俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

28 / 46
分かれた流れはまた一つに

―数年前―

「すまない比企谷、俺が不甲斐無いばかりに」

中学三年の男が目をギュッと絞るように閉じ、年下である八幡に深く頭を下げる。

 

 

「頭上げてください、キャプテンのせいじゃないです」

八幡の追放、その事に唯一反対したのが目の前年下である八幡に頭を下げている男、キャプテンである山北だけ、八幡には彼を責める気など持てなかった。

 

 

「だけど……」

下げた頭を上げる事なく俯き、自分への不甲斐無さをこらえるように拳を握る。

 

 

「このチームに俺は必要無かっただけの事です」

山北ではなくチームが出した結論、一人が反対しても他が賛成すればそれが総意となる。

 

 

「そんなわけないだろ!お前抜きじゃ関東大会には進めない!!」

地区大会、七沢達に敗れはしたものの二位での県大会出場、準決勝まで勝ち進めば関東大会に出場できる。だが、山北は八幡がいないチームの限界が見えていた。

 

 

「戻ってくれないか?俺がもう一度皆を説得する」

顔を上げ八幡の目をじっと見つめながら言う。

 

「……すいません、俺はそんな気になれないです」

申し訳なさそうに首を振りそれを否定する。

 

「そうか」

「……」

ふたりの間に訪れるしばらくの静寂。

 

 

「だったら、海浜に来ないか?」

「海浜に?」

その静寂をやぶるように八幡に問いかける、意外だったのか八幡は思わず聞き返す。

 

 

「お前はこんなとこで終わるような選手じゃない、俺は海浜に行ってバレーを続ける、だからお前も来てくれ、海浜なら一人に責任押し付けることはない、お前の実力も分かってくれる!そこでもう一度バレーをしよう!」

 

「……考えておきます」

 

「今はその言葉だけでもいい」

だが、この二人が同じチームとしてプレーする事はかなわなかった。

 

関東大会へ駒を進めた七沢達を尻目にチームは一回戦で姿を消し、山北達3年は引退。

その後、八幡を待ち受けていたのは迫害、彼は心に傷を負いトラウマが刻み込まれた。

バレーへの未練を断ち切るため、中学時代の数々のトラウマから逃げるように、本来志望していた海浜から総武高校へと進学した。

 

 

 

 

 

「……夢」

目が覚め、見慣れた天井を凝視する。

 

(昔の夢を見るのは久しぶりだな)

 

「6時前か」

八幡はスウェットからジャージに着替え、朝練するべく学校へ行く準備に取りかかる。

 

 

「うむ、実に健康的だな俺、やっぱり俺はやればできる子だ」

普段の彼なら二度寝した後、寝過ごし&サボり癖が発動しそうな状況だが、文化祭の件といい彼はなんだかんだで根は真面目、ジャーに残ったご飯でおにぎりを作り、それを数口で食べきりモグモグさせながら自転車に跨がり。

 

 

「行くか」

ペダルを踏みしめ、駆けて行った。

 

 

 

―総武高校―

今日は月曜日、練習が無い日なのだが自由参加の朝練はある。八幡は内履きではなくバレーシューズを履き体育館へと歩き出した。

 

 

「あっ!おはよう比企谷!」|

「「おはようございます!」」

「お、おはよう」

体育館にはすでに七沢と昨日泡を食った一年二人がすでにいて3人でアップがてらパスをしていた。

 

 

「じゃあバラけてパスしようか」

そういうと七沢はボールを八幡に放り、カゴから新しいボールをとると長谷とパスを開始する。

 

「比企谷先輩お願いします」

「ああ、よろしく」

八幡は受け取ったボールを額の上に放り、優しく包み込むような綺麗なトスを上げる。

 

 

(やっぱり綺麗なトスだな)

トス一つにして一糸乱れぬという言葉が似合うような動き、ボールもそれを体現したかのように回転を殺し美しい放物線を描き温水の頭上へと到達し、温水も先ほどの八幡の動きを思い出しながらトスを返した。

 

 

(やっぱりこいつ上手いな)

ボールの出しの速度、向きなどの情報をある程度予測した位置取りへのポジショニング、そして反応速度。虚をついた八幡のサーブにも対応して見せた動きを思い出す。

 

(ワザと難しく返してみても直ぐに反応して見せてる、それとステップの取り方、何かやってたのか?)

 

「お前、バレーやる前何かやってたのか?」

「昔、少しバトミントンやってました」

「なるほどな」

それであの反応とステップの取り方か、そう納得しパスを続ける。

 

「次、強打でお願いします!」

「ああ」バチン

打ってくれ!温水はそう言わんばかりの位置に先ほどの八幡を思い出すように綺麗なトスを高く上げ構え、打ってきたボールを持ち前の反応で返して見せた。

 

 

―そして―

「じゃあ撤収、分かってると思うけど今日はもう練習無いから明日!」

「「「「はい!」」」」

練習終了のアラームに反応した七沢は部員たちに呼びかける。

 

 

(今日はもう練習無いんだな)

予鈴が鳴り響き、教室に戻りながら八幡はある人物へとメールを送った。

 

 

 

― 2年F組 教室 ―

 

 

「あ、メール」

(ヒ、ヒッキーからだ……)

誰だろうこんな時間に?そう思いメールを開いた結衣はその送り主の名を見てドキッとし

 

「ふぇ!?」

その内容に思わず声を上げる。

 

 

「どうしたん結衣?」

「な、なんでもないのゴメンね」

突然大声を上げた友人に三浦が声をかける。

 

 

 

“話がしたい、放課後時間あるか?”

 

(な、何の用事だろ)ドキドキ

結衣はその日、放課後になるまで授業内容が頭に入らなかった。

 

 

断じて元から入っていないわけではない。

 

 

 

―放課後―

 

「お待たせ」

「おう」

教室ではなく廊下での待ち合わせ、二人らしい光景。

 

 

「話って何?」

胸をドキドキさせながら聞く結衣。

 

 

 

「お前、この前好きって言ってたよな?」

「へっ!?」

突然の事に思わず声を上げる結衣。

 

 

「奉仕部の事」

「あ……ヒッキーの馬鹿!!!」

私の今日1日のドキドキを返せと言わんばかりに罵倒する。

 

「な、なんで怒るんだよ」

「何でもない!!」

そんな事、言えるわけがない。

 

 

 

「……で、確かに言ったけど、それがどうしたの?」

「いや、ちょっと確認したくてな」

「確認?」

「ああ、お前が奉仕部で活動するのが好きなのか、皆で一緒にいるのが好きなのか」

八幡は何かを確信しているかのように言う。

 

 

「そ、そんな事急に言われても……て、どこに行くの?」

そんな結衣に目もくれず歩き出す八幡に結衣が声を掛ける。

 

 

「奉仕部だ」

「えっ?」

八幡はそう言い放つと、混乱する結衣は尻目に奉仕部へと歩き出し、結衣もその後を慌ててついていった。

 

 

 

―奉仕部―

 

「あら?」

「よう」

「やっはろー、ゆきのん」

一人読書をしていた雪乃は思わぬ人物の来訪に目を丸くしている。

 

 

 

「何かしら?」

「話がある」

「話?」

真面目な顔つきの八幡に何かを感じ取ったとか、雪乃は八幡の方を向く。

 

 

 

「以前、お前は俺のやり方を否定した」

 

『貴方のやり方嫌いだわ』

 

「……」

「なのに今回、お前は一色の依頼を自分から立候補して解決する方法をとった。そこが引っかかってた」

雪乃は口を閉じ八幡をたた見つめるだけ。

 

 

「自分なりに色々考えた、そうしたら文化祭の時の事を思い出してな」

「……」

「らしくないんだよな、あの時も今回も」

文化祭の時も今回も、八幡が知る雪ノ下雪乃らしくない。

 

 

 

「雪ノ下、お前は自分が生徒会長になりたかったから、このやり方を選んだのか?」

「えっ!?」

考えてももいなかった言葉に結衣が思わず声を上げる。

 

 

「……何を根拠に言ってるのかしら貴方」

「根拠も何も、らしくないんだよ、お前も俺も」

八幡はそう言うと雪乃へ一歩前に出る。

 

 

「七沢が依頼を持ってきたあの時、いつもの俺だったらお前の意見に乗っかって断ってた。けど実際は平塚先生の意見に乗っかって俺はバレー部の依頼を受けた」

 

ちなみに最初に七沢から誘われた時、断ったのは雪乃と結衣、二人と一緒にいたいからだったのが、八幡本人は無意識かつ気付いていない。

 

 

 

 

「俺は、バレーがしたかったんだ。ボールを打ちたい、強い球をレシーブで拾いたい、トスで相手を振りたい……最後までコートに立っていたい。それが辞めてからも心に残ってた」

俯き自分の掌を見つめながら独白をする。

 

 

「ヒッキー……」

 

「本音を言え雪ノ下、お前は生徒会長になりたいのか?」

顔を上げ、雪乃を真っ直ぐと、そして力強い目線を向け問いかける。

 

 

「わ、私は……」

雪乃は軽く肩を震わせ言葉を何とか発しようとするが、言葉が出ない。

 

 

「ゆきのん、教えて」

「由比ヶ浜さん」

「私、ゆきのんの気持ちが知りたい、力になりたい!」

そんな雪乃に対し結衣が歩み寄ると手を握り、優しく、それでいて力強く語りかける。

 

 

「私は!」

「……」

何とか言おうと声を出すが続きが出てこない、心なしか目にも力がない。

 

 

(案の定か)

このままじゃまずい、八幡は必死に案を絞り出そうと頭を働かせる。

 

 

(思い出せ!雪ノ下を動かすにはどうすればいいか!いままでどんな時に……)

 

 

『さしもの雪ノ下といえど恐れるものがあるのか……そんなに勝つ自信がないのかね?』

 

『……いいでしょうその安い挑発に乗るのは癪ですが受けて立ちます』

 

そんな八幡の頭に浮かんだのは、静に強制的に連れてこられ、雪乃と合う事になった時の事、ごねる雪乃に静が行った挑発。

 

 

 

(そうだ!あの手を使えばあるいは)

 

 

「何だ……雪ノ下って案外、大した事ないんだな」

 

 

「なっ!」

「ちょっとヒッキー!!!」

暴言ともとれる突然のセリフに雪乃はハッとし顔を上げ、結衣は怒気をはらんだ声を上げる。

 

 

「だってそうじゃないか?『虚言は吐かないもの』とか言ってたのに本音すら語れないんだからな」

「!!」

さっきまで力が無かった目に怒りの色が表れる。

 

 

(よし来た!怒れ!そして本音を語れ!!)

 

 

「ええ、そうよ生徒会長になりたいわ!なりたいにきまってるじゃない!それで何?なった暁には目の腐った男をぞんざいに扱う校則でも作ればいいのかしら?それとも……あっ!」

「……ゆ、ゆきのん?」

今何か本音が出たような?結衣はあっけにとられる。

 

 

「どうした?雪ノ下」ニヤニヤ

 

「謀ったわね……」

雪乃は八幡を恨めしそうに睨む。

 

 

「だったらお詫びに手伝いでもすればいいのか?」

自分の策略にはまった後では、いくら睨んでも怖くない、したり顔の八幡はニヤリと笑い雪乃に言う。

 

「それなら私も応援するよ!手伝うよ!友達だもん」

八幡に後れをとってはいけない、結衣は雪乃に抱き着きながら言う。

 

 

「ついでにヒッキーも応援してくれるみたいだし!」

「ついでって何ですかね?」

「そうね、お願いね由比ヶ浜さん……ついでにそこの男も」

笑みを結衣に向けて言った後、八幡の方を向いて、ついでと言わんばかりに、というか言った。

 

 

「それが人に物を頼む態度かよ」

 

「人?あ、そうだったわね!ごめんなさいでいいかしら?」

 

「それは俺の事を人じゃないとか思ってたから謝るニュアンスに聞こえるんだけど、俺の気のせいですよね?」

 

「あら?私はあなたに『本音を語れ雪ノ下』って言われたから言っただけよ?」

さっきの仕返しよと言わんばかりに満面の笑みを浮かべる。

 

 

「憂いが無くなった途端これかよ!というかお前、イキイキしすぎだろ」

このやり取りが、やけに久しぶりに感じられ、軽く傷つきつつも嬉しく、失った物が戻ってくるそんな感覚が、八幡にとっては嬉しかった。

 

 

 

 

「でも、いいのか由比ヶ浜」

「えっ?」

「正直な話、雪ノ下が生徒会長になるって事は、奉仕部が無くなるって意味だろ?」

仲直りした形でも、まだ問題は残っている。

 

奉仕部での今後の事、それをしない事には先に進めない、八幡はあえてその言葉を口にする。

 

 

「それは……」

「大丈夫だよゆきのん、確かに奉仕部無くなるのは寂しいけど、私はゆきのんがいてヒッキーがいるこの空間が好きなの……奉仕部の時と違うかもしれないけど」

雪乃が口を出そうとするが結衣がそれを遮ると、自分の思いをくちにする。

 

 

 

「でも、ゆきのんの紅茶があれば大丈夫!あの匂いがすると、ああ奉仕部に来たんだなぁって気分になれるから、生徒会でも同じように淹れてくれれば大丈夫!」

 

「まあ、確かにそれは一理あるな、その……」

淹れてくれないか?恥ずかしさからか、言ってしまいそうになるが、その言葉を飲み込む。

 

 

 

「仕方ないわね」

照れてるのかそっぽを向いてる八幡を見て何かを察したのか、少し微笑み立ち上がると紅茶のセットを取出し紅茶を淹れだした。

 

 

―そして―

 

「美味しいね」

「ああ」

(この紅茶を飲むのは随分久しぶりに感じるな)

雪乃の淹れた紅茶、口に運ぶと広がる香に程よい諄さを感じない味わい、その待ちわびた紅茶を記憶に刻むように味わう。

 

 

 

「あ、そういえばさヒッキー」

 

「なんだ?」

 

「今だから言うけど、修学旅行の時のようなやり方は絶対無しね!」

 

「お前、また蒸し返す気か?」

せっかく良い雰囲気のまま終われそうなのにと冷や汗をかきながら問う。

 

 

 

「違うの!」

 

「確かに、まかせっきりにした私たちも悪いんだけど、ヒッキーはさ、もしあの時告白するのが姫菜で、戸部っちや隼人君に告白するのを阻止するために、私やゆきのんが急に告白したらどう思う!?」

何だかんだで結衣が八幡に言いたかった事、自分を大事にしない八幡へ問いかける。

 

 

 

『ずっと前から好きでした』

八幡が言ったその言葉を、雪乃や結衣が自分の前で葉山や戸部に言う姿を思い浮かべる。

 

彼がNTRな18禁ゲーム大好きや、某下級生なゲームの幼馴染ルートが大好きでない限りこう思うだろう。

 

「……い、嫌だ」

 

 

「そうでしょ、私もそれと同じ気持ちだったんだから」

 

「私も由比ヶ浜さんと同じ気持ちよ」

その事だけは分かって欲しい、あえて結衣はその言葉を口にし雪乃もそれに続いた。

 

 

「そ、そうか……」

 

「ええ、そうよ」

バツの悪そうな顔をし、それを隠すように紅茶を口にする八幡に、雪乃は微笑みを向けると同じように紅茶を口に運ぶ。

 

 

 

その時だった

 

 

 

 

「あれ?」

「「ん?」」

突然声を上げた結衣に反応する二人。

 

 

 

「あーーーー!!!!!」

「ど、どうした?」

「何があったの由比ヶ浜さん?」

顔を真っ赤にしつつ急に大声をあげる結衣に、二人は何があったのかと声をかける。

 

 

「ち、違うの!!」

「何がだ?」

「お、同じ気持ちというのは、その、ヒッキーの事が好きだからお互い同じ気持ちだって、そういう意味じゃなくて!」

 

 

 

ザ・ワールド、時が止まる。

 

 

 

「「……」」

 

 

 

そして動き出す。

 

 

 

「「なーーー!!!」」

 

 

 

「なっ!由比ヶ浜さん何を!?」

「お、落ち着け由比ヶ浜!」

とりあえず、この爆弾発言している爆弾のような胸の少女を止めないといけない。

 

 

「落ち着けって……何で二人は落ち着けるの!?ゆきのんだって同じ気持ちだって言ったんだよ!!」

 

「ちょ!由比ヶ浜」

 

「わ、私は別にこの男の事なんて。確かに異性では、いえ同性と比べても一番話してるし、付き合いもある、会話も心地よいけど、まだ番号交換すらしていない友達ですらないような状況よ、お付き合いをはじめるならまず……」

その言葉に雪乃も冷静さを失う。

 

 

「雪ノ下も落ち着け!!そもそも俺が嫌だって思ったのは、そういう感情がどうとか無いし、そんな事思ってもない!!」

 

 

「お、思ってもないって……」

 

「それはそれでショックなんだけど……」

 

 

「……ショック?」

何やら凄い事言われたような?思わず八幡は聞き返す。

 

 

「わーーー!言ってない!!そんなの言ってないからー!!」

「ど、どうやら死にたいみたいね比企谷君」

 

 

「いや、だから落ち着……」

 

 

 

 

 

「貴様ら!!ストロベリるのもいい加減にしろ!!このリア充が!!!」

「ちょっと先生!今入ったらダメですってば~!!」

扉を開け、半泣きに泣きながら乱入してくる静と、それを必死にしがみつきながら抑えるいろはが姿を現す。

 

 

 

「「「きゃーーー!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―奉仕部が修羅場っていた頃―

バレー部の2年生3人はトレーニングルームでフィジカル強化の為、自主トレをしていた。

 

 

「2年F組 七沢君、校内に残っていたら至急職員室に来てください」

校内放送で七沢を呼び出される。

 

「何の用だろ?」

ハイクリーン(床に置いてあるバーベルを反動を使い持ち上げるトレーニング)→バーベルフロントランジ(バーベルを前に持ち、片足を一歩前に出し沈み込み、足をもとに戻しながら起き上がるトレーニング)のセットを組んでいた七沢がバーベルを静に置く

 

「とりあえず行ってみたらどうだ」

「だな」

ベンチプレス中の飯山とアームカール中の稲村が行くように促す。

 

「じゃあ行ってくる」

 

 

 

―職員室―

 

「失礼します」

「ああ、急に呼び出してすまんな」

呼び出した主は、バレー部の顧問である荻野、ハイキューの先生と違ってやる気がない。

 

 

「いえ大丈夫です、それでご用件は?」

 

「前、練習試合したいって言ってただろ?」

 

「はい!見つけてくれたんですか?」

自分が相手を探す以外に、ダメもとでお願いしていたのだがまさか見つけてくれるとは、少し嬉しくなる七沢だが

 

 

「いや、探そうとは思ってたんだが、先に他校から申し込みがあってな」

 

(やっぱり、自分から探したんじゃないんだな)

 

「とりあえずOKしておいたから伝えておこうと思ってな」

 

「……ところで相手は?」

断りもなしにOKすんなや!という言葉を飲み込み、既に決まった練習試合の相手を確認する。

 

 

言いにくいんだが、聞こえないほど小さく呟いた後言った言葉に、七沢は凍り付く。

 

 

 

「そのー、相手は海浜高校だ」

 




次回、繋ぎの回を挟んで練習試合編に入りたいと思います。

更新時期は未定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。