艦隊これくしょん ー夕霞たなびく水平線ー   作:柊ゆう

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いつも読みに来てくださいまして、ありがとうございます!

それでは、今回も少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。


表と裏

 変わり果ててしまった自室だった筈の空間を横目に通り過ぎて、今回の敵艦載機墜落による被害が最も大きかったという執務室へと、彼方はやってきていた。

 

 霞達の入渠が完了し、潮が無事に目を覚ましたことで漸く一定の落ち着きを取り戻すことが出来た彼方は、早急にこの鎮守府の被害状況の確認と、今回の戦闘の報告を上官である楓にしなくてはならなかったからだ。

 

 しかし今の彼方の手元にあるのは、艦娘との音声通信に使用する通信機一つだけ。

 長距離のデータ通信や戦闘ログの管理を担っていた装置は、全て執務室に配備されていた。

 そのために、少しでも無事な機材がないかと彼方自らの足で探しに来てみたのだが……。

 

 

 

「……部屋って言えるほどの原形も留めていない、か」

 

 実際にやって来てこの目で見てみれば、確かに神通から聞いていた通りの酷い有り様である。

 見渡す限りの瓦礫の山、山、山だ。

 火災は妖精達によってすぐに消し止められ、崩落の危険性がある箇所の補修は既に行われていたために、鎮守府の建屋その物が大事に至るような損害ではなかったのだが、その際に邪魔になった瓦礫が一ヶ所に集められていたことで、その山一つ一つが彼方の身長を越えるほどの大きな山となっていた。

 

 これでは目的の装置がどこにあるのか、そして仮に見つけたとしてそれが目的の装置であるのかなど、彼方では到底わかるはずもないし、仮にわかったとしても起動することは出来ないだろう。

 

「参ったな……なんて、大鳳の前では口が裂けても言えないけど……」

 

 だが、実際困ったことになってしまった。

 

 戦闘ログがなければ、彼方が今回戦った姫級の存在も、証明することが出来ない。

 

 姫級は彼方達人類にとっても、霞達艦娘にとっても、非常に大きな脅威だ。

 姫級が彼方の前に姿を現した以上、今後は彼方以外の提督の前にも彼女達が現れるようになる可能性は高い。

 

 本当に彼方が最初かどうかはわからないが、実際に姫級に遭遇した提督として、彼方にはその存在を公にし、その危険性を周知させる責任がある。

 

 

 

「……まさか、姫級が自分達の情報抹消を狙ってここに?」

 

 あり得ない話ではない、のだろうか。

 

 

 

 存在は噂されているのに、姫級の存在が確定していないのは、確たる証拠がないからだ。

 

 今まで姫級と戦った提督や艦娘の悉くが敗れてきていたのならば――

 

「……ん?」

 

 目の端にチラリと白い何かが翻る。

 

 彼方が近づいて見てみると、そこには瓦礫に挟まれて、端の方が少し焦げついた小さな白い布がはためいていた。

 

「これは……」

 

 執務室内にはこんな布はなかった筈だ。

 彼方は辺りを見回してみるが、この布の切れ端は他にはどこにも見当たらなかった。

 代わりに見つけたのは――ぽっかりと口を開けた――妖精達によって造られた装置を仕舞っておくための金庫だった。

 艦娘にすら破壊できないと言われていた金庫なのだが、どうやらそれは誇大広告だったらしい。中身は完全にもぬけの殻となってしまっていた。

 命あっての何とやらとは言うものの、流石にこの状況に彼方は途方に暮れるより他ない。

 

 これで、本当に彼方と霞達がその目で見たものを楓に報告するしかなくなってしまった。

 例え信憑性を裏づけてくれるデータが何一つなくとも、楓は信じてくれるかもしれない。

 しかしその()はどうかと言われると、答えは恐らく否。

 それどころか、鎮守府を襲撃されるという失態を誤魔化すために、自らの手柄を過剰に大きく見せようと大法螺を吹いている等と揶揄され、彼方だけではなく楓までもが恥をかくことになりかねない。

 

 とは言え、今回の件は彼方達の胸の内に仕舞っておくにはあまりにも人類にとって危険過ぎる情報だ。

 結局は楓に相談するしかないだろうと結論付けた彼方は、執務室だった場所を後にした。

 

 

 

 

 

「提督、どうでしたか? 何か見つけることができました?」

「神通。君の言う通り、あの部屋にはもう瓦礫とガラクタしか残されてなかったよ」

 

 彼方は、彼方の艦娘達の待つ食堂へと戻ってきた。

 

 鎮守府の司令部としての機能が失われてしまっている今、そして既にこの西方海域の解放を終えている今。

 

 彼方の艦娘達は、有り体に言えば暇だったのだ。

 そのため特にやることがない限りは、こうして食堂へと集まって待機をしてもらうことになっている。

 

 彼方が肩を落として答えるのを見て、問いかけた神通だけではなく、その場に集まっていた艦娘皆が彼方を気遣わしげに見遣る。

 今この場には、潮と潮についている吹雪を除く全員が座っていた。

 

「じゃあ、やっぱり姫級の事は楓に直接私達の口で報告するしかないって訳ね……」

 

 普段よりも些か力ない声で霞が呟く。

 霞も自分達に課せられた責任の重大さを十分に理解した上で、その責任を果たすことの難しさに頭を悩ませているのだろう。

 

「ですが、ここまで姫級は存在しないと軍が断言している状況で、私達が口でいくら言ったって……」

「ええ。……とてもじゃないけど、信じてなんかもらえないわね」

 

 鹿島が溢すと、霞がそれを肯定する。

 二人も彼方が考えていたことを同じことを考えていたようだ。

 

 やはり、証拠がなければどうやっても信じてもらうことは出来ないかもしれない。

 

 

 

「あぁ、そういえば。提督、鎮守府の補修を終えた妖精達が、西方海域に結界を設置しに出かけて行きました。これが完了すれば、正式に西方海域の解放となります」

 

 思い出したように、というよりはこの場の雰囲気を変えるために神通が彼方に報告をしてきた。

 

「結界?」

 

 彼方は耳慣れないその単語に首をかしげる。

 結界というと、神社やお寺等の中と外を区別していたりする境のようなもの……だっただろうか?

 

「はい。私達艦娘と人間が支配する海域と、深海棲艦の支配する海域とを、明確に区別する不可視の壁のようなものです。この結界があって初めて、海域の解放が成ったということになります。これがなければ、すぐにまた強い深海棲艦が私達の海域に入り込んできてしまいますから」

「……そうなのか。うん、ありがとう。神通」

 

 彼方は説明をしてくれた神通に礼を言って頷くが、その説明にほんの僅かな違和感を覚え、席に座ろうとしていた動きを止めた。

 

 

 

「……えっと、神通。深海棲艦達は自分達が支配している海域に結界を張っていないのかい?」

「えっ?」

 

 彼方の質問に、神通は虚を突かれたように目を丸くし、瞬かせる。

 どうやら彼方の質問は、全くの予想外だったらしい。

 

「カナタ、何言ってるのよ。深海棲艦は『何処からともなく深海から浮き上がってくる化け物』でしょう? そんなことする訳ないじゃない」

 

 ビスマルクが返す指摘に、多くの艦娘達も頷いている。

 

「……彼方?」

 

 霞が何故か不安げに彼方を見つめている。

 彼方は自分のふとした質問に、どうしてここまで霞の不安げな反応が返ってくるのか、全く理解できなかった。

 

(深海棲艦と艦娘は、全くの別物……? 本当にそうなのか? だったらあの吹雪は一体……)

 

「敵側にいた、吹雪ちゃんに似た深海棲艦のこと……ですよね?」

「……あっ……その、ごめんなさい。カナタ」

 

 彼方が何を考えていたのか、あの場にいた鹿島はいち早く察することが出来ていた。

 ビスマルクも遅れてその事に気づき、彼方に謝罪する。

 

「いや、そんな。ビスマルクが謝るような事じゃないよ。ただ……」

 

 

 

 ただ。

 

 

 

 ただ、あの深海棲艦は吹雪に似ていた(・・・・)んじゃない。

 彼女は間違いなく吹雪だったのだ。

 

「鹿島。君には彼女はどう見えた?」

「………………。私には、吹雪ちゃんによく似た……ですけど、全く違う異形の化け物に見えました」

 

 鹿島は少しだけ逡巡する素振りを見せながらも、はっきりと断言した。彼女を化け物だと。

 その瞳には、彼方に何かを訴えかけているようだ。

 いや、彼方にもそう(・・)見て欲しい、見るべきだということか。

 

「アレは確かに吹雪ちゃんによく似ていました。ですけど、吹雪ちゃんは今鎮守府(ここ)にいるじゃないですか! どうして彼方くんがそこまであの深海棲艦の事を気にするのか、私にはわかりません……」

 

 顔を俯けた鹿島の表情は、彼方には窺い知ることは出来ないが、少なくとも彼方や艦娘の(・・・)吹雪の事を想って悲しんでくれている事は間違いではないだろう。

 彼方は鹿島にそこまでの心配をかけてしまっていることに申し訳ない気持ちで一杯になるが、彼方はそれでもどうしてもあの深海棲艦の吹雪が彼方の知っている吹雪と同一人物であるように思えてならない。

 

「……ですが。あの深海棲艦からは、感情が……提督への強い想いがあったことは、確かだったと思います」

 

 他の艦娘達が深海棲艦が化け物だと断じていた中、一人考え込むように黙りこんでいた大鳳が言葉を発する。

 

「少なくとも彼女の提督に対する想いにだけは、嘘偽りはなかった。……ですが私達の敵か味方かで言ってしまえば、間違いなく敵だと断言できます」

 

 大鳳は鹿島と違い、深海棲艦の吹雪が吹雪本人だという可能性もあることを認めたが、それでも深海棲艦である以上はどうあっても敵である、という意見のようだ。

 

 

 

「……彼方は、その深海棲艦がもし本当に吹雪だったのなら、どうしたいの?」

 

 霞が、すがるように見上げてくる。

 

 

 

「僕は――」

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

『……で、これはどう言うことだ。シマカゼ? 私はイセを姫級として迎えるつもりだったのだが』

 

『うーん、だって。この子の方がずっと速そうだったから……じゃ、ダメですか?』

 

『……確かに結界の強さは認めるがな。だが、彼女は『艦の記憶』が少なすぎる。そのために呼び出せる仲間達も皆傷ついた者達ばかりだ』

 

『でもでも、あっちの艦娘モドキを三つもあとちょっとで沈められそうなところまで追い詰めたんですよ?』

 

『……三隻か。しかも内一隻は装甲空母だったな。……初陣でその戦果は大したものだ。欲を言えば相手を沈めてこその戦果と言いたいところだが……』

 

『でしょでしょ?』

 

 

 

 ……ああ、うるさい。

 私の頭上で何をごちゃごちゃと話しているのよ。

 

 

 

 私は彼方君を連れていこうとして、失敗した。

 ナガトとか言うヤツが私を認めなければ、私はもう彼方君に会うことも出来ずこのまま――

 

『あ、カスミ起きたの?』

『ようやくか。一度に力を使いすぎたな』

 

 目を開けてみれば、私を二人の深海棲艦が覗き込んでいた。

 一人はすぐにわかった。シマカゼだ。

 だとすれば、もう一人が……

 

『アンタがナガトなの?』

『そうだ。私はナガトという。よろしく頼む』

 

 簡潔に、私やシマカゼからすれば大人びて女性的な特徴が際立っている深海棲艦は首を縦に振ってそう答えた。

 側に控えているのはナガトの艤装だろう。恐ろしい程に屈強な体躯をした艤装が立っている。

 

 

 

『……で、私から姫の因子を取り上げに来たのかしら?』

 

 そう問いかけた私の瞳を、ナガトは真っ直ぐと見返してくる。

 恐らく私の真意を計っているのだ。

 私の内にあるのが、恭順か……叛逆か。

 

『……ふむ。貴様、自分では私に勝てないとわかっているな?』

『っ……。それが何よ』

 

 そんなことは、言われなくてもわかっている。

 私の艤装と言えるものは、この左腕だけ。

 私の海を広げたところで、同じ深海棲艦であるこいつには通用しない。

 

 つまりどうあっても、私に勝ち目はない。

 

 私は苛立ちを隠すことなく、ナガトに叩きつけるように宣言した。

 

『……それでも、私は諦めない! 彼方君を手に入れるまでは、私は死ぬわけにはいかないのよ!』

 

 せめて声だけは精一杯張り上げる。

 気持ちだけは、負けない。

 

『早とちりするな。私は別に貴様から姫の因子を奪い取るつもりはない』

 

 いつでも飛びかかれるよう構えたところで、ナガトから思いもよらない言葉が飛び出してきた。

 

『……どういうことなの?』

 

 私は今回、誰も艦娘モドキを沈めることが出来なかった。

 だというのに、私から姫の因子を奪わないとは。

 

『不服か? 勘違いしないように言っておくが、別に貴様のために生かしてやる訳ではない。純粋に貴様の存在が深海棲艦(私達)にとって有益だから生かしておくというだけだ』

『そうそう。カスミはとっても強かったよ!』

 

 ナガトの言葉に続き、シマカゼもその身を大きく乗り出して私を称賛してくれていた。

 

『……そう。なら、私はまだ彼方君を手に入れるチャンスがあるのね』

 

 私は二人が私の力を認めてくれたという事実を喜ぶこともなく、頭に浮かんできた大切な人の顔だった。

 

 私の愛しい、私の光。

 

 

 

『……朝霧、カナタか。……ふむ』

『私アイツ嫌ーい! だってアイツ――』

 

 ナガトの初めて見せる不可思議な表情と、シマカゼの嫌悪感を露にした表情。

 

 それは、私からしてみれば全く理解できない反応だ。

 

 あれほど眩しい力に溢れた人はいない。

 私を深い闇から救いだしてくれる、私の希望。

 

 それが、あの――アサギリ彼方……彼方君だっていうのに。

 

 

 

 ……だから、私は続けてシマカゼの口から飛び出してきた言葉が、信じられなかった。

 

 

 

 信じたくは、なかったのだ。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

『……その話、信じていいのね?』

「はい、鎮守府襲撃の際にデータは全て失われてしまいましたが……紛れもない事実です。僕達は姫級と交戦しました」

 

 そう、と――溜め息混じりに溢れた相槌を最後に、楓の口が閉ざされた。

 

 

 

 海域に結界を無事に張ることができた妖精達は、次に通信設備の復旧に当たってくれたのだ。

 休む間もなく献身的に働き続けてくれている妖精達には、本当に頭が下がる思いだが、機密が過ぎるこの話題を楓とするためには、一般の電話回線は使うことは出来ない。

 

 ここでも妖精の技術がもたらしてくれる暗号通信技術が必要となってしまっていた。

 

『確かに、西方海域の解放はこちらでも確認できているわ。神通もついていてそんな虚偽の報告をしようだなんて馬鹿な事は考えない筈だし。……しかし、だとしたらとんでもない爆弾を持ってきてくれたものね……』

「すみません。まさか僕もこんなことになるとは……」

 

 秘匿回線とは言え、軍の内部の誰が聞いているかわからない。

 吹雪の顔をした深海棲艦の話等は伏せ、重要な点のみを伝えたのだが、どうやら楓もその内容の荒唐無稽ぶりに頭を抱えているようだった。

 

 

 

『別に貴方の所為ではないわ。知っているでしょう? ――姫級はどこに現れるかわからない』

 

 

 

 だから、貴方の前に現れたのは、貴方の運が悪かったってだけよ。

 

 

 

『……でも、そんな冗談みたいな中で全員無事に生き残っていてくれた(・・・)のね……』

「えっ?」

 

 彼方は楓の漏らした言葉に驚き、ついつい聞き返してしまった。

 

 普段厳格で辛辣な印象すらある楓の口から、心から彼方達全員の生還を喜んでくれていなくては出てこないような言葉が出てきたことに、驚いてしまったのだった。

 

『……え、って何よ? 私の大切な友人や弟みたいに思ってる奴が生きていてくれて、私が喜ぶのは可笑しいかしら?』

「お、弟……ですか?」

 

 

 

『………………何かしら?』

 

 

 

「いえ、あの……楓さんは、てっきり僕の事はあんまり――」

『確かに面白くなかった時期はある。それは否定しないわ。お爺様は私よりも貴方の方に期待を寄せていらしたしね。……だけど、戦場と鎮守府の往復を繰り返していた当時の私にとっては、提督でもないただの子供の貴方は唯一日常を思い出させてくれる存在でもあったのよ』

 

 ここにきて、楓から初めての事実を聞かされてしまった。

 樫木提督が病気で亡くなってしまってからは、彼方の後見人を押し付けられ、戦場からは遠ざけられ、楓は随分と窮屈な思いを続けていたのだと彼方は思っている。

 

 楓の中に自分の事を良く思っていない部分も多くあったと思っていた彼方は、普段から心苦しさを感じ続けていたのだ。

 

『……だから、貴方が提督として立派に責務を果たしてくれたことを、私は誇りに思っているわ』

「楓さん……ありがとうございます」

 

 彼方は胸の奥が熱くなる思いで、楓に通信機越しではあるものの、頭を下げた。

 

 楓に貰えたその言葉で、彼方はようやく自分が一つの修羅場を潜り抜け、一人前の提督になれたように思える。

 

 これから、彼方はさらに力をつけなくてはならないのだ。

 

 

 

 彼方は鎮守府の皆に宣言したのだから。

 

 

 

「楓さん。僕は……僕は姫級と戦います」

 

 

 

(……必ず僕がこの手で吹雪を取り戻すんだ!)

 

 

 

 姫級と戦うということに嘘はない。

 あの吹雪は言葉だけでは止まらないだろう。

 

 それは彼方もわかっている。

 

 何せ深海棲艦と艦娘は相容れない存在だ。

 決して混じることのない水と油のように。

 

 だが。それは恐らく、艦娘と深海棲艦が『表裏一体』の存在だからなのだ。

 

 深海棲艦の吹雪と、艦娘の吹雪。

 

 そのどちらもが彼方の知る吹雪であるのならば。

 

 それは深海棲艦と艦娘が、元を辿れば同じ存在なのだという結論に辿り着く。

 

 

 

 艦娘と繋がることが出来る彼方なら。

 深海棲艦の持つ怨嗟を断ち切ることが出来たのならば、或いは深海棲艦とも繋がることが出来るのではないか。

 

 それがどれだけ難しいのか。それともそもそも不可能なのか。

 それは彼方にはわからない。

 

 それが本当に鎮守府の皆に命懸けでやってもらわなくてはならないことなのかと、自問自答しても即答できる問題でもない。

 

 だが、あの(・・)吹雪は彼方に助けを求めていた。

 だから彼方は自分に出来る、ありとあらゆる手を尽くして彼女を救い出さなくてはならないのだ。

 

 それが彼方の、彼方の提督としての――

 

 

 

 

 

『――ダメよ。貴方達は直ちに私の所に戻って来なさい。これは命令よ、いいわね?』

 

 

 

「……はい」




ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました!

また次回も読みに来ていただけましたら嬉しいです。

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