俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

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お詫び
前回、前々回と奉仕部について書くと言っておきながら書かず申し訳ありません。
実は今回も奉仕部との絡みは書けませんでした。




しかも文章が短めです



何より、俺ガイルSSなのに女キャラの出演は未だ平塚先生のみ

次回こそちゃんと書きますのでどうかご了承ください


やはりスポコンにはライバルが付き物である

総武高校自動販売機置き場

数多くの自動販売機がしのぎを削る場所。

夏場や運動後の生徒、自分好みの飲み物を買いたい生徒にとって多種多様な清涼飲料水が手に入るこの場所はオアシスのような存在である。

 

 

彼、比企谷八幡にとっても例外ではない。

千葉が生んだソウルドリンク“マッカン”をこよなく愛す彼は一日最低一回はここを訪れる。

 

当然のようにマッカンを飲んでいる。

 

そして、残りわずかなマッカンを太陽に向かって傾け飲み干し、ごみ箱に投げ入れた。

 

 

 

 

「少しいいかい比企谷」

マッカンを飲み終えた彼に声をかけるイケメン。

 

 

「……何の用だよ葉山」

 

 

「いや、さっきの試合は完敗だったよ」

八幡のそっけない態度に対してか、試合で負けたことに対してかわからないが、苦笑いを浮かべる。

 

 

「気にすることはないだろ、バレー部にバレーで負けんのは当たり前だ」

葉山の言いたい事を察したものの、あえてはぐらかし答える。

 

 

 

「七沢にはサッカーの授業の時にやり返すから構わないさ(笑)」

葉山は今まで見せたことのないような笑顔を見せる…多分切れてます。

 

そういえば彼はかつて葉山・三浦ペアVS比企谷・由比ヶ浜ペアという運動部&元テニス部VS元帰宅部で文化系ペアという構図で比企谷は崩せないと判断し、迷わず初心者で友達でもある女の子を集中狙いした男だ。

表にはあまり出さないものの、“炎の妖精”並の負けず嫌いであることは大いに想像できる。

 

 

 

 

「相変わらず負けず嫌いだな、テニスで女を集中狙いするくらいだから無理ないが」

リア充の嫌がる顔は蜜の味、八幡は容赦なく口撃する。

 

 

 

「うっ!!それより君だよ、僕のフェイントを拾ったあのプレイはそこに来ると読んでいたのかい?」

痛いとこ突かれた葉山ははぐらかしながら自分の質問に持っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「読んだといえば読んだ」

 

 

 

 

 

 

あのプレイは詳細はこうだ。

 

葉山のライトからのスパイク対してこちらは前衛3人のブロックで後衛三人が守り。

いくら運動神経があっても右利きの選手がライトからストレートで打つのは難しい。

 

一般的に右利きはレフトが打ちやすい、スパイクの時の助走は斜め横向きから入る(助走の距離をとり高さを上げるため)、レフトから打つ場合、飛んで腕を振り打つスパイクでコート上に狙える範囲が広がり、さらに手を振り抜けるのでストレートも非常に打ちやすい。

対してライトからのスパイクはそうはいかない、レフトと同じように斜め横から入るが振りぬく場合どうしてもクロスに近く、ストレートに打つ場合体の角度的に打ちにくいのだ。

最も、レベルが高くなるとそれをフェイクにしワザと逆に打ったりする。

 

葉山の場合さすがにそこまでのレベルに達していない

八幡はこちらのコートに来るならブロックからずれたスパイクかフェイントの二種類に可能性を絞っていたのだ

となると、三枚のブロックでスパイクのコースを消されていた葉山が捕る行動、それはフェイント。

三枚のブロックについた為コートは三人で守っている、更にレフト後衛にいた八幡はかなり広くとっていた、なら比較的狙いやすいライトとセンターの間。

八幡が離れていて届かず、戸塚やモブが対応できないフェイントを打つ、ブロックされるリスクが高い以上こっちの方が可能性が高い、これが葉山の狙いだった。

 

そしてそんな葉山の狙いを読んでいた八幡は、もしフェイントのフォローがしやすい場所に動けば葉山はスパイクを強行するかもしれない、そうなればブロックに当たりフォローできない方向にボールが飛ぶかもしれない。

そこで八幡はあえて自分のポディションで構え、葉山に“フェイント”をさせた。

 

 

結果はボールが来ると分かっていた八幡に拾われ、流れを崩すことができず葉山は負けた。

、とても体育の授業とは思えないレベルでの読み合いだったのだ。

 

気付いていたのは全体を見渡せ、知識と経験もある審判をしていた七沢くらいだろう。

というかこの二人のプレーにより彼のハートに火が付き、後の試合で無双をかますほど本気を出したのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりか……あそこでこの試合に勝ったと思ったんだけどね、悔しいよ」

うつむきながら葉山はつぶやく。

 

 

「まあ、所詮は体育だ気にスンナ」

フォローするつもりはなかったが、社交辞令だけでも言っておく八幡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……でも負けたはずなのに嬉しいかな」

葉山は八幡に視線を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

「……は?」

突然の独白に八幡は目が点になる。

 

 

 

「やっぱり君は俺の超えるべき壁!好敵手(ライバル)だって認識できたから!」

挫折を知らないエリートな彼にとって、自分より上と認識できる人は少ない、さらに性善説の塊のような人間の為誰とも敵対することなく過ごしてきた彼にとって八幡はコンプレックスの対象だけでなく、人として魅力的に映っていた。

 

自分にはない視点を持ち、想像もつかないやり方で物事を解消に導くその手腕、自分と競う事のできるポテンシャル。

 

葉山隼人という“男”が待ち望んでいた“男”が目の前にいるのだ。

 

 

 

 

 

「イヤイヤイヤ!!ボッチとリア充の時点で勝ち負けも糞もないだろ」

 

 

 

「フフフ……とにかく君には負けないよ!俺はいつでも君を見ているからね!」

それじゃ!と手を振り葉山は去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人の話きけよ……」

八幡はしばし呆然としながらその場に立ちすくんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、総武高校自動販売機置き場で出血多量で倒れた一人の女子生徒が発見された。

 

おびただしい量の出血にもかかわらず、悔いなく人生を全うしたような安らかな顔だったという。

 

そんな現場に残されたダイイングメッセージのような文字。

 

それにはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

“はやはち”と……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ごめんなさい  ごめんなさい  ごめんなさい


一応フォローしますが、はやはちな展開にはなりませんのでご安心を。

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