水も滴る触手精霊、始めました。   作:ジョン・ドウズ

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駆け抜けるシリアス。

押し込む勢い。

誠の能力回答編(ただし全貌の描写は先)。


Date.14「初めまして、《私》色無誠です」

「未確認の精霊?」

 

  〈フラクシナス〉艦橋、司令席に座る琴里は、令音からの報告に眉根を寄せた。何せ、今は自ら接触してきた精霊:時崎狂三の攻略に全力を注ごうとしていたタイミングだった。

 

  加えてつい先ほど、士道の妹を名乗る崇宮真那が現れた。今はDNA鑑定のために、彼女が口を付けたコップを艦に持ち込んだ所なのだ。これだけでも今日は手一杯だと言うのに、またも厄介事が舞い込んできたと言うのだから、頭が痛くなる。

 

「ああ。しかも、この天宮市を彷徨いている。今のところ目立った行動はしていないみたいだがね」

 

  報告書を気だるそうに捲る令音の目が、心なしか細く見えた。彼女も同じような気分か、と琴里は嘆息する。

 

「仕方無いわ、士道にヒイヒイ言って貰いましょ。今、その精霊はどこ?」

 

  艦橋のクルーに視線をやると、それに気付いた椎崎がコンソールを叩く。

 

「ええっ!?」

 

  そして、間抜けな声を上げた。

 

「何よ、どうかしたの?」

 

「いや、それが………今、司令のご自宅の前にいるみたいで………………」

 

「───────え"?」

 

  嫌な汗が、琴里の首筋を伝って落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんばんはーーっ!お宅にお邪魔しても良いですかーーー?勿論良いですよねーーー!」

 

「………………は、はぁ………。あの君、誰?」

 

  士道は、両手でドアノブを握り締め、ドアチェーンを粉砕しかねない力で戸を開こうとする見知らぬ少女に対抗していた。表情の上では苦笑いしているだけだが、内心は穏やかではない。今にも押し入られそうなのだ。

 

  感覚的にそろそろ夕食のハンバーグが焼き上がる頃。この少女を早い所追い返して、フライパンを見てくれている十香(多分見つめているだけ)と代わりたい。

 

  ミシミシと音を立てるドア一枚を挟んで壮絶なバトルを繰り広げていると、リビングから足音が近付いてきた。

 

「シドー!フライパンから良い匂いがしてきたぞ!そろそろ焼けたのではないか!?」

 

「くそっ、やっぱりか!取り敢えず火を止めておいてくれ!!」

 

「分かった!」

 

「ねぇ君、今は勘弁してくれない!?今から夕飯なんだ!」

 

  急かす十香の声に答えてから、最後の力を振り絞ってドアを引く。しかし、険しい顔の士道と対照的に少女は一点の曇りもない笑顔。端から相手になっていなかったと言わんばかりだ。

 

「まぁまぁ、そう焦んないで」

 

「焦るわぁ!?夕飯が懸かってるんだけど!?」

 

「じゃあ私にもご飯下さい」

 

「うえっ!?」

 

  ミシリと金属の歪む音がして、士道の手からノブの感覚が無くなる。チェーンは引き千切られ、強引にドアが開け放たれる。腕が引き抜かれるような痛みがあり、士道は手を振りつつ開けられたドアを見る。

 

  ここで初めて、少女の全身像が明らかになった。

 

  赤いチェックのベストとミニスカート。スカートのスリットからは、半透明のペチコートが覗く。純白の半袖ブラウスに黒のネクタイを通し、ハイソックスも同じく黒。艶のある焦げ茶のローファー。服の各所に透けたフリルがあしらわれ、まるで何処かのアイドルグループの衣装のようだ。

 

  目を引くのが、特徴的な髪型だ。ショッキングピンクの髪を、三つに分けている。側頭部は青色の細いリボンで腰まで届くツインテールにしているが、中程から三つ編みに編み上げている。更に後髪にも三つ編みを一本結っていて、何編みかいまいち解らない印象を受けた。

 

「こんばんは、センパイ。()()()()()()()()()()()()()

 

  少女は笑う。つり目を細め、青い瞳が士道を見上げる。その瞳に見覚えがある。まさかと思ったが、士道自身にも、何故少女をその人物と結びつけたのか分からなかった。

 

「お前………………誠、か………?」

 

  士道の口から出た言葉に、少女は顔を輝かせる。小柄な身体でぴょんと宙返りし、着地と同時にアイドルのようにポーズを決めて告げた。

 

「初めまして!!いつも《俺》がお世話になってます!!《私》が色無誠でーーっす!!」

 

  五河士道はこの日を消して忘れないだろう。

 

  気の置けない友人にして、戦友である存在の真実───────色無誠が二重人格であると知った、この日の事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

  五河家のリビングは、再び騒がしくなっていた。

 

「シドー……これが…………誠なのか?」

 

「本人曰く」

 

「ほ、本当だ!触れるぞ!」

 

「やぁだ十香、くすぐったいからぁ」

 

  真那との妹面談の時同様、テーブルを挟んでソファに腰掛ける。今回は琴里から、十香の同席許可が出ている。隣に座る誠を、十香が不思議そうに頬をつついて幻でないと確かめていた。

 

  しかし、何度言われてもしっくり来ない。見た目や身長は琴里や四糸乃と同年代程度。そもそも声音が普段の誠の声より若干高く、より『女の子』している。

 

「新しい精霊かと思えば、まさか知り合いだったとはね」

 

  琴里としては、それが解せない所だった。精霊が二種類の霊力を持つのは前例がない。仮に()()()()()、霊力自体は本人のものなのだ。

 

「んふふ、今の私は()()()()()使()()()()()からね!司令を欺けるとか私優秀!ご褒美に司令ちょうだい!抱き潰させて!にぎゃっ!?」

 

「嫌よ」

 

  テーブルを乗り越えて抱き付こうとする誠の顔面を足で受け、押し返す。

 

「いじわるぅ~~………司令のいけずぅ。女の子の顔面蹴るとかサイアクぅ」

 

「何かアンタいつもより鬱陶しいわね」

 

  鼻筋を押さえ、子供のように駄々をこねて喚く誠に毒を吐いてから、しまった、と琴里はこめかみを押さえる。ついいつもの誠の感覚で対応してしまったが、別人格である以上は相応に扱うべきだ。自身の軽薄さに内心で舌打ちした。

 

「鬱陶しいって何さ!私は可愛いんだよ!ぷんすか!私、司令のこと嫌い!何でこんなのに《俺》が惚れ込んだか全然分かんない!」

 

  案の定機嫌を損ねたらしく、頬を膨らませてそっぽを向いてしまう。普段の誠よりも何かとリアクションがオーバーだ。

 

「ま、まぁまぁ………誠、何か飲むか?いつもはアイスティーだけど、今日はどうする?」

 

  不味いと思った士道が、助け船を出す。明らかに士道達の知る誠でない。一旦誠を落ち着かせて仕切り直すべく、飲み物で和ませることにする。

 

「んーーー、んーー………ココア!ヴァンホーテンね!」

 

「コンビニ行かないと無いんだけど………」

 

「用意悪ぅ………まいっか。じゃあミルクティーで良いですよ」

 

  士道が頷いてキッチンに向かうと、今まで黙っていた十香が口を開く。その目は興味津々と言ったところで、キラキラと輝いていた。

 

「誠よ!どうやったらこんなに変身出来るのだ!?凄いな!」

 

「ふっふん!変身は《俺》の十八番なんだけどね!《私》が出てくるには、二つの条件をクリアしなくちゃいけないの」

 

  十香に素直に褒められたことで気を良くした誠が語り出す。琴里も、要らぬ茶々を入れることにならないように気を付けつつ、耳を傾ける。

 

「一つ。私の霊力が充分に溜まっていること。二つ。《俺》の意識が薄れていること。これだけよ!」

 

「霊力が溜まる?どういうことだ?」

 

  こくん、と首を傾げる十香を見て、ニヤニヤと誠が笑い出す。口許に手を当てて、目が半月を作る。

 

「えー知りたいー?知りたいのー?でもこれ企業秘密だしどーしよっかなー」

 

「む、大事な秘密なのか。では仕方無いな………誠が困るなら言わなくていいぞ」

 

  と言いつつしょんぼりする十香に、誠は目眩が来たように額を押さえて笑い転げる。

 

「無欲!十香カワイイ!だから特別に教えてあげる!」

 

  丁度帰ってきた士道からミルクティーを受け取り、ストローで一気に飲み干すと、わざわざ宙返りしてテーブルの上にダンと立つ。

 

「《私》の力は《俺》と表裏一対!《私》が『霊力剥奪』で《俺》が『霊力譲渡』なの!《俺》が闘ってる時にASTの魔力を奪ったりしてたでしょ?ああやってエネルギーを蓄積させて霊力に変換、それを私の力にするの!どう、凄いでしょ!」

 

「何だか格好良いな!」

 

  打てば響く十香にすっかり有頂天となった誠は、顔を恍惚で赤く染めて自分を抱く。十香の頭を撫でながら、士道に首を向けた。

 

「十香ホンッッットにカワイイ!センパイ、十香私にちょうだい!お茶のお礼も兼ねて、司令あげるから!」

 

「おいおい、人をモノ扱いするなよ」

 

  士道が苦笑しながら返す。

 

 

 

 

 

 

  ───────突然、誠が凍ったように動かなくなる。

 

  そして、笑顔の形でありながら、目に光の無い、底冷えのする表情を浮かべて、告げる。

 

「センパイ。()()()()()()()()()()()()()()()

 

  身を屈め、士道の目線にわざわざ目の高さを合わせてくる。瞳の中には、無限の闇が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「《俺》は人間(トモダチ)が好き。だけど《私》は愛玩動物(オモチャ)が好き。言うこと聞かないガラクタなら、要らないから壊しちゃうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まこ、と………………?」

 

  誠の背後で、十香の呆然とする声が聞こえた。士道も、本当は喉から友の名が出かかっていた。だが、()()()()()()()()()という直感が恐怖を呼び起こし、口を震えながら開閉させただけになる。

 

  琴里もまた戦慄していたが、司令としての冷静さが状況を客観的に分析する。やはり、誠の中にあった闇は、深刻なものだ。しかも、人格が別れているために対処しづらい。普段の様子からするに、《俺》の時の誠は《私》を認識出来ておらず、逆に《私》は《俺》の意識や記憶を一方的に共有している。《私》への対応が後手に回りやすいのだ。

 

  緊迫した状況を打開する方法を練っていると、不意に空間震警報が鳴り響く。

 

「兄様ぁーーッ!!」

 

  同時に、ASTのものとは別のワイヤリングスーツに身を包んだ真那が、窓を突き破り五河家のリビングに飛び込んできた。

 

「真那!?何だよその格好は!?」

 

「兄様、詮索は後で。今は早く逃げやがりませ!それは人間じゃねーんです!」

 

  両手で光の刃を構え、誠に向かって斬りかかる。瞬時に反応した誠は、両手でその刃を掴む。

 

「同時片手真剣白羽取り、かな?」

 

  誠の顔が喜悦に歪む。()()()()()()()()、と。対して、真那は驚愕していた。

 

「───────速い…………!!」

 

()()()と私を一緒にしちゃダメだよ。次は私の番──────」

 

「やらせない」

 

  誠がニイィと口角を吊り上げ、真那に手を出そうとしたタイミングで、誠の背後の窓を切り裂き折紙が現れる。躊躇いなくレイザーブレイドを振るい、それを誠と知らずに仕留めようとする。

 

「あはっ、いい殺気。折紙センパイかぁ」

 

  しかし誠は顔すら向けずに左足で刃を受け止める。まるでバレエのポーズのような格好だが、魔術師二人に挟まれているとは思えない程に微動だにしない。寧ろ、押している筈の二人が冷や汗をかいていた。

 

「CR-ユニットの出力が下がっている!?お前がやっていやがるのですか!?」

 

「馬鹿な………これは、誠の能力………!?」

 

  そこに、新たな人影が接近する。前髪をカチューシャで上げた女性隊員と日焼けしたショートカットの女性隊員が、レイザーブレイドを手に猛進してきたのだ。

 

「折紙、手伝うわ!」

 

「仲間をやらせるかぁぁぁーーっ!!」

 

  誠の手数を超えた攻撃。しかし、誠は前髪カチューシャの隊員を認めると、真那や折紙を弾き飛ばして姿を消す。

 

「仲間想いってステキだね。でも、()()()?」

 

「え?───────おぐぇ!?」

 

  一瞬で距離を詰め、日焼けした隊員を随意領域ごと掴んで窓の外に放り投げる。ブロック塀に叩き付けられた仲間に気を取られた前髪カチューシャの隊員の腹部に、自身の膝をめり込ませる。目を見開いて苦悶する彼女の髪を掴んで持ち上げると、ぎゅうと抱き締め、彼女の唇に自身の唇を重ねる。

 

()()()()()()()()()()()()()()。今から躾をしてあげるね。んちゅぅ─────」

 

「んむぅ!?むーーーっ!?むーーーーー!?ん。ん…………?ん…………」

 

  身を捩って抵抗していた隊員だったが、徐々に抵抗が弱々しくなる。瞳が微睡むように焦点を失い、やがて自ら求めるように誠を抱き返す。

 

「んはぁ………玩具作りかんりょーー!」

 

  誠が唇を離し、彼女を解放する。弄ばれた少女は、すとんと床に崩れ落ちる。しかし彼女は、誠の脚を抱くようにしなだれかかると、恍惚の表情で見上げていた。

 

「あっ、や、やだぁ、もっとぉ………お願いしますぅうう!!」

 

  その光景に、一同が絶句する。前髪カチューシャの隊員は、誠に顎の下を擽られて、猫のようにされるがままになっていた。

 

「私、こういう娘が好きなの」

 

「人を………人をモノ扱いしやがるんじゃあねーです!!」

 

  激昂した真那が、肩のパーツから光線を放つ。誠は避けない。着弾した光線は誠に傷一つ付けず、吸収された。

 

「………な、何と………………」

 

「真那………だっけ。ウザいね」

 

  誠は自分が作り替えた隊員のレイザーブレイドを拾い上げると、自身の霊力を流し込んで無理矢理刃を生じさせる。先の攻撃が通らなかったことで怯んだ真那と折紙が、得物を構えつつ一歩引いた。

 

「精霊の恐怖を忘れた人間に、思い出させてあげる。私は()()()()。モノよりも人を壊すことに長ける!」

 

  笑いながら二人に飛び掛かり、レイザーブレイドを振るう。真那は寸での所で回避したが、折紙は位置的に逃げ場が無く、やむ無く打ち合わせるようにレイザーブレイドを振るう。

 

  しかし、折紙のレイザーブレイドの、魔力の刃が両断される。

 

「な………」

 

「鈍亀さぁぁん、あっちいってようねぇぇーーーーッ!!」

 

  予想外の事態に思考が止まった折紙は、誠の蹴りを捉えることも出来ずに直撃。家の外に転がされて気を失う。

 

「鳶一一曹!?」

 

「余所見したらァ、死んじゃうよぉぉおおおおーーーーッ???」

 

  真那が、倒れた折紙に目を向けた。その刹那。

 

「え」

 

  視界がぶれ、次の瞬間には、夜空を見上げていた。

 

「あ、れ」

 

  それが、蹴り飛ばされて十数件の民家を貫通し、崩壊した家屋の中に寝ていたのだと理解したのは、真那の元に救援のASTメンバーが来た時─────全てが終わった後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  一夜が明けた。

 

  士道は、未だに昨日のことが信じられない………いや、夢であって欲しいと思っていた。

 

  部屋から出て、リビングに向かう。

 

  ソファーの上では、金髪の美少女がだらしない寝顔を晒していた。

 

 

 

 

 

  昨日。

 

  真那と折紙を倒した誠は、止めを刺そうと考えたのか、レイザーブレイドを指で回しながら家の外に出ようとした。

 

「誠」

 

  それを止めたのは、琴里だった。

 

()()()()()、誠」

 

「はぁ?司令何言ってんの?」

 

  振り向いた誠は、レイザーブレイドを突き付けて笑顔を作る。士道の肝が冷えたが、琴里は全く怯まない。

 

()()()()()()()()()()。私の良く知るバカに言ってんのよ」

 

「────────!?」

 

  誠の眉が険しくなる。痛い所を突かれたと言わんばかりだ。その反応に、今度は琴里が笑った。

 

「アンタが出てこれる条件────二つ目は、《俺》の意識が薄いこと、だったわよね。ハッ!つまり、()()()()()()()()()()()()()()、アンタは引っ込むしかない。そうでしょ?」

 

「────けど、司令が呼んだからと言って出てくるとか、有り得ないし!」

 

  地団駄を踏み、必死に反論する誠。過剰に反応する癖が、今は誠自身の内心をさらけ出していた。

 

「そうね。言ってみただけだし。でもその割には………余裕、無さそうだけど?」

 

「ぐ、ぐ…………」

 

  確信を得た琴里は、司令官モードの凛とした声を張り上げる。

 

()()()()()、起きなさい誠!!望むなら、椅子でも机でも何でもやらせてあげるわ!!」

 

()()()()()()!?───ああ、違う、()()()()()()()()()!!寝てろ!!あ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ─────────ッ!!!!!!」

 

  誠の声に()()()()()の声が混ざりだし、頭を抱えて苦しみ始める。レイザーブレイドを取り落とし、脚にすがり付く女性隊員を引き剥がして吠え狂う。

 

「オマエ、オマエがぁ……私の言うこと聞かない癖にぃ……………!!」

 

「生憎だけど、私は言うこと()()()()側だから」

 

()()()()!黙れチンチクリン!私が一番なんだ、私が女の子を幸せにするんだ!くそっ、くそっ、くそっ!?ここまでか!!忘れないぞ五河琴里!オマエは必ず侍らせてやる!!()()()()()()()()()()()()ウルサイっ!!」

 

  ミシミシと空気が軋み、音を立てる。髪を掻きむしり、整った顔立ちを歪め、目を血走らせた誠には、鬼気迫るものがあった。

 

「私は俺だ、俺は私だ!なのに何故コイツに縛られたがる!!何故耐えるの!?解らないよ!!私は、嫌だァ!!!!」 

 

  琴里を呪わんとするかのような視線で睨んだのを最後に、誠が突然弾けて水になった。

 

  水は独りでに集まっていき、見慣れた高身長の女性の寝姿を作り上げる。成形が終わると色付き、士道の良く知る誠が出来上がる。

 

「しれぇーー………ふひひっ………」

 

  というか、寝ていた。

 

 

 

 

  そのまま放っておくのも悪いので、十香の手を借りてソファーに寝かせたのが、昨夜の出来事の結末だ。

 

  余りに唐突、そして後味の悪い幕引き。

 

  士道は、どちらの誠が本物なのか、気になってしまった。

 

  《俺》なのか、《私》なのか。

 

  本当は、どちらも本物なのだろう。けれど、余りにも違い過ぎて、そう思ってしまった。

 

  士道の中に芽生えた、誠への………ひいては、精霊への恐怖。

 

  万全でないコンディションのまま、士道は狂三攻略へと向かうことになる。

 

 

 

 

 

 




誠(悪落ちver.)
天使どころか霊装使わずにASTフルボッコ。

普段はバインバイン、グレるとロリっ娘。

様々なニーズに対応可能。


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