OP『プライド革命』
「ふざけやがって!!」
土方(銀時)と零斗(おそ松)は路地裏にいる猫を片っ端から虱潰しに探していた。
「猫に魂半分持っていかれただ?まさしく猫のエサだぜ、安い魂だ!!」
「それはそうでしょ、あの2人の魂なんてその程度の価値しかないのは当然ですよ」
土方(銀時)と零斗(おそ松)はそんなことを話しながら猫を探すが、銀時とおそ松の魂の半分が入った猫の死骸は見つからないでいた。
「この広い島の中から猫一匹どうやって探し出せっていうんだ!!クソッ、こんな時に真選組の情報網が使えれば・・・」
土方(銀時)は中々見つからない猫の死骸にイラついてそうボヤき始めた。そして零斗(おそ松)はある手段を実行することを決めた。
「奥の手!全令呪を持って命じる!!来い、俺のサーヴァントたち!!」
先程の卵かけご飯製造機を出てから右手の甲に違和感を感じていた零斗(おそ松)は右手の甲を見ると歪な形だが三画の令呪が浮かび上がっていた。それを使って数日間サーヴァント健康診断に参加していた零斗が契約しているサーヴァントを呼び出したのだった。しかし───
『・・・・・・・・・・・・・・・・』
「なんか、違くね?」
「うん普通におかしい」
呼び出されたサーヴァントたち(ノッブ、沖田さん、ネロ、メイヴ、スカサハ)は某経〇値先生のイラスト風になっていた。土方(銀時)は零斗(おそ松)に確認すると零斗(おそ松)は苦笑いをしながら頷いた。
「なんじゃコレ!?気づいたらぐだくだになっとるとか意味不明なんじゃが!?」
「沖田さんも意味不明なんですが──ゴファッ!?」
「余の姿がちんまくなっているのだが!?」
「メイヴちゃんのキュートな姿がァァァ!!」
ノッブ、沖田さん、ネロ、メイヴは突然変わった自分の姿に驚き慌てふためいていた。まぁ身体が変化してしまったのだからこれは至極当然の反応だろう。しかしただ1人、スカサハだけは特になんの反応もなく冷静に自分たちの現状を分析していた。
「コレはアレだな。今の零斗は身体がおそ松になっているから我々に送られてくる魔力が零斗とおそ松ので混ざったことで我々はぐだくだ化してしまったということか」
「師匠、ぐだくだになっても冷静ですね」
冷静なスカサハに零斗(おそ松)は流石だなと呆れていた。
「とにかく見た目の変化なんて大した問題じゃねぇ。人数が増えたなら人海戦術で探すぞ」
土方(銀時)は零斗(おそ松)たちにそう言うと再び猫の死骸を探そうとしたその時だった。
「随分とお急ぎのようだな」
突然、バイクが零斗たちの前に現れた。
「デートにでも遅れそうなのか?」
零斗たちは思わず固唾を飲んだ。
「なんならお巡りさんがパトカーに乗っけてつれていってやろうか。地獄のランデヴーによォォォォ!!」
そのバイクに乗った野盗集団のような格好をしている男達は真選組だった。野盗集団兼世紀末集団と化した真選組を率いていたのは紛れもなく、真選組局長の近藤だった。
「「(近藤さん!!)」」
零斗たちは思わずフリーズしてしまった。
「え、なんじゃアレ?いつの間に人斬り弱小サークルから世紀末集団に転換したんじゃ?」
「そんな訳ないじゃないですか!?こんなの土方さんが見たら切腹ものですよ!?」
ノッブは初めて世紀末真選組を見たので思わず沖田に聞くが沖田自身も自分の知っている真選組と違いすぎて動揺していた。ちなみに言わなくとも分かるだろうが一応説明しておくと、彼女の言っている土方さんはFGOのたくあん中毒の土方歳三であり、決してマヨ中毒の土方十四郎ではない。
その間に真選組の隊士達が土方たちを取り囲み始めた。
「(最悪だ!!こんな時に面倒な連中に……!!)」
土方(銀時)は予想外の展開に内心悪態をつく。しかし、土方たちには真選組に構ってる暇は無い。
「悪いが、てめーらの助けはいらねーよ。お巡りにはお巡りの仕事があんだろ。さっさと公務に戻れ」
土方(銀時)はひとまず銀時のフリをして真選組をまこうとした。だが──。
「立派な仕事だよ。俺達ゃ怪しい浪人に職務質問してるだけだ」
なんと、近藤が土方に絡んできた!
「ノースリーブの怪しいポリスメンに言われたかねーよ!!」
零斗(おそ松)は近藤にツッコミを入れ、一方土方(銀時)はそんな真選組に対して怒りが込み上げてきた。
「随分緩くなったもんだな、真選組の局中法度も。本来ならてめーら職務怠慢で全員切腹だろうよ」
土方(銀時)は野盗集団と化した真選組にそう言い返した。しかし。
「聞いたか山崎、局中法度だってよ」
近藤は側にいた山崎に話を振った。山崎は
「何百年昔の話をしてんだ!!んなもんもう古いんだよ!!」
と釘バットを取り出して土方にガンをつけてきた。
「俺達はもう、何者にも縛られねェ!!自由警察になったんだ!!他人(ひと)の決めた掟(ルール)ではなく己の掟(ルール)で生きていく事をトシさんに誓ったんだ!!」
「いや、お前らのルール、どんなルール!?」
零斗(おそ松)はめちゃくちゃな理論を翳す山崎にツッコミを入れた。土方(銀時)は怒りを露にしながら真選組にこう返した。
「んな掟(ルール)、ただテメーらに都合のいいだけの掟(ルール)だろうが!!あんなだらけた副長のいいなりになってたら、テメーら腑抜けになっちまうぞ!!」
しかし、土方(銀時)の怒りは真選組の連中には届かなかった。
「黙れ!!トシは俺達に自由の尊さを教えてくれた!!堅苦しい束縛から俺達を解放し、ノースリーブにしてくれた!!」
「堅苦しいって、そっち!?お前ら解放されたの肩だけじゃねーか!!」
近藤の言葉を聞いた零斗(おそ松)は思わず真選組の面々にツッコミを入れた。
そのときだった。
「副長を侮辱したなんて堅ェ事言うつもりはねェ。だがてめェらは俺達の仲間(ダチ)侮辱した」
隊士の一人の武藤剛気がそう言いながら土方(銀時)と零斗(おそ松)めがけて輪になったロープを投げ付けてきた。
「仲間(ダチ)侮辱罪で逮捕だ!!」
土方(銀時)は輪になったロープをかわしきれず、首にロープを引っかけられたが、零斗(おそ松)はいち早く気づいた沖田さんによってロープを斬られた。
しかし土方(銀時)はそのままバイクで引き摺られてしまう。
「市中引き回しの上、打首だぜェい!!」
「ヒャッハァァァ!!」
「ぐおおぉぉおお!!」
「ひ、土方ァァァァァァ!?」
バイクで引き摺られる中、土方(銀時)は首に掛けられたロープを何とか外そうとする。零斗(おそ松)は土方(銀時)を助けようとノッブたちと一緒に真選組のバイクを追いかけた。
と、そのとき、
「ゴリさん、んな雑魚にかまってる場合じゃねーぜ。魔獣騒ぎはどうなった」
沖田が近藤にある事件の事を確認していた。
「四丁目のパチンコ店から通報があった猫型のモンスターの話か。デマだろう。一通り見廻ったがそれらしいもんは見当たらなかったぞ」
土方たちは近藤と沖田の会話に驚いた。
「まっ……、待て。猫型のモンスターって」
土方(銀時)がその猫型モンスターのことについて詳しく聞こうとしたそのときだった。
突然、日本刀がロープめがけて飛んできて、土方(銀時)を引き摺っていたロープを切断した。
「ぐほォ!!」
土方(銀時)は近くの喫茶店『カフェノーウェア』に突っ込んで悲鳴を上げた。
その様子を見た隊士達が驚き、戸惑ったその時だった。
「テメェら」
隊士達の後ろに二人組の男女が現れた。
「僕たちの先生に何してやがる!!」
「警察といえども世を乱す蛮行はわたし達が許さないアルよ!!」
土方(銀時)を庇うようにして立った二人組は、新八と神楽だった。土方(銀時)を傷つけられたせいか新八とかぐらは怒りに燃えていた。
「て・・・・、てめーら」
「つーか、世を乱してんのお前ら」
土方(銀時)はカフェノーウェアに突っ込んだせいで出血してる頭を押さえていた。そして何とか土方たちに追いついた零斗(おそ松)は二人にツッコんだ。
と、そのとき、バイクが新八と神楽の前に停止し、
「おやおや、ガキがたった二人こんな所に何を?」
と背中に日本刀を回した近藤が隊士達を率いて新八と神楽に因縁をつけてきた。
「警察ごっこは他でやりな!!」
そう言うと近藤は、火炎放射器を装備した戦車を新八と神楽にけしかけてきた!
「野郎共ォォ!!そこにいる汚物どもを消毒してやれェェェ!!」
近藤がけしかけた火炎放射戦車は火炎放射器の発射口の狙いを新八と神楽にしっかりと定めていく。しかし。
「警察ごっこはアンタ達だ」
新八は、一歩も退こうとせず冷たい声で真選組に返した。
「貴方達が頼りないから、私達がこの島に秩序をしいているアルよ」
神楽も新八に同調して真選組にそう返した。だが。
「ほざきやがれてめーら。嵐獄島は自由の島だ。これ以上俺達の島(シマ)で勝手なマネは許さねーぜ。消毒される前に食糧だけ置いてとっとと失せな」
近藤率いる真選組も全く退く様子はなかった。
「そうか。どうしても悪行を改めるつもりはない、と」
新八は冷たい声で真選組にそう言うと、腰に差した刀を抜こうとする。
「ならば私達が成敗して差し上げるアルよ!」
新八に続き、神楽も刀を抜こうとする。
「なんだてめーらァ?やる気かァ、あん?」
近藤は背中に回していた日本刀を新八と神楽の前に翳し出す。
そして、近藤は隊士達にこう言った。
「野郎共ォォ!!生意気なガキどもなぞ畳んじまえェェェ!!」
「ヒャッハァァァァァァ!!」
真選組は、世紀末の雄叫びと共に一斉に新八と神楽をめがけて斬りかかってきた!
「ちっ。奴等、やはりここから退く気はないようだ。二番隊に救援要請!」
新八は右手に持った日本刀で真選組の隊士達の攻撃を受け流しつつ、左手で無線機を取り出して他の隊に連絡を取り始めた。だが。
「ほう、おめェ俺達に敵わんと見て仲間でも呼ぶ気かァ?」
近藤は無線を使う新八に斬りかかる。新八は左手で近藤の一撃を受け止めようとするが受け止めきれず新八はバランスを崩し、その場に尻餅をついてしまう。
「ガキどもに街を護れる程世の中甘くねーんだよ!おっ死んじまいなァァァァ!!」
近藤が転倒した新八を袈裟斬りにしようとした、そのときだった──。
「貴様ら、何をやっている!」
新八や神楽と同じような法被を着ていた、明久と妹紅が近藤の刃を打ち返した。近藤は一旦新八から離れ、隊士達もそれに続いて新八と神楽から離れる。
明久は野盗集団と化した真選組にこう言い放ち、それに続いて2年Z組や見廻組、松野兄弟などと他の面々も真選組と睨みあった。
「我等の仲間に何をやっている!!警察とて世を乱す蛮行はこの禍終素学園が許さぬぞ!!これ以上邪魔立てするならZ組法度の元に、その下品な顔に牙突オギノ式を見舞う事になるぞ」
明久が刀を構えながらそう言うが、近藤はこう言い返して一歩も退こうとはしない。
「そっちこそ水と食糧だけ置いてこの島から消えな!!ここはてめーらに護れる程甘くねーんだよ!」
近藤にそう言われても、明久達は一歩も退こうとはせず、日本刀を抜いて切っ先を真選組に向ける。
「そうですか、どちらも引く気はないというワケですか」
「そうみてェだな。なら・・・」
そして、明久達Z組連合と真選組は一斉に飛び掛かった。まるで全面戦争をしようと言わんばかりに。
「この剣でカタをつけるだけだァァァ!!」
そのときだった。
「「「「待てェェェェェェェェェェェ!!」」」」
新八と明久、近藤、沖田の目の前に刀が突き付けられた。
「「どちらもその剣」」
「「鞘におさめな」」
新八に木刀を、明久に黒剣を、沖田にひのきのぼうを、近藤に真剣を突き付けた、人物達は──。
「副長(先生/長男/会長補佐の)命令だ」
銀時(土方)、土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)の4人であった。
「トシぃぃぃ!!」「先生!!」「クソ松!!」「零斗!!」
近藤と新八、明久、沖田は動きを止め、思わず銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)に声を上げた。
「いい加減にしやがれ。悪即斬とは言ったが、お前らてめーの敵さえその目で見定めらんねーのか」
「自由にも程があんだよ。今はあんな連中相手にしてる時じゃねーだろ。少しは秩序ってもんを覚えて利口に立ち回れ、ウンコたれども」
「これ以上好き勝手暴れんじゃねぇよ。テメェら全員社会の常識を一から学び直してこいや」
「俺のだらけきった生活のためにこれ以上めんどくせぇことはゴメンなんだよ」
土方(銀時)と銀時(土方)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)はそれぞれの組織に釘を刺し、全面戦争を止めさせようとする。
「あっちもこっちも猫探してんだろ。目的は同じだろーが。なぁ、銀さん」
「だったら今回はその剣をおさめて、互いに協力すべきだろ。なぁ土方さん」
「効率ってもんを考えるべきだ。なぁ零斗」
「こんだけの人数がいるんだからそうした方がいいに決まってるだろ。なぁおそ松」
銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)が互いに冷や汗を流しながらそれぞれの組織にそう諭そうとしたのだが──。
「オイオイトシよぉ、どーかしたのか。らしくねーじゃねーか」
「折角面白ェ事になったのに、何今さらクソマジメな事言ってんですか。またその命狙われねーんですかトシさん」
「普段の貴方なら話を聞いてあげるけど」
「ギャンブルに未成年での飲酒、それにいろんな店で借金している今のお前の言葉は素直に聞けねぇな」
なんと、近藤と沖田が銀時(土方)に、木更と蓮太郎がおそ松(零斗)に文句を言ってきた。
それは土方(銀時)と零斗(おそ松)も同じであった。
「先生。お言葉ですが悪即斬を提唱したのは先生です」
「僕達はそれに従っただけですよ」
「先生は自ら定めたZ組法度に背くって言うんですか?」
「真面目に仕事しろって言ったのはおそ松兄さんでしょ?」
「それなのに仕事を邪魔するようなヤツらと協力しろだなんて冗談じゃないよ」
こちらはこちらで新八、明久、明久達と共に増援にやって来た妹紅が土方(銀時)に、チョロ松とトド松が零斗(おそ松)に抗議してきていた。
そして、二つの組織は雄叫びを上げて戦闘態勢に入り、こう言って全面戦争に入ってしまった。
「俺達から自由を奪う事は何人にもできねェ!!たとえ副長にもなァ!!」
「我々が忠誠を誓うのは坂田先生ではなく、Z組法度と学園生活だけだ!!」
「僕達の望むものは給料のみ!それを邪魔するなら長男だろうとなぎ倒すのみ!!」
「俺たちは俺たちの我を通すだけだ!!」
銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)は二つの組織の全面戦争に巻き込まれ、さっそくアスファルトの上に伏してしまった。
「「「「(全然リーダーの言う事聞かねェェェ!!)」」」」
アスファルトの上に伏した銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)はそう思うが、怒りを露にした土方(銀時)は銀時(土方)に、零斗(おそ松)はおそ松(零斗)にこう詰め寄った。
「オイ、どーなってんだコイツら!!一体どんな教育したんだ!全然手綱とれねーぞ!」
「てめーが余計な事吹き込むからだろが!」
「おい、借金ってどういうことだ?テメェ俺の金勝手に使って借金したってことかア"ァ?」
「仕方ねーだろ!ギャンブルと酒は俺にとって呼吸するのと同じくらい日常的なものなんだからよ!!」
ブチギレた銀時(土方)が土方(銀時)に、逆ギレしたおそ松(零斗)が零斗(おそ松)に返してこう聞き返した。
「てめーの方こそ、このバカどもどうにかしやがれ!」
「知るかァ!!元々手綱とれなかった連中を悪化させたのはてめーだろ!!」
「つーかお前だってウチの兄弟に労働の大切さ学ばせたって言ってるけど結局は金が欲しいだけじゃねぇかよ!!」
「お前らにんなもん期待出来るわけねぇたろうが!!金目当てだろうが働いているんだから別にいいだろうが!!」
土方(銀時)と零斗(おそ松)は怒鳴りながら銀時(土方)とおそ松(零斗)にそう返した。その近くではキリト、桂、春虎がそれぞれの武器を使い、野盗と化したアリアや木更、三葉の真選組に所属している隊士と格闘していた。
銀時(土方)が立ち上がった次の瞬間──。
ガキィィン!!(刀と刀がぶつかり合う音)
銀時(土方)は最早見境なく刀を振り回す近藤の一撃を慌てて受け止めた。
「おっ・・・落ち着け!!てめーら何も仲良くしろって言ってんじゃねーんだ!!今回だけ!!今回だけ立場忘れて共通の目的を果たそうと言ってんの!!」
銀時(土方)はしどろもどろに近藤にそう言うが、近藤は
「目的って何を」
と大声で銀時に返す。
「だーかーら猫を・・・」
半ギレ状態になった銀時(土方)は近藤に言い返す。
「猫をなんだ」
「迷子の猫を一緒につかまえ・・・」
銀時が近藤に言い返した、そのときだった。
ウイーン(パチンコ店の自動ドアが開く音)
突然、パチンコ屋の自動ドアが開き、右目が飛び出し、口元に血のようなシミが残った猫のような顔をした、筋骨隆々で股間にモザイクがかかった謎の生物が出てきた。
「チッ・・・しけてやがる。これじゃあキャットフードの一つも買えやしねェ」
謎の生物は100円玉を手の上で跳ねさせながらそう呟き、
「あー腹減った」
とぼやきながらその場を立ち去っていこうとした。銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)そして二つの組織の面々はその様子を呆然と見つめていた。
「「「「・・・・なる程」」」」
銀時たちの背後から見ていたと明久、新八が謎の生物を見て呟いた。
「確かにこんな事をしている場合ではなかったようだね」
「近藤さん、一旦勝負は預けます」
新八と明久は近藤にそう言うと、近藤は
「ああ。お前らの言う通りだな」
と返した。
「者共協力してあの凶暴なモンスターを討つぞォォォ!!」
「化物から嵐獄始末犬を護れェェェ!!今こそ力を合わせる時だァア!!」
二つの組織の構成員達は、一斉に謎の生物に飛び掛かった。
「「「「(そーじゃなくてェェェェエ!!)」」」」
二つの組織の構成員達が謎の生物に飛び掛かる様子を見た銀時たちは顔をひきつらせた。
「違う違う!!それ退治しちゃダメェェェエ!!」
「やべェェェエ!!一致団結してお前の半身殺りにいっちまったぞ!!」
銀時(土方)と土方(銀時)が慌てる。その時、謎の生物は二つの組織が攻撃してきた事に気づいたのか、ぬっと振り向いた。
「つーか何アレェェェェェェェェエ!?なんで銀さんとクズ松の魂が猫に入っただけであんなモンスターが誕生してんだ!!頭から下ただのオッさんじゃねーか!!」
零斗(おそ松)は謎の生物を見て思わず叫んだ。
「待て待て待て!!落ち着けェエ!!こう見えてコイツいい奴なんだ!!俺と銀さんの半身、優しさからできたバファ○ンの化身なん・・・」
おそ松(零斗)は慌てて謎の生物を庇おうと二つの組織にそう言いかけたのだが──。
ゴゥ!!(謎の生物がおそ松(零斗)を殴る音)
「だぶァァア!!」
おそ松(零斗)は謎の生物に頭を殴られ、辺りに血を飛び散らせた。
「誰だ、俺の邪魔をするなァア!!」
その謎の生物は銀時たちの想像できないほどに強かった。それはもう桁違いと言える程に。
謎の生物は腕の一振りだけで先行していた一松、十四松、カラ松、秀吉、雄二、ムッツリーニと真選組の隊士数人を吹き飛ばした!
「「「どこがバファ○ンの化身!?」」」
謎の生物のとんでもない凶暴さに驚いた銀時(土方)、土方(銀時)、零斗(おそ松)が思わず声を上げた。
と、そのとき、
ドシャア!!(謎の生物の腕の一振りが銀時たちに当たった音)
銀時たちも謎の生物の腕の一振りに巻き込まれておそ松(零斗)の前に吹き飛ばされてきた。
「てめーの半身にやられてちゃ世話ねーぞ!どういうこった、本当にアレお前らの半身が入ってんのか!?」
零斗(おそ松)はおそ松(零斗)に謎の生物に銀時とおそ松の魂の半分が入っているのかを確信出来ないでいた。
「こなくそォォォォ!!」
今度は長谷川、カズマ、ルクス、理樹が掃除用具を使って謎の生物に攻撃を仕掛ける。だが。
「!?」
謎の生物は凄まじいスピードですぐに四人の背後に回り込んだ。
「てめーら、もしかして俺を知ってんのか」
謎の生物は四人の頭をむんずと掴む。
「この野郎ォォ!!」
「てめェそいつらを離しやがれェェ!!」
真人と謙吾が四人を救出すべく謎の生物に飛び掛かる。しかし──。
「教えてくれ」
謎の生物は四人を、こう叫びながら真人と謙吾に向けて投げ飛ばして直撃させた!
「俺は一体、何者なんだァァァア!!」
謎の生物は際限無く暴れまくった。異常発達した筋肉質な腕を目にも止まらぬスピードで振り回して恭介、青髪ピアス、元春、シン、結弦、一夏を殴り倒し、更に回し蹴りで棗鈴、セシリア、箒、ゆり、唯、かなでを吹き飛ばす。
「何も思い出せねぇ!!」
更に謎の生物は腕の一振りを放って美波と瑞希、そして小鷹と夜空、星奈を、山崎を始めとした真選組の隊士達を一撃で吹き飛ばし、辺りを屍の山に変えていく。
「血で血を洗う戦いと、玉で玉を洗う戦いしか記憶にねェェェエ!!」
「「「!!」」」
零斗たちは謎の生物の言葉に驚きを隠せなかった。
そのとき、傷ついた銀時(土方)が零斗(おそ松)の左肩に手を当てながら立ち上がり、
「なんてこった。奴ぁ俺の半身と言っても、俺たちの負の魂の塊・・・。戦とパチンコ・・・、血塗られた戦いの記憶のみでできた、哀しき戦闘マシーンだ」
「「いや、それただのダメ人間!つーか、ただのお前ら!!」」
銀時(土方)の漏らした言葉に土方(銀時)と零斗(おそ松)は銀時(土方)にツッコんだ。しかし零斗たちが話しているその間にも被害が拡大していっていた。
それもそのはずである。何せこの猫のような謎の生物に入っている銀時とおそ松の魂の半分、つまり負の部分はおそ松と銀時によるパチンコの記憶を除けばかつて攘夷戦争で白夜叉と敵から恐れられその名を呼ばれた頃の銀時そのものなのだから。
「のわぁぁぁぁぁ!!」
宝具『三千世界』展開したノッブも無数の火縄銃を放とうとしたがそれよりも早く白夜叉の記憶を持った怪物の餌食になった。ノッブは怪物の腕の一撃を受けて吹き飛ばされ、ピンボールのように沖田さんとメイヴに直撃してごろんと伸びてしまった。
「先生!!指示を!!うああああ!!」
アラタが土方にそう言うが、すぐに怪物の目にも止まらぬ一撃を受けて異三郎、信女、承太郎、花京院、ポルナレフと共にその場に倒れ込んだ。
それは真選組も同じだった。
「てめーら何やってんだ!それぞれで何とかしろォ!!」
「それぞれってどーやって!」
金次が周りの仲間たちにそう言うがどうすればいいのか分からないのか武藤は金次に叫んでいた。元々近藤や沖田といった幹部の指示や土方の定めた掟に従って行動していた隊士や武偵達には各自の判断での行動はあまり得意では無かった。
その結果──。
「ぐぁあ!!」「ごふぁ!!」
彼らもまた、白夜叉の記憶を持った怪物の拳の餌食になってしまった。
「ヒャッハァァ、ひるむんじゃねェェ!!」
「化生めェェェ!!悪即斬だァァァ!!」
「これ以上みんなをやらせるかァァァ!!」
「倒れろォォォォォ!!」
近藤と新八、明久、チョロ松が指示を出すが、4人とも白夜叉の記憶を持った怪物のあまりの強さを前に、怯んでしまっていた。
そのとき。
「これ以上仲間をやらせるかァァァ!!」
「テメェの思い通りにはさせねぇよ!!」
無謀にも一誠とブレイズが白夜叉の記憶を持った怪物に挑みかかった。だが。
「なんだてめーら」
やはりと言うか、怪物は凄まじいスピードで二人の背後に回り込んでしまう。
「もしかして俺が誰だが解るのか」
怪物はそう言いながら一誠とブレイズの頭をむんずと掴み、二人を持ち上げる。
「「こなくそォォォォ!!」」
神楽と沖田が怪物に飛び掛かった。だが──。
「教えてくれ、俺は一体誰なんだァァァァァァア!!」
怪物の叫び声と共に一誠とブレイズはそれぞれ神楽と沖田に向けて投げ飛ばされ、直撃してその場に倒れ込んでしまった。
その後も二つの組織の構成員達は怪物によって一方的にやられ、ついには近藤と新八、明久、チョロ松を残して全員力尽きてしまった。
零斗たちが気づいたときには既に遅かった。
怪物はとんでもない跳躍力で建物の屋根を軽々と飛び移り、
「あっちから新台の匂いがする!!」
と言いながらどこかに姿を消してしまった。
「待てェェェエ!!」
「しまったァァ、逃げられたぞ!!」
「まだそう遠くには言ってないはずです!!」
「追うぞ!」
怪物に逃げられた銀時(土方)と土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)が怪物を追おうとした。だが──。
「ぐっ・・・、クソ、あんな奴に遅れをとるとは・・・。どうして」
「トシ!!俺達はお前の言う通りにやってきた。なのに何故・・・」
「僕達は、こんなにも弱かったのか・・・・」
「・・・・・・・」
新八と近藤、明久、チョロ松は無力感に苛まれていた。
銀時(土方)と土方(銀時)は互いに顔を合わせる。その後ろでは零斗(おそ松)とおそ松(零斗)も何も言わないが銀時たちと同じく自分達の不甲斐なさを痛感していた。
そして銀時(土方)が、傷つき立ち上がるのがやっとな二つの組織の構成員達にこう言い残して全ての決着をつける為、土方(銀時)、零斗(おそ松)、おそ松(零斗)と共に怪物を追って走っていった。
「俺達ゃ、お前らのリーダーじゃねーからさ。すまねェ、不甲斐無ェリーダーで」
銀時(土方)の言葉を聞いた新八達は走り去っていく4人を呆然と見つめていた。
そのときだった。
「どうやら、らしくねェのはアイツらだけじゃねーようだな」
何者かが新八達の後ろからそう呟いた。
「どいつもこいつもリーダーがちょっと替わった位でどうした。秩序正しい禍終素学園、自由奔放な真選組。結構な事だよ」
新八達の後ろからそう言っていた、その人物は平賀源外とアザゼルだった。銀時たちのことが気になって様子を見に来たらご覧の有様なのだった。
「だが、てめーらには、てめーららしいやり方があるってもんがあんじゃねーの。リーダーの色で組織の色が変わるなら、組織の色でリーダーの色が変わる事もあらぁ。奴等にゃお前らの力が必要なんだ。だが今のお前らじゃ奴等の力にはなれねェ」
アザゼルの言葉を聞いた新八達は源外の方に向きを変える。
「まだ気づかねェのか。いや・・・無理もねーか。俄には信じ難い話だからな」
そして源外は新八達にこう言った。
「だったら、俺が教えてやろう。おーい、たま」
源外は手を上げて合図を出した。
ゴオオオオ──
近くから、何かが迫る音が聞こえてくる。
音に聞いた新八達が音がする方に向きを変えたときだった。
なんと、たまが運転しているトラックが既に避けられない所まで迫っていた。
アザゼルは、顔をひきつらせた新八達にこう言った。
「お前達のその、身体そのものに。取り戻してこい。お前達のリーダーを。お前達の本当の色を」
次回からはいよいよ他のキャラも中身と身体が入れ替わります。猫がいる家は原作通りお妙にするか、マシュやアナスタシアなど他のキャラの家にするかただいま検討中なのでこの人がいいとかあったら意見をお願いします!!
ED『バカ・ゴー・ホーム』