禍終素学園の混沌な日常   作:有頂天皇帝

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考えて悩んだ結果、化け物の向かう家はアナスタシアに決定しました。

OP『プライド革命』


僕がメガネで僕がスマホで俺がグラサンで僕がメガネ2号

元の身体に戻るために、銀時とおそ松の魂の半分が入って新八たちをコテンパンにぶちのめした猫の怪物を追いかけている零斗たちだが、一瞬のうちにして姿を見失ってしまい一向に捕まえることが出来ず、辺りはすっかり暗くなり始めていた。

 

「どこ行きやがった、あの化け猫」

 

「完全に見失っちゃいましたね・・・」

 

「この辺に逃げ込んだのは間違いねぇ」

 

「じゃあこの辺りを探せば見つかるか・・・」

 

銀時(土方)、零斗(おそ松)、土方(銀時)、おそ松(零斗)は辺りを見渡すが、化け物の姿は影も形も見つからないでいた。

 

「・・・解ってんだろうな、テメェら」

 

「えぇ、わかってますよ」

 

「こいつは俺たちのまいた種だ。これ以上誰も巻き込みやしねぇ」

 

「テメェのケツはテメェで拭ってやんよ」

 

銀時(土方)が3人に確認を取ると零斗(おそ松)、土方(銀時)、おそ松(零斗)は銀時(土方)に返した。

 

「てめーでカタつける」

 

「リーダーの最後の意地にかけて」

 

「化け猫にやられたみんなのために」

 

「長男の意地にかけて」

 

そして満月が4人を照らす中、4人は意地でも捕まえる覚悟を決めた。その時、満月に何かの影が映りこんだ。

 

「「「「いたァァァ!!」」」」

 

満月に映りこんだものを見た零斗たちは思わず叫んでしまった。

それは銀時とおそ松の魂の半分が入っている猫の化け物だった。猫の化け物は家と家の屋根の上を軽々と飛び移って移動している最中だった。

 

「まさか奴から姿を現すとは!」

 

「テメェら!!ほかの連中に被害が出る前にとっとと捕まえるぞ!!」

 

土方(銀時)が猫の化け物の姿をを見て驚いていると、先に走り出した銀時(土方)が零斗たちに猫の化け物を追いかけることを言うと、3人も銀時(土方)の後に続いて猫の化け物を追いかけた。

しばらく猫の化け物を追いかけていると屋根の上を移動していた猫の化け物は、一瞬足を止めたかと思うと目の前にある大きな屋敷の敷地に入ってしまった。

 

「マズイぞ銀さん!あの野郎屋敷の中に入りやがった!!」

 

「危険だ!あの戦闘マシーンと民間人が接触したら・・・・・!!」

 

「何としても被害が拡大する前に止めるぞ!!」

 

「言われなくてもわかってますよ!!」

 

おそ松(零斗)、銀時(土方)、土方(銀時)、零斗(おそ松)は屋敷の塀を乗り越えて化け物が民間人に接触する前に阻止しようとする。

 

「って、アレ?」

 

だが、ただ一人零斗(おそ松)は化け物が侵入した屋敷に見覚えがあるのか首を傾げていた。その間に銀時たちは屋敷の塀の上から飛び降りる。

 

「ちょっと待ってください。ここって確か────」

 

零斗(おそ松)が何かを思い出したのかその事を伝えようと銀時たちに続いて屋敷の塀を乗り越えようとした時だった。

 

「いたっ!!あそこだ!!」

 

屋敷の庭園の方を見た土方(銀時)が叫んだ。化け物は既に庭園にいる女性の前に立っていたのだった。

 

「あぶねェェェ!!そいつから離れっ・・・」

 

銀時(土方)が女性にそう叫んだ、次の瞬間。

 

「お帰りなさい」

 

なんと、女性は化け物の頭に向けて手を伸ばし、撫で始めた。

 

「随分帰りが遅かったわね」

 

女性は化け物に優しく声をかけ、化け物の頭を撫で続ける。

 

「今日はどこで遊んできたのかしら、どざえもんさん」

 

女性は化け物にそう言って撫で続けた。心なしか化け物はゴロゴロと鳴き声を上げ、嬉しそうな顔をしていた。

 

「((((かっ・・・かっ・・・、飼われてたァァァァァァァァァァァァァァァァ!!))))」

 

草むらに隠れ、その一部始終を見た銀時(土方)、土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)は衝撃のあまり顔をひきつらせ、心の中でそう叫んだ。なんと化け物は女性に飼われていたようであった。

そして、その化け物を飼っている女性は藤丸立香の契約しているサーヴァント、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァであった。

 

「ご飯もうできてるわよ」

 

アナスタシアがどざえもんさんという化け物にそう言うと、どざえもんさんはアナスタシアについて行き、アナスタシアと共にアナスタシアの屋敷の庭園にあるお茶会用の場所へと移動していった。。

 

「((((あの化け物を飼ってる、英霊がいたァァァァァァ!!))))」

 

4人はどざえもんさんがアナスタシアに飼われてるという事実に改めて衝撃を受けていた。

 

「オイぃぃぃぃぃ、どーいう事だ!!あの女・・・、なんであんなモンスターと一緒にいるんだ!?」

 

土方(銀時)はあまりの訳の分からなさに叫びながら銀時(土方)に聞くと、銀時(土方)はこう推測した。

 

「まさか、猫の死骸に俺とおそ松の魂が入ったものの、記憶を失いさまよってた奴を捨て猫と勘違いして拾ってきた!?」

 

「あれが猫に見えてんの!?モザイクがかかるような奴が愛玩動物に見えてんの!?」

 

おそ松(零斗)は銀時の推測にツッコんだ。全裸だったせいか、どざえもんさんの股間にはモザイクがかかっていたのだった。

 

「どざえもんさん」

 

銀時たちが草むらの中で隠れながらそんなことを話しているとき、アナスタシアがどざえもんさんに優しく声をかけた。

 

「すっかり元気になったみたいで安心したわ」

 

「いや、目ん玉飛び出してっけど!!それ、どざえもんっていうか、本当に死体だけど!?」

 

零斗(おそ松)は驚きながらアナスタシアにツッコんだ。どざえもんさんの頭の上にはハエがブーンと羽音を立てて飛んでいたが、それに気づいていないのかアナスタシアは構わずどざえもんさんに優しく語りかけていた。

 

「最初に貴方と会った時は本当にびっくりしたわ」

 

ここでアナスタシアはどざえもんさんとの出会いを振り返り始める。

 

「血まみれで道路に突っ伏したまま動かなくて、もう死んでいるのかと思ったら」

 

アナスタシアとどざえもんさんとの出会いはこうだった。

 

どうやら、道端に突っ伏していたどざえもんさんが

 

『あっコレ、血じゃなくてこういう柄ッス』

 

と振り向いてアナスタシアに言ってきたのが始まりだったようであった。

 

「あんな毛色の猫がいただなんて」

 

ここでアナスタシアはどざえもんさんとの出会いを振り返り終わる。

 

「いや、ビックリする所、そこじゃなくね!?」

 

おそ松(零斗)が感覚のずれているアナスタシアにツッコミを入れた時だった。

 

「姐さんの介抱のお陰で救われやした。何と礼を言ったらいいか」

 

どざえもんさんはアナスタシアに感謝していた。

 

「つーか、しゃべれるの!?普通に会話してんの!?」

 

どざえもんさんがアナスタシアと会話しているという事実に、零斗(おそ松)は驚いて叫んでしまった。

 

「オイあの女、一体アレが何だと思って飼ってんだ!!」

 

土方(銀時)が色々と感覚がずれているアナスタシアにまたツッコミを入れた時だった。

 

「遠慮しなくていいのよ」

 

アナスタシアはどざえもんさんをもてなし始めていた。

 

「最近じゃマスターも学級活動が忙しくて私に会ってくれないし、雷帝も基本寝たきりだから一人でいることが多くて困ってたんだから」

 

「しかし、これ以上姐さんに迷惑をかけるワケには。そろそろ旅立とうかと・・・」

 

「え?」

 

どざえもんさんの話に、アナスタシアは思わず声を漏らした。

 

「もう・・・、行ってしまうのね」

 

アナスタシアはどざえもんさんが旅立ってしまう事を寂しく感じているようであった。

 

「傷も大方治りやしたし、それに・・・その・・・嫁入り前の若い娘さんが、どこぞの野良猫を家に連れ込んでるなんて知れたら、世間になんて言われるか」

 

「何の心配!?化け物を家に連れ込んでる方を心配すれば!?」

 

零斗(おそ松)はどざえもんさんにツッコミを入れた。どざえもんさんはアナスタシアに旅立とうとしている理由を述べていた。

 

「俺のような過去に何があったかもわからねェヤクザ者が側にいたら、姐さんの名に傷がついちまいやす。そんな恩を仇で返すようなマネ、腐っても俺にはできやせん」

 

「もう腐ってるだろ!!何コイツ!!こんなに男気のある奴だったの!?」

 

土方(銀時)はどざえもんさんにツッコんだ。肉体の腐敗が原因なのかどざえもんさんの頭上には先程から執拗にハエがブーンと羽音を立てて飛んでいた。

そのときだった。

 

「そんな事・・・、気にしなくていいのよ」

 

アナスタシアが恥ずかしそうにどざえもんさんに語りかけていた。

 

「私と・・・その、噂になるのがそんなに・・・、嫌?」

 

アナスタシアの言葉にどざえもんさんは顔を赤くして慌て始める。

 

「いっ・・・いや、そういうワケじゃ・・・」

 

「だったら、余計な事気にしないで」

 

アナスタシアがどざえもんさんをそう言って落ち着かせ、続けてこう言った。

 

「記憶を失った人をそのままほっぽり出す方がロシア皇帝の娘として恥よ。記憶が戻るまでは、いえ、たとえ戻らなくても、ここで新しい思い出や大切な記憶が出来るまでゆっくりしていけばいいじゃない。貴方はもう、ウチのペットなんだから」

 

アナスタシアの言葉を聞いたどざえもんさんは異常に発達した筋肉質な腕を畳に着け、妙にこう感謝した。

 

「姐さん……、恩に着やす」

 

「「何コレェェェェ!!」」

 

アナスタシアとどざえもんさんのやり取りの一部始終を見た土方(銀時)と零斗(おそ松)が叫んだ。

 

「なんでアイツら○倉健と倍○千○子みたいになってんだ!?いい感じに絆が生まれちゃってるよ!!何やってんのあの女!?何やってんのお前らの分身!!」

 

土方(銀時)はアナスタシアとどざえもんさんにツッコむ。しかし、銀時(土方)とおそ松(零斗)は

 

「よかったな、俺の分身」

 

「幸せに生きろよ、俺の分身」

 

と何故か泣いていた。

 

「なんで泣いてんだアンタら!?」

 

零斗(おそ松)は銀時にツッコんだ。

 

「どーすんだアレ!!どうやってアイツから魂取り戻すんだ!!絶対だまってねーぞ千○子」

 

既にいい感じになっているアナスタシアとどざえもんさんを見た土方(銀時)が叫ぶ。と、そのとき、

 

「さっ今日も腕によりをかけてご飯を作ったから食べて」

 

とアナスタシアが皿の上でグツグツと煮えたぎっている麻婆豆腐をどざえもんさんに手渡した。

 

「いただきやす」

 

どざえもんさんは何も警戒する事無く麻婆豆腐をレンゲで掬い、口にした。

だが──。

 

ドサァ!!

 

「!!」

 

アナスタシアの作った麻婆豆腐を口にした瞬間、どざえもんさんは仰向けになってその場に倒れ込んでしまった。

 

「どざえもんさん!!どうしたの!?」

 

アナスタシアは慌ててどざえもんさんに駆け寄った。実はアナスタシアが作った麻婆豆腐は言峰綺礼から教わったレシピから作ったためにその辛さはサーヴァントすら倒せるほどの辛さでありどざえもんさんはそのあまりの辛さにあたり、ガクガクと震えるどざえもんさんはこう言った後、気絶した。

 

「オ・・・俺は一体、誰だ?」

 

「それで記憶無くなってたんかいィィィ!!」

 

どざえもんさんに記憶が無い原因を知った土方(銀時)は思わず叫んだ。

 

「どざえもんさん、しっかりして!!」

 

アナスタシアはどざえもんさんに必死で呼び掛けるがどざえもんさんは気絶したまま動かない。

 

「ああなんて事・・・、どうしてまたこんな事に」

 

「てめーの作った劇物のせいだろーが!!」

 

土方(銀時)は草むらの影から、どざえもんさんの前に慟哭するアナスタシアにツッコんだ。

 

「土方さん、劇物という言葉は見逃せませんね。あの麻婆豆腐は普通に美味しいじゃないですか」

 

「黙れ味覚バカ!!あんなモン笑顔で食うてめぇと一緒にすんな!!」

 

土方(銀時)が麻婆豆腐を劇物扱いしたので零斗(おそ松)がその事に文句を言うが、土方(銀時)はそんな文句を一蹴する。

 

「オイぃ!!あのままじゃお前らの半身は一生飼い殺しだぞ!!」

 

土方(銀時)はどざえもんさんがアナスタシアに飼い殺しにされかねない事を危惧して銀時(土方)とおそ松(零斗)に叫んだ。

とそのとき、

 

「おい、おそ松・・・・何とかあの女を説得してこい」

 

「ええ!?」

 

突然の銀時(土方)の提案に驚いたおそ松(零斗)は声を上げた。銀時(土方)はおそ松(零斗)にその理由をこう説明した。

 

「仕方ねェだろ、この中であの女とマトモに話したことがあるの零斗だけだ。だが、今の零斗はおそ松(お前)だ。いきなり接触したら不審がられる。お前が零斗として接触する方が自然だ。なんとか零斗らしく振る舞って零斗らしく発言してこい」

 

銀時の指示に話を聞いていた零斗は怒りを覚え、すぐにこう言い返した。

 

「じょ・・・、冗談じゃないですよ!!何でこんなクズがそんなことを・・・」

 

「じゃあ、お前。このままの身体がいいんだな」

 

文句を言おうとした零斗(おそ松)だが、銀時(土方)の言葉を聞いた零斗(おそ松)は怒りを堪え、とりあえずおそ松(零斗)が零斗のフリをしてアナスタシアに接触をはかるのを見守ることにした。

 

「よ・・・よう」

 

草むらから出てきたおそ松(零斗)はアナスタシアに声をかけた。アナスタシアはおそ松(零斗)に振り向いた。

 

「ア、アナスタシア、邪魔するぜ」

 

「あら零斗、何か用かしら?」

 

「いや、パチンコ帰りにちょっくら寄った」

 

おそ松(零斗)は何故かよだれと鼻水を垂らしながらアナスタシアと接触をはかっていた。

 

「オイ、なんでよだれたらしてんだよアイツ。つーか、んな顔して女と接触する気かよ、あのバカは」

 

土方(銀時)は馬鹿面をしているおそ松(零斗)にツッコんだ。

 

「あら珍しいわね」

 

アナスタシアはおそ松(零斗)に声をかけた。草むらの中では零斗(おそ松)が

 

「なんで穴という穴から水たらしてんだ!俺がそんな顔した事があったか!!」

 

と額に青筋を浮かばせながら怒鳴っていた。 

 

「え?珍しいの?い・・・いや、あのアレ」

 

とんでもないアホな表情をしたおそ松(零斗)がしどろもどろになりながらアナスタシアにこう言った。

 

「き・・・急にお前の顔が見たくなっちまってよ」

 

それを草むらから聞いていた零斗(おそ松)はぶちギレる寸前になって、

 

「俺、そんな事言わねェェェェェ!!」

 

と小声で叫んでいた。

流石のアナスタシアもおそ松(零斗)に疑問に思ったらしく、

 

「あの・・・、零斗。何言ってるの。何か悪い物でも食べたの?」

 

と少し口元に手を当てて引いていた。

 

「(マズった)」

 

おそ松(零斗)は零斗とアナスタシアとの距離がどのくらいか全然解っていなかった。

 

「(コイツらの距離感がよく解らねェぞ、もっと遠いのか)」

 

そしておそ松(零斗)は訳もわからず、こんな態度でアナスタシアにこう言った。

 

「か・・・勘違いしないでよね。顔が見たいと言っても、別にアンタの事が気になるワケじゃないんだから。そのマヌケヅラ見に来ただけなんだから。本当に勘違いしないでよね」

 

「どんなツンデレキャラ!?」

 

土方(銀時)思わず叫んだ。

 

「お前一体、俺がどんな風に見えてんの!?」

 

零斗(おそ松)もおそ松(零斗)にツッコミを入れる。おそ松(零斗)の横ではアナスタシアが少々呆れ返っていた。

 

「あの・・・・、何しに来たのかしら、零斗」

 

アナスタシアがおそ松(零斗)に何しに来たか訊いてきた時だった。

 

「風の噂で聴いたのさ」

 

なんと、おそ松(零斗)は急に優しい声でアナスタシアにそう言ったのだ。

 

「アナスタシア、お前、家に何か連れ込んでるらしいな」

 

「え?」

 

「単刀直入に言う」

 

おそ松(零斗)は急に優しくアナスタシアの左手を掴んだ。

 

「あんな男(やつ)とは別れて、俺と付き合っちゃいなよ」

 

が、ドン引きしてるアナスタシアにナンパ師のように優しく語りかけた、次の瞬間──。

 

ゴスッ!!

 

零斗(おそ松)が、おそ松(零斗)の頭を地面に叩きつけた。

 

「何してんだこの腐れゴミクズがァァ!!」

 

零斗(おそ松)はおそ松(零斗)に怒号を浴びせながらそうツッコんだ。それに続くように銀時(土方)と土方(銀時)も歩いてやってきた。

 

「あっ・・・あの、あなたたち。どうしてここに」

 

突然入ってきた零斗(おそ松)たちにアナスタシアが、少々驚きながら訊いた。それに対しなんと応えようか迷っている銀時(土方)と零斗(おそ松)の代わりに土方(銀時)が答えた。

 

「悪ィな。このバカの言った事は忘れてくれ。それより、聞いたぜ。アンタ化け猫飼っちまってるみてーだな。単刀直入に言う。あの猫を譲ってくれないか?」

 

土方(銀時)は直接、どざえもんさんを引き渡すようアナスタシアに言った。

だが、土方(銀時)の思惑通りにはいかなかった。

 

「ダメよ銀時先生。そんな事できないわ。どざえもんさんは私の大事なペットなんですから」

 

「そこを何とか・・・」

 

土方(銀時)は再三アナスタシアに頼み込む。だが、アナスタシアは

 

「私をもらうつもりなら、どざえもんさんごともらうつもりで来てもらわないと」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

土方(銀時)はアナスタシアにツッコむが、アナスタシアは

 

「これだから銀時先生は。もう、一点減点」

 

と勝手に土方(銀時)の何らかの点数を下げたのだった。

 

「いや、そうじゃなくて、あの猫が危険──」

 

土方(銀時)がしどろもどろになりながらもアナスタシアを説得しようとした、その時だった。

 

「それより、聞いたぜ」

 

今度は銀時(土方)が白眼を向き、顎をしゃくらせながらアナスタシアに話しかけた。

 

「ひでーじゃねーか。アンタにはぐだ男 ・・・・藤丸兄という人がありながら。真選組副長として黙って見過ごせねーな。単刀直入に言わせてもらう」

 

「オイ、なんで白眼向いてんだ。なんでしゃくれてんだ」

 

白眼を向きながら話している銀時(土方)に土方(銀時)が怒りを露にしていた。

そんな土方(銀時)の思いを無視して銀時(土方)はアナスタシアを壁際に押し付けるとロリポップを取り出してこう言った。

 

「腐った猫も腐ったガチャ中毒者も忘れて、この鬼とレッツパーリーナイトしないかい」

 

「「「オメーも同じだろーがァァ!!」」」

 

アホみたいなナンパをした銀時(土方)にぶちギレた土方(銀時)と零斗(おそ松)、おそ松(零斗)は銀時(土方)の顔面に蹴りを入れた。銀時(土方)は壁にめり込み、アナスタシアは間一髪でしゃがんで蹴りをかわした。

 

「テメーと同じようにフォローしてやってんだろうが。感謝しろよフォロ方」

 

銀時(土方)は土方(銀時)に懲りる事無くこう返す。

 

「誰がフォロ方だ!つーかどういう思考回路ならナンパするのがフォローになるんだよ!!」

 

土方(銀時)が銀時(土方)に対して怒号を浴びせた時だった。

 

「やめて、3人とも。私を取り合ってケンカするのは」

 

「オイぃぃぃぃ、何かややこしい事になってんぞ!!」

 

アナスタシアが頬を紅潮させながらそんなことを言い始めたため、零斗(おそ松)は思わず声を上げた。

 

「3人がそんな事思ってたなんて私・・・、知らなかった」

 

「いやいや違う!!銀さんは違うから!銀さんはもっと尻の軽い女が好みだから!」

 

「土方さんこそ違うわ!土方さんは前髪V字の女しか受け付けねーから!」

 

「俺だって違うから!俺はトト子ちゃんしか異性に目がいってないから!!」

 

銀時(土方)と土方(銀時)、おそ松(零斗)は慌てて勘違いしているアナスタシアにツッコんだ。

 

「マスターは、この事・・・、知ってるのかしら」

 

「ああ、これで俺たちマスター友達ですね、って喜んでくれたよ」

 

「適当な事言ってんじゃねーよ!!」

 

零斗(おそ松)は何かをやり遂げたような顔でアナスタシアに適当な事を言う銀時(土方)にツッコんだ。

 

「ストーカドックも、この事・・・、知ってるのかしら」

 

「ああ、俺達でアナスタシアの穴兄弟になろうって喜びながら言ってたよ」

 

「どこに喜ぶ要素があんだよ!!」

 

とんでもないことをほざいているおそ松(零斗)に土方(銀時)もツッコんだ。しかし、アナスタシアは変な決意をしていた。

 

「もう戻れない所まで来てしまったのね。解りました。銀時先生か土方さんか零斗か、年収及びその他諸々をふまえて一週間考えてみます!」

 

「「「「そうじゃなくてェェェ!!あの化け物と別れろって言ってんの!!」」」」

 

最早勘違いしまくりのアナスタシアに銀時、土方、零斗、おそ松は声を揃えてツッコミを入れたそのときだった。

 

「いい加減にしてください!!」

 

庭園の奥から、藤丸立香が怒号を上げながら姿を現した。

 

「僕のいない間に、勝手にぞろぞろ男を連れ込んで。銀さんにも土方さんにも、そしてどざえもんさんにもアナスタシアは渡したりしませんよ」

 

銀時たちは冷や汗を流しながら立香に注目する。そんなことを気にせず立香は銀時達にこう叫んだ。

 

「アナスタシアは、この俺のものですよ!!」

 

「ふ・・・、藤丸兄!!」

 

「(元に戻ってる・・・。まさか・・・!!)」

 

この間の騒動でおかしくなっていた1人である立香だが、今の立香は普段と同じ様子になっていて銀時(土方)と零斗(おそ松)はおどろいていた。

そして立香は親指を立て、誰かに合図を出した。

 

「もう心配はいらんぞトシ、話は全て聞いた。あとは、俺達に任せておけ」

 

銀時たちの背後から現れた近藤は土方(銀時)の肩に手を乗せてそう言った。

 

「(こ・・・近藤さん!!)」

 

土方(銀時)も想定外なことに驚いてそう思った。そのとき、近藤は刀を抜き、未だ倒れたままのどざえもんさんに切っ先を向ける。

 

「アナスタシアさん、早く藤丸くんと逃げるんだ!この化け物は危険だ!ある男たちの悪意から生まれた邪悪の権化!!ここは我々が引き受ける!!」

 

近藤がそう言うと、新八はアナスタシアの肩に手を当てる。

 

「どざえもんさんに何をするつもり!!」

 

「いいから、アナスタシア早く!!」

 

突然の事態にアナスタシアは驚き、混乱したが、立香はアナスタシアの手を掴んで無理矢理引っ張る。

 

「離して!!」

 

アナスタシアがそう叫んだ瞬間、立香のスマホが庭園の地面の上に落ちた。

 

「よし!!アナスタシアと化け物は引き剥がした!トシ!!万事屋!!おそ松!!零斗!!早く外から荷車を!目を覚ます前にコイツを全自動卵かけご飯製造機の元に運ぶんだ!!」

 

近藤は銀時たちにそう指示を出しながら、近藤は4人にこう叫んだ。

 

「早く行けェ!!」

 

銀時たちはすぐに走り出した。

 

「(・・・・めーら)」

 

近藤が用意したという荷車に向かおうとしながら4人はこう思った。

 

「「「「(てめーら、リーダー(俺たち)がいなくたって、てめーらはできる子だって信じてたよ!!)」」」」

 

銀時たちが道場の門から出た時だった。

 

「・・・、あれ?」

 

銀時たちは辺りを見回したが、荷車が何処にもない。

 

「何もねェ・・・」

 

銀時(土方)が声を上げた、そのときだった。

 

『何やってんですか4人とも』

 

どこからともなく、立香の声が聞こえてきた。銀時たちは思わず辺りを見回した。

 

『まんまとやられましたね』

 

「藤丸兄?どこにいるんだ」

 

「声だけか・・・、これは・・・」

 

「声の感じからして、そこまで遠いところにいないと思うんだが・・・」

 

「見当たりませんね・・・」

 

銀時たちは立香がどこにいるのか探そうとキョロキョロと見回す。どこからともなく聞こえてくる立香の声は突然、4人にこう告げた。

 

『それでもリーダーですか。あの二人は・・・・』

 

その頃、屋敷の外の通りにて──。

 

「アナスタシア急ぐんだ!もうこの島は危険だ!!二人で遠い国に高飛びでもしよう!!」

 

立香がそう言いながらアナスタシアを引っ張っていく。

そのとき、立香は突然振り向き、

 

「そう、アナスタシアと僕、二人だけの国(アイランド)へ!!」

 

と、どこかの目のくまが酷いクリプターが言いそうな台詞を言い出した。

一方、近藤は道場の敷地にいつの間にか運び込んだ荷車に、どざえもんさんを乗せて引いていた。

 

「ようやく、二人きりになれたわね。ごめんなさい銀さん、貴方が本当の銀さんって気づいてあげられなくて」

 

近藤は急に口調が変わり出していた。

 

「でももう大丈夫、これからはずっと二人きり。見間違えたりしない。私とペットいや、貴方と私(ペット)だけの世界なんだもの」

 

近藤はどこかのくノ一ストーカーが言い出しそうな事を言い出しながら荷車を猛スピードで引くのであった。

 

『 あいつら、魂(なかみ)、立香(カドック)と近藤(さっちゃんさん)です』

 

庭園の近くにある花壇の上から立香の声がしたので銀時たちは花壇の上を見た。するとそこには立香のスマホが落ちていた。

そのとき、立香のスマホから立香の声がした。

 

『僕らも魂(なかみ)、入れ替わっちゃいました』

 

銀時たちは、思いもしなかった出来事に絶句した。

 

「立香お前、どうしたんだよ!?なんでスマホだけになっちゃってんだよ!?」

 

『源外さんたちから銀さんと土方さん、零斗とおそ松さんの身体が入れ替わったという話を聞いたまではよかったんだけど、その信憑性を説くためにみんな魂と身体までバラバラにされて元に戻ろうとしたらスマホに魂が入っちゃったんだよ!』

 

どうやら源外とアザゼルによって立香を含めたあの場にいた連中の魂と身体が入れ替えられてしまったようだ。その事実を知った銀時たちが目の影を落としていると

 

「銀さん!?モタモタしてる場合じゃないですよ!?僕ですよ僕!?新八です!!」

 

「副長!?俺ですよ山崎です!!みんな身体が入れ替わってパニックになっちゃってます!!」

 

「おそ松兄さん!?僕だよチョロ松!!このままじゃみんな元に戻れ───」

 

新八のメガネをかけた1年の織斑一夏に魂が入れ替わったらしき志村新八、用務員の長谷川泰三と魂が入れ替わったらしき新撰組の山崎退、そして君月土方と魂が入れ替わったらしきチョロ松が走りながら話しかけると、

 

ドサァ!!

 

「「「グボォっ!?」」」

 

新八(一夏)、山崎(長谷川)、チョロ松(君月)は足を挫いて転んでしまい、新八のメガネと長谷川さんのグラサン、君月のメガネが地面に落ちたかと思えばそれぞれ銀時(土方)、土方(銀時)、おそ松(零斗)の前で綺麗に止まり、立香の魂が入ったスマホは零斗(おそ松)が拾っていた。

 

『銀さん早くして下さい!!手遅れになる前に!!』

 

『早くあの人たちを追いかけましょう!!』

 

『早く僕達を身につけて!!』

 

『急いでください!!』

 

新八のメガネから新八の声が、長谷川さんのグラサンから山崎の声が、君月のメガネからチョロ松の声が聞こえ、新八(新八メガネ)、山崎(グラサン)、チョロ松(君月メガネ)、立香(スマホ)の順で銀時たち4人に頼んだ瞬間、

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

グシャ!! ポイ

 

銀時(土方)、土方(銀時)、おそ松(零斗)は新八(新八メガネ)、山崎(グラサン)、チョロ松(君月メガネ)を踏み、零斗(おそ松)は立香(スマホ)を庭の池に投げ捨てるのだった。

 

『『『『ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"!?』』』』




次回から銀時たち以外の人達が魂と身体が入れ替わります!また、どざえもんを強くしすぎた感があるのでもしかしたらマジンガーなどのロボットの出番があるかもしれません。それではまた次回をお楽しみに!

ED『バカ・ゴー・ホーム』

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