オーバーロード~悪魔王の帰還~   作:hi・mazin

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十話目 明日のお供はキミだ

 

 

 

ナザリック地下大墳墓第九階層に存在する大会議室。大とつく割に円卓の間よりも狭くホワイトボードが一台に長テーブルと椅子が8脚あるだけの名ばかりの一室である。誰かが作りたいから作くりそのまま特に何にも利用されなかったその一室に本日は三名の利用がいた

 

「第7階層守護者、デミウルゴス。御身の前に」

 

「守護者統括、アルベド。御身の前に・・・本日はどの様な御要でございますか」

 

アルベドとデミウルゴスは自分達を招集した至高の一人であるサイファーへと視線を動かす

 

「うむ、まあ立ち話もなんだ、椅子もあることだし座らないか」

 

取りあえず二人に着席を促したが・・・

 

「いえ、至高の御方と同じ席に座る訳には参りません」

 

サイファーの気遣いは二人によってバッサリ切られた

 

話が長くなりそうだからアインズに頼んで会議室を使わしてもらっているのに二人が座ってくれません

 

「今後の事で相談したいことがあるんだから、お願いでも命令でも何でもいいから座ってください」

 

「・・・分かりました。では、失礼します」

 

どうやって座ってもらうか考えたがアインズのように仰々しい物言いが出来ないサイファーは結局頼み込み、二人の着席と共に二人を集めた理由を話し始めた

 

「この話はまだ極秘扱いだが・・・近日中に俺とアインズさんは冒険者に扮し街でプレイヤーに関する情報収集を行おうと思っている」

 

「なんと!危険すぎます」

 

「御二人方だけで向かうなんて危険すぎます!」

 

アインズの予想どうり絶対に二人だけでは行かしてくれないという強い意思な様なものが感じられた

 

「まあまあ、落ち着け、アインズさんと話し合った結果、共を一人連れて行こうと思っていてね、君たちに誰が良いか決めてもら・・・」

 

サイファーが話し終わる前に二人からの立候補が上がった

 

「その役目、私めにお任せください」

 

「いいえ、デミウルゴス貴方よりナザリック一のタンクである私の方が御身のご安全を守れますわ」

 

先ほどとうって変わり二人は誰が同行人に相応しいか熱く討論し始めた、この状況こそサイファーの狙いであった。先日アインズに冒険者にならないかと誘われウキウキに盛り上がっていたところ、二人きりだとナザリックの皆が反対するだろうから同行人を一人連れて行こうという話になり、アインズさんよろしく、いや、サイファーさんも真面目に考えてくださいよ・・・などの話が続き、結果サイファーが同行人を選び、アインズが旅の準備と装備品の確認作業を担当する事になった。

冒険者の仲間を探すにあたって、現在ナザリックの守護者達の半分は外で活動しており、ナザリックの警備の事も考えて選ぶとなるとかなり面倒であるため現在ナザリックに待機している二人に丸投げ・・・もとい助言をもらうため二人を会議室に呼んだのである

 

サイファーは持参したジュースの缶を開け二人の結論を待っていたが半分も飲まないうちに結論が出たようだ

 

「ん?もう決まったの」

 

「はい、つつがなく」

 

「最終調整に二日いただけましたらナザリックの警備を低下させることなく仕上げてごらんにいれます」

 

アルベドは笑顔で答え、デミウルゴスは眼鏡を上げながら微笑を浮かべる、二人の顔にはやる気が満ちていた

 

「で、誰に決まったんだ?」

 

「私です」

 

「へ?」

 

「私です」

 

「へ??どゆこと、説明してデミウルゴス」

 

予想外の答えに思わず声が漏れデミウルゴスに答えを求める

 

「では、不肖ながらご説明いたします。まず初めに御身のご安全を考えますとナザリック最高の守り手であるアルベドこそ相応しく、如何なる状況下でも立ち回れる頭脳も至高の方々の役に立つはずです・・・」

 

「ほうほう、なるほどね、でも外で集めた情報の統括は誰がやるんだ?」

 

せっかく集めた情報もそれをまとめる者がいなければ何の役にも立たないのは分かっているはずだが・・・そう考えていると横からアルベドが補足をいれる

 

「それにつきましては一時的にデミウルゴスに任せ、図書館にいる死の支配者(オーバーロード)達を補佐と再編に回す事により私一人の時より早くなると思われます」

 

「私の外での仕事も配下の者達に任せられるものは任せますので私への負担もほぼありません」

 

あんな短時間でここまで話を詰めていたのかよ、頭が良いっていいよな

 

オホンと咳払いをしデミウルゴスは話を戻す

 

「そしてアルベドはもうすでにアインズ様達と外の世界の人間と接触しております。その時も正体を知られる事なく村で過ごしアインズ様直々に人間との接触の際の演技指導を受けたそうではありませんか」

 

そう言えばそうだったかな

 

「でも、アルベドは人間が嫌いでしょ、アインズさんがいない間に無礼を働いたり、気に入らない人間を虐殺パーティーなんかしないとは限らないし・・・いつだったかなんとか聖典の時にちょっとしたダメージをアインズさんが受けただけで大騒ぎだったじゃない」

 

「サイファー様!!」

 

「ひい!」

 

「私今回の任務の重要性を重々承知しておりますゆえあのような事は今後一切ございませんアインズ様の命とあらばいかようにも態度を変えることも出来ますし好き嫌いも致しませんし決して自身の私欲に走る事なく人間との友好関係の構築にも積極的に関わりを持ち必要なら友と呼べる存在も作りましょうアインズ様の言葉を正しく理解し勝手な行動は慎みますし絶対にそう絶対にアインズ様を失望させない自信がございます私の創造主タブラ・スマラグディナ様に誓い必ずやり遂げアインズ様のご寵愛を得てごらんにいれます」

 

「わかった、わかった。アルベドに頼むよ」

 

普段ではありえない距離まで近づいて物凄い顔で自分をアピールするアルベドの迫力に押されついついOKを出してしまった

 

「ではサイファー様、本日の会議の内容を書面におこしアインズ様に提出させて頂きます」

 

「ああ、頼むよデミウルゴス・・・もう少しもめるものだと思っていたがあっという間に決まってしまったな。流石は知恵者と知れた二人だな、お前たちを呼んで正解だったよ」

 

時間にして1時間もかからず終わってしまった、アインズさんには半日以内に候補を選びますって言ったからかなり時間が余ったな・・・よし、今日はよく頑張ったし書類が出来上がるまでゆっくり昼寝でもしようっと

 

「よし、本日の会議はこれにて終了とする。デミウルゴスの書類が完成したら皆でアインズさんに報告に向かうとしよう。では、各自業務に戻ってくれ」

 

「「はっ!」」

 

 

 

 

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「へ?・・・サイファーさんこの書類に書いている事は本当ですか?」

 

「ええ本当ですよ、ナザリックの知恵者二人との協議の結果こうなりました」

 

自室で冒険に必要そうな物を色々と準備していたアインズのもとへ約束の時間よりかなり早くサイファーとアルベド、デミウルゴスの三人がやってきて冒険の仲間が決まったと書類を持ってきたため作業を一時中断し確認してみるとアルベドで決定と書いてあるではないか、あまりの事に精神が高ぶりと抑圧が繰り返され少し心に余裕が戻ったアインズは三人の顔を見たが、サイファーはドヤ顔で完璧でしょって顔でこちらを見ており、アルベドは今までに無いくらい平静を保っており、デミウルゴスは満足げな様子であった。

 

「・・・ア、アルベドで間違いないのか、守護者統括である彼女が抜けてはナザリックの安全が危ういのではないのか」

 

「御心配には及びません、書面14ページに緊急時における対処法からの防衛手段の確保の項がございますので御手数でございますが御確認ください」

 

「う、うむ」

 

アインズがページをめくると書面びっしりと細かく緊急時の対応が書かれておりパッと見穴らしき穴は無いように思えてしまう

 

アインズも転移直後、従者を引き連れて歩くのが嫌でサイファーと勝手に出歩いたという負い目があったため書類に難癖付けて同行を拒否するという選択が取りにくく頭を抱える羽目になっている

 

(なんかめっちゃ悩んでいるな、俺もあの書類デミウルゴスの説明付きで読んだけど間違いは無いっぽいんだけどなぁ)

 

どうやらアインズを納得させるにはもうひと押しが必要らしい。 お、そうだ

 

「アルベド、アルベド」ヒソヒソ

 

「!・・いかがなされましたサイファー様」

 

急に話しかけられ少しビクってなったがアルベドがこちらに振り向く

 

「シー、大きな声じゃ言えないけど、アインズさんを納得させるにはもうひと押しが足りないぽいんだ・・・だからアルベド・・・ゴニョゴニョって感じで説得してみて」

 

「!そ、そんな大それた事言っても大丈夫なのでしょうか」

 

アルベドの大き目のリアクションも書類を見ながら悩むアインズや書類の説明に集中するデミウルゴスには気づかれてはいないようである

 

「間違ったことじゃないから大丈夫だって、OKが出るかはお前しだいだ。頑張れよ」

 

「・・・わかりました」

 

サイファーの後押しに意を決したアルベドはアインズに言葉を掛けた

 

 

 

「アインズ様!」

 

「ど、どうしたのだアルベドそのような大きな声を出して」

 

予想外の所から予想外の人物から声を掛けられ動揺するアインズ、アルベドは呼吸を整え教えてもらった言葉を発した

 

「アインズ様、私は確かに人間に対して良い感情は持っておりません。しかしアインズ様の為なら如何様にも対処してご覧にいれます。どうか私を連れて言ってください」

 

アルベドの言葉に室内は静寂に包まれた。何時までも続くと思われは沈黙はアインズのため息で破られた

 

「・・・・はぁ~ 良いだろう、同行を許可しよう」

 

その言葉にアルベドの顔に歓喜の色が見られ、アインズはさらに言葉を続ける

 

「しかしお前の働き次第ではすぐにナザリックに帰還してもらう。街では細心の注意をはり決して人間を下等生物と侮らず行動せよ」

 

「この命に代えましてもアインズ様を失望させぬよう務めさせていただきます」

 

「うむ、ではデミウルゴスは引き続き作業を開始せよ。アルベドはこの後の冒険者としての装備の確認作業に参加するように・・・あとサイファーさんはちょっとこっちの部屋にこようね」

 

「ファ!!」

 

いきなり話を振られたと思ったらナザリックの最高支配者から呼び出しを食らってしまった。なんか超怖いんですけど・・・取りあえず呼ばれたので行こう

 

 

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奥の部屋でアルベドの設定を勝手に書き換えた事を暴露された

 

「だからアルベドったらアインズさんばかりにかまってたんですね」

 

良かった嫌われてるわけじゃなくて・・・・

 

「そうなんです、俺はタブラさんのキャラを汚してしまったんです・・・」

 

どうやらアインズさんはこのまま三人で行動してたらいずれ俺に不審がられると思って今告白したらしい、人選に不満があるから呼び出されたと思ったよ

 

「顔を上げてくださいよモモンガさん、俺も一緒に謝ってあげますから」

 

「ほ、本当ですか、でも許してくれるかなタブラさん」

 

「大丈夫だって。あの人の事だから半日から1日くらいネタにしてモモンガさんをメンバーに晒し者にするくらいですよ・・・それはそれでキツイっすね」

 

「・・・ええ、そうですね」

 

二人の頭の中では大錬金術師といわれた男が「こいつ俺の作ったアルベドを勝手に嫁にしやがったぞ~ねえ今どんな気持ちっぃいぃい」と笑っていた

 

そんな事を考えも話のネタにし二人の話は湿っぽい話から徐々にこれからの冒険者生活についての楽しい会話に変わっていった

一人ではない事が二人には良かったのかも知れない

 

 


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