人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り) 作:”アイゼロ”
5話突入。
結構遅れてしまいましたね。ちょっとこのシリーズは、話のタイトルにてこずります。
それではご覧ください。
7月に入り、夏の暑さを体で感じるほど気温が高くなる中、俺は闇魔法を使いこなすため、修行に勤しんでいた。
自分でも分かるほど、俺は成長が早い。魔力玉はバスケットボールの2倍まで大きくなるようになった。おまけに闇系統と知った日から、魔力玉が紫色を含んで出てくるようになった。なんでも、その内完全な紫色になって、闇そのものになるらしい。
その他にも、闇系統の基本である、魔力の吸収はちょっとだけできるようになった。動きの制限は、まだ完璧にはできないが。
試しにやってみるとしよう。・・えーと、そこで気持ちよさそうに寝ている、可愛い寝顔のクレアがいます。
〈アブソープション〉
クレアに向かって手を出し、紫色の魔法がクレアの身体を覆って、俺の下に戻ってきた。今は、俺の手の上でクレアの魔力が浮いている。
「うぅ・・」
気持ちよさそうに寝ていたクレアだが、わずかに表情に変わった。そう、こんな感じ。
そろそろ返してやろう。手に浮かせていたクレアの魔力を再び身体に纏わせる。
〈トランス〉
何と、吸収だけでなく譲渡まで編み出してしまいました。あ、ちなみにこの魔法はたまにしか上手くいかない。いつもだと失敗する・・。今回は成功してよかった。
前にも説明したが、闇を覆って吸収するならその逆もできるんじゃないか、と思って練習してみたんだ。そしたら、できちゃった。まぁ、俺でもできたんだから、他にできる奴もいると思うけど。
◆
中学校も衣替えの時期になり、クーラーのない教室で暑さに参りながらも、周りはそれに劣らず、喧騒としていた。
今週に行われる、遠足だ。今はこの話題しか耳にしていない。
もちろん俺には関係ない。集団行動を嫌う俺は、この遠足を休むつもりだ。
そんなわけで、クレアに頼んで俺の遠足は惑星ソフィーラに決まりました。いえーい、俺だけ他の奴らと遠足の次元が違うぜ。
「他の惑星に遠足する中学生なんてどこにいるのやら・・・」
ここにいます。
「まぁ、無理矢理行かせるのも気が進まないし、私ももっと紹介したいことあったから」
「そう言ってくれるとありがたい」
二度目の惑星ソフィーラ。最初はクレアの住む街、サジカルを観光する。
この街の建物は基本レンガ造りらしい。店がたくさん並んでいる。雑貨に本、食品に装飾品、他にも武器やら防具やら、その一個一個すべてに目がいってしまう。
どことなく日本の商店街に似ているから、親近感が湧くな。
「どこから行く?」
やっぱこういうところに来たら行く場所はあそこだろ!
「鍛冶屋だな」
そんなわけで、クレアがよく行く鍛冶屋にやってきた。中には、長剣、短剣、斧が並んでいる。その猛々しい武器に俺は目を輝かせる。
「おう!クレアちゃん、久しぶり!」
「ガイルさん、お久しぶりです。また来ちゃいました」
ガイルと呼ばれたこの屈強な男は、この鍛冶屋を経営している、店主だ。
「へへっ、ありがとよ。ところでそこのボウズは?」
「私と暮らしてるんです。色々あって」
「そうかそうか。ボウズ、剣は好きか?」
「はい!大好きです。特にこの短剣なんか、凄いっすよ!持ちやすさもありますが、このデザインに鋭さ、それでいて軽量、カッコいいっす。」
「おー!随分と見る目があるなボウズ!それはな、俺の自信作でもあるんだぜ。どの系統魔法との相性も抜群なんだ!」
「え?武器と魔法って相性とかあるんですか?」
「そうだ!剣に魔法を付与して、より強化したり、魔法と剣を両方使い、相手を惑わす。やり方は様々なんだ!」
「へぇ、勉強になりました」
「そうかそうか。好きなだけ見てってくれ」
次来るときは、ここで武器を買うのもありかもな。特にこの短剣は気に入った。
続いては、アクセサリーや装飾品が並ぶ店だ。
見たこともない石、それが埋め込まれた装飾品。どれも目を奪われるほど綺麗だった。
時刻は昼になり、クレアの家に一旦戻ってきた。
久しぶりにクレアの料理を食いたいと言い、クレアはその我儘を聞いて、今キッチンで調理している。
ここの料理を習得するのもありかもしれないな。俺、ここの味好きだし。
「久しぶりに食べると美味しいね」
「そうだな。クレアすっかり日本食にハマっちゃったから」
「だって、凄い美味しかったんだから!」
クレアが初めて食べたのは味噌汁なんだ。まさに日本の味!って感じがする。
その後も、街のシンボルであるでっかい噴水や、この星の生き物などを紹介された。ここの生き物は、さほど地球とは容姿が変わってはいない。地球よりは多種多様だし、見たこともない生物がいたけど、普通に猫とかいたし。
非常に楽しい遠足だったな。
「ありがとう、クレア。楽しかったよ」
「いいのよ。私も楽しかったから。今度は離れた所に行こっか」
◆
楽しかった遠足から、数週間がたち、中学校は夏休みを迎えた。夏休みはぐうたら家で過ごす。・・・というとでも?
実は、この夏休みはソフィーラのクレアの家で過ごすつもりだ。この長期休暇で色々なことをもっと学ぶ。取り敢えず、早くあの記号のような文字を読めるようになりたい。
そして、クレアの家の近くには森があると聞いた。そこで魔法を練習する予定だ。クレアもよく利用しているらしい。
まぁ、そんなわけで、今は森にいます。ここでは攻撃しか練習しない。地球じゃできないし。
まず、基本のシャドーボールだ。闇系統の基本中の基本。魔力玉に闇の力を込めて放つ技だ。
他の系統魔法でも、ボール攻撃は基本らしい。
火だったら、赤色のファイアボール。水だったら、青色のウォーターボール。風だったら、緑色のウィンドボール。光だったら、黄色のシャインボール。無だったら、半透明のノウトボール。
木に的を付け、早速この作ったシャドーボールを放ってみる。だが、呆気なくもシャドーボールは的を素通りしてしまった。
うん、わかってたよ。いきなりできたら、自分を褒め称えるもん。やっぱ思い通りにはいかないようだ。
「よし、もういっちょ!」
手からどんどん魔力弾を出し、ひたすら的を目掛けて放つ。
それでも的には当たりません。ただただ、森の中でどかーんと大きい音を立てているだけです。
「ハァ・・ハァ」
魔力が尽きたから、また明日だな。
その日の夜。
考えたんだが、ただやみくもに放ってもしょうがないから、まずは魔力弾をコントロールできるようにしよう。
という事で、俺は壁に寄りかかるように片手で逆立ちをし、もう片方の手で魔力玉をつくり、これをいくつか用意した輪っかに通らせる。あの輪っかはちょっとでも触れたら、止め台から落ちるからとても分かりやすい。集中力と忍耐力が必要だけど、これはこれでいい練習にもなるし、効果は覿面だと思う。
自分の目では確認できないが、凄い滑稽な絵面なんじゃないかな?
・・・よし、そのまま・・あとちょっと・・。
しかし失敗し、輪っかがパタンと倒れてしまった。
「な、なにやってるの?八幡」
「おー、何って修行だよ?」
「そ、そう。それが修行・・・」
クレアは笑顔を引きつらせて、不思議な生物でも見てるかのような目をしている。
「が、頑張ってね!」
そのまま部屋から出てったしまった。
「な、なんだったんだろう?あれ・・・」
翌日、今日も森へ行き、シャドーボールの練習だ。早速一発放ってみよう。・・しかし、その魔力弾は昨日と同様に的を素通りした。
・・まぁ、当然だな。昨日今日でいきなり成長するはずがない。・・・でも、昨日よりは的に近かった。もう少しで的には当たるようになるだろう・・・多分。
昨日と同様に、的には当たらず、日が暮れた。
◆
あれから数日後。またまた展開が早いが、夏休みも残り一か月の8月に入った。時間って、こんなにも早く感じるんだな・・。久しぶりに実感した。
そんな俺は、行き慣れた森に入り、すでにボロボロ状態の的を目掛けて、シャドーボールを放つ。
見事に真ん中に命中し、的は壊れてしまった。
あれから毎日練習し、おかげでシャドーボールの命中率は90%以上となった。初めて当たった時の高揚感は今でも忘れない。
更に更に、何とシャドーボールが複数出現させることができました。最大で3個。うん、少ないね。ちなみにコントロールできるのは、たったの1個。つまり意味がない。
試しに撃ってみても、1つは、元々的が置いてあった場所に着弾したが、そのほかの2つはどこかに飛んでしまった。
「やっぱり、そうそう上手くいきはしないか・・・」
よし、次は3つであの練習方法を試してみよう。・・あれ?何気に俺の考えた方法って、結構画期的なんじゃないの?
そう意気込み、家の玄関を開けると、目を疑う光景が広がった。
「う~ん、これ、意外と難しいな・・・」
俺が考えた逆立ち練習方法をクレアがしていた。・・・しかし、客観視すると、こうも間抜けな絵面に見えるのか。
「クレア?」
「え?・・・あ、八幡。おかえり」
「ただいま・・。っていうか何してるの?」
俺が質問をしても、その体勢を崩すことなく、クレアは答えてきた。
「八幡がやってたことが気になってね。実践してみたんだ。意外と効果があるって実感できるね、これ。さすが地球人は考えてることが違う!」
褒め言葉として受け取っていいのかな?今のは。でもそんな感じはしない。だって、逆さ状態だもん。
「クレア、一旦逆立ちやめよう。頭に血昇るし、若干顔赤いから・・。一体どれくらいやってたんだよ・・」
「あはは、なんか楽しくなっちゃって」
「クレアなんてそんなことしなくても、十分だろ?」
「面白そうだったからやってみたかったの!」
あ、そうですか。はい、分かりました。
しかし、クレアのその練習を少し見ていたが、やはり凄かった。驚きのあまり、俺はしばらく棒立ちしてしまった。
クレアはいくつもの魔力玉を、いとも簡単に複数の輪っかに通らせていた。それもかなりの速さで。しかもそれを、連続でやっていたんだ。さすがクレアだな。
「それで、どう?調子は?」
「1つだけならコントロールして撃てるようになったな。後、3つシャドーボールが出せるようになった。さすがに3つ同時コントロールはできないけど。そのために今日は早めに帰ってきて、練習するつもりだったんだ」
そう言って俺は、3つのシャドーボールを出現させ、クレアに見せた。
「うんうん、いい調子じゃない。さすが八幡だ」
「まぁ、魔法の師匠が首席のクレアだし、当然だろ?それに、クレアの説明は分かりやすいし」
「も~、そんな褒めたって何も出ないよ♪このこの~」
まんざらでもない様子で、クレアは喜んでいる。ちょっと、肘で突かないで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はちょっと文字数少なくてすいません。
特に言う事は思い浮かびません。
また次回。