インフィニット・ストラトス 白き流星   作:朱羽総長

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まず謝ることが3つあります。
一つ、以前、夏休みだから執筆速度があがるとか書いてましたが、夏休みの宿題が多すぎて無理そうです。すいません。
そして二つ、先に謝っておきます。
会長ファンの方々、すいませんm(_ _)m
しばらくの間、話の展開上会長がなんか悪い人みたいになってしまいますが、別にアンチじゃありません。むしろヒロインの一人です。。
長々とすいませんでした。
ではどうぞ


お前は何だ?

第六アリーナ

ここは二学期にあるらしい『キャノンボールファスト』の超高速飛行訓練に使われるアリーナだ。他のアリーナと違い空が完全に開放されていて、学園の中央タワーをコースにほぼ制限無しでの飛行が出来る。

飛行訓練には最適といえる場所だ。

 

「…おいで…打鉄弐式」

 

簪さんの体が光に包まれる。光が消えるとそこにはISを纏って浮遊していた。

『打鉄弐式』

学園の訓練機でもある第二世代の打鉄の後継機であり発展型。(直前にのほほんさん、もとい布仏に見せて貰った資料参照)

スカートアーマーが機動性重視の独立ウイングスカートになっていたり、肩部ユニットがシールドから大型のウイングスラスターになってたりと、打鉄との共通点はほとんど無い。頭のハイパーセンサーが一緒ぐらいだろう。

 

「…うん?」

 

打鉄弐式を見ているとなんだか嫌な予感がしてきた。

 

『かんちゃん、はじめるよ~』

 

データを取る為にコントロールルームにいる布仏から放送が入る。

ちなみに現在俺は簪さんとアリーナの中央近くにいる。

もちろん跳ぶときに巻き込まれないように距離はとっていたが。

 

『3、2、1』

 

放送のカウントダウンが流れる。

簪さんは力を込めるように少し前屈みになり、

 

『0!』

 

一気に飛び上がった。

 

 

簪side

打鉄弐式の飛行テスト。

さすがに一人で飛びながらデータを取るのは厳しいと思って本音に協力してもらうことにした。

ルームメイトの橘君というオマケも付いてきたが問題ないと思い放置する。

飛ぶ。

それだけをしっかりと考える。

 

『3、2、1』

 

思考を整える。

 

『0!』

 

飛び上がる!

 

(機体の状態は…)

 

飛びながらも機体のチェックはしておく。

空中投影ディスプレイを見る。

 

「?」

 

視界がぼやける。頭を振ったら治ったので気のせいだと判断する。

 

(機体制御…問題なし。ハイパーセンサー…接続問題なし……)

 

そうやって機体のコンソールを見ながら飛んでいた。

 

(あとは……加速テストだけ)

 

そうして加速しようとした。

しかし、

 

『警告!肩部スラスター一番、小型ジェットブースター二番、異常発生』

 

「えっ?…きゃあ!」

 

警告の表示が出たとほぼ同時に、肩部スラスターとジェットブースターが一基ずつ爆発した。

それにより姿勢制御が安定しなくなる。

 

(反重力制御…駄目、機能してない!?それだけじゃない…シールドバリアーも!?)

 

『警告!シールドバリアー展開に異常あり、ならびに全システムに異常発生』

 

その警告を最後に打鉄弐式が解除される。

突然空に投げ出されたかのような浮遊感が襲ってくる。

 

「ッ!?」

 

現在の高度はおよそ300メートルほど。

このまま落ちてしまったら大怪我は確定だ。最悪死ぬかもしれない。

 

「あっ……」

 

視界が眩む。意識が遠のく。

そんな中で最後に見た光景は、

 

此方に向かって飛んでくる白いISだった。

 

簪side end

 

「へぇ、速いな。セシリアのと同じくらいかな?」

 

打鉄弐式の飛行を見ながらそんな感想を漏らす。第三世代はみんな速いのだろうか?

そんなことを考えてる内にそれなりの高さまで、飛行していた。

 

「おっ、もうあそこまで。速い……ん?」

 

肩部スラスターとブースターの一部の出力が弱くなっていってる気がする。

というか、煙まで出てきた。

って、煙!?

などと考えてるとその部分が爆発した。

 

「ヤバい!」

 

ユニコーンを緊急展開する。ISスーツごとの展開だったのでエネルギーを消費したが戦闘に向かう訳では無いので気にしない。

 

「間に合え!」

 

展開が終わると同時に加速する。

距離が大分あるから急がないと、そう考えてたら強い衝撃が襲ってきた。

 

「なっ!?」

 

思わず止まってユニコーンの状態を確認する。

各部異常なし。

ただし、速度が最高速度になっていた。

 

(まさか、加速時の衝撃がシールドとスーツを貫通したのか!?)

 

ユニコーンの最高速度は白式の瞬間加速とほぼ同じ。そのため速すぎて使う機会はなかった。ここまでとは……

 

「って、そんなこと思ってる場合か!」

 

再び加速。勿論最高速度でだ。

そしてなんとか簪さんを受け止めることに成功。簪さんは気絶しているようだ。

 

『ゆいゆい、かんちゃんは大丈夫!?』

「あぁ、大丈夫だ。このまま保健室に連れてく。後のこと頼めるか?」

『うん。任せて~』

 

ピットまで安定した速度で移動する。

ピットに着くと同時に解除。そして簪さんを背負う。

 

「っ!?」

 

痛みが走るが気にしてらんない。

背負ったまま保健室まで急ぐ。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

現在俺は、保健室に居る。

簪さんを保健室に運んだと同時に我慢が解かれ痛みで気絶した…らしい。

なんかまだ関節が痛いし、しばらくはIS乗んない方がいいかなぁ。

 

「……ん」

 

簪さんの声が聞こえた。起きたようだ。

因みに俺と簪さんはベッドに寝ており、窓側のベッドに簪さんが、その隣のベッドに俺が、という感じだ。

先生はなんか職員室に行くと、起きたばっかりの俺に簪さんの容態を言って出て行った。

 

「…ここ…は…」

「保健室だよ、簪さん」

 

此方に気づいて顔を向けてくる。

顔色が悪い。

 

「なんで…?」

「寝不足と過労だってさ」

 

一体どんだけ無茶してたんだか…。

先生も呆れてたぞと、あえて口には出さないが、思うだけは別に良いだろう。

 

「…っ!?…打鉄弐式は…」

 

指につけてる打鉄弐式の待機状態の指輪を確認して、ほっとしている。

そして、

 

「なにしてんの?」

「早く…調整し直さないと、…修復も…」

 

コイツ…懲りてないのか?

いや、焦ってる?そんな感じがする。

でも、何に?

一か八か、

 

「簪さん、なんでそんなに焦るんだ?」

「…………………それは」

 

教えてくれたのは姉のことだった。

更識楯無

現IS学園の生徒会長

簪さんにとって完全無欠の存在

比較さて何かあったのか?

 

「さっき話した…姉さん…私の憧れ」

「えっ?憧れ?」

 

てっきり姉との比較されまくって嫌いなのかと思ってた。

 

「昔から、…姉さんは…色々出来た。運動…勉強…色々。私は普通だったから…比較されて…嫌になることも…あったけど尊敬してた」

 

そう話す簪さんの顔は、少し、ほんの少しだけど楽しそうだった。

 

「ある日、姉さんが…庭の木に登ったことが…あって、姉さんに憧れてた…私は同じことをしようとした。……そして、落ちちゃった」 

「!」

 

幼い頃にはよくある誰かがやっていることをやりたくなる、そんな感じだろう。

 

「お父さんが…助けてくれて…怪我は無かったけど…それ以来、姉さんが…距離を置くようになって…」

 

その姉は自分のせいだと思ってしまったのではないか。そう言おうとした。

だが、

 

「家はね…詳しくは言えないけど…襲名があって…姉さんが楯無を…襲名した時に…言われたの」

 

『あなたは何もしなくていい。私に追いつくことは出来ないのだから』

 

「………………」

「私が焦ってるのは……今でさえ遠い…姉さんが…更に遠くならないように…」

 

簪さんは、悲しそうな声で言った。

目尻には涙が浮かび始めている。

さぁ、こんなときアイツなら、俺の幼なじみならどうしていたか。

思い出すまでもない。

ただ、俺はアイツではない。だから傷つけるだけかもしれない。

 

「あのさ一つ聞くけど、」

 

それでも、

 

「お前は何だ?」

 

泣きそうな人を放っておける訳がないのだから

 

「え?」

「お前は何なんだ?更識楯無の妹か?それだけの存在じゃないだろ?」

 

例え言ってることが滅茶苦茶でも、

 

「誰かを目標にするのは良いことだとは思う。けどさ」

 

今思ってることを言う

 

「その人に追いつく為に倒れてるんじゃ更に遠くなってしまうと思う」

 

後悔なんてしない

 

「その人に追いつくためには同じことを必ずしなきゃいけないなんて事はない」

 

しちゃいけない

 

「違う方法でもいいんだ。間違えたっていいんだ。誰かに頼っていいんだ」

 

これは俺の勝手な言い分だから

 

「人はみんな違うのだから、お前とあの人は同じ人間じゃない」

 

理解されなくてもいい

 

「同じ道を通ったからって必ず同じ場所につくとは限らないし、違う道から同じ場所に行けるかもしれない」

 

これは

 

「さて、今言ったことを踏まえた上で聞こうか。お前は何だ?」

 

俺が思ったことだけだから

 

簪side

 

私は、困惑していた。

橘君の言ってることは色々変でそれでいて何が言いたいのか少し分かったり、分からなかったり。

でも、

 

「…私は姉さんじゃない」

「そうだ」

「…私は誰かに頼ってもいい」

「そうだ。俺でもいい」

「…別のやり方でもいい」

「そうだ」

 

急に出てきた新しい方法。選択肢。

可能性。

 

「私は…」

 

簪side end

 

「私は…更識簪。更識楯無じゃない、だから私は…姉さんとは違う方法で、…追いついて、認めてもらう」

 

ふぅ、少し吹っ切れてくれたかな。

言葉に力が少し籠もってた。

 

「そうだよ。追いつけないなんて言われたなら、ゆっくりでもいいから追いついて驚かせて認めてもらおう」

「うん…。それで、…あの…」

「ん?」

 

何か言いにくそうにしてる。

顔も若干赤くなっている。

 

「私に…新しい道を…可能性を教えてくれたんだから…当然…その…て、手伝ってくれる…よね?」

 

なんだ。そんなことか。

 

「勿論!何であれ手伝うさ」

 

手伝わないという選択肢はない。

一夏達には悪いが、暫くは簪さんの手伝いに集中しよう。

 

「…ありがと」

 

その言葉と共に見せられた表情は、多分初めてみる簪さんの笑顔だった。

 

「っ!?ね、寝不足なんだから今は寝といたら?また、明日ってことで」

「うん。おやすみ」

 

なんか恥ずかしくなり、いや、照れてたのほうが正しいかのか?ともかく言葉が詰まってしまった。

 

その後は保健室の先生が帰って来たので、一言言って部屋に戻った。

 

 

 

瑠璃side

 

「やっぱり、原作知識はもうあてにならないかもね」

 

一人部屋の中、パソコンのモニターを見ながら呟いた。

しかし、この情報が本当なら原作知識は無意味だ。

 

「一応クラス対抗戦終わるまで待ってみようかな」

 

そうして、飲み物を取るために席を立った。

モニターに映し出されていたのはある試験結果だった。

 

『銀の福音 最終試験結果 4月15日

…………………………………であり結論として、銀の福音の全試験起動を終了し、完成とする』

 

 

 




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