百夜茜は生き残る   作:さんの羊

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続きです。


百夜茜は元凶に笑う

 

どうにかして優ちゃんに正気を取り戻させないといけない。

 

「とりあえず…ちょっと痛いかもしれないけど…ごめんねっ!優ちゃん!!」

 

ほんの少し力を解放して思い切り優ちゃんに斬りかかる。

 

(暴走しててやっぱりなかなか強いな…でも…)

 

「私よりはまだ弱いっ!!」

 

 

シノアside

 

刀を打ち合うだけで周りにクレーターができるほどの衝撃。

 

凄まじい戦いが目の前で繰り広げられていた。

しかもあの暴走した優さんと渡り合っている。

 

…よく見ると彼女の片目が優さんと同じように黒く染まっている。

 

(もしかして…!?)

 

 

ミカエラside

 

茜ちゃんが優ちゃんと戦っている。

茜ちゃんは優ちゃんと戦うのが心苦しいようだ。

自分にはどうすることもできない。

 

…ただただ無力な自分が歯がゆい。

 

吸血鬼にまでなって力を手に入れたというのに、また、自分は大切な家族を守れないのか。

 

…何故自分の家族と家族が戦っているのだろうか。

 

茜ちゃんはどうにかして優ちゃんを取り戻そうとしている。…茜ちゃんは恐らくどちらの勢力にも属していない。

 

(優ちゃんも…茜ちゃんも取り戻さないといけない…。)

 

ミカエラは二人の戦いを見守ることしかできなかった。

 

 

茜side

 

優ちゃんが私と戦ってる最中に、横から男の声が掛かる。

 

「優に抱きつけシノア!!今の優ならきっと戻ってこられる!!」

 

すると、後ろからシノアと呼ばれた少女が走り、私の横をすり抜け優ちゃんに抱きついた。

優ちゃんはもがき苦しみながらうめき声をあげている。

それを彼女は必死に押さえようとしている。

 

(…!!優ちゃんの力が急激に落ち着いてゆく…!?それに彼女のこの感じは…!!)

 

ふいにチラリと男の声が掛かった方を見ると、私はその姿にもう正気を保てなかった。

 

 

 

 

 

「フ ェ リ ド ? ? ?」

 

 

 

 

 

私の家族の仇。

 

私すべてを奪った吸血鬼。

 

絶望に私をおとしいれた張本人。

 

…今でも鮮明に思い出す事ができる。家族が血だらけで倒れている姿を。

憎しみやら悲しみやらで私の中は埋め尽くされる。

 

…気がついたら既に体が動いていた。

 

 

 

フェリドside

 

目の前でボロボロになり、首を掴まれながらもへらへら笑っている顔の人間を見る。

 

「派手な演出だろう?あれが俺の切り札だよ」

 

「でも結果はなんにも出なかったじゃない」

 

「いや出たね俺たちはなんせ…」

 

人間がしゃべりかけてる途中、とんでもない殺気を横から感じた。

 

「ッ!!!」

 

咄嗟に掴んでいた人間を放り出し、剣で攻撃を受けとめる。

 

 

 

「み つ け た」

 

 

 

 

あの暴走したバケモノと戦っていた少女がとんでもなく血走った目で自分に言った。

 

「はは…いいね、吸血鬼って年をとらないからさぁ…見た瞬間すぐにわかってよかったよ。」

 

少女は薄く笑いを浮かべていた。

 

「んん~?君は誰かな??」

 

「覚えてないならいいよ、そのまま死ねば?」

 

少女は確実に自分を殺そうとしている。

 

全く少女が誰なのかさっぱりわからないが少女に相当自分は恨まれているらしい。

 

「お前を殺して…私はすべてをやり直すからさ、大人しく私にやられて死んだ方がいいよ。」

 

少女はニコリと笑いを浮かべ言う。しかし目が笑っていない。

 

笑いながら同時に少女は涙を流す。

 

「お前に会えて死ぬほど嬉し過ぎて涙が出てくるよ…!!」

 

少女は泣きながらも怒りやら歓喜やら憎しみやらごちゃごちゃに笑い、自分に切りつけて来る。

感情失禁を起こし、半分理性が飛んでいるのがわかる。

 

とんでもなくその剣さばきは速く、そして重い。相当な実力者だということがよくわかった。

 

しかしその時、大勢の人間の気配をふと感じた。

 

「おっとっと、これはこれは…」

 

…日本帝鬼軍。

 

「これはちょっとお開きかな~ごめんね、誰だかわかんないけどさ。」

 

少女はすさまじく動かしていた剣をビタッととめる。

 

「ははっ…逃がすわけないでしょ?……と、言いたい所なんだけど…仕方ない、私も優ちゃんの方が気にかかってたし。…覚えてろよ、私はまたお前を殺しにいくぞ…フェリド」

 

少女は仕方がないというようにため息をついて剣をしまう。…最後に睨みを聞かせて。

 

少女がこちらを見る目はまるで豚を見ているかのようだった。

 

ああ、これからもっともっともっと!楽しくなりそうだ…♪




頑張った。うん。

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