人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り) 作:”アイゼロ”
6話突入。
やべぇな、サブタイトルが全然思いつかん。
感想などは、後書きで答えようと思います。
※俺TUEEEEEにはしません。
シャドーボール特訓から2週間がたった、8月中旬。俺はクレアの家の庭にて新しい魔法を特訓中。まだ未完成だけど、実際にはできるようになったから、今クレアにそれの実験を手伝ってもらうことにした。
「えーと、八幡に魔力弾を打てばいいのね。大丈夫なの?」
「多分大丈夫だろ。あ、でもせめて野球ボールサイズでお願い」
「分かった」
俺にそう言われたクレアは言われた通り、野球ボールサイズのノウトボールを、俺に放ってきた。
俺は咄嗟に手を突きだし、紫色の丸いゲートみたいなものを出現させ、クレアの放ったノウトボールをそれに吸い込ませた。
「おー!凄いじゃない!どこにいったの!?」
自分の魔力弾が吸い込まれていく光景に驚きの大声をあげるクレア。・・だけど、答えれる程余裕はない。
「いってぇ!」
先程吸収したノウトボールが、背中に直撃した。
「・・・へ?」
またしても今の光景に驚いたのか、クレアは間抜けな声をあげた。
この魔法は〈メテスタ〉(自分で考えた)といって、相手の飛び攻撃魔法を吸収して、別のゲートに転移させる魔法。いわばワープだ。
簡単に言えば、俺が入口を作り、出口が現れ、吸収した魔力弾がそこから出てくるという仕組みだ。
そして、この転移先の特定がまだ俺にはできないため、ランダムで転移されてしまう。しかも、何故か俺の後ろに現れることが多い。うぅ、背中が痛い。クレアの結構強力なんだよなぁ・・。
「八幡、今の技は何?」
「ん?ああ、簡単に言えば、魔法を転移させる魔法だ。転移先はまだランダムだけど」
「も、もう驚き疲れた・・・。こうなったら本当にすごい魔法使いになるかもね」
「はは、それは光栄だな」
八幡は苦笑交じりで適当に返したが、これが実は冗談ではないのだ。魔法の上達は、普通より少し上だが、発想力がやはり長けている。将来は強力な魔法使いより、テクニカルな魔法を使う人になるだろう。
◆
クレアに自作魔法を披露した日の翌日、今日は魔法の練習を休んで、前にクレアと約束した、遠くの方へ行ってみることにした。目的地は、クレアが通っていた中学や高校がある、ウェルサクスという街だ。
この街は、サジカルのレンガ造りとは違い、近代的な都会で所々にビルが建っている。店や家もコンクリートでできている。だが、皆が思っている都会のイメージとは裏腹に、自然も多くて、都会特有の重苦しさを感じさせていない。
さすが都会というだけあって、店の種類は豊富だし、甲冑を着こんだ騎士や、ローブを纏った魔法使いの、主に若い人たちがたくさん歩いている。そして何より、すっげぇ広い。
そして、このウェルサクスの中心にある、この大きい時計塔が、この街のシンボルだ。これを目印にしている人が多いんだって。
「ここが私の通ってた高校だよ」
少し移動し、何棟にも分けられた校舎の高校に着いた。本当、魔法を使ってそうな、風貌だ。よく、イメージするのは、尖った屋上。それが立っている。
「じゃあ、入ろっか」
「え?入るの?ていうかいいの?」
「ここにOGがいるんだから、大丈夫でしょ」
「おや、もしかして、フローラン君かい?」
校舎を歩いていると、1人の老人教師が話しかけてきた。この人は、ローブというか神父服に近い服装をしている。
「あ、先生。お久しぶりです」
「ええ、4年ぶりですね。ここへは何をしに?」
「ちょっと、ウェルサクスの観光をしてたんです。ここには、この子に私の母校を見せるために来ました」
「この子とは・・。その隣にいる少年かね?」
「はい。あ、紹介するね。私が高校生の時に担任だった、ガルター=へヴァイス先生だよ」
クレアの担任の人か。それにしても、このガルターという先生。見るからにすごい魔法使いだと思える。
「比企谷八幡です」
俺の名前に違和感を感じたのか、ガルター先生は眉間にしわを寄せた。・・もう、ここでの偽名考えた方がいいのかな?このままだとばれる気がする
「随分と変わった名前だね。少年」
「はあ、よく言われます」
「八幡は地球から来たからね」
・・・・え?言っちゃったよ。
「成程ね。だからか」
いやいや、先生も何平然と納得してるんだよ!ちょっとは疑問を持とうよ。
「ちょっとクレア、ばらしていいのかよ?」
「安心したまえ、八幡君。こう見えて私は口が堅いのです」
「そうそう、それに私がガルター先生を信用してるから言ったのよ」
「まぁ、クレアがそれでいいなら、いっか。」
「それにしても、地球人ですか。中々興味深い。魔法は使えるのかい?」
「ええ、少しなら使えます」
試しに魔力玉を作って見せた。そして、それをみたガルター先生は、少しだけ目を大きく開いた。
「ほぉ、これは中々進んでいますね」
「え?何がですか?」
「私は魔法についてはかなりの知識を持つと自負しているんです。八幡君が作り出した魔力玉、闇系統ですね」
「そうですが・・」
「魔力玉は、系統によって、変化することは知っているね。例えば、火系統だったら炎になるとか。八幡君の魔力玉は、約50%闇化していますね」
・・・・嘘でしょ?そんな見ただけで精密にわかるの?この人凄すぎでしょ。
「あ、そうだったんだ。私、全然気づかなかったよ」
「見た所、八幡君は中学生のようですね。その年で、しかも地球人となると、優秀な方ですよ」
「あ、ありがとうございます。でも、案外普通なんじゃないですか?50%なんて、ここじゃ当たり前なんじゃ?」
「実はそうでもないんだよ。中学1年では20~30%が普通なんです。どうです、八幡君?」
う~ん、どうって言われてもなぁ。ただ、俺がそれなりにできているという事がわかって嬉しいくらいだ。
「でも、魔法の師匠がクレアだからな。一から教えてくれたおかげだと思います」
「フローラン君は、高校のころから、ずっと首席をとっていましたからね。私達教師陣も彼女の魔法には驚かされてばかりだった」
「へぇ、やっぱ凄いんだな。クレア」
「もう、昔のことだよ♪」
クレアは、嘘が隠せないタイプの人だ。正直者だし、その分俺の修行の時、すっげぇダメ出しくらってたけど。
「クレアの高校時代ってどんな感じだったんですか?」
「そうですね。魔法がすごいから皆からの人気者でね。人望も厚くて、模範的な生徒だったよ」
最早非の打ち所がないじゃないか。
「ですが、結構なドジだったね。よく転ぶし、魔法が優秀が故に、たまに調子に乗って転んで、注目の的でもあったし。とにかく転んでましたね」
「ははは、随分と可愛い高校時代だったんだな。クレア」
「ちょ、ちょっとガルター先生!・・そんなこと八幡に教えないでくださいよ!///」
「そう言えば確かに、今でもたまにこけたりしてますし」
「その辺りは、大人になっても変わってないようですね・・・」
「うぅ・・//」
両手で赤くなった顔を隠してしまったクレア。もうちょっといじりたいという衝動に駆られるが、この前みたいに、悶えられると困るからやめておこう。
「と、そろそろ私は会議があるので、お暇しましょう」
「さようなら、ガルター先生」
「さようなら」
俺達が手を振ると、ガルター先生は笑顔で振り返してきた。凄い優しい人だな・・・。クレアが信用するのもわかる気がしてきた。
◆
次に連れてこられたのは、中学校だ。何故高校の次?
中学校の校舎は3棟に分けられていて、右から1年、2年、3年と分けられている。先程の高校とあまり容姿が変わっていない。
クレア情報によると、1年でまず、知識と基本魔法を身に着け、2年から本格的に魔法の訓練が始まるらしい。
「あ、八幡。ちょっと、あそこのお店に欲しいものがあったから、見てきていい?」
「分かった、俺は中学校を見学しとくよ」
俺は取り敢えず、校舎の外を徘徊するように、見ることにした。
「おい、ちょっといいか?」
しばらく、見回っていると、突然後ろから話しかけられた。
「なんだ?」
後ろを振り返ると、そこにはおそらく俺と同い年であろう、中学生が4人いた。そして、俺に話しかけた奴は、赤髪にツリ目のイケメン男だ。
4人共、同じような格好をしているから、多分中学の制服だろう、夏休みなのに。やっぱ少し派手なのはお決まりなんだな。
「見ない顔だな。うちの中学になんか用か?」
「いや、ただ見学してただけだ」
「そうか・・。お前どこから来たんだ?この辺りの人じゃなさそうだが」
「いきなり話しかけてきた知らない奴に教えるわけないだろ」
「それもそうだな、すまない。俺はキリヤ=バルハード。ここ、ウェルサクス出身だ」
・・どうしようか、出身まで言われたから、俺も言わなきゃマズいかな。っつーか、こいつの名前カッコよすぎだろ。名前って顔にも反映されるのかな?
「比企谷八幡だ。地球から来た」
「ヒキガヤハチマン?変わった名前だ。・・・・って、はぁ!?地球からだと!」
「ちょ、ちょっと待って!ここと地球、いくら離れてると思ってるの?」
予想通りの驚きようだ。後ろの青髪女子も、大きい声をあげた。
「お前、怪しすぎるぞ!」
そう言うなり、赤髪の男は手からファイアボールを出した。・・・こいつ、火系統か、そこそこできるな。あの魔力弾、少し熱を帯びている。その前にまず、地球から来たってことに疑問をもて。何であっさり信じてんだよ。
「おいおい、そう警戒するな。ただ、離れた所から来ただけだろ」
「離れた場所の規模が違うんだよ。それに、お前みたいな変な目した奴、どう見ても怪しい!」
ズキッ!
チッ、こいつ、痛いところを突いてきたな・・。
「一緒に来てもらおうか!」
「どこにだよ!」
突然ファイアボールを俺に放ってきた。けど、重力の関係で多少身軽になった俺は、返答をしながら避ける。
「速い!」
出た。そのよくアニメとかで聞く台詞。まさか生で聞けるとは思わなかったな。
「危ない!」
すると、青髪の女子が、ファイアボールの方を見ながら大声をあげた。キリヤというやつのファイアボールが、歩いている少女に当たりそうになっている。
「クソッ!間に合わない!」
〈メテスタ〉
「アッツ!!」
くうぅ、思ってた以上に炎化してて、熱湯かけられた気分だ。服はぎりぎり焦げなくて助かった。
「・・・は?」
「今の、魔法だよね?」
今起こったことに、あの2人は目を見開いている。
「・・・・・闇系統」
と、後ろにいた無表情の黄色い髪の男がそう呟いた。一発でわかっちゃったんだ。
「八幡、お待たせ・・。って、これは一体?」
クレアは能天気な声をあげて、戻ってきた。
「ああ、クレア、ちょっとな」
「あの、そこのヒキガヤハチマンという奴の知り合いですか?」
「そうだけど。・・・あれ?どっかで見たような・・」
クレアはあの4人をまじまじと見ている。見覚えがあるのか?
「あっ!キリヤ、この人、クレア=フローランさんだよ。ほら、あの時の」
そう言って、前に勢いよく出てきたのは、この4人の中で一番身長が低い、緑色の髪をした少女だ。
「あなたは・・。あ、思い出した。確か一度、私の通ってた大学に来た子達よね?」
クレアのその言葉に、キリヤという奴も、そのほかの人も、ハッと思い出したかのように納得した。
「クレアの知り合い?」
「うん、前に一度、大学で顔を合わせてね。魔法を少し披露してたの」
成程、ここにもオープンキャンパスとかがあるんだな。そこで、魔法を見せていたのか。首席だから、抜擢されたのだろう。
「それで、クレアさん。何故地球人がここに?それに、魔法を使ってましたよ?」
「ん~、どうする?八幡」
「まぁ、俺から地球人って言っちゃったし、誰にも口外しないとの約束するのなら、クレアが話してもいいよ」
「そっか。じゃあそうやって釘をうっとくから、話してくるよ」
どうせ、もう関わることもないんだ。4人程度に知られたって、どうってことない。
そんなこと思っていると、キリヤ=バルハードがこちらに走ってきて
「すまなかった!」
と、勢いよく、頭を下げてきた。
「は?」
俺は呆気にとられて、間抜けな声を出してしまった。
「知らなかったとはいえ、酷いことを言った。ごめん」
「は?何をだよ?」
「目が変とか言っちまって」
再び頭を下げられてしまった。
「いや、別に気にしてないし。っていうか慣れてるから何とも思わない」
「・・・慣れてるって・・?」
「んなもん、昔から言われ続けてるから、痛くもなんともない」
「は?・・・なんだよそれ、傷つかねぇのかよ!悪口を言われて!」
「何熱くなってんだよ。傷がつくのは、もはや日常だったから慣れたんだよ。これで参ってたら、俺はとっくに自殺をしてる」
何故か分からんが、俺も少し熱くなってしまった。
「人が傷に慣れるなんておかしいだろ!そんなの間違ってる!」
「うるせぇな!人は傷ついて成長すんだ!それが分からないのか!」
「傷に慣れたら、傷はつかなくなる!それは成長しないことと同義なんじゃないのか?」
「ちょっとキリヤ!落ち着きなよ!」
「八幡も、熱くならないの」
俺達の口論に、マズいと感じたのか、クレアと青髪の女子が止めに入った。
「悪かったな」
「・・悪い、こっちも熱くなりすぎたわ。クレア、もう帰ろう」
「うん、じゃあね」
クレアは曖昧な笑みで、あいつらに手を振った。
「地球人って、そんなに残酷な奴らが多いのかよ・・・」
「キリヤ・・・」
「ここにもいないわけじゃない。けど、あまりに酷すぎる」
「ねぇキリヤ、どうするの?」
「まぁ、キリヤの事だから、何をするのかは大体わかってるけど・・」
「」ウンウン
「聞いた話だと、あの八幡という奴の事情を知っているのは、クレアさん以外で俺達だけらしい。なら、やることは1つ。あいつの友達になる!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
まず一つ目の感想。『クレアと八幡の関係について』
・あくまで仲のいい姉弟です。母性というよりは、姉御肌ですね。
二つ目。『八幡が強くなる理由』
・”今のところ”魔法を楽しいと感じているから、自然と成長していく。
感想をいただいて、とても喜んでいる、アイゼロです。
また次回。