インフィニット・ストラトス 白き流星   作:朱羽総長

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学校の勉強合宿から帰還。
受験勉強始めなきゃなぁ、と思いながら撮っていたUCを観て書いてました。
それと、感想でも言いましたが9巻買ってないんですよね。
よって会長の遠距離兵器知りませんでした。
この先の話でなんとか補填します。
あと、オリ技、変な現象が出てくるかもしれないのでご注意ください

長々とすみませんでした。それではvs会長戦、中編を
どうぞ!


赤き獣

 

「?」

 

 楯無は不思議に思っていた。

 水月とは、ウォーターカッターの原理で対象を斬る技。

 それの直撃で発生した煙。

 地上ならともかく空中で、それも切断系の技くらい煙が発生するなど、武器を破壊することで起こる爆煙くらいしかないだろう。

 しかし、彼は武器を持っていなかった。

 なら、これは…?

 肩のアーマーでも斬ったのだろうか。

 そんな1秒にも満たない思考をしていた頭はあることに気づいた。

 

(違う…これは、水蒸気?)

 

 煙の晴れた先、そこにはピンクの正方形の膜によって守られたユニコーンの姿があった。

 膜の四隅は円盤のようなものが浮いており、その中心からその膜は発生していた。

 

「ビームシールド…?」

「あぁ」

 

 思わず口からこぼれた言葉に、返事が返ってきた。

 

「これがフォートレスのホントのメイン武装。『ディスク・アームズ』」

 

 ビームシールドを解除し、結人の周りを漂う円盤。

 ビームシールドとわかり、楯無の疑問は解消された。

 水月はナノマシンが混ざってるものの、ただの水の塊だ。

 それが高熱のビームシールドにぶつかり、蒸発したのだろう。

 

「アームズSB、RB装着!」

 

 円盤二枚が、ユニコーンに接続される。場所は本来ビームトンファーがある場所だ。さっきまで接続されてたガトリングとキャノンは壊された時に、パージしている。

 接続された円盤は、表面が展開し盾のようになった。

 さらに、手首の方へ刃が出現した。

 

「続いて、RC、PC展開」

 

 残りの二枚は、同じように表面が展開し刃の代わりに砲口が現れた。

 二つとも形状が違う。

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

「あれは…」

「フォートレスの本命、『ディスク・アームズ』です。試作機ですが」

 

 瑠璃がモニターを見ながら、二人に対して説明を始めた。

 

「これは私が考えた全距離対応型兵器です。山田先生、ちょっと使わせてください」

 

 許可を取りモニターを操作する。

 アリーナ内で先ほどよりも激しい戦闘を繰り広げている二人。

 その内の結人を大きく映す。

 

「そもそもフォートレスの本来の目的は一対多、拠点防衛などです。圧倒的な火力で敵を寄せ付けず、距離を保ちながら殲滅させる」

 

 モニターでは、右手に持ったビームマグナムと、肩アーマーからミサイルを放つ結人がいた。

 その攻撃を鮮やかに回避し、楯無が普通の剣へと戻したラスティー・ネイルで斬り掛かった。

 

「ですがそれでは、間合いを詰められたら負けてしまう。そこで考えたのがアームズです」

 

 ラスティー・ネイルを左腕のアームズで防いだ。

 直後、上から砲口が小さいアームズRCが攻撃をした。

 

「…今のは、電磁砲か?」

「はい。アームズRCはレールカノン、PCはプラズマカノン、SBはソードブラストとなっています」

 

 電磁砲を後ろへ加速することで回避するも、腰だめに構えたビームマグナムを一撃が水のヴェールを掠め、蒸気を発生させた。

 その間に、左腕ではSBが外れRCが装着された。

 

「腕部との接続を可能とし、盾付きの武器としても使えます。さらに、他のアームズはビットのように扱えます」

 

 左腕を右手で支えながら、狙いを定めて撃つ。

 避けた先では、SBが突っ込っこみ槍で刃を防がれていた。

 

「そういえば、結人君あそこから動きませんね」

「それがアームズの欠点です」

 

 思ったことを言った山田真椰に少し困ったような笑みを浮かべる。

 

「あれはBT兵器がベースなので、その適性が必要になります。結人はそれがオルコットさんのに比べれば低く、稼働率が高くても本人の移動にかけるほどの思考の余裕が無いんです。腕は別ですが」

 

 次造るとしたらその制限もどうにかしようと心の中で思っていたが二人は知るよしもない。

 

 

 

(くそ!全然当たんない!)

 

 アームズを操作して攻撃するが、掠りさえしない。

 読まれてるとしか、

 

「慣れないものは使わないほうがいいわよ。動きが単調すぎね」

 

 ………あぁ、なる程。

 

「…!…そろそろ終わらせましょうか」

 

 チラッとこちらの後ろ、厳密にはもうちょい下だが、そこを見て驚いた顔を見せた。

 すぐさま表情を真剣な顔に変え、終わらせると宣言し上昇。

 限界高度まで上がり、槍を両手でしっかり握り構えた。

 

「シールド!」

 

 両腕のアームズを外し、ビームシールドを四枚全て使って展開させる。

 

「水槍 螺旋」

 

 槍の先端に水が集まり、ドリルのように渦巻いている。

 サイズも二倍以上になっている。

 その先端を此方に向けて、瞬時加速《イグニッション・ブースト》で突撃してきた。

 シールドを少し動かし、ちょうど正面に捉えられるようにする。

 

(これなら…!?)

 

 なんとかなるかと思うよりも早く、全身を嫌な予感が駆け巡った。

 その瞬間、とっさに手元に通常のシールドを呼び出していた。

 

「    」

 

 何かを生徒会長が呟いたと同時にシールドを作っていたアームズ四機が中から弾けていった。

 

「はっ…!?」

 

 驚きで出来た一瞬の隙。

 そこを狙って投げられた槍は、手元のシールドを貫き、絶対防御をも貫いてこちらの胸部装甲に刺さり、飛んできた勢いのまま地面へと叩きつけられた。

 

 

 

 放った一撃。

 蒼流旋の原理を集められるだけの水を使って倍増させる技。

 貫通力も威力も跳ね上がるこれを確実に決めるために少しだけ小細工をした。

 ビットのようなもの。あれには驚きこそすれど、対した脅威は感じられなかった。

 ビームシールドは厄介とは思ったが。

 そのビームシールドをどうにかしようとして、攻撃を避けたり防がせたりして四機全てに水をしこんだ。ナノマシン入りの。

 あとは、起動のキーワードを突撃しながら唱えるだけ。

 

清き情熱(クリアパッション)

 

 密室でしか使えないこの技は、ISのエネルギーを伝達するナノマシンが一斉に熱に転換することで爆発させる能力。

 ビットの中は密室に近い構造と思って試してみたがやっぱりその通りだったようだ。

 

(まったく、私としたことがやりすぎたかしら)

 

 チラッと視線を別方向へ向ける。

 観客席。そこには簪がいた。

 不安そうな表情で。

 

 

 

 

 地面に叩きつけられ、身体全身に痛みが走る中、結人も彼女を見つけていた。

 

(簪さん…来てたのか)

 

 機体のエネルギー残量は100を切っている。

 アームズもアーマーも大破した。

 残ってる武装など背中のサーベルくらいだ。

 

(く…そ…)

 

 段々と意識が遠のいてく。

 

(槍………)

 

 

 赤い槍。

 

 二人の死体。

 

 血溜まり。

 

 

 

(あ、あァァァ)

 

 

 視界に赤い文字が浮かんだのを最後に意識が途切れた。

 

『IS-D 起動』

 

 

 

『橘結人の戦闘不能と判断。勝者、更識楯無』

 

 そんなアナウンスが流れた。

 恐らくは、気絶でもしたのだろう。

 今日の管制室には、織斑先生がいるので誤診はないだろう。

 こっちからでは彼の顔が見えないが、管制室で操縦者のバイタルを見れたような……どうだったか?

 帰ろうと、背を向けたとき。

 

 『警告。後方より高速物体接近中』

 「…はい?」

 

 確認しようと振り返ると、顔のすぐ左を何かが通り過ぎてった。

 首だけ後ろを向き確認するとそれは、私が投げた槍だった。

 

 『警告!正面』

 

 顔を戻しながら、蛇腹剣を呼び出す。

 そして、ほとんど無意識に防御の姿勢をとった。

 剣は振り下ろされた光刃を受け止めた。

 纏っていた水が音を立てながら蒸発していく。

 力を込めて押し返す。

 すると、相手は後ろへ下がり距離を取った。

 

「これが…例の」

 

 襲いかかってきたのはユニコーンだった。ただし、形は少々違っていた。

 所々の装甲から赤いラインが見られ、角は一本角から開かれた二本のアンテナへ。

 顔は、先程までよりも人に近く目は赤く(・・)光っていた。

 

 

 

「IS-D!?」

 

 管制室は、問いかけても反応が無かったことから戦闘不能と判断し試合終了としようとしていた。

 しかし、ユニコーンは突然変形し楯無へ向かって行った。

 

(それも赤い目…マズい)

「織斑先生、今動ける教師は何人ですか?」

「何かあるのか?」

「…最悪の場合、教師陣を投入してユニコーンを止めます。現在あの機体は、どういう訳か以前より暴走してます」

 

 IS-D、インフィニットストラトス・デストロイヤー。

 ISを壊すための単一能力。

 それが発動しながらの暴走、その危険性を予想したのか織斑先生はどこかに連絡を取り始めた。

 

(問題は間に合うかどうか)

 

 冷や汗をかきながらモニターを睨みつける。

 先生達には言っても意味ないので言わなかったが、心配ごとは他にある。

 

(あのユニコーンは、第三世代ごとき(・・・)では絶対勝てない)

 

 

 

 

赤き獣が動きだす。

水の女王を潰すために。

 

 

 




次回はオリ要素が強くなるかもしれません。
ご注意ください。
感想、アドバイスお待ちしてます。

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