【完結】混迷を呼ぶ者   作:飯妃旅立

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コラボに出そうとして出さなかった没の1つ目。
INFRAモードの世界に迷い込んだルシフィル君の戦闘記録です。


番外編① INFRA MODE

 

 GOD EATERはゲームである。

 

 俺がアバドンへと憑依し、サマエルと呼ばれ、ルシフィルとして蘇って尚――その事実は、俺の根底の部分に根付いた前提事項だ。

 とはいえ小説版、アニメ版など多々諸々のIF……公式に設定された異伝があるとはいえ、大元にして原本のストーリーはゲームだし、そもそもの主人公は名前の無い誰かだ(じぶんでなまえをつける)

 それが女主人公であれ、男主人公であれな。

 キャラメイクと称して髪型やら顔つき、体型にオプションと十人十色、千差万別に組み替えて、自分だけの主人公とやらを造るのだ。

 

 さて、こいつらは往々にして――というか、ゲームをプレイす(プレイ)る人間の技術(スキル)によって、その強さもその厄介さも区々(まちまち)

 

 ゲームを途中で投げた(あきらめた)プレイヤーがいるとするのなら、ソイツの操作していた主人公はこの世界で文字通りその命を投げる(あきらめる)事となるだろう。

 

 逆に、異様な反応速度、異様な的確さを以て、果ては全てのミッションを単騎で熟す様な……俺達GOD(アラガミ)を文字通りEATER(食らい尽くす)程にゲーミングが上手くなったとすれば、ソイツに命を吹き込まれた主人公は俺達(アラガミ)をして’’化け物’’と呼ばれるだろう。

 

 つまり、この世界で生きるにあたって『とりあえずゲーム中で見る事の無かった神機使い』で『実力が異様も異常も言葉足らず』な奴に出会った時は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『偵察班から入電。 現在、作戦エリアに想定外のアラガミが接近中。 ――型種です!』

『――分後に作戦――アに侵入! 侵入予測――ト――ます!』

 

 

 それは突然の事だった。

 いや、日常的な事だったと言い換える事も出来るかもしれないが、唐突であったのは間違いない。

 ブラッド隊と称される組織に属する彼らが受注した任務の、経過時間5分辺りでの出来事だ。

 

 既に地の中へと沈み込んだハガンコンゴウ(ザコ)4体、テスカトリポカ(かたいザコ)1体を(くだ)し、さぁ残るはマガツキュウビ(げんきだま)一匹だけだと回復等々を行っていた頃合いに、オペレーターのヒバリから通信があったのだ。

 

 内容はいつもの観測班の怠慢……ではなく、想定外のアラガミの侵入連絡。

 他のアラガミが侵入してくることなど日常茶飯事であるものの、それなりに面倒なマガツキュウビ(アラガミ)との決戦前故に、ブラッド隊の4人は一応しっかりその通信を聞いていた。

 聞いていたのだが。

 

 

「……なんて?」

 

『――ますか!? ――った……って、ま――!? 現在作戦エ――域に、――範囲の――を確認! 間違いありません! ――ルです!』

 

 

 ザァザァという耳障りなノイズと、繋がっては切れ繋がっては切れを繰り返す通信機(ソレ)。 節々から聞こえるワードからしてアラガミが近づいている事はわかるのだが、それ以上の情報が全くと言っていいほど得られない。

 

 

『――』

 

「ダメだこりゃ。 完全に切れちまった」

 

「故障? そう言えば通信機器ってメンテ受けた覚えないわね」

 

「オラクル技術も万能じゃねぇからなー。 どーすっよ隊長。 マガっちゃん相手に不確定要素は厳しくねえ?」

 

 

 通信機が完全に沈黙したのを受け、大柄で赤髪の女性像のようなバスターソードを担いだ男が早々に通信を諦める。

 思い出すように言ったのはスナイパーで照準を見たり、マップを開いたりして何かを確認している露出の多い女。

 

 

「来るつったって多分小型か中型一匹だろー? マガツをどっかに引きつけて、他3人でソレ狩りゃいいじゃん。 アタシ引き付け役なー」

 

「マガツの殺生石……小型に発生させられると面倒」

 

 

 隊長と呼ばれたショートカットの女が左手をヒラヒラさせながら答える。 右手にはスピアが提げられ、鈍い光を放っていた。

 その横ではニット帽を被った小柄な女がボソボソと喋る。 その体格に似合わず、恐ろしい形をしたサイズを引っ提げているのは神機使いらしいとも言えるだろうか。

 

 

「んじゃ確認なー。 ブラッド1、担当マガツ」

 

「へいへい。 ブラッド2、担当は侵入してくる小型、撃破後にマガっちゃんへ合流っと」

 

「ブラッド3、小型の撃破後にマガツへ向かうわ」

 

「ブラッド4、小型担当、およびマガツキュウビ撃破」

 

『――確認! ――地点――で』

 

「はっはっは! 話しこんでいたら侵入されちまったな! んじゃ頼んだぜ隊長!」

 

「あいよ」

 

 

 ブラッド1が先行する。

 曲がり角に見える、マガツキュウビの尻尾を目指して。

 

 

「……おかしいわね。 レーダーには何の反応も無いけれど……」

 

「ん、ユーバーセンスにも引っかからない」

 

 

 と、言う事は。

 

 

「「「アバドンかい!」」」

 

 

 何故かレーダーに映らないアラガミといえば、コイツしかいない。

 それが何故なのかはわからないが、一説には弱すぎるからとか、アラガミじゃないからとか。

 だがまぁ、神機使い達にとってその辺の事情はどうでもいい事だった。

 いやまぁ、通信が入る程なのだからと、強敵を少なからず期待していた面々は気落ちしているのだが、それは置いておこう。

 問題――言い換えるならば重要視するのは、ただ1点。

 

 ――チケット寄越せ。

 

 Aチケット……等級にこそよるが、ほぼすべてのアラガミ素材と交換できる魅惑のチケット。

 狩り辛い・個体数の少ない物や、数を狩らなければ中々手に入らない素材……それが、とても簡単に手に入るチケット。 

 そしてそのチケットが、とても簡単に手に入るアラガミ(たからばこ)。 

 それがアバドンである。

 

 

「どうする? 隊長呼び戻す?」

 

「いいんじゃねえの~? 一番美味しいマガっちゃん勝手に持って行こうとしたんだし、アレだ。 残り物には福があるって奴だろ!」

 

「スピアは小型に向かない。 対してこちらはサイズバスターショート。 完璧」

 

 ちなみにショートはブラッド3、先程スナイパーを弄っていた女だ。

 

「ブラッド4……アンタ、今最っ高に悪い顔してるわよ……」

 

「はっはっは! ま、アバドンからもしっかり殺生石は生成されるからな! 後々の事も考えて確実に駆除する必要があるな!」

 

「高難度任務でよかった……ダイヤは確実……」

 

 

 アバドンとわかった彼らから緊張の2文字は完全に消え去っている。

 そもそもこのチームは別名をINFRA BLOOD――通称’’血に餓えた部隊’’として名が通っているのだ。 所属する各神機使いが戦闘狂と揶揄されても仕方がない程のアラガミを狩り、殺し、食べている。

 そんな彼らに、緊張等と言う物があるはずもない。

 

 

「問題はどこにいるかだなぁ。 通信が死んでる以上――」

 

『キィ……』

 

「――問題は何もなかったなぁ……!」

 

 

 ブラッド2がニヤリと口角を上げる。

 その顔は、お世辞にも『守る側』とはかけ離れていた。

 よくて人修羅、悪くて地獄の悪鬼だろう。

 

 アバドンの発する特有の音。

 鳴き声なのか、それとも出てしまうだけの音なのかはわからない。

 ただ、レーダーマップに映らないアバドンを見つけるための目印。 そういう認識。

 

「キィ……」

 

 近い。

 いや、すぐそこに――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うわー……いや、全部聞こえてたけどさ。

 なんつーか……もうアレだよな。 人類の脅威に怯えながら未来を勝ち取る、みたいなスタイルはどこかへ消え去ってるよな、あいつら。

 

 全員聴いた事の無い声……いや、幾人かは何度か聞いた事のある声。

 この世界で意識を持ってからではなく……ゲームをしていた頃、そのキャラメイク時に。

 

 なるほどなるほど。

 いやいや、待てよ。

 

 何、あれもしかして……全員主人公?

 GOD EATER 2、ないしはRAGE BURSTの主人公!?

 もしかしなくてもINFRAモード?

 

 む、ムリゲーくせぇ……。

 

 普段通り感応波は効くみたいだが、単純な考えで神薙ユウ*4、もしくは神威ヒロ*4だろ? 霊代アキの実力はわからんから何とも言えないが。

 そりゃあ雑魚猿(ハガンコンゴウ)とか硬いだけの雑魚(テスカトリポカ)じゃあ5分で沈みますわ……。 うん。

 

 唯一頑張れそうなのはマガツだけど……。

 遠目で見る限り、そして戦闘音を聞く限り……あー、1人くらいなら……うーん?

 神機使い側もなんか遊んでんな、あれ。

 

 うーむ。

 マガツキュウビは別に終末捕食に必要ってワケじゃないから、狩られても特に問題はないんだよなぁ。

 純粋なキュウビならレトロオラクル細胞の採取の危険性があるけど、マガツは外に適応しちゃってるし。

 

「キィ……」

 

 あ、やべ。

 身体の音がなっちった。

 ええい、鳴っちゃった物は仕方ない!

 

「キィ……」

 

 むしろ俺から迎え撃つ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「赤い……アバドン?」

 

 

 ブラッド2の呆けたような言葉。

 それは彼の常識にないアラガミ故の反応であり、彼がINFRA BLOODの面々の中では’’比較的’’常識人だからだ、と言えるだろう。

 つまるところ、常識人でない他2人にとって――、

 

 パァン!

 

 ――アラガミにどのような変化があっても、関係ない。

 

 一切の動揺を見せずにブラッド3がスナイパーからバレットを撃ちだしたのだ。

 

 

「何呆けてるのよブラッド2! 火力だけが売りなんだから、とっとと叩き込みなさいよ!」

 

「右に10°ズレた……? 当たってない」

 

 

 冷静に判断を下すブラッド4。 

 その言葉に何を、とブラッド3が自信の神機を向いた瞬間――それは起こった。

 

 

「キィ……」

 

「! 危ねぇ!」

 

 

 突如ステップでブラッド3の前に移動した――滑り込んだブラッド2による、パリングファング。 だがそれは空振りに終わる。

 

 

「ブラッド3! 銃形態やめろ! こいつ、ただのアバドンじゃねえ!」

 

 目を限界まで見開きつつブラッド2が叫ぶ。

 彼の視界に、――アバドンはいない。

 

 

「シッ!」

 

「キィ……」

 

 

 ブラッド4が神機を咬刃状態にして全範囲に薙ぎ払う。

 しかし手応えは無い。 ただ、「キィ……」という駆動音のような鳴き声が聞こえるだけだ。

 既に神機を近接形態に戻したブラッド3を含め、3人は背中合わせの陣形を組む。

 

 そして直後に全員が全員前方にステップを行った。

 轟、という気流が背後に生まれた事を感じながら、開けた場所を目指す。

 

 

「はっはっは……なんだアリャ! 洒落になってねぇぞ!」

 

「速い……。 見えないレベル……」

 

「オペレーターが焦るワケだわ……あんなの、オラクル弾を当てられる気がしない!」

 

 

 ――けど/だが。

 

 逃げながらも、彼ら彼女らの心中に去来した物は先程と同じ……いや、それ以上の『期待』だった。

 

 ――アバドン特異種であるのなら……どれほど良い素材が手に入るのだろう。

 

 

「「「絶対狩る!」」」

 

 

 開けた場所にでた彼らは全く同一のタイミングで叫び、振り返る。

 そしてブラッド2だけが、大きく後ろに飛び退いた。

 

 違う。

 

 吹き飛ばされたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だ! ラスリベ失敗しただけで、オートガードが働いた!」

 

「っ! 心配させないでよね! ブラッド4! 来るわよ!」

 

「わかってる……」

 

 

 完全に(ルシフィル)に初見のようだったから先手必勝初見殺しを仕掛けたつもりだったんだが……なんだこいつら。

 化け物か?

 

 バスタータワシブラストの男のBAはラストリベンジャーか……。 まぁ万が一発生されてもそれを避けりゃいいから問題はないが、なんつー反応速度だ。 こちとら音を越えてんだぞ……。

 

 ショートバックラースナイパーの女は容赦ねえし……。 普通、考えてから動くまでにタイムラグとかあるんじゃねえの? あの神薙ユウだって(最初は)もうちょっと隙が……あ、いや無かったわ。

 

 そして一番厄介なのはサイズシールドショットガンの女! さっきの攻防だけで4回くらい目が合ったぞ……。 見えてる、とか言わないよな。 

 

 

「キィ……」

 

「やっと姿を現したわね……。 真赤なアバドン。 そんな噂、極東の辺りで聞いた気がするわ」

 

「バーストすりゃバイタルキーパーが息するんだけどな……これなら受け渡しバースト化入れておくんだったぜ」

 

「アイテム使おうとしてる間にやられそう。 完全に引きつけてから、もしくは視覚外でやらないと」

 

 

 ほらー!

 あのサイズ女やばいって!

 

 

「キィ……」

 

 

 さて、どうするかなぁ。

 感応波解いてマガツの活性化を許可するか?

 それをするとこいつらの視界と聴覚、それに通信が生き返っちまうんだよなぁ。

 五感の妨害には気付いてないっぽいし……。

 

 適当な所で、おっと。

 

 

「チッ! 当たらないか!」

 

「キィ……」

 

 

 あのスナイパー女油断も隙もねぇな……。

 んー、1人くらいは消しておきたいんだが……。

 というかココ、INFRAモードだからってリンクエイド復活してるとか言わないよな?

 

 

「ほらほらどうしたぁ!? その程度かよ!」

 

「! 隊長が――」

 

 

 スナ女、意識を逸らしたな!

 喰らえ、たいあたり!

 

 

「させね、え!」

 

 

 青色の波紋――急制動、鋭角後方にトップスピード!

 遅れて発動する、極光の柱。

 

 あー、発動が遅いからまず当たらないが、当たったら多分俺死ぬな。

 ヴァルキュリア 醒っぽいし……おそろしおそろし。

 

 

「チッ、どこいきやがった!」

 

「ブラッド2、あそこ。 スピードより制動力の方が気を付けるべき」

 

 

 サイズ女から潰すべきか。

 類い稀なる観察眼が一番厄介だって、神薙ユウで学習したからな!

 

 丁度マガツも近いみたいだし……サイズ女を屠った瞬間、感応波を切る方向で行こう。

 

 

「キィ……」

 

「? ヘイト上昇量ダウンが効いてない……?」

 

 

 そういうスキルは効きません!!

 たいあたり!

 

 カキィン! という甲高い音と共に、サイズ女を弾き飛ばす。

 ジャストガード……シールドの展開速度で、よくやる。

 しかもジャンプしてノックバック上げて、距離を取りやがった。

 

 だが、誰も追撃しないとは言ってなーい!

 

 

「!?」

 

 

 打ち上げたサイズ女の背後から再度体当たり。 いつぞやケイト・ロウリーを屠った時と同じく軽い身体を、更に上へと弾いていく。

 

 

「ブラッド4! この……!」

 

 

 む! 地上からの援護射撃……いや、回復弾か!

 残念だがソレは俺が貰う!

 

 

「なッ!?」

 

「――隙、有り!!」

 

「キィ……」

 

 

 まだ息があったらしいサイズ女が空中で姿勢を取り直し(この時点でおかしいのだが)、その刀身を真白に光らせた。

 そのまま刀身を振り回し、斬撃を飛ばしてきたではないか。

 おっとサイズをあんまり使わなかったからかな! そのBA知らないぞ!

 

 

「スタングレネード!」

 

「応!」

 

 

 サイズ女が地上に叫ぶ。

 答えたのはバスター男。

 

 させるか!

 

 

「ッ! 無理か!」

 

 

 判断が早い!

 だが、制動力に関して言えば俺の右に出る者はいない。

 盾にあたる直前に身体を完全に停止させ、再度突進する。

 展開が解除されていくタワーシールドの向こうで、驚愕に目を見開くバスター男。

 

 

「こっちよ!」

 

 

 なんのラグも無しに上空へ移動する。

 タワーシールドを叩きつけるショートブレード。

 

 あぁ、どこぞの神薙ユウと雨宮リンドウがやってたなソレ……。

 

 

 どしゃぁ! という音と共に、サイズ女が地面へ落ちた。

 死んで……無い、か。

 だが、明確に大きなダメージは与えられた。

 

 感応波を、解く!

 

 

『――ッド4、バイタル危険域です! 回復を! なんで、なんで繋がらないの!!』

 

 

 途端、神機使いの通信機からオペレーターの声が響き渡った。

 悲痛な声だ。 

 だが、それに応えるアラガミも……そして、神機使いもいない。

 

 ここにいるのは、こちらを完全に倒すべき敵と見做し、あらん限りの殺気を向ける……そう在るべきな神機使いがいるのみである。

 

 そして戦場を――体力を削り取る、不可視の波が覆った。

 

 

 

 消えた。

 

 

 

 ん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マガツキュウビの反応消失! ミッションは成功です! すぐに、帰投の準備を――』

 

「あーあ、折角出てきたってのによぉ……。 つか、あいつら小型一匹に遅すぎだろ……」

 

『まさか!? 感応波は消えたのに……まだ!?』

 

 

 ブラッド1は、スピアを横に薙いだ。

 

 

「……当たらない、か」

 

『ブラッド1! 気を付けてください! まだ、その戦場には感応種が――』

 

「いんや、今逃げたみたいよ。 帰投準備頼むわ」

 

『本当ですか!? 良かった……。 はい、帰投準備を行いますので少々お待ちください』

 

 

 先程、スピアを薙いだ時。

 一瞬だけ……赤い悪魔が、そこに居た気がしたのだが。

 どうやら逃げたらしい。 アラガミに言う事ではないが、一瞬目を見開いたように見えたのはなんだったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キィ……」

 

 いやぁ、びっくりした。

 あれには勝てないわ。 あれには勝てない。

 思えば神薙ユウの容姿は公式の物、神威ヒロの容姿は俺のやっていたGE2RBのキャラクリの物だった。

 そして、先程見たスピア使い。

 

 あれは確実に、無印時代のオレのキャラだった。

 持っている獲物がスピアという違いはあれど、ヘアの一つからボトムス&トップスまで完全に俺のキャラだった。

 別に俺のキャラが最強だから、なんて理由づけをするつもりはない。

 そうではなく、これは――そう。

 

 単なる愛着だ。

 

 一応、神威ヒロにさえもそれを抱いた俺が。

 無印時代という一番印象に残るキャラを殺せるはずもない。 殺すとしたら、終末捕食によって見えない所でお願いしたい。

 すくなくともあの身体を傷付けたいと思えないのだ。

 

 ……なんとも、人間らしい考え方だな。

 やっぱりこの近辺は別世界……INFRAモードの世界なのだろう。

 地球の意思もさっぱりだし、とっとと帰ろう。 適当に世界を縦横無尽に駆け巡れば帰れるだろう。

 

 俺は俺の世界で、人類を滅ぼす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまり、この世界で生きるにあたって『とりあえずゲーム中で見る事の無かった神機使い』で『実力が異様も異常も言葉足らず』な奴に出会った時は――逃げるが勝ちなのである。

 










こっちの投稿は久しぶりになりますね。

これからもたまーに感想にあった農業従事とか合間の出来事とか投稿していきます。

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