オーバーロード~悪魔王の帰還~   作:hi・mazin

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遅くなっちゃった。てへ



四十七話目 悪魔王行動開始

 

 

 

朝の仕事を終えたアインズは軽い気持ちでパンドラズ・アクターに会いに行ったが・・・イロイロと精神をやられてしまった(笑)

 

しかし、パンドラズ・アクターの言った『魔道国をどのように統治するのか』という言葉が頭から離れなかった

『元一般人だから』『デミウルゴスに任せれば大丈夫』、などと考え、ある意味思考放棄していた

しかし、今まで成行きに身を任していたとしても、この問題は避けては通れない問題だろう

 

このモヤモヤする気持ちを整理すべく、お付きのメイドが扉を開ける前に扉を自ら開ける

 

そして街を見れば何か思いつくかもと単純に考え青い空へと『飛行/フライ』によって空に飛びあがり手近な屋敷の屋根に降り立つ

 

結構高い屋根に降りたが、さすが城塞都市、街に張り巡らされた城壁のせいで街の様子が殆ど分からなかった

 

「やっぱ見えないか。ならば行くしかないか」

 

この障壁のせいで街が見えない。などと冗談でも呟きシモベの誰かの耳に入ってしまえば次の日には三重の城壁は二重の城壁・・・いや、なくなってしまう恐れがある

 

ならば歩いて街を周れば何か浮かぶものがあるかもしれない。そう考えていると八肢刀の暗殺蟲が這い上ってきた

 

「アインズ様、御身一人で行かれると危のうございます」

 

「そうだな。確かに視界の開けた所で一人で立つなど狙撃してくれと言っているようなものだな」

 

本来ならありえない様なミスだが少し思考に没頭しすぎていたようだと内心反省し、それと同時に積極的に無防備な状態をさらしていた友人もいたことを思い出す

 

(そういえば昔PvPを積極的にやってた頃、よくサイファーさんを囮に使っていたな。ダメージカウンター型特化という特殊性のおかげでスナイパーのあぶり出しとダメージ稼ぎに重宝したよな)

 

本当に彼の戦闘スタイルは敵の襲撃を誘発するのに便利だった

 

ハチの巣にされながら敵スナイパーを戦闘不能に追い込んでいくサイファーはほんのちょっとの間ギルド内でヒーロー扱いを受けていた

 

しかし、サイファーの情報が攻略サイトに曝されてからは囮に使えなくなったと皆で笑いあった思い出がある

 

もっとも、囮にされていた本人は囮にされるたびに『早く助けに来て~! 死んでレベルダウンしちゃう~!!』などと発言していたが、ナザリックの軍師曰く『やはり彼はダメージ管理がずば抜けてうまいですね・・・これはもう少しキツめの所に放り込んだほうが戦力の幅が広がるかもしれませんね』 などと黒い笑顔でボソッとつぶやいていた

 

最初は聞き間違いだと思ったがその数時間後にはさらに過酷な戦地に送られる彼の姿があったが、それは、まあいいとして・・・

 

魔導国の今後から思考がずれてきてしまったと苦笑し、屋根の上から魔法の力でゆっくりと降り立つと、さっきまで慌てて壁を登ろうとしていたメイドが何事もなかったようにアインズの後ろに付き従っていた

 

「フィース」

 

「はい!」

 

「私はこれから街へと出る、サイファーさんに私の護衛役のふりをしてもらいたいから冒険者の格好で来るように伝えてくれ」

 

「畏まりました! では馬車のご用意をすぐにいたします!」

 

「いや、馬車はいい、私は街を見てみたい。この私が支配する街をな。だから徒歩で行こうと思っている」

 

「え!? アインズ様の御御足が汚れてしまいます! すぐにメイド総出で清めてまいりますのでご命令を!」

 

注:エ・ランテルは舗装されている場所が少ないから雨などですぐに泥でグチャグチャになるのだ

 

「不要だ。元々私はこの都市で生活していたのだぞ。あと、私の部屋からヌルヌル君を持ってきてくれ。あれがないと声を変えられないのでな」

 

その一言でメイドは小走りでかけていき、アインズは待っている時間を利用してアルベドと約束した外出用の高レベル天使を召喚するため超位魔法を発動した

 

やがてヌルヌル君の飼育箱を持ったまま息を切らして駆けてきたが肝心なサイファーの姿が見当たらない

 

「ん、フィースよ。サイファーさんの姿が見えないのだがどうしたのだ?」

 

「あ、あの、サイファー様が・・・その・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「きょうは、おなかが、いたいの」

 

フィースから事情を聴き、ハムスケが常駐する小屋に来てみればハムスケの背中に子ザルのようにへばり付きながら嘘くさい言い訳をする友人の姿があった

 

へばり付かれているハムスケは『毛並みが崩れるから早く離れてほしいでござるよ~』などと完全に野生を忘れたペットてきな発言をしている

 

「何ですか、その嘘くさい言い訳は? 街で何かあったんですか?」

 

一応訳を聞いてみたらサイファーはボソボソと小さい声で話し始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・要するに、街での自分の人気と評価が底辺まで落ちているから行きたくないと?」

 

「うん。」

 

彼曰く、英雄モモンは邪悪な魔王から人々の平和を守るため日夜、街の有力者と重大な会議を行ったり、落ち込んでいる人々の激励に回るなど英雄的な行動の数々、その結果人気はダントツのナンバーワン

 

黒鎧の美姫と名高いアルベドは、そのマスクの下に隠されている美貌と英雄モモンのために街郊外へと出向き有力な情報を集める行動力とファンの多さもあって人気ナンバーツー

 

しかし魔法詠唱者サイファーは魔導王を近くで監視しているとされているが、誰もその活躍を見たこともないし、街から離れていく者たちに『魔導王は素晴らしい人物だから今街を離れるのはもったいないよ』と魔導王を擁護するような発言が一部で炎上し、人気は上記の二人に比べて・・・(涙)

 

「いや、魔導王の悪評を少しでも挽回しようとした気概は認めますけど、・・・殆ど自業自得ですよね」

 

「うん、さすがに考えなしだったと反省してます。だからほとぼりが冷めるまで・・・」

 

「はぁ~」

 

結局一人で出かける事になったアインズはパンドラズ・アクターに『伝言/メッセージ』をいれ炎上の沈静化を頼むのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アインズが冒険者組合で真の冒険者について熱く語っているであろう時間帯、ついにサイファーがハムスケから離れ地面に降り立った

 

「よし、アニマルセラピーでリフレッシュ完了。アインズさんに変な言い訳してサボってしまったがここから挽回するのが俺だ」

 

「おお、汚名挽回というやつでござるな。某も協力する故、なんでも言ってくだされ」

 

「おお。頼りにしてるぜ」

 

とは言っても、何か計画があるわけでもないのだが、前向きなのは良いことだと思われる

 

「確かフィースの話じゃアインズさんは街を見て回りたいんだったな。」

 

「そう言えばそう言ってたでござるな」

 

しかし、冒険者をしてたサイファーからしてみれば、この街はすでに見尽くしてるし、新たな発見は無いように思われる

 

変わった事といえばナザリックのシモベ達の活躍で街の治安は瞬く間に良くなったし、周辺の魔物も定期的に狩っているため魔物被害も減少傾向だ

 

なのに人口は減少傾向、冒険者も拠点を移している、ここまで考えてサイファーはある考えに至る

 

「ん、街で稼げないから人が減ってきてるなら、他所に行かないでも稼げるって事をアピールすればいいんじゃないか」

 

今まさに最高のアイディアが閃いた。しかし問題はそのサンプルケースを誰にするかだ

 

「誰か信頼できる奴はいたかなぁ・・・あ、いた!」

 

彼の脳裏には帝国で偶然出会った眼帯の少年の顔が思い浮かんだ。

 

「よし、目的は決まった。お~い、シモベの諸君、ちょっと協力して欲しいから集まれ~」

 

サイファーがそう叫ぶと、どこからともなく沢山の異形種の者どもが集まって来る

その様子を眺めながら彼はアインズの驚く顔を思い浮かべながらニヤついていた

 

 

 

 

 

 

 







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