人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

やっと高校編に突入!待ちくたびれた方申し訳ありません!正直俺も待ちくたびれました。

それではご覧ください。


高校生編
17話:高校デビュー


俺と沙耶、キリヤにシズクが無事全員総武高に合格し、ついこの間入学式を終えました。肩の荷も降りて、今はその4人でテーブルを囲っている。UNOやトランプで遊びながら、ただただ駄弁っている。

 

「八はさ、高校デビューとかしないの?」

 

中学時代目立たなかった奴が突然殻が破れたかのように変化を遂げ、髪を染めたり、ピアスを開けたり、等の行為に至ること。それが高校デビューだ。中にはやり過ぎて停学喰らう奴もいるそうだが。

 

「必要ないだろ」

「いやいや、やっておいて損はないと思うよ?現に私もほら、髪染めたし」

「そのおかげで今眩しすぎるんだよ。右に赤髪、左に青髪、正面にピンクって……。俺の友達カラフルな奴しかいねえ」

 

おまけにジークは金髪、リアは緑だ。クレアは茶色。唯一黒髪なのは現在大学生の汐留さんくらいだ。あ、そういえばまだ合格の事伝えてないな。後で報告しなくては。

 

「それに、俺は黒髪がいい」

「何も全部染めろってわけじゃないよ。ほら、メッシュとか」

「めんどい」

 

沙耶の提案を一蹴すると、深いため息をつかれた。はいはい、つまらない男で悪かったですね。

 

「あんた、彼女できてんだからさ、少し意識しないとダメだよ」

「関係あるのか?」

「おおありよ。こんな超絶美少女の彼氏がこんな地味男なんて、周りが納得しないよ。場合によっては言い寄られるかもしれないし、八に危害が加わる」

「……………成程」

「私としては、彼氏が地味男呼ばわりされて複雑なんだけど………」

 

確かに沙耶の言う事も一理ある。こんな不完全で目も腐りきった奴が彼氏なんて認めてくれるはずがない。赤の他人が人の恋愛に首を突っ込むなという正論など、もう通じないのはわかりきっている。

 

「俺もそれには賛成だな。八幡、シズクはお前と付き合うまで何人もの男を振ってきたんだ。そいつらの分までシズクを幸せにするのが筋ってもんだろ」

「………ああ、分かったよ。まぁ、髪染めるだけだしな」

「じゃあ、レッツゴー」

 

沙耶は一足先に玄関へ行き、消えた。このワープ玄関って第三者視点で見ると、こうも面白い絵面だったのか……。

 

 

 

「ハァ……ハァ……」

「き、きちぃ…」

 

家を出て数分。キリヤとシズクは先程まで走っていたかのように汗をかき、疲労していた。原因は重力だ。受験の時は浮遊魔法で補っていたが、これから地球で過ごすとなると慣れなくてはいけないと言って、修行中だ。まるで亀の甲羅を背負っているように見える。足元の石に丸書いて投げてやろうかなという遊び心がちらつかせた。やらないけど。

 

「頑張れ、ここの重力に慣れたら、大会で大きい」

「分かってるよ……」

「シズク、辛かったら言えよ」

「いや、もうどう見ても辛そうだよ……」

 

結局キリヤは美容室まで歩き、シズクは体力的に限界だったため、俺が負ぶった。立派なものをお持ちなのに軽かった。

 

 

 

 

他の面子は外で待ってもらい、美容室に入った。

 

「ご注文は?」

 

あなたは喫茶店ですかって突っ込みたくなった。じゃあウサギで。って言って通じるような人ではないな。

 

「メッシュを入れたいんですが……」

「はい。何色にしますか?」

「………………紫で」

「どこを染めますか?」

「…サイドの左片方で」

「かしこまりました」

 

RPGのキャラクターづくりのような質疑応答を終え、早速作業に取り掛かってもらった。色は単純に俺が闇系統の魔法を使うからだ。キリヤも炎で赤だし、シズクは水で青色、シンプルイズベストだ。沙耶は何が理由でピンクなんて派手な色にしたのだろう。ああいう人は原宿でしか見たことがない。行った事ないけど、テレビでよく見る。頭悪い奴ばっかりいる所。

 

「外で待ってる人たちは友達?」

「そうです」

「あの子たちも髪染めてるね。高校デビューってやつ?」

「一応それが目的です。ちなみに3人のうち2人は地毛ですよ」

「へぇ~、海外からの留学生か~」

 

その後も単純な会話は普通に続いた。不安要素であった会話が何とかできたあたり、自分を褒めてやりたい。

 

美容師さんから終わったことを聞き鏡に映る自分を見た。

 

「おお……」

 

思わず声を出してしまう程、一風変わった自分に見入った。別にナルシストってわけじゃなくて、ただちょっと良いと思った。少し色を付けるだけで雰囲気が違うんだな。それに少し髪自体をいじられのか、モデルのようなカッコいい感じになっていて、自分で言うのもなんだが似合っている。

 

「なんか、ありがとうございます……」

「それが仕事なので♪」

 

やべぇこの人カッコいい。

 

 

 

店を出てキリヤ達に見せたところ、「まるで別人だ」「カッコいい」「想像以上に似合ってる……」と称賛の嵐であった。俺もあまり悪い気分ではないから提案してくれた皆に感謝だ。ただ、彼女であるシズクが顔赤くして褒めまくったせいで恥ずかしい。

 

 

続いて、キリヤ達を連れてやってきたのは、春さんが通う国立理工系大学だ。先程言った春さんに高校合格の報告と友人紹介をしにきた。以前春さんも高校合格、大学合格などの報告を受けていて、お互いたまに連絡する仲だ。ほとんど春さんの愚痴とか、一方的な会話だけどな。恋愛感情も特になく、お互い信用できる友達として仲良くしている。詳しくは3話参照。

 

入口前で待っていると春さんが確認できたので声をかけた。

 

「春さん、こんにちは」

「あ、八幡君。……お!髪染めてる!いいじゃん、カッコいいー!」

 

いきなり大声をあげて俺を褒め始めた春さん。ちょっと、染めた部分触らないで。

 

「どうしたの?こんなとこで」

「友人と近くで出掛けてたので、ついでに報告しに来たんです。実は、総武高校合格しました」

「え!やったー!おめでとう!」

 

ああ、こうして自分の事のように喜んでくれる人がいるなんて感動だ。嬉しくて笑みがこぼれそうなのを堪える。…頭を撫でないで。ほら、シズクがなんか変な目で見てるから。どうやら春さんにはまだまだ子供扱いされそうだ。一応、あの時助けたのは俺なんだけどね。

 

「その友達って、あのカラフルな子たち?」

「そうですよ。ちなみにあの青髪の子は、その、か、彼女、です」

「…………彼女!?八幡君いつの間に~!やるね~」

「ちょ、突かないでください。くすぐったい……」

「ねえねえ、あの友達紹介してよ」

「分かりました」

 

ニヤニヤした春さんにつつかれながら、キリヤ達を合図で呼び出した。キリヤ達は何故か複雑な顔をしている。そんなに俺に年上の友人がいたことに驚いたのか?シズクはなんか不満げだし。

 

「こんにちは、汐留春です」

「こんにちは、海外から来たキリヤ=バルハードです」

「…シズク=アネシアです」

「八の悪友、三柴沙耶で~す」

「八幡君、お姉さん嬉しいよ。前までは友達いらないって言ってた君が、変わったね」

 

春さんはまたも自分の事のように嬉しがっている様子で、頭を撫でてきた。本当、姉御肌が強すぎるな、この人は……。

 

「まぁ、こいつらと春さんのおかげですね」

「私、何もしてない気がするけど、どういたしまして」

 

以前俺がキリヤ達との関係に苦悩していた時、助言をくれたのが春さんだった。だから、俺がここまで変われたのは春さんのおかげでもある。本当にこの人には感謝している。

 

「あの!汐留さん!」

「ん?」

 

友達の紹介も報告も終わったため、春さんと別れようとした時、シズクが大きい声で春さんを呼び止めた。そして、俺の腕に抱き着き、とんでもない発言をする。

 

「八幡は渡しませんよ!私の彼氏です!」

 

………………。

 

数秒の沈黙。幸いにも周りには人が少なかったため、聞いていたのは俺達だけだった。春さんはただただポカーンとしており、シズクは顔を赤くして睨んでいる。

 

次の瞬間、春さんが吹き出して笑いだした。

 

「そっかそっか。……安心して、シズクちゃん。私と八幡君はただの親友だよ」

「そ、そうですか………」

「あ、でももし八幡君がフリーになったら、私がもらおうかな~♪八幡君いい子だし」

「絶対に渡しません!!」

「ふふ、じゃあね。お幸せに」

 

悪戯な笑みを浮かべ、片目ウィンクをしながら、帰途に就く春さん。それを見送った俺達も自宅に向かう。

 

 

帰宅途中、シズクはさっきの発言を冷静に思い返してから、ずっと俯いている。確かにあれは恥ずかしかった。俺は軽く混乱状態だったからな。これから春さんに会うたびにからかわれると思うと………。

 

「キリヤ、シズクってこんな積極的だったか?」

「前は結構控えめで臆病な感じだったけどなぁ。人って恋するとガラッと変わるんだな」

「………何で私、あんなことを……」

 

シズクは今もあの時の発言を後悔しているようで、依然として顔を赤くしている状態だ。

 

「あ、今日の晩飯何がいい?クレアに聞いたら何でもいいって言われた」

「んー、じゃあオムライスで」

「私もそれでいい」

「オムライスか…。材料は揃ってるから、このまま帰るか」

 

料理してる側からしたら、何でもいいって一番困る回答である。昔クレアに使った覚えがあり、その時は本当に困ったような顔をしていた。何でもいいって言うのは、遠慮から出た言葉でもあるため、俺は困らせないために食事だけは欲望に忠実になっていた。

 

「……お、おにい、ちゃん?」

 

今年の秋に出場する予定の大会について色々話していたら、耳を疑う声が聞こえ、目を疑う姿をした人物が、俺の目の前に立っていた。

 

その人物は、約5年前、縁を切った実の妹、小町だった。あの頃はまだ小3の幼い顔をしていて、今では成長しているが、見間違えることは無かった。間違いなく、小町だ。

 

「……えっと、どちら様ですか?」

 

だが、俺はすでに比企谷家とは縁を切っている。何故小町がここにいるのかは知らないが、関わらないのが吉だ。

 

「…嘘、だよね?お兄ちゃんでしょ……」

「人違いです。俺に妹なんていません」

「嘘だ!目を見ればわかるよ!小町のお兄ちゃん、比企谷八幡でしょ」

「…俺の名前は、エイト=ヒキガルトです」

「…そ、そんな………」

 

小町はわなわなと震えだし、身体をふらつかせながら涙を流し始めた。俺の言っていることは、自分が嫌っている嘘まみれの言葉だ。嫌いな嘘をついて妹を泣かせたという事実に、罪悪感を感じた俺はいたたまれなくなり、呆然としているキリヤとシズクを引っ張って、曲道を利用して〈ディセイブ〉で身を潜めた。

 

「お兄ちゃん!………え?…い、いない」

 

俺達を見失った小町は、見たことのない形相で、その場で立ちつくしている。

 

「行くぞ」

「…いいのか?」

「俺はもうとっくの昔に縁を切ったんだ。今更過ぎる」

「……八幡、ご飯は私が作るから」

「ああ、ありがとな、シズク」

 

こんなボロボロで不安定な奴に美味い飯なんて作れるはずがない……。

 

早足でその場を去ったが、かすかに小町のすすり泣く声が聞こえ、この時だけ自分の耳の良さを恨んだ。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

早く魔法を使わせたい!書きたい!戦闘描写を書きたいぞー!高校編からは原作に絡ませながら、魔法使いしていきます!

そして、とうとう小町が現れました。さあどうなるのか!

また次回。

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