの異物が混じり混んでいるようだけれど…」
少女は少しだけ興味深そうに私を見つめる。
…しかしそれよりも…「でき損ないの異物」とは一体なんの事なのだろうか。
「じゃ、私はもういくから、」
彼女は興味を失ったのかあっさりと私の前を立ち去った。
「…あれ?結局あの人の名前すら聞いてなかった…。」
どうやら私に軽く興味を持っていただけだったようだ。
翌日、この事を泉さんに話すと、
「あー…それ多分ヒメちゃんだあ…。」
泉さんは心当たりがあるようだった。
「ヒメちゃん…?」
「そっ!サイトヒメアちゃん!私はヒメちゃんってよんでるよ~!すっごくキレイだったでしょー?」
「は、はい。」
…確かに綺麗だった。まるでこの世のものとは思えない程に。
「まぁ、ヒメちゃんは結構そっけない子だけどいい子なんだよー。きついこと言われたかも知んないけど多目に見てやってねー?」
サイトヒメアさん…というらしい。
やはり彼女は人間ではないのだろうか。
「最古の魔術師とかって言ってね?すっごい魔女らしいからねー!いろんな魔法知ってるよー♪もーすっごいんだから!」
「ま、魔女!?」
人間ではないと思っていたがまさか魔女だったとは…。
そう思っていたが、魔女とはあんなにも吸血鬼に似通った姿をしてるのかとそう思った。
「でもってあれで恋人居るんだよー!恋人の前だともーすっごいかわいくて素直なんだよねー!」
…私はそれを聞いて、今日一番びっくりした。
しかし肝心のあの言葉が私の心に引っ掛かっていた。
「でき損ないの異物」これは一体なんの事だったのだろう…?
…出来るだけ早く続き出したいです。
文章やっぱり短いなぁ…。