人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、『台本形式』の意味を完全に取り違えてしまった、アイゼロです。

八幡の適正属性が明らかになるん。

しばらく書き溜め期間に入ります。

それではご覧ください。


4話:ファンタジーな惑星

6月上旬、煩わしい梅雨と湿気が襲ってくる時期、誰もが暗い気持ちになる。けど、この異空間住宅はそれをちっとも感じさせない。快適快適♪

 

最近魔法を使うことが楽しくて、学校と家事と読書と睡眠と食事以外の時間はほぼ、それに費やしちゃってる。だって楽しいんだもんすっごく。クレアの話によると、上達すれば自分の思い描いた魔法もできるようになるらしい。それ聞いちゃったら、やるしかないでしょう。

 

と言っても俺の適正属性はまだ分からないから、何とも言えんが・・。

 

「自分の適正属性が気になってきた?」

 

そしてそんな俺の心中を察してきたかのように、クレアが口を開いた。

 

「そうだな。早い気もするけど、知りたい」

 

「そう・・。それじゃあ、ソフィーラに行くわよ!」

 

「・・・え?ちょっ」

 

クレアはそう言うと同時に、ソフィーラへのゲートを開き、俺の手を引っ張ってゲートに入っていった。

 

 

 

目を開けると、大量の本が並んだ部屋にいた。周りを見ると、この部屋は木造のようだ。

 

「ここは私の家。そして、この部屋は書斎なんだ」

 

壁一面に本が埋まっていて、読書家としてこれは気分が高揚してくる。

 

「この部屋を出たら、私のリビングだよ」

 

部屋を出ると、そこにはベッドにテーブル、キッチンがあり、とても一人暮らしとは思えない広さだった。

 

「窓の外を見てごらん」

 

そう言われて、俺はカーテンを開け、外を見る。

 

「おお・・・」

 

目の前に広がったのは、石レンガ造りの建物がいくつも並んでおり、道にはローブを纏った人、鎧を装備し、腰に剣を携えている人たちがあちこちにいる。中には、普通の服を着た人もいるな。そして、下では見たことのない飾り物や食材を売っている屋台があった。

 

まさに、アニメの世界でしか見たことがない、夢のような光景が広がっていた。

 

「すげぇ!」

 

感情が高ぶり、思わず大きい声をあげてしまった。しかし、それも構わずに俺は今の景色を目に焼き尽くしている。

 

「それじゃあ、外に出るよ!」

 

「ああ!」

 

外に出て、辺りを見回す。

 

「すげぇ・・・」

 

まさにファンタジーな世界!・・あれはもしかして鍛冶屋か?剣や盾を錬成してるな。いいなぁ!

 

・・・あれ?そういえば・・

 

「なぁクレア。なんかやけに体が軽いんだが・・」

 

ソフィーラに来た途端、異常な体の軽さを感じた。なんなら、大ジャンプとかもできちゃいそう。

 

「ソフィーラと地球では重力が違うのよ。おそらく地球とは10倍の差があるわ。私も地球に来たときはビックリしたよ」

 

へぇ、重力の問題とか本当にあるんだな、惑星によって。・・ちょっとジャンプしてみようかな。

 

「よっ」

 

膝を曲げ、思いっきり上に飛んでみた。その瞬間、景色がガラッと変わり、3階建ての建物の窓と同じ位置まで飛んでいた。

 

マジかよ・・。興味本位でジャンプしてみたけど、これ結構驚異的なんじゃない?それだったら足も速いとかあるるかも。

 

「ここまで違いがあるのね・・」

 

クレアも今の俺をみて感嘆の声を出した。

 

 

「この辺の案内は後でするから、まずは適正属性を知りに行こう」

 

「わかった。そういえば、どこに行くんだ?」

 

「あっち」

 

クレアの指さした方向を見ると、周りの建物とは一際大きく、コンクリートで作られてそうな4階立ての建物があった。

 

「あそこが一番近いんだ」

 

俺達は、その建物を目指して歩き出す。

 

道中もきょろきょろと目線を行き来させ、新しい発見の連続に胸を躍らせていた。この辺は結構町が活気づいている。

 

「あら?クレアちゃんじゃない」

 

「あ、ステルおばさん。お久しぶりです」

 

ステルおばさんと呼ばれた人物は、おそらくこの星の野菜であろう物を運びながら、クレアに親しげに話しかけた。

 

「しばらく見ないうちに綺麗になったわねぇ」

 

「ありがとうございます♪」

 

「おや?ところでその子は?見かけない子だねぇ」

 

「この子は、色々事情があって、今は私と暮らしてるんです」

 

「あら、そうなのね」

 

「比企谷八幡です」

 

一応名前くらい言っておこう。クレアの知り合いらしいし。

 

「ヒキガヤハチマン?随分と不思議な名前ね。まぁ、あまり詮索するのもよろしくないわね」

 

この人、ええ人や・・。

 

「よかったわねぇ、僕。こんな美人さんと一緒なんて」

 

「そうっすね。俺は幸せ者ですよ」

 

「もう、2人共。照れること言わないで!」

 

まんざらでもないクレアであった。若干頬を染めてたし。

 

その後も道中いろいろな人にクレアが話しかけられていた。

 

「クレアって顔が広いんだな」

 

「私、この町が好きだからね♪」

 

クレアは笑顔でそう答え、そのまま町の良さを熱く語っている。よほど好きなんだな・・。

 

ここの町は他とは違い比較的田舎の方らしい。ちょっと離れた場所に行けば、もうアメリカのようにビルが並んでいるんだとか。ちなみにこの町の名前は、サジカルなんだって。

 

と、そうこうしているうちに目的地に着いた。

 

建物の看板には、アスタリスクの記号に赤、青、緑、紫、黄、白の六色が塗り込まれていた。六系統の属性魔法のカラーだな。カッコいい・・。

 

中に入ると、人混みとまではいかないがそれなりに人はいた。

 

建物の中はいくつかのコーナーに分けられて、それぞれの人が担当している感じが見受けられる。分かりやすく言えば、市役所みたいなところかな。

 

「あそこが、適正属性担当のコーナーだよ」

 

クレアに案内されて、用意されている椅子に腰を掛ける。

 

「こんにちは。適正属性診断を担当させていただくスイレンと申します。今回診断される方は、あなたでよろしいですね?」

 

「は、はい」

 

やべ、ちょっと緊張してきた。

 

「それでは、適正する属性を調べるため、この機械の上に魔力玉を作ってください。そうすることによって、魔力の細部までこの機械が調べて、結果を出してくれます」

 

え?それだけ?・・・便利な機械だなぁ。

 

俺は今言われた通りの手順で診断を進行させた。そして、結果が出たのかピー、と機械が音を鳴らす。

 

スイレンさんが確認すると、何故か驚いたように目を見開いていた。え?何?そうされるとすっごい不安に駆られるんだけど・・。

 

「貴方の適正属性は【闇系統】です」

 

ほう、闇ね・・。いいじゃないか。結構好きだよ、闇。

 

「それにしても驚きました。まさかここまで闇系統に特化した人がいるとは・・」

 

「え?どういう意味ですか?」

 

「この診断の仕方なんですが、六つの系統にそれぞれ数値が出て、その中で一番数値が高い系統が適正だと言います。・・しかし、貴方は闇以外に数値が出現していなく、それでいて闇系統がかなり高いのです。私はまだこの仕事に就いたばっかりですが、こういう人は初めて見ました」

 

驚いていた理由はそれだったのか。今の話を聞くあたり、無知な俺でもすごい事なのだとわかる。いいねぇ、そういうの。なんか燃えてきた。

 

「全く、八幡にはよく驚かされるわ。魔法の上達の速さといい、今回のことといい」

 

呆れ半分の溜息をついたクレア。

 

「私の勝手な推測ですが、きっといい闇の魔法使いになりますよ。頑張ってください」

 

「はい。ありがとうございました」

 

 

そのままクレアの自宅まで寄り道せずに帰ってきた。

 

そして、クレアが何故か申し訳なさそうな顔をしてこっちを見た。

 

「八幡はさ、魔法使いになれてよかった?あの時は勢いで教えちゃったけど・・。本来八幡は手に入れるはずのない力なのに。・・後悔してない?」

 

なーんだ。やけに真剣な趣だから何事かと思えば、そんなことだったのか・・。

 

「全然。むしろ感謝してる。最初は戸惑ったけど、今は魔法が使えることに凄く楽しさを感じてるしな。だから、ありがとう、クレア」

 

「うぅ・・はちまーーん!」ダキッ!

 

「ちょっ!クレア!?」

 

どうしたの急に甘えだして!・・へぇ、女性ってこんなにいい匂いがするんだなぁ。

 

「・・・」

 

一向に離そうとしないクレアの顔を見ると、少しばかり涙目になっていた。

 

「・・・」ナデナデ

 

ま、たまには甘えさせるのもありかな・・。

 

数分後。

 

「なあ、クレア。そろそろ地球に戻ろうぜ」

 

クレアはあの後我に返った瞬間、毛布で顔を埋めて悶えてしまったのだ。この光景はちょっと面白い。

 

「誰にでも甘えたいときはあるって。そう気に病むことはないぞ」

 

「~~!・・私の威厳が・・・・」

 

いや、そもそもクレアに威厳なんてそんなにない気がするんだが・・。

 

その後も何とかクレアを立ち直らせ、ゲートをくぐり、地球に戻った。

 

 

自分は闇系統が適正だと知った日から、俺はクレアの家でそれに関する本を読んでいる。ていっても、中学の教科書だけど。クレアって物持ちいいんだよ。

 

古来、闇系統魔法は相手の魔力を吸収したり、動きを制限させるのが一般的らしい。要は相手の状態を変えるという事だ。ちゃんと攻撃方法もある。そして、これらを応用して生み出したものを、創作魔法というのだ。

 

魔力吸収が『アブソープション』。制限が『リストリクション』。

 

闇というのは、体を覆って纏わりつくもの。暗闇だと身動きも取れずにいること。おそらく、これがこの魔法の根源になっているのだろう。俺の勝手な想像だけど。

 

系統によって、戦闘スタイルとかも変わってくるのか?実に面白い。

 

後は練習のみだ。教科書に書かれている魔法はソフィーラでは使えて当たり前らしい。ていうか、どこの星でも教科書っていう概念は存在するんだな~。

 

ちなみに教科書の文字は、闇系統の部分だけクレアに翻訳してもらった。折角だからこれを機に覚えるってのもありかな?日本人から見たら、変な記号にしか見えない。

 

今日はここまでにしよう。さすがに疲れてきた。明日も学校あるし。

 

 

クレアに勉強を教えてもらったおかげで楽と感じた授業も終わり、放課後。俺の下駄箱に一つの手紙が入っていた。内容は・・・

 

『15時30分、屋上に来てください。待ってます』

 

果し状かな?俺別に不良じゃないんだけどな~。誰だこんな悪戯した奴・・・。行きたくないが、明日手紙主に糾弾されるのも嫌だし、仕方なく行こう。確か屋上は3階の上にある。

 

〈デテクション〉

 

屋上への階段にさしあたるところで探知魔法を使った。誰かまでは分からないが、人数なら把握できる。

 

・・・・・4人か。

 

俺マジでリンチされるのか?まぁいい。

 

〈ディセイブ〉

 

これであいつらの目的を探ろう。唯一の問題点と言えば、屋上のドアだろう。閉まってたらこの策は破綻だけど。

 

だが、そんな不安もすぐに拭えた。わずかにだが風を感じた。周りを見ても窓なんて開いていない。よし、俺の勝ちだ。

 

案の定ドアは開いており、堂々と俺は探りを入れる。いいねぇ、ディセイブは。見えないってもう無敵なんじゃない?ソフィーラだとほとんど通じないらしいけど。

 

「あいつ本当に来るのかな~?」

 

「ああいう暗い男ほど実は肉食だったりするんだよねぇ」

 

「しかも今回は男子で人気の沙耶だからね。間違いなく引っかかるよ」

 

「ふふ、恨むんなら目を付けられた自分を恨むのね」

 

うわぁ・・・。よかった~俺で。他の奴だったら間違いなく不登校レベルの嫌がらせだ。しかもあいつは、男子に愛想を振りまく三柴沙耶(みつしばさや)だ。まさかこんな裏面があったなんてな。

 

ふむ、取り敢えずこれ以上被害が出ないよう、録音しとくか。今の会話を。

 

・・・・・・・

 

 

よし、大体これでいいだろう。言わせてもらうが、凄かった。とんでもなかったよ。女性恐怖症になりかねないわ・・。

 

んで、後は・・。そうだ!

 

俺は紙に何かを書いて、紙飛行機を作りあの集団の中に飛び込ませた。

 

「ちょ、なにこれ?」

 

「紙飛行機?何か書いてあるよ」

 

「私が読む」

 

どうやら三柴が読むらしい。好都合。内容は

 

「何でばれてるの!?」

 

『嘘告白失敗。残念』

 

「やっほ~」

 

俺は集団と離れた給水塔の上に見下ろす形で座っている。

 

「あんた・・・いつの間に」

 

「さぁ、その紙に書いてある通り、お前らの計画は失敗に終わったぜ」

 

「フン。だから何?・・先生に言ったって無駄よ」

 

「そんなことわかってるって。俺、教師とか大っ嫌いだし。・・・・でも、ここに録音されているデータを見せれば、考えは変わるんじゃないか?」

 

俺はスマホを起動させ、さっき録音した会話を本人たちに聞かせた。

 

「なっ!」

 

「何で、どうやって撮ったの?」

 

「禁則事項で~す」

 

「ふざけないで。それをどうするつもり!?」

 

「さぁ?なんでしょう?」

 

俺は懐からあるものを取り出し、スマホに近づけた。

 

「あんた、何でマイクなんか・・」

 

「さっき放送室から拝借したんだ。さて、ここで選択肢を出そう。ここで大音量で会話を流すか、今から言う俺の要求を呑むか、選べ」

 

じゃないと激しい頭痛が襲うかもしれないよ~。

 

「分かった。あんたの要求に答えるよ」

 

「え?ちょっと沙耶。どういうつもり?」

 

「そうだよ!あんな男の言いなりなんて」

 

「んじゃあ、こういうことは二度とするな」

 

「「「「え?」」」」

 

俺の要求内容に一同驚いている。なにを想像してたんだろうなぁ?

 

「聞こえなかったか?今後、こういうことはするなっつってんだ。これをやられた人の事を考えやがれ。下手したら自殺もんだ。特にお前みたいな可愛いやつだったら尚更な。中学生ならそんくらいの事わかるだろ」

 

「・・・・それだけ?」

 

「そんだけだな。もし、次やったらこの録音データは即流す。分かったらとっとと帰れ」

 

「わ、分かったわよ」

 

そう言って、三柴率いる集団はそそくさと屋上を去った。

 

さて、買い物買い物♪

 

 

翌日の放課後、晩飯の献立を考えながら下駄箱に向かっていると、突然後ろから話しかけられた。

 

「ね、ねぇ・・・」

 

「・・・ん?俺か?」

 

「あんた以外誰がいるの?」

 

「・・・それもそうだな」

 

きょろきょろ見渡しても、俺と目の前にいる三柴しかいなかった。

 

「で、なんか用か?」

 

「・・・これ」

 

俺に渡してきたのは、綺麗にラッピングされたお菓子だった。

 

「これがなんだ?もしかして毒入り?勘弁してくれよ」

 

「ち、違うにきまってるでしょ!お礼よお礼!」

 

「は?俺、お前に何かしたか?逆に俺はされそうになったが・・・」

 

「いちいち悪態つかないでよ。・・・あんたのおかげで目が覚めたの。だからお礼」

 

「その、私たちもごめんね。もうあんなことしないから」

 

「それ受け取ってくれない?沙耶なりの意思表示みたいなものだから」

 

ぞろぞろと後ろから昨日の集団が集まり、俺に頭を下げてきた。

 

「分かったから頭上げてくれ。・・・まぁ、そう言う事なら受け取っとくわ」

 

「あ、ありがとね。それじゃあ!」

 

そのままピューンと走って連中を置いて帰ってしまった。

 

 

家に帰り、俺はクレアにビーコンを借りて、三柴にもらったお菓子の原材料を調べている。

 

クレアには『人の厚意ぐらい信用しようよ』とか言われちゃったけど、考えてみてよ。昨日まで嘘告白という卑劣なことをしようとした奴がお菓子渡してきたんだよ?誰だって警戒しちゃうって・・。

 

「なんだ。普通に美味いじゃん」

 

調べたところ有害な物は入ってなかった。俺は三柴にもらったお菓子を食べている。けど・・

 

「俺の方がもっと美味いけどな!」

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

『異空間住宅』や『異空間ポーチ』について説明して、と意見をもらったので解禁します。


異空間住宅・・・六畳一間から一軒家(一階だけ)のサイズがある。

※クレアが使っている物は、一軒家(一階だけ)。

異空間ポーチ・・・40個までなら、大きさ、重量問わずに入れられる。

また次回。

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