赤鬼転生記~異世界召喚・呼び出された赤鬼は聖剣と魔剣を持っていない~   作:コントラス

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遅くなって申し訳ないです。
今話、めっちゃ短いです。


第五十五鬼

 ふわふわと不可思議な感覚を味わう。水中にいるような感じだろうか。

 どうも身体と空間との境界線が曖昧で、自分の状況が上手く掴めない。

 そうプラチナブロンドの少女――メアは首を傾げた。その行動すら曖昧で、感覚としてしたつもりでも違和感が残り、むず痒さに身体をよじる。

 

 

(……ここ、どこ……?)

 

 

 目蓋を開けているはずなのに何も見えない。

 真っ暗な空間にメアはいた。

 声を出したはずが音にならず、口を動かしたかさえも曖昧だが、メアの声は確かに彼女自身に聞こえた。耳ではなく、脳に反響するように声が響いた。

 何が起きたのか考える。

 

 

(……コーイチ、助けた……?)

 

 

 こくりと小首を傾げて記憶を遡ってみれば、そんな気がしないでもなかった。

 ただ、メアは自分が死んだわけではなさそうなことは感覚的に理解できていた。

 

 

――メアっ!

 

 

 記憶を辿っていると、この場にはいない男の声が反響した。焦燥感と悔しさの混じった自分を呼ぶ声だ。

 自分を敗北に導いた青年――宏壱だ。

 そして続く言葉は……。

 

 

――俺の大事な⋯⋯妹だ

 

 

 その言葉は、メアにとっては自分と宏壱の関係を形作る大事なものだった。

 メアはずっと考えていた。ラハヤ村で宏壱以外の人間と触れ合い、言葉を交わしたその瞬間からずっと。宏壱と自分の関係を。

 村に住む自分と背格好のよく似た少女達には家族がいた。それは父や兄、弟、祖父、叔父、呼び方は互いの関係性で変わる。

 では自分と宏壱はどうか? 父ではないだろう。年齢云々以前に、育ててもらっているという認識はない。

 祖父は論外として、叔父では関係性が遠い気がする。

 弟と見るにはやはり背や年齢で無理があるし、それでは頭を撫でてくれることもなくなってしまうだろう。

 兄と妹……そんな関係性がしっくりくるのかもしれない。

 

 メアは一人、この不可思議な空間で納得したように頷く。

 

 

(……?)

 

 

 ふと疑問に思う。兄であったとして、呼び名はなんだろう? と。

 兄だけではどうも簡素で味気ない。

 

 

(……おにぃ……?)

 

 

 村の娘達は一様に同じ呼び方をしていた。

 

 

(……おにぃ……おにぃ……?)

 

 

 もう少し長かった気がする。そう思い、メアは何度も言葉を繰り返してみるが、思い出せない。

 

 

(……おにぃ……)

 

 

 じっくり考えてもやはり思い出せず、メアは諦めた。

 何度も同じ言葉を繰り返し反響させる。“おにぃ”と声を掛けるとどんな反応を示すのか、メアは眼を覚ましたときの楽しみができたと変化の少ない表情筋を動かし、微かに笑んだ。

 

 忘れぬようにメアは繰り返し“おにぃ”と口にする。……と言っても、相も変わらず音にはならず、脳に直接反響するような感覚だが。

 

 

(……?)

 

 

 不意に景色が一変する。暗闇だった眼前には淡く青色に光る洞窟の中の光景が広がっていた。

 光源は洞窟の至るところに埋まった石である。“発光石”と呼ばれるそれは、洞窟型のダンジョンが瘴気によって産み出した自然発光する石だ。

 その洞窟の中に横たわる黒髪の青年の姿を認めると、メアは近付こうと足を動かす。が、思ったように進まない。

 それどころか、視線は捉えた青年からくるっと反転して地面に向かい、仕舞いには逆さまで反対側を見ていた。

 

 

(……?)

 

 

 訳もわからず小首を傾げていると、低音で重々しい声が響く。

 

 

――メガベアー、メガベアーねー。……んっと、縮めてメア、でどうだ?

 

 

 グニャリと視界が歪むと、視線は元の場所に戻り、青年とプラチナブロンドの少女が向かい合っているのが見える。

 それは彼女が“メア”になった瞬間とも言える場面だった。

 そこから場面は流れていく。洞窟をさ迷い、魔物を打ち倒し、水に流され、村の女性に拾われる。

 村人と触れ合い、青年と旅をして辺境都市・グスピカルで冒険者になり、依頼をこなす。

 

 映画の上映を、臨場感たっぷりに間近で見ているようなものだった。

 出会いや別れ、魔物との戦い、行き着く先は……。

 

 

――メアっ!

 

 

 叫び声の後に青年は腹部を【ウィンドウボール】で打たれて吹き飛ぶ。

 そうして視点は移り変わり、意識を闇に伏すまで映像は続き、唐突に終わりを迎えて真っ暗闇に戻る。

 

 そして、また物語は繰り返される。

 宏壱との出会い、ラハヤ村でのこと、旅、冒険者になって依頼もこなした。最後はダークエルフに拐われ、瘴気を抜かれる。そこまでがワンセットだ。

 

 三度、四度と繰り返されるそれをメアは飽きもせず、ただじっと見ていた。

 五度目を待っていたメアだが、映像が暗転してから一向に始まる気配がない。

 

 

(……?)

 

 

 首を傾げていると、前方に光が差した。直感で出口だと認識したメアは、さっきまでは動かしても移動することのできなかった足を前へ出す。

 しっかりと足裏に踏み締める感触が返ってくる。二歩目を踏み出せば当然身体は前に進む。

 光が少し近くなったようだ。そのまま足を進め、遂には眼前一杯に光が広がった。

 そこでメアの意識は光から闇へ暗転した。




…………11回だ。

何の数字かって? 小説のデータ(今話)が消えた回数だよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!! 何やねんチクショウッ!! 朝起きたらスマホの電源落ちとるとか、ありえへんやろっ! 兆候もなしやでっ! 起きて書こう思たら六千字の小説が綺麗さっぱりあらへんってなんでや!?

オホン、取り乱しました。失礼。
いやほんと、起きたら電源落ちてたんですよね。まぁ、保存してなかった自分も悪いんですけど、充電器に刺さってたのに充電されていないという……。
充電器を買い換えてみてもダメだったんで、あ、これはスマホか。と思い至り、修理に出すことに。
それも一月と半月前の話しですけど。書き直しては電源落ちでデータが消されと、攻防が続いたのです。充電率が遅くて、十時間充電して40%ってなんですのん?
しかも、50%あっても十分くらいで10%になってそこから数秒で落ちるし……。
8回くらいデータ消されてから、修理出してからにしよ……。と相成ったわけであります。(残り3回は修理が返ってきてから、間違えて消してしまいました)
ただ、最初に書いたクオリティが出せず、中身のないすっからかんになったことをお許しください。
どうも、同じ内容が書けないんですよ。その時パッと思い浮かんだ台詞を書いても、二度目はないんです。どうしても思い出せないんですよ。
今回の話だって、もっとメアの思い的なものを描写できたんですけど、思い出せなくて、もういいやって、諦めた結果、クオリティが底辺にまで落ち込んで……。
やる気が起きぬまま一月以上……もうすぐ二月です。取り敢えず新話、投稿しました。

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