人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

えー、長らくお待たせいたしました。意外とこのシリーズを待ってる人がいて嬉しいです。

最近、俺ガイル×ファンタジー作品が増えてきたなーと思うこの頃。俺も書こうと思い、パソコンを開いたら、既に書いていたことに気づきました。

それではご覧ください。


14話:大会出ます

お気にの外套羽織り♪今日も今日とて闇魔法修行♪

 

頭の中でアニソンを流しながら、手の上で魔力玉を弄ぶ。正直修行と言ってもやり切った感がある。特に魔法で闘う事ないし、キリヤみたいに将来が決まってるわけでもない。モチベーションというか、最初はファンタジーな魔法に夢中だったけど、それが当たり前のように使えてしまっている。

 

人は目的を失うとこうも無力で無気力になってしまうのか。

 

「はぁ…」

「どうしたの?ため息ついて」

「…俺、魔法使えてよかったと思ってる」

「なに?藪から棒に」

「けどなクレア。俺、魔法使えても、何に使ったらいいのかさっぱり分かんねぇ」

 

するとクレアは腕を組み、考える態勢に入った。折角魔法が使えるんだし、将来はソフィーラで職に就くのも良いと思ったことがある。第一に考えて信頼できる奴が地球にいないし。けど、俺は地球人だ。違う惑星の街に住んで働くというのも、何か突っかかる。

 

将来の事を考えていると、先程まで唸っていたクレアの口から、思いもよらぬ言葉が発せられた。

 

「大会出たら?」

 

大会か……。文字通り魔法を競って優勝を狙う、トーナメント制の大会。高校生から参加する資格が与えられ、優秀だった奴は現役の騎士にも一目を置かれ、時に推薦されることもあると言われている。キリヤは騎士志望で大会の事も知っているが、人とは競わないって言ってたしな。何でだろう……。

 

「俺、騎士に興味ないし」

「ふっふっふ。実はついこの間大会の仕様が少し変わったのよ」

 

自慢げな微笑みで腕を組むクレア。サジカルとウェルサクスしかいった事がなく、ニュースも聞いたりしないから、あちらの事情は何一つ分からないのだ。

 

クレアに聞こうとしたが、「もう少し待ちなさい」と何かを待っている様子で流した。その意味が分からず、俺はただただ言われた通り待つことにした。

 

・・・・・・・・・

 

「八幡、俺と大会出てくれーーー!」

 

数分後、突然現れたのはキリヤだった。俺に飛びつくように縋りつき、焦燥に駆られてる状態だ。何を焦っているのか分からないが、取り敢えず離れてほしい。俺にそのような趣味はない。ほら、後ろからついてきてるシズクとジークとリアが変な目線送ってるぞ。

 

「なんだ?大会?」

「そう!俺と大会出てくれ!」

「いや、騎士志望なのは知ってたが、お前だけでいいんじゃないのか?俺騎士やらないし」

「それがな。大会の仕様が変わって、2人ペア制に変わっちまったんだよぉ!」

 

…成程な。クレアが言っていたのはこの事だったのか。

 

随分と面倒な制度を設けたもんだな運営は。騎士志望でコミュ障ぼっちがいたらどうするんだ一体。そもそもそんな奴騎士にするわけないか。

 

「ま、暇してたし、いいぞ」

「よっしゃあ!」

「っつーか何で俺なんだ?お前みたいな奴だったら誘う奴いっぱいいるだろ」

「んー、八幡と組んでみたかったからな!」

 

やー、照れますねー。そんなイケメンな片目ウィンクされるとついつい苦笑いが出てしまうよ。

 

「んじゃ、早速特訓だぞ!」

 

キリヤのデカい声量の合図で後をつく俺達。クレアも面白そうとついていくことになった。いざ、大会に向けて魔法特訓といきますか。

 

 

キリヤとペアで大会に出場することが決まった日の1週間後。今日も学校の図書室で勉強だ。取り敢えず目的ができたからモチベも上がってきたし、本当に優勝できそうだな。そういや優勝するとなんか賞品とかあんのかな?そこんとこ聞くの忘れた。

 

「おーい」

 

大会の事を考えながら、図書室に入りいつもの席に向かったら、先客がいた。しかも、この間訳わからん事言ってた三柴だ。

 

当然俺は無視し、一番遠く離れた場所に座り、教科書とノートを開いた。

 

「無視すんな」

「ってーな」

 

教科書の角で頭の側面を叩かれた。顔をあげると、不機嫌そうな三柴がいた。何でこっち来たんだよ……。

 

「チッ、なんだよ……」

「そんな堂々と舌打ちされると、いっそ清々しいね」

「そんで?お前みたいな上位カースト様が最下位の俺に何の用ですか?」

「何その言い方…。まあいいや。前言ったでしょ?勉強教えてって」

「俺は同意した覚えはない」

「ふーん。ま、適当にあんたの近くでやるから」

 

そう言って三柴は俺の目の前に座り、教材とノートを取り出し、勉強を始めた。まぁいい無視だ無視。

 

 

 

 

そろそろ帰るか。

 

「じゃねー」

「…………おぅ」

 

黙って帰ろうとしたのに、何で挨拶をしてくるんだ。返さないといけねぇ社交辞令をしてくるんじゃないよ。

 

 

家に帰ったら大会へ向けてキリヤと修行だ。ウェルサクスの方では大会は高校に入って、しばらく経つと始まるらしい。千葉で例えると、夏休み前だ。

 

「いくぞ!」

「おー」

「もっと気合入れようぜ~」

「十分入ってるし」

 

キリヤは微妙な顔をしつつも、構えをとっていくつものファイアボールを撃ってきた。昔の球体と違って、既に実体化しており、そのファイアボールは喰らったら服は焼け、肌はやけどをするレベルになっている。

 

バラバラに撃たれたが、その場から動かず、体を反ってよけながら、〈メテスタ〉という魔法ワープでどこかへ飛ばした。

 

「どこ見てんだ?」

 

すぐ眼前に鋭い剣を振りかぶったキリヤが映った。咄嗟に漆黒のチェーンを出現させ、それを阻止する。こいつ剣振るときガチだから、こうでもしなきゃ俺の腕が切り落とされんだよ!刃物だぞこれ!普通木刀とかだろこういう時って。

 

「お前、本当容赦ないな」

「修行で手を抜くのは本末転倒だろ。それにちゃんと寸止めするさ」

 

そりゃそうだろうけど、本気の出し方がぶっ飛びすぎる気もするんだよなぁ。あんな大振りしといて寸止めできるなんてすげえけど。

 

「ほら、こいよ」

 

キリヤがニヤッと挑発したが、これに激情するほど俺は沸点低くない。冷静に、取り敢えずシャドウボール10発くらいぶち込み、手に持ったチェーンを振り回して迫った。

 

さすがのキリヤも10発は捌ききれず、いくつか体に当てながらも、剣でチェーンを受け止めた。その瞬間、ガキンと金属音がけたたましく鳴り響いた。そしてそのまま続けて、剣とチェーンの攻防戦が始まった。

 

避けて当てにいき、避けられ当たられ、ガキン!と辺りに火花が散り、それが延々と続いていく。これがいつもの俺達の修行だ。

 

一旦一歩下がり、キリヤ目掛けて垂直にチェーンを振り下ろす。そうすると選択肢は右か左に避けるしかなくなる。キリヤは右に避ける癖があるため、振り下ろしたチェーンを右にスライドさせキリヤの足に巻き付けた。

 

「うお、やべ!」

「おら!」

 

ハンマー投げの要領でキリヤを大木にたたきつけた。

 

「ってぇ!おい!ちょっとは加減しろ!」

「本物の剣持ってる奴に加減なんかできるか!」

「くぅ~、それにしても今のは効いた……。お返しだ!」

 

キリヤは剣に炎を宿し、平行に鋭く振った。すると鋭利な炎が雑草を揺らしながらこちらに勢いよく迫る。………〈メテスタ〉

 

「おい!いつも思うがそれ反則だろ!魔法効かねえじゃん!」

「いやこれ結構賭けだぞ。だってどこに現れるか分かんねえんだから」

 

この〈メテスタ〉というのは魔法を吸収するという至って強そうに思えるが、俺はただ入口を作っているだけだ。だから当然出口ができる。それがどこに現れるか分からないのだ。今の鋭利な炎も多分森の中で暴れてる。火事にならなきゃいいけど。そこは水系統のシズクに任せている。

 

「私も大会出たいなぁ…」

 

風系統のリアが羨ましそうにつぶやいた。彼女は騎士志望じゃないが大会には出たかったらしく、ジークに頼んで許可をもらったんだが、父親に反対されたそうだ。

 

シズクは戦闘苦手だから観戦だ。

 

「そういや、大会優勝したら何かしら賞品とかあんだろ?」

「お?気になる?気になるかぁ?」

「もったいぶってないで教えろ」

「なんとな、王室のパーティの招待状だ!」

 

…………ナニソレ?美味しいの?おうしつ?

 

「え?知らない?」

「知るか。ここに来てサジカルとウェルサクスの事しか知んねえよ」

「はぁ、一から教えてやる」

 

…………。

 

ふむふむなるほどね。

 

ウェルサクスという都市から少し遠くにある大都市ニアムレスに王族が暮らすお城があると。そこで行われるパーティーに招待されるんだと。日本には無縁な話だな。

 

まあそこには当然王様とか王子さまとか令嬢がいるんだってさ。

 

「興味沸かない」

「まぁそう言うなって……。滅多にない事だぜ?」

「けどな~…」

「美味い飯めちゃくちゃあるぞ」

「………行くか」

「現金だな…」

 

タダで飯が食えるなら行くしかないだろ。

 

なんか普通に優勝した後の話をしているが、まだ始まってすらいないのに、もう勝つ気でいるな俺達。…嫌味じゃないが負ける気がしないのだ。何でかって俺達が負ける姿が想像できないからだ。

 

これは日本男児誰もが当てはまる妄想のせいだろう。例えば教室に入ってきたテロリストを自分が退治するという妄想だ。だとしたら、自分が魔法を使って他の人を圧倒する妄想だってする人がいるだろう。それがこの俺エイト・ヒキガルトだ。自分が負ける妄想をする人なんてこの世に存在しない!

 

「優勝しような!」

「…そうだな」

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

戦闘描写に関しては、書いていくうちに成長するでしょう……。

もうそろそろ高校生編に入りたい!

また次回。

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