俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。 作:nowson
話は短めですが、気のせいか男子の絡み書くより難しかったです。
憂鬱、今の比企谷八幡の精神状態を言葉に表すならこの二文字しかないだろう。
修学旅行での嘘告白以来、奉仕部に流れた気まずい空気。
それは仲の良い友人と喧嘩してしまった時のような、または恋人と仲たがいしたような。
いままで交友関係を築いてこれなかった八幡にとって未知なる経験であった。
今日もあの空気の中で時間を過ごすのか……そう思って扉を開ける八幡。
だが、今日の奉仕部はいつもと違っていた
八幡は読書、雪乃はパソコン、結衣は携帯いじり、ここまではいつもの光景なのだが……。
「……」チラチラ
「……」チラチラ
「……」
(明らかに見られてるよな)クルっ
「!!!」バッ
「!!!」バッ
「……」
(何なんだ?)
「……」チラチラ
「……」チラチラ
(俺何かしたっけ?)
八幡は自分の行動を振り返る。
(最近は依頼もなく特に何もしていない、今日だって朝学校来て戸塚と話して、その後普通に授業受けた……変わった事と言えば葉山に一方的なライバル宣言受けたことと、七沢からホモまがいな勧誘うけたくらいだ。)
「……」チラチラ
「……」チラチラ
(何なんだよ一体)
基本的に陰口や悪意に満ちた目線には慣れている八幡だが、悪意のない視線でひたすらチラチラ、こればかりはさすがに耐えられなっかたのか口を開く。
「おい!」
「「!!!!!」」ビクッ!!
「きゅ、急に何かしら比企谷君」
「お前ら、さっきから何なの?人の事じろじろ見て?」
「人?ごめんなさい、私人間なんてみてないんだけど……」
「お前わざと言ってるだろ!あんだけこっち見てりゃいやでも気づく、俺になんかあんのか?」
「それはその……」
言いよどみ俯く雪乃
「……」
「……」
「あ、あのさヒッキー!!!」
膠着状態のなか結衣が口を開く。
「ん?」
「ヒッキーはさ、その……」
頬を赤らめチラチラ
「な、何だ?」
(そんな頬を赤らめて見ないで!)
「ヒッキーは……」
「……ゴクン」
「ヒッキーはホモって本当なの!?」
結衣はとんでもない爆弾を落とした。
「はあ!?何言ってのお前!?」
濡れ衣ならぬホモ疑惑をかけられ困惑する八幡。
「だって、いつも彩ちゃんのことキモい顔してチラチラみてるし、隼人君と七沢君と三角関係の噂があるし」
「Why?」
何が何だかわからない八幡は少し現実逃避をする。
(何で俺にホモ疑惑?戸塚のことは確かに認めよう、だが何で葉山と七沢?葉山に至っては俺にライバル宣言しただけだ、というか俺どっちも断ってるからね!!)
「ちがうのかしら?」
「違うに決まってんだろ!!いくら女に困っても男には手は出さん」
「でも、裏サイトで話題になってるわよ?あなた……」
マウスをクリックしながら答える雪乃。
「はあ?何かのまちがいだろ!」
文化祭の件ですら
「ヒキタニまじむかつく!」
「てか、ヒキタニって誰?」
「知らない、誰だろ?」
という反応だったはず、それが自分が噂になってるというのだから信じられないというのも無理はない。
「でも、これあなたのことでしょ?」
見てみなさい、とパソコンの画面を指さす雪乃。
八幡は恐る恐る画面をのぞき込む。
三角関係!?“はや×はち”“なな×はち”徹底討論(878)
裏サイトの掲示板で堂々トップに躍り出ていた。
今日立ったばかりなのに次スレ行きそうな勢いである。
「な、なんだよこれ……?」
(なんで今日の出来事がこんなに曲解されて書かれまくってんだ?てか、どんだけ伸びてんだ?腐女子多すぎだろ総武高校!!)
「よかったわね、人気者じゃないホモ谷君(笑)」
八幡がホモじゃないと分かったからか、久しぶりに会話が八幡と会話が続いて嬉しいのか満面の笑みだ。
くれぐれも彼女が潜在的腐女子だったから出た笑みじゃない事を祈ろう。
「お前!間違っても人前で言うなよ!!!」
「大丈夫だよ、どんな風になってもヒッキーはヒッキーだから!」
「フォローになってねえよ!」
雪乃のいじり、八幡のツッコミ、結衣のボケ……そして3人の笑い声。
久しぶりに奉仕部内に溢れる活気。
自分のホモネタによるものであることが複雑ではあったが、八幡は嬉しかった。
そんな活気あふれる奉仕部前で固まる一人の女性。
(あれっ?いつの間にか仲直りしてる?もしかして依頼持っていこうとした意味なかった系?)
そして静は思った。
(七沢の依頼、どうしよう……)
ドアの前で固まる静であった。
次はバレー部と奉仕部の激突?になります。
どうなることやら。