それと、総合評価が1000を越えてしまいました。これも紳士の皆様のお陰です。
世に触手のあらんことを。
四糸乃と会った翌日。今日も今日とて雨が降る。やけに雨降るなぁ最近。まあ、俺としては良いんだけどね。
俺は雨の日はいつもの二割増しで強くなる。何故か。俺は水に含まれる僅かな霊力からでも霊力補給が出来るだろ?雨に打たれてる間は常時霊力供給状態になるから、ちょっとばかし身体がハイになる。
………ところで、俺は昨日あることに気付いた。自分の精霊としての力についてだ。
俺は自分を水にして操る精霊だ。〈
しかし。どうやら、天使で作り出した水ではなく、水道水やペットボトルの水など、現在その場にある水をも操れるらしい。ただし、俺が意図的に霊力を通す必要がある。水溜まりの雨水に手を翳すだけでは操れないが、軽く霊力を放出して浴びせてやると俺の支配下に置かれる。
つまり、触抱聖母を常に展開していなくても、日常生活に活用するレベルなら触手や水を操れるという訳だ。便利ッ!!しかも霊力消費がほぼゼロに近い。俺は精霊始めて一ヶ月目にして、ようやく
実際戦闘するとしたら、やっぱ天使に頼るけど。だって、天使で作った水じゃないと体積までは弄れないから、自ずと使える量が限られてくる。
「閃光の夢だっけ~が~この闇を照~らしてく~~」
今は、足突っ込んだ水溜まりに【
え?四糸乃に雨の日は公園に居るって言っただろって?書き置きしたから大丈夫。多分(曖昧)。
「────ん?」
公園まであと少しという所で、道の真ん中で士道先輩が、何かを差し出しながら、傘も差さずに何かと対峙してる。その何かは、士道先輩の背中で見えない訳だが。じりじりと前進している。これは
それにしては切迫してないなぁ。先輩の背中丸まってるし、明らかに喧嘩系の気迫がない。ホント何してんの先輩。
「ちぃーーっす先輩グーテンモルゲーン!!」
「わひぃっ!?」
ということで、先輩の背中にガッシリ飛び付く。こう言うのは直接聞くに限る。ほれほれ先輩、おっぱいですぞ。大きさは十香以上だ舐めんじゃねぇ。物理的になら舐めるの大歓迎。
「な、何だ、誠か………ふぅ、心臓に悪いから止めてくれ」
突然の背後からのハグに大いに取り乱した先輩だが、俺だと気付くとすぐに調子を取り戻した。チッ。
「何だとはご挨拶ですね先輩。初めて会った時もこんな感じでしょうが。金髪美人の後輩と戯れるとかオイシイでしょ?」
「中身男だからちょっと嬉しくねーよ」
「でも身体は正直ですね」
まさぐりまさぐり。鳶一先輩直伝のフィンガーテクニック。今回は胸元で我慢。下は鳶一先輩用だからな。
「ヒィィィイ!?どこまさぐってんの!?」
「お?先輩ってヤってる時にパートナーにナニしてるか実況させたがるタイプ?」
「ちげぇよ!?」
「鳶一先輩に教えてあげなきゃ。先輩はご奉仕がお好み、っと」
「止めてぇっ!?嫌な予感しかしないから鳶一にメールするの止めてぇっ!?!?」
本格的な悲鳴が士道先輩から飛び出した辺りで引き際と判断し、俺は背中から離れ、対峙していた相手を見据える。因みにメールは既に送った。
「あっ………ま、誠さん………」
「四糸乃ッ!?」
守ってあげたくなるオーラを纏う、可愛い系少女四糸乃が、そこにいた。だが、何かが足りない。左手が寂しい。
「パペット!そうだ、今日はよしのんはどうしたの?」
「……う………うっ……………!!」
フルフルと怯えながら、指差す先は士道先輩の伸ばした手の中。そこには、抵抗する力を失い、項垂れるよしのんの姿が!!
ウソウソ。つまりよしのんパペットが士道先輩に握られていた。
何で?
────頭のなかで方程式が組み上がった。
四糸乃(可愛い) + 士道先輩(ご奉仕好き) + よしのん(人質) = 言いなり
------妄想タイム------
『ぐへへへ、こいつがどうなっても良いのか?ん?』
『よ、よしのんを虐めないで!』
『じゃあ………どうしたらいいか、分かるだろ?』
『い、痛くしないで、下さい………!!』
『痛くするんだよォ!!』
『ひ……、ひいっ…………』
------妄想タイム終了------
──────。
「外道先輩」
絶対零度の視線、発動。ロリコンブチコロ慈悲はない。幼女泣かすは人類の敵、女の敵。女の敵は
「違うわァ!?この子がコケた拍子にパペットを落としたから、返してあげようとしてただけだ!!」
「
「メチャクチャ疑われてないか俺!?違うから!違うからな!?」
士道先輩は一応信頼してるんで、まあ無いとは思いますが、一応ね。マジだったら殴ってますよ、前が見えなくなる程度には。
「なら、いいですけど。早く返してあげて下さい。四糸乃泣かせたら承知しません」
「お、おう」
「ケツの穴から触手突っ込んで口から先端出しますよ」
「なにそれこわい」
二人の距離が更に縮まり、四糸乃の手が届く範囲までに近付く。すると四糸乃はよしのんを先輩から奪い取ると、ウサギのように先輩を飛び越え、俺の後ろに縮こまってしまう。
士道先輩が苦笑していると、俺の背中からよしのんがニュッと姿を現した。再装着が完了した模様だ。
『やーやーおにーさん、助かったよ。んでぇ?助け起こしてくれる時に、いろんなトコ触ってくれちゃったみたいだけど………』
「あ"あ"ん"!?外道先輩ィア!?」
『どんな発音!?』
鎮まった変態に再び火を点けたな………。我等紳士の鉄則は、YesロリータNoタッチ。それを知らぬは変質者かリア充のどちらか。どちらにせよ、我等の敵よ!!フハァァァハハハ!!
「ま、待ってくれ!誤解だ!!」
「問答無用!!一夫多妻去勢拳ッ!!」
その股ぐらに、メガトンパンチ。一に金的、二に金的。全体重を乗せて抉り込むように打つべし討つべし。
「ア"ッーーーーー!?!?」
一夫多妻去勢拳。効果、男は死ぬ。女も死ぬ。 例外なく士道先輩も死ぬ。
ふう。
「まあ、許してやってよよしのん。四糸乃も。士道先輩は悪い人じゃないんだ。身体の異常が無いか見てくれたに違いない」
爽やかスマイルと共に、士道先輩を擁護する。あの人は命懸けで十香を救った男だぜ?悪いやつのハズがないさ!!
『殴ってから言うかねそれを。おねにーさんも中々過激だね』
「あはは、何言ってるんだいよしのん。俺は士道先輩を殴っちゃいない。外道先輩を殴ったんだ。四糸乃を守るためなら変態にも鬼神にもなる」
「誠コノヤロウ」
俺がキラキラしたエフェクトが付きそうな感じで舞いながら力説していると、士道先輩が膝をくっ付けて股をピッチリ閉めた状態で立ち上がっていた。
「何だぁ、先輩無事だったんですね。─────俺と一緒におねにーさんになりましょうよ」
「嫌だよ!?」
「まあまあそう言わず。────素質はあると思うんで」
「俺はダークサイドには堕ちないぞ!!」
「これは即堕ち二コマですな。野郎のアへ顔とか見たかねぇな」
「そうだよ(便乗)」
「お前ノンケかよぉ!(驚愕)」
「何でホモ百合する必要があるんですか(困惑)」
────先に言っておこう。
俺は士道先輩とわりと仲良い。少なくとも、俺が男子で普通に後輩として先輩と会ってたら、放課後につるんでいたであろう位には。
十香に居場所を作り、人間を信じる機会を作った士道先輩に感謝と尊敬の念は抱いているが、純粋に人としても好きだ。最も、先輩を異性として好きになれそうかと言えば………勿論、今も返事はノーだ。
「あ、あの………誠さん……この、人は?」
雰囲気からどうやら悪い関係ではないと察したらしい四糸乃が、そーっと俺を見上げて来た。そういえば確かに士道先輩を紹介していない。ちとふざけすぎたか。
よしよし、四糸乃は空気が読めるいい娘、ルックスも最高だ。将来はきっとミス・ユニヴァァァーースになるだろう。あ、それアカン。四糸乃が赤いサングラス掛けてたら俺泣く。
「ごめんごめん。この人は五河士道。俺の人間だった頃の先輩に当たる人で、端的に言うなら精霊の味方さ」
そういう意味では、俺と士道先輩は同志だからな。片や人の身で、片や精霊の身で精霊を守る。俺が士道先輩と精霊の橋渡しをし、〈ラタトスク機関〉が先輩の後押しをし、そして先輩が精霊の力を封印する。中々面白い共闘体制だ。
『へぇ、おにーさんも物好きねぇ』
「士道先輩は好き者でも可」
「誤解を与えるな」
軽くチョップを入れられた。痛くねぇ。何せ俺は鳶一先輩の殺意全乗せ狙撃を腹に喰らって生きてたからな。本当に何ともない。士道先輩の家で、タンスの角に小指ぶつけてタンス粉砕したときは吹いた。その後説教された。ちくせう。
「ックション!!」
唐突に、士道先輩がクシャミした。
あ、精霊の俺と四糸乃と違って、士道先輩は濡れるの大問題でしたね、そういや。余りに先輩が平然としてるもんで気付かなかった。
「士道先輩、これ以上はマジで風邪引きますよ。帰りましょう、送りますから」
「や、こんくらいなら大丈夫だ。悪いな、四糸乃、よしのん」
『いいってことよー!人間は精霊より脆いからね、身体は大事にしなよ』
「お、………お大事、に………」
よしのんはともかく、四糸乃まで声をかけている。士道先輩にとっていい傾向だ。精霊としての仲間に当たる俺よか警戒を解いていないようだが、四糸乃に比較的受け入れられている。これならきっと上手く行く。グッドコミュニケーション。
「誠、後頼むわ」
「了解でーす。さあ四糸乃、よしのん。俺んち………ってか、公園来る?」
『突撃、精霊の晩御飯!なんちって!』
「お、お邪魔、します………」
俺は四糸乃と手を繋ぐと、公園に向けて歩き出す。
俺は四糸乃のおねにーさん。四糸乃が人としての生活を送れるようになるまでは、俺が四糸乃を笑わせよう。
だから先輩?風邪なんか引かないで頑張ってくださいよ?
◇
ずぶ濡れになった士道は、湯船で暖まりながら、ふと思った。
いや、気付いたと言うのが正しいか。
『
誠のあの時の台詞。
話している時は、ふざけているのかと思い気に留めていなかったが、今思えば何か不自然だった。
「別人みたいだったな………」
声そのものは誠だった。しかし、
普段は、変態だが気のいい後輩。しかし、何かある。そう直感した。琴里が危惧した通りだ。
それが、誠の経験したものから来るのか、はたまた精霊になった副作用なのかは、士道には分からない。
機会を見て、誠に聞いてみるのもアリかもしれな───────
『ふんふふんふふーーん♪』
脱衣所から、
数秒後。
士道の思考も肉体も、揃って湯船に沈んでいた。
四糸乃≠よしのんが発覚するのが早まるパターン。即落ち四糸乃。んだとオラァ!?
そして誠の闇に気付き始める士道。
精霊は、絶望せずして生まれない………!!
愉悦愉悦。