人間不信になった俺は魔法使いに出会いました(打ち切り)   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

かなり日が空いたというのに文字数は少ないです。話が短いとタイトル決めも困ってしまう。頑張ろう。

それではご覧ください。


13話:誰かの視線

冬休みが終わった今日の昼。学校は始業式だけだったため、まだ明るい曇天を、防寒具で身を包みながら、帰路についた。忘れがちだと思うが、帰宅方法は公園の特定の木陰に立って、そこから『異空間住宅』ワープするから、人がいないか確認をしないといけない。

 

「ただいまー」

「あ、おかえり」

「おう、お邪魔してるぞ」

「八幡、おかえり」

 

リビングには、家の主クレアと、キリヤ、シズクが居座っていた。このごろよくこの光景を見る。キリヤとシズクは中3になってからこの家にはいつものように、クレアと共にテーブルを囲っているし。3人は俺に隠れて何かしていることも俺はわかっている。だからといって問いただすのは気が引けるから敢えて何も言わないし聞かない。

 

いずれ教えてくれるだろうと信じ、俺は普通に、いつも通りに接する。

 

「おう、ただいま。今日も飯食ってくのか?」

「お?いいのか?」

「やったー、八幡のごはん♪」

「今日は何作るの?」

「お前ら俺の飯どんだけ好きなんだよ」

 

何ヶ月か前にキリヤ達がよくここに来ると知って、俺は一度こいつらに手料理を振る舞ったことがある。それが公表だったらしく、ここに来るたびに俺の料理が食いたいと言っているのだ。まぁ、別に迷惑じゃないけどね。寧ろ褒めてくれるのは嬉しい。今度、リアとジークも呼ぼう。

 

 

中学3年生の俺は、高校受験を控えている。残すことあと4ヶ月だ。進学先は偏差値がかなり高い千葉有数の進学校。今の俺のレベルだとそこまで苦ではない。おっと怒らせたかな?だからと言って勉強しないというのはまた話が別だ。そんな俺は、たまに静かな学校の図書室で勉強をしている。ここなら参考書もあるし。家でやればいいだろって?そしたら、俺が魔法を練習したり遊んだりしてしまう。俺だって人間なんだから、興味がある方をついついやってしまうのだ。だからこうして今も図書室にいる。

 

「・・・・」

 

だが、図書室にいると、何かと視線を感じてしまう。もちろん自意識過剰ではない。寧ろ俺を見る奴なんてこの学校にいねぇし。

 

〈デテクション〉

 

さすがにこうも毎回気になると使わざるを得ない。探索魔法を使い、周囲のどのあたりに誰がいるのかを確認する。視線を感じるのは扉の方角だ。そこを覗くと・・・・・・え?

 

そいつの正体を知り、思わず目を見開き、勢いよく扉の方を見てしまった。もちろん肉眼では確認できない。

 

俺を見張っていた人物は、なんと三柴沙耶。かつて俺に嘘告白という最低行為を実行しようとした挙句、まんまと俺に返り討ちにされた奴だ。そんな奴がどうして今頃・・・。

 

また悪戯するとは考えにくい。三柴本人はあの時の事を反省していたし、取り巻きも本気だと言っていた。

 

・・・・ま、考えたって仕方がない。それによく考えたらそんなはずがない。三柴は上位カーストの可愛い部類に入る。それに対してカースト最下位の俺を見るはずなんてないしな。きっとあれだ。俺しかいないときもいたらしいけど、あいつには普通の人には見えない何かが見えてるんだ。幽霊とか妖怪とか。ほら?俺って魔法使いじゃん?きっと俺の異常な雰囲気を感じ取ってイロイロなものが寄ってきたんだよ。きっとそうだ。

 

さ、帰ろ帰ろ。

 

 

 

「・・・」

「・・・」

「・・・」チラッ

「っ・・」サッ!

 

なんかついてきてんですけどーーー!

 

これは俗にいうストーカーというやつですか。でもこれ明らかに逆転してるよな。何で男の俺が標的にされてんの?しかもそのストーカーの正体は言うまでもなく三柴だし。

 

さすがに家までついて来られると非常にまずいので、ここいらでおさらばだ。

 

〈ディセイブ〉

 

道路の角を曲がった瞬間、目を欺かせる魔法を使って、事実上の透明人間になった。

 

「あれ?いなくなってる。どうなってるのよ!」

 

さて、このままスーパーで買い物でも済ますか。今夜はチャーハンでも作ろう。

 

 

 

次の日

 

「・・・」チラ

「っ・・」サッ

 

なんかいる。〈ディセイブ〉・・・。

 

「またいなくなってる・・・」

 

 

更に次の日。

 

〈ディセイブ〉

 

「何でまた!何で角を曲がったらいなくなるのよ!あいつ魔法使いか何かなの!?」

 

あ、はい、魔法使いですけど何か?

 

どちらかというと、毎回俺を付けてくる三柴に何か?って聞きたいわ。さすがに鬱陶しいと感じたから、後ろに回って声をかけることにした。

 

「おい」

「うひゃあ!な、何で後ろに!」

「なんか俺に用か?なんかここんとこ俺を付けてるようだけど」

「っ・・ば、ばれてる・・・」

 

つけられてた事に若干イラついてたのか、厳しい表情で三柴に追及した。当の本人は肩をビクつかせ、罰の悪そうな顔をしてこちらをちらちらと見ている。煮え切らない態度が気に入らないが、また因縁つかれても困るため、ここは抑える。

 

「あんたって、頭良かったよね?」

「さほど良くねえよ」

「学年4位が何言ってるのよ・・・」

「1位以外に価値なんかねぇよ。で、それだけが聞きたかったのか?なんならストーカー紛いの事すんなよ。ていうか何で知ってんだよ・・・」

「私に勉強教えて」

「・・・は?やだよ」

「えぇ!なんで!」

 

こっちが聞きてえよ。なんでよってたかってお前なんだよ。俺ら一度対峙した仲だぞ。仲という程関わってもないし。なんならあの一件以来顔合わせとかも、なんだったら見たりもしてない。興味ないから。

 

「何で俺に頼むのかは知らんがお断りだ。お前友達多いんだからそいつらに教えてもらえ」

 

それだけ言い残し、三柴の視界から逃れると同時に〈ディセイブ〉を使い、その場をそそくさと離れた。

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

前前前前前言撤回します。もう登場しないと言っていた『三柴沙耶』ですが、いいアイディアが浮かんだので、登場させることにしました。

また次回。

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