俺の青春がスポコンになるなんて間違っている。   作:nowson

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今回はバレーの話が入ります。


第2章 バレー部参加
そしてバレー部は動き出す


引退

 

競技をする者にとって避けては通れない二文字、高校バレーにおいてもそれは例外ではなく、春高バレーの開催が1月に変更された現在においても、インターハイを最後に引退する3年生は多く、総武高校バレー部においてもそれは例外ではない。

 

 

 

 

「バレーしたい……」カリカリ

そうつぶやきながら勉強する一人の男。

 

 

総武高校バレー部前キャプテン清川、彼もインターハイ予選を最後に引退した一人。

 

 

 

かつてはエースとして活躍したのだが、バレーに力を入れていない総武高校に監督やコーチによるバレーの推薦枠などあるはずもない。

 

引退してからの彼は大学に進むべく受験勉強に追われていた。

 

 

 

 

(バレーしたくて勉強に身が入らない……)

小中高とひたすらバレーをしてきた彼にとってバレーが出来ないという事は、かなりのストレスとなっていた。

 

 

 

「宗、大丈夫かな……」

引退した際キャプテンに指名した自分の弟分の事を心配しつぶやく。

 

 

 

「あの時の事を気にして気負ってなきゃいいが」

その読み見事的中、さすがは兄貴分と言ったところである。

 

 

 

「た、大変だよ~清川君」

あんまり危機感を感じさせないほんわかボイスが清川のところへやってくる。

 

 

「どうした城廻?」

クラスメイトに何事かと問いかける。

 

 

「バレー部が体育館で喧嘩してるって~」

物騒な事をほんわかと伝えるめぐりん。

 

 

 

「なんだと!?」

まさか、さっきの悪い予感が当たったのか!?と不安が彼を襲う。

 

 

 

 

(勉強してる場合じゃない、あいつらを止めないと!!)

 

 

 

「ありがとう城廻!!」

清川はお礼を伝えると一目散に体育館へ駆け出した……。

 

 

 

 

 

(宗、みんな、早まるなよ!!!)

そして彼は駆ける。

 

 

 

 

 

 

 

ちゃっかりバレシューを履いて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼が向かった体育館。

雨降って地固まるという諺通り、バレー部はすでに和解していた。

 

 

「比企谷だったよな?」

先ほど八幡と言い争った飯山が声をかける。

 

 

「ああ」

ヒキタニではなく比企谷と呼ばれ少しうれしい八幡。

 

 

「さっきはすまなかった、それとありがとう」

七沢にした時と同様、90度の正しいジャパニーズお辞儀。

 

 

「えっ?」

謝罪と感謝、どちらも言われ慣れない八幡は戸惑う。

 

 

 

「お前が言ってくれなきゃ俺、最低な人間になる所だった」

苦笑いを浮かべ、先ほど自分がしたことを思い出す。

 

 

「いや、俺も言い過ぎたし……」

八幡も先ほどの事を思い出したのか苦笑いし頬を掻く。

 

 

「というか、俺お前のこと勘違いしていた」

 

 

「勘違い?」

 

 

「噂のお前は自分の事を棚に上げ周りを批判する卑怯者、女を暴言浴びせて泣かせるような嫌な奴って話だった」

 

 

 

「……」

文化祭の件以来伝わる自分の悪い噂に閉口する。

 

 

 

「でも、実際は違った」

 

 

 

「実際のお前は相手の事を考え行動し、内面に優しく熱い心を持った……」

飯山は八幡の顔を見据え。

 

 

 

 

 

 

 

「俺好みの、イイ男だ!!」

爆弾発言をぶちかます。

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「な~~~!!!」」」」」

あまりの問題発言にバレー部&八幡は某エンジェリックレイヤーの口癖を発する。

 

 

 

 

「ヒ、ヒッキーがまたホモに絡まれてる!!」

物陰から見つめる結衣も混乱中。

 

 

 

 

(何?最近やけにこの手のトラブル多いけど何かの陰謀?ていうかこれどう返せばいいの?教えてリア充の人)

強化外骨格の陽乃をもって理性の化物と銘打たれる八幡、そんな彼の理性を持ってしてもこの状況は処理不能、大根持った妖精が再び現れそうになる。

 

 

 

ここで腐った人なら「ミートゥー」と答えれば良いんだよ、と教えるところだがいるのは皆ノンケである。

 

 

 

 

「すいません!俺ノンケなんでホイホイついていけません」

混乱した八幡、何を思ったかこのような発言に至る。

 

 

 

「へ?」

飯山は自分の発言をもう一度思い出し……。

 

 

 

「いやいや違う!!俺は人として好みだと言っただけだ!!俺はノンケだ!!好みの女性は原田知世だ!!」

自分がした問題発言をあわててフォロー。

 

 

 

※ちなみに作者も原田知世が好みです、一緒にブレンディー飲みたいです。

 

 

 

 

 

 

「まあ、落ち着こうか皆」

七沢がカオスになりそうな場をとりなす。

 

 

 

「先ずは自己紹介しよう、俺からいくな」

七沢は一息つき。

 

 

「2年F組七沢 宗!一応キャプテンです」

キャプテンである七沢から開始する。

 

 

「2年C組飯山 克己副キャプテンやってる」

筋骨隆々の大男が声を発する。

 

 

「2年D組稲村 純です」

2年の二人には及ばない者の平均以上のガタイがある、その稲村は一年の方に目を向ける。

 

 

「あ、えと1年A組温水(ぬるみず) 博です」

バレー部の中で一番平凡そうなオーラを発している。

 

「同じく1年A組長谷 建です」

細身の体ではありものの飯山よりも高い身長。

 

 

 

「この5人が今のバレー部だ」

自己紹介を終え八幡の方に向く。

 

 

 

 

「そんで、比企谷が練習試合までの間、助っ人として入るのに反対の人いる?」

七沢が部員に問いかける。

 

 

 

「反対と言うより、素人入ってまともな試合になるか?うちは1年が高校からバレー始めたばかりだし、結構難しいと思うぞ」

稲村が至極真っ当な質問をする。

 

 

「ああ、それなら大丈……」

「おまえら!!喧嘩はやめるんだ!!!」

七沢の声をさえぎる一人の男。

 

 

「あっ!!キヨ先輩!!」

 

 

「「「「おつかれさまでーす!!!!」」」」

先輩を見て条件反射で挨拶するバレー部。

 

 

 

「お前ら何喧嘩して……あれ?」

喧嘩と聞きつけ表れた彼、ところが険悪なムードはどこにもなく普通のミーティングしているようにしか見えない様子。

 

 

 

(もしかして、すでに仲直り中?じゃあ俺来た意味なくね?)

清川は少し困惑。

 

 

「あ、もう解決しました……」

わざわざ清川に心配させてしまったと落ち込む。

 

 

「そ、そうか……ところで彼は新入部員か?」

八幡の方へ目を向ける。

 

 

(こいつどこかで……)

清川の心に引っ掛かる

 

 

「いえ、練習試合までの間助っ人としていてもらう感じです」

 

 

 

「そうか、じゃあせっかく6人いる事だし普段出来ない練習、3対3で試合したらどうだ?俺が審判に入るよ」

 

 

「そういえば先輩たち引退してから3対3やって無かったな」

いっちょやってみっかとやる気をだす飯山。

 

 

(確かに、下手な言葉よりそっちの方が打ち解ける可能性が高いな)

 

「俺もそれでいい」

八幡もそれに乗っかる。

 

 

 

「じゃあ、チーム分けしたら始めるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり奉仕部

 

 

 

「戻って来ない……」

雪乃は一人奉仕部にいた

かつて、八幡と結衣が来る前は当たり前だった一人の空間。

 

 

 

「こういうのも久しぶりね」

学校でも部室でも家でも一人それが当たり前だったのに、今ではそれがさみしく思え自分の弱さを感じさせられる。

 

 

 

「……」

もしかしてなにかあったのでは?雪乃の頭に不安がよぎる。

文化祭以来、彼に対する風当たりは強く何があっても不思議じゃない。

 

 

「べ、別に彼の事が気になってるわけじゃないわ!」

浮かび上がった自分の感情を必死に否定する。

 

 

 

「けど、このまま二人に何かあったら部長としての責任があるわね」

これは奉仕部の部長として部員を見に行くだけ、そう自分に言い聞かせ彼女は席を立ち扉に手をかけ……

 

 

 

体育館へと動きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館

 

バレー部のチーム分けがされ

 

 

 

 

Aチーム

八幡、七沢、長谷

 

 

Bチーム

飯山、稲村、温水

 

 

となりそれぞれのチームが話し合っていた。

 

 

「よろしく」

「よろしく二人とも」

「よろしくおねがいします」

 

 

「俺はこのチーム初めてだからサインとかお前以外のやつの実力とかよくわからん、とりあえずサインだけ教えてくんない?それを使う」

 

 

 

「えっと、これがオープン、これが平行、そんでこれがレフトでこれセンター、んでこれライト、あとこれAクイック」

七沢がサインを教える。

 

 

「……他は無いの?」

 

 

「実は、3年でセッターやってた人2年までリベロやってた人で急造セッターだったからブロードやバックアタックまで連携できなくて……」

 

 

「マジかよ」

それで、この人数で指導者と監督無しで準々決勝まで進んだのかと驚愕する。

 

 

「あ、あの」

長谷が八幡に声をかける。

 

 

「ん?どうした?」

 

 

「もしかして比企谷先輩って経験者なんですか?」

先ほどの素人とは思えない話し合いで出来た疑問をぶつける。

 

 

「昔すこし、といっても3年ブランクあるからあんま期待すんな」

八幡は期待させないように、それでいて失敗しても良いように予防線を張った。

 

 

 

「とりあえず、サインそれで大丈夫?」

 

 

「まあ3対3なら問題ないだろ」

 

 

 

 

 

「準備いいか?始めるぞ!!」

清川の声が響く。

 

 

 

各チームがそれぞれの持ち場につく。

 

 

 

 

3対3の場合はサーブのみのローテーションで前衛後衛は無い、八幡はセッターのポジションにつく。

 

 

 

「おいおい、比企谷セッターで大丈夫か?」

飯山が茶化すように声をかける。

 

 

「俺がアタック打つよりいいんじゃね?」

初心者と思わせるため、あえてスパイクと言わない八幡。

 

 

「フッ!バレーを知らない奴め、後悔するぞ」

何やらフラグらしき物を立てる飯山。

 

 

 

というか八幡がバレシュー履いてる事に何故誰も気付かないのだろう。

 

 

 

 

 

ピィィィィ!!!

試合開始の笛が鳴る。

 

 

(とりあえず最初はエースの実力と相手の実力も見たい、小細工無しだ)

八幡はレフトオープンのサインを出す。

 

 

 

 

サーブはBチームの飯山から。

 

 

 

(七沢はカットも上手いし、下手にやるとそのまま反撃食らいかねない……)

床にボールを叩きつけ。

 

 

(長谷を狙おう、あいつレシーブ苦手だし)

 

 

 

飯山はトスを上げ落ちるサーブで長谷を狙い打つ。

 

 

 

「あっ!」

長谷は何とか拾うものの、とてもトスで拾えない、ネットにすら掛からないような低く速いボールを上げてしまう。

 

 

 

(狙い通り)ニヤリ

飯山の狙い通り、あれでは素人の八幡は捕れない、捕れたとしてもレシーブでこちらにはチャンスがくる。

 

 

 

はずだったのだが。

 

 

 

 

パスッ

レシーブではない音、八幡は体を反らしブリッジに近い態勢でトスで上げた。

 

 

 

「「「「「え!?」」」」」

八幡の実力を知る七沢以外は驚愕する。

 

 

あまりの出来事にブロックに入るタイミングが遅れる。

 

 

 

「ナイストス」

レフトに上がったオープントス、そのボールは理想的な放物線を描き、七沢が最も好きなネットよりやや離れた場所。

 

 

彼が今まで受けたトスの中でも特に打ちやすい理想形のトス。

 

 

 

(こいつやっぱすげぇ!!)

ぞっくと来る震えと高揚感。

 

 

バシッ!!!

勢いよく打たれたボールは相手コートに叩きつけられ、壁の上段へと向かう。

 

 

 

 

ピィィィ!!

清川の手がAチームに向かい、Aチームの得点を告げる。

 

 

 

「何もんだよ……」

先ほどの強烈なスパイクではなく、神ががり的なトスを見せた八幡へと目が行き。

 

 

 

「てか、あいつ経験者かよ!!」

彼のバレシューを見て真実を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒッキー凄い……」

そんな彼のプレーに驚く結衣。

 

 

「すごいドキドキしてる」

豊満な胸に手を当て心臓の鼓動を確かめる、自分が好意を寄せる男の活躍する姿にドキドキが止まらない。

 

 

 

 

「あれが比企谷君なの?」

体育館へとやってきて、偶然そのプレーを目撃した雪乃は目を丸くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって奉仕部

 

 

 

「誰もいない……」ぽつーん

依頼の件で奉仕部を訪れたいろは。

 

 

「今日どうすればいいの?」

誰もいない奉仕部で一人つぶやいていた。




一応今後の更新は早くて週一、遅くて二週間に1回の更新になります。



バレーの描写苦手ですが頑張ります。

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