人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

8話突入。

これからこのシリーズは、3000文字から7000文字が目安になります。

それではご覧ください。


8話:エイト=ヒキガルト

こんなに時間が早く過ぎると思ったのは何年ぶりだろう。明後日で、夏休みが終わる。

 

本当に色々あったな。魔法の上達に街の観光、目に見えるものすべてが新しい、とても充実していたと思う。

 

そして、キリヤにシズク、リアにジーク、こいつらにも大分世話になったな。無知の俺に色々教え込んでくれた。魔法を一緒に練習したりもした。キリヤのファイアボールで焼け野原になりそうになったり、そこはシズクが水で消してくれた。あの時は、本当に焦ったな。

 

もう、いいんじゃないかな?素直になった方が。もう認めちまえよ。キリヤ達と一緒にいた日々が、凄く楽しく思えたことに。あいつらなら、俺の友達は悪で欺瞞だという概念を、覆してくれるだろう。

 

まるで、自分の心の中のもう一人の自分に語り掛けるように、うっすらと目を閉じ、俺は決意を固めた。

 

今は、俺の目の前に4人が歩いている。なんか、適当に街をぶらぶらしてたら、捕まった。こいつら強引過ぎる。1人相手に4人なんて。そんなに俺といて楽しいのかよ。ったく・・・。

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「ん?どうした?」

 

「その、なんて言ったらいいかわからないけど。・・・・・・これからよろしくな」

 

ちょっと照れ臭い俺は、人差し指で頬をポリポリ掻きながら、手を出した。

 

「っ!・・・ああ、よろしくな!八幡」

 

キリヤは力強く、手を握り返してきた。

 

「うん!よろしくね♪八幡」

 

「やったー!よろしく!」

 

「よろしく」スっ

 

キリヤの後を続くかのように、手を握ってくるシズクにリア、ジーク。・・・こんなに温かい気持ちは、クレアとはまた違うな。心地がいい。

 

「お前らいい奴過ぎるだろ・・・」

 

「(むしろ、これが普通な気がするんだけどな)・・・はは、これからよろしく頼むぜ」

 

「じゃあさ、八幡の連絡先を教えてよ!」

 

そう言ってシズクはビーコンを取り出した。それに合わせて、皆も取り出す。

 

「それが、俺まだビーコン持ってないんだ」

 

「あ、そうなんだ。じゃあ今から貰いに行こう!」

 

あ、ビーコンって無料なんだ。随分と気前がいいな。

 

 

そんなわけで、ビーコンを手に入れるため、以前適正属性を調べた場所にやってきました。ビーコンのコーナーは、右から二番目だな。

 

「こんにちは。ビーコン登録を担当させていただく、カレンと申します。登録される方はあなたでいいですね?」

 

「はい」

 

「それではまず、お名前の方をお聞かせください」

 

あ、やべ、名前考えてなかった。さすがに日本の名前だと間違いなく怪しまれる。

 

「どうしよう・・・」

 

「ど、どうする?何も考えてなかったよ・・」

 

「な、なんとか、気合で乗り越えろ!」

 

ええー!気合っつっても。そんなパッと偽名が浮かんだら、焦らないって。

 

「あの、お名前を・・・」

 

「・・・・・え、エイト=ヒキガルト、です」

 

咄嗟に、安直かつちょっとカッコよさげな思い浮かんだ偽名を発した。

 

「エイト=ヒキガルト様ですね。・・・・・・・はい、登録完了です。では、こちらがビーコンになります」

 

「あ、ありがとうございます」

 

ビーコンを受け取った俺は、キリヤ達と共に、早足で建物を出た。

 

「はは、エイト=ヒキガルトか。カッコいい名前じゃねぇか」

 

「うるせー!」

 

「エイトくーん♪」

 

「おい、からかうなシズク!」

 

「エイト!エイト!」

 

「リア、お前なぁ・・・」

 

「」クスクス

 

「笑うなジーク!」

 

こうして、惑星ソフィーラでの俺の名前、エイト=ヒキガルトが誕生した。

 

 

「じゃあな」

 

「おう。偶には遊びに来いよ」

 

「分かったよ・・」

 

今日で夏休みが終わりになり、地球に帰還する直前、キリヤ達が見送りに来てくれた。

 

「キリヤ君、シズクちゃんにリアちゃん、ジーク君も、八幡と仲良くしてくれてありがとう」

 

「いえいえ、私たちも凄く楽しかったです。まさか、夏休みに地球人と友達になるなんてね」

 

「私も!とっても楽しかったよ!」

 

「」ウンウン

 

予想外の言葉に口をポカーンと開けたまま、目を見開き、キリヤ達を見渡した。その表情には、嘘も欺瞞もなく、純粋な笑顔が、俺に向けられていた。

 

「ありがとな。俺も、すっげぇ楽しかったよ」

 

「ふふ、じゃあ、またね」

 

キリヤ達に手を振りながら、地球へのゲートをくぐった。

 

 

 

久しぶりの家。今日はもう寝ようかな。

 

「」ナデナデ

 

「ん?どうした?クレア」

 

「よかったね、八幡」ナデナデ

 

「・・・・ああ」

 

 

さぁて、久々の地球&中学校だ。地球が久々なんて言葉、初めて使ったわ。俺にしか使えない言葉だな。

 

教室に入っても、変わっていない光景。まだ中学1年生だから夏休みデビューみたいなことをするような奴はいないみたいだ。・・・あ、でも何人かは見受けられる。男なのに髪長くして、後ろで結んだり、日焼けしている人がいたりと。

 

え?お前はだって?。そうだな~、宇宙人と信頼できる友達になったことかな。

 

その後は何も起こらず、昼休みになり、俺は本を読もうと図書室に向かう。ちょっと宇宙に関しての本とか読んでみようかな、と思ったのだ。惑星ソフィーラが載ってるわけないが、他の惑星に足を踏み入れた以上、こういうのに興味が湧いた。

 

適当にいくつかの宇宙について書かれている本を見繕い、ページを読み進めていく。だが、ピンとくる内容はないようだ。・・・・上手いでしょ?・・・・取り敢えず、棚に戻そうか。

 

本を戻していると、横にあった一冊の本が目に入った。本のタイトルは『魔法』というたった2文字。不思議に思った俺はそれを手に取り、ページをめくる。

 

・・・・・序盤はウィキペディアに載ってそうなことが書いてあるが、この後が興味深いな。魔法にもいろいろな種類があるんだな。幻術霊術に妖術仙術、その他にも様々ありすぎて、どれも目に焼き付けてしまう。

 

・・・・・惑星ソフィーラの魔法って、こういう術式とかも使えるのかな?ちょっと試したくなってしまった。

 

 

 

 

「できないよ」

 

クレアに聞いたところ、できないようです。ソフィーラと地球上で言い伝えられている魔法や術は、根本的に何かが違うらしい。

 

 

中学校生活の描写はほとんどないと思う、と作者に言い伝えられた俺、比企谷八幡は今、クレアと正面向いて話し合いの形で座っている。普通この状態だと、とても重要な事で真剣な目になるんだろうけど、今のクレアは何故か上機嫌でニッコリしている。

 

「ついにやったよ!」

 

「・・・何を?」

 

「ゲート」

 

多分こことソフィーラを繋げるゲートの事を言っているんだろうけど、あれもう完成してたんじゃないのか?それともあれでまだ進化できたの?

 

「ゲートが何?」

 

「維持できるようになったんだよ!」

 

「維持って・・・。つまり、ずっとゲートを出し続けることができたってこと?」

 

「そう!いやぁ、最初はいいかなって思ってたけど、八幡が友達出来たってことで、いつでもいけるように、頑張ったんだ!」

 

・・・え?俺のために?・・・わざわざそんなことを?

 

「わざわざそこまでしなくても・・・」

 

「なーに言ってるの。これは私のためでもあるの。八幡には楽しんでもらいたいってね♪」

 

あまりの感動に思わず抱き着きそうになったが、さすがに俺も中学生という思春期なので断念した。クレアにありがとうと言うと、逆に抱き着かれてしまった。・・・でも、これは姉御肌の抱擁ではなく、どこか子供じみているのが若干の違和感を覚えた。

 

「じゃあ、ご褒美に私の好きな料理を振る舞って♪」

 

「・・・分かったよ」

 

その夜、いつもより豪勢にクレアの好物だけをそろえた食卓が完成した。凄い笑顔で美味しく食べている。作ってる側からすれば、これは大変喜ばしい事だ。

 

「うん!またレベルが上がってるね。美味しい!」

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

前回、三柴沙耶をどうしようか悩んでいたけど、決めました。

『今後一切登場しません』

という結論。一見フラグがたったように見えましたが、作者自身がそれをへし折りました。・・・はい、すいません・・・。どうしても、ネタが思いつかなかったのです。

なら何であの嘘告白撃退を書いたのかというと、単なる文字数稼ぎ&手が止まらなかったのです。そして、八幡に魔法を使わせたかったのです。

また次回。

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