禍終素学園の混沌な日常   作:有頂天皇帝

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入れ替わり編3話です。

OP『プライド革命』


俺とアイツが右の玉で、あいつとコイツが左の玉

吹き飛ばされた4人が落ちた川の下流にある河原。

 

「・・・・・・殿ー」

 

何者かはわからないが、誰かが声をかけてきた。

 

「・・・・・・斗殿ー」

 

その声の主は。

 

「生きてるでござるかー、零斗殿ー」

 

長い黒髪をポニーテールにまとめ首に長いマフラーを巻いている遠山金次の戦妹の風魔陽菜だった。

 

「しっかりするでござるよ零斗殿」

 

その声が聞こえたおそ松いや、零斗が目を覚ました。

 

「君は確かライカや志乃と同じクラスの・・・。ハハッ、何だか久しぶりにその名前で呼ばれた気が・・・」

 

しかしその直後、零斗は違和感を覚えた。

 

「って、風魔!!お前なんで・・・!!」

 

零斗は驚いた。風魔は何故かおそ松の中身が零斗である事を知っていたのだった。

そこに高等部2ーZの生徒であり平賀源外の助手であるたまがやってきた。

 

「安心してください。身体の方も既に回収済みです」

 

零斗がたまの背後の鉄橋の下の方に目をやると、そこには銀時(土方)、土方(銀時)、おそ松(零斗)が鉄橋の橋脚に背をもたれ掛かるようにして気を失っていた。

 

「お前ら、まさか・・・・」

 

「もう大丈夫です」

 

たまは零斗にこう伝えた。

 

「皆さんの身体、元に戻りますよ」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

場所は移動して町外れにある平賀源外の工場。源外は昔からこの場所で暮らしており昔から色んな機械(カラクリ)を作っていた。

そこには禍終素学園科学教師平賀源外と、リアスたちの所属するオカルト研究会顧問にして堕天使の長アザゼルがいた。

 

「つーことは何か?こっちが銀の字で、そっちが鬼の副長」

 

「それでそっちが松野家長男で、こっちが龍ヶ崎家長男か」

 

「たまげたねぇ。本当に魂が入れ替わっちまうなんざ」

 

源外が銀時と土方を、アザゼルがおそ松と零斗を指さしながら言い、源外は身体と中身が入れ替わっているという事実に驚いているのだった。

 

「まぁ何にしてもだ。貴重なサンプルの回収ご苦労だお前たち」

 

「いえ、皆さん外見は変わっても中身は変わらずアホなままでしたので、簡単に発見できました」

 

アザゼルがたまたちに銀時たちを見つけてくれたことを感謝するが、特に大したことではないとたまは言った。

 

「おい、アホヅラって誰のことを言ってやがる?俺じゃないよな?このバカ3人の事だよな?」

 

「いやどう考えても銀さんとクズの2人のことに決まってるじゃないですか」

 

銀時(土方)が青筋を浮かべながらアザゼルに聞くが、同じ扱いをされたくないのか零斗(おそ松)はアホヅラなのは銀時とおそ松だけだと言った。

 

「ってか、サンプルってなんの事だよ」

 

土方(銀時)はアザゼルの言ったサンプルという言葉の意味が分からずその意味をアザゼルたちに聞いた。

 

「おめぇら、まさか自分たちに起こった出来事が偶然だとでも思ってるのか?」

 

「「「「!?」」」」

 

源外の一言に零斗たちは驚きを隠せなかった。まさか今起きている出来事が偶然起きたことではないとは思いもよらなかったのだから。

 

「いや、実際は偶然なんだ。お前たちがよりにもよってあのトラックと事故ってしまったことは・・・。でも、その後に起こったことは全て、トラックの積み荷が引き起こした事なんだ」

 

「ど、どういうことだよ!?」

 

アザゼルの言っていることが分からずおそ松(零斗)はその言葉の意味を聞き返した。それについて源外たちが話し始めたので銀時たちは真面目にその話を聞く体勢をとった。

 

「お前さんたちが事故ったトラックには極秘裏に開発された、ある機械(カラクリ)が運ばれていたんだ。それは人間(ひと)の尊厳、宇宙の因果律まで変えかねん恐ろしき機械(かいぶつ)を・・・」

 

「恐らくだがその機械(カラクリ)が事故時の衝突のショックにより誤作動を起こした。お前たちを襲った悲劇はそれによるもの・・・」

 

源外、アザゼルは話をしながら部屋の奥にある布を被せた装置の前にまで歩くと2人はその布を勢いよく剥がした。

 

「「そう、この全自動卵かけご飯製造機によるもの!!」」

 

「「いや、ただのゴミクズじゃねーかァァ!!」」

 

銀時(土方)と零斗(おそ松)は源外とアザゼルが説明した装置に思わずツッコんだ。

 

「全自動卵かけご飯製造機って何だァァァ!!」

 

銀時(土方)は源外とアザゼルにその装置について聞くと源外が装置について説明を始めた。

 

「見るやつが見ればわかる。科学と魔術の粋を集めついに完成した俺たちの研究の結晶だ」

 

「つーかあんたらが作ったのかよ!!」

 

零斗は(おそ松)源外たちにツッコんだ。そしてアザゼルはその『全自動卵かけご飯製造機』の使い方を説明し始める。

 

「まずこっちの転移装置に卵を置く。すると自動的に白身部分を取り除いた卵が抽出される。次にもう一方の転移装置に醤油を置く。すると絶妙な加減の醤油が抽出される」

 

説明しながらもアザゼルは装置を作動させていく。

 

「そしてそれらをこの真ん中のホカホカご飯に転移させることで、誰もが気軽に完璧な卵かけご飯を作れる夢の機械(カラクリ)だ」

 

「全然気軽じゃねーよ!!卵かけご飯作るのにどんだけ大がかりな装置作ってんだァァ!!」

 

銀時(土方)はアザゼルにツッコんだ。装置の中央部に置かれているホカホカご飯には卵と醤油が絶妙に抽出されており、見事な卵かけご飯が完成していた。

 

「しかし、世紀の発明を学会に提出しようとしてたのにてめーらのせいでケチがついちまったよ」

 

「いや、こっちの方が世紀の発明!!どんな誤作動を起こしたら卵かけご飯製造機で人の魂が入れ替るんだァァ!!」

 

額に手を当てながらそんなことをボヤく源外に零斗(おそ松)はツッコんだ。それに対してアザゼルが答えた。

 

「話は簡単だ。事故のせいで外に転がり落ちた転移装置が誤作動し、卵をより分ける代わりにお前さんらの魂をより分けちまった。そしてホカホカご飯ではなくカピカピの身体に転移させちまった」

 

「つまり、卵かけご飯ならぬ、魂かけ誤判しちまったワケだ」

 

と、源外が冗談のつもりで言った。しかしそれによって銀時、土方、零斗、おそ松の怒りが頂点に達した。

 

「上手くねーんだよクソジジイィィィ!!」

 

「卵と魂間違えるってどんだけ危険な装置作ってんだァァ!!返せェェェ!!俺たちの身体(ごはん)を返せェェェェェ!!」

 

おそ松(零斗)と土方(銀時)がツッコんだのと同時に銀時(土方)と土方(銀時)は言外の頭を、零斗(おそ松)とおそ松(零斗)はアザゼルの頭をそれぞれ鷲掴みして壁に叩きつけた。しかし

 

「心配ないでござる皆さん」

 

「ぐほっ!」

 

風魔はアザゼルを掴んでいる零斗(おそ松)の手を外させ、零斗(おそ松)を転移装置に無理やり押し込んだ。

 

「修理されたこの装置を使えば全て元通りになるでござる」

 

そして同じようにおそ松(零斗)もまたアザゼルによって転移装置の中へ押し込まれていた。

 

「その通りだ。次こそは間違いなく完璧な卵かけご飯ができる!!」

 

「卵かけご飯はもういいっつってんだろ!!」

 

おそ松(零斗)は転移装置に押し込められながらアザゼルにツッコミを入れた。

 

「要はもう一度卵でも醤油でもなくお前さんらの魂を抽出して転移させればいいんだよ」

 

「オイィィィ!大丈夫なのか!?ホントに大丈夫なのか!?」

 

「源外様、準備は整いました!!」

 

「よしいくぞ!!零の字、クズの字!!歯ぁ食いしばれ!!」

 

源外の話に零斗(おそ松)がツッコんでいる内にたまたちの準備が完了し、源外が装置のレバーを下げて転移装置を起動させた次の瞬間、

 

そして──────。

 

「「ああああああああ!!」」

 

転移装置が青く光り輝くのと同時に零斗(おそ松)とおそ松(零斗)の悲鳴が辺りに響き、その悲鳴を聞いている銀時(土方)と土方(銀時)は顔を引き攣らせていた。

それから暫くして転移装置の光が収まり始めた。

 

「ど、どうなったんだ?」

 

土方(銀時)がたまたちに零斗(おそ松)とおそ松(零斗)がどうなったのか尋ねてきた。

 

「両装置から転移反応確認取れました」

 

「マジか!?」

 

たまの言葉に銀時(土方)は思わず声を上げてしまった。

 

「零斗殿、おそ松殿やったでござるよ。これがお2人の抽出された魂から出来た、チキン南蛮でも鶏の唐揚げでもない」

 

風魔が転移装置の中心から取り出したのは・・・

 

「名付けて鶏のMIX揚げ丼でござる!!」

 

ドスッ!!(風魔の頭に零斗とおそ松がチョップした音)

 

「「ただチキン南蛮と唐揚げをのせただけじゃねぇかァァァ!!」」

 

チキン南蛮と鶏の唐揚げが半々に盛られた丼を取り出した風魔に零斗(おそ松)とおそ松(零斗)は勢いよくチョップをくらわせた。

 

「誰が人の魂、ホカホカご飯にかけて丼もの作れって言ったんだよ!!」

 

「まさしく、卵かけご飯でござるよ零斗殿」

 

「上手くねーよ!!」

 

おそ松(零斗)と零斗(おそ松)が言い訳する風魔にツッコミを入れる。

 

「しかしおかしいな」

 

「よし、今度は銀の字と鬼の字を入れて試してみるか」

 

アザゼルは上手くいかなかったことに顎に手を当てながら不思議がるが、源外は次こそは上手くいくと考え、今度は銀時(土方)と土方(銀時)を転移装置の中へと押し込んだ。

 

「頼むぞオイ、転移させんのは胃袋の中身じゃねーぞ、俺たち自身だ!」

 

「わかってるさ。んじゃいくぞ」

 

転移装置に押し込まれた銀時(土方)はアザゼルにそう言うとアザゼルは適当に相槌を打ちながら転移装置のレバーを下げた。そして先程と同じように暫くの間転移装置が青く光り輝き、その光が収まると・・・

 

「今度こそ成功しました。男性(アナタたち)自身を抽出した。キ〇タマかけご飯です」

 

「「どこの袋から抽出させたァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

銀時(土方)と土方(銀時)はモザイクがかかったものをのせたご飯を出しながら説明するたまにツッコミを入れた。しかもタチが悪いことに抽出された物体はどれが銀時のか、どれが土方のか全くわからなくなっていた。

 

「何してくれてんのお前らァァァ!!俺の俺がァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

「どれが俺のだ、これか?これなのか!?」

 

「ちょっと待て、それは俺のだろ!」

 

「いや、今のお前は俺だから!お前のは俺のじゃねーだろ!アレ?こんがらがってきた」

 

最早判別不能になっているのか、銀時(土方)と土方(銀時)は互いにモザイクがかかった物体を手に取って確認しながらそんなことを叫んでいた。

 

「オイどーしてくれんだてめーら!!超難解なパズルになっちまったぞォ!!」

 

銀時(土方)はこんな結果を出した源外達に怒号を上げた。

 

「心配は無用だ、もう一度やれば全て元に戻る」

 

「本当だろうなオイ!!もう袋間違えんじゃねーぞ!!あっちとこっちの袋も間違えんじゃねーぞ!!」

 

ぶちギレる寸前の銀時(土方)は源外達に釘を刺す。そして、アザゼルがスイッチを押した。だが──。

 

「今度こそ成功したぞ」

 

アザゼルが転移装置の中央部に置かれたものを見ながら銀時達に言った。

 

「マジでゴミだな」

 

「「どこの袋に入れてんだァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

銀時(土方)と土方(銀時)はアザゼルに怒号を上げた。銀時(土方)と土方(銀時)から抽出された物体は転移装置に入れた結果、ごみ袋に入れられてしまったのだ。

 

「これはおかしいな」

 

源外は何か機械の様子がおかしいに事に気づいた。銀時(土方)と土方(銀時)はまたしても先程と同じ超難解なパズルに挑むはめになってしまい、それをおそ松(零斗)はバカにするように腹を抱えながら笑い転げるが零斗(おそ松)はなんとも言えない感じの顔をしながらその様子を見るしかなかった。

 

「どういう事だ、何で上手くいかねぇんだ?」

 

うーん、と声を漏らし始めるアザゼル。本当ならこのような実験失敗が起こることなく、4人がそれぞれ元の身体に戻ってめでたしめでたしになるはずだったのに、その結果がこれなのだから疑問に思っても仕方がないだろう。

 

「源外様、アザゼル様。三度の転移記録を見る限り、三度とも転移装置Aの方にエラーが出てます。どうやら対象物に重大な欠損が・・・。それで抽出に失敗しまくってるようでござる!」

 

「対象物の欠損!?」

 

風魔が源外とアザゼルに言ったことの内容に驚いた零斗(おそ松)が思わず声を上げた。

 

「まさか俺の事か!?キ○タマの事か!?」

 

「いえ、違います」

 

たまは銀時(土方)にツッコむと、こう言った

 

「坂田先生とクズ松さん、どうやら貴方たちの何かが足りなくなってるようですよ」

 

「足りねぇって何の事だよ!?覚えがねーぞ!?」

 

たまの話におそ松(零斗)は慌て出す。銀時(土方)も同じようで身に覚えがないのか頭を抱えていた。

 

「落ち着けよ銀さんとクズ、とりあえずこのバファ○ンを持ってもう一度挑戦してみましょうよ」

 

「優しさ!?優しさが半分足りなかった!?」

 

「アホか!!それで解決するワケねーだろ!!もう40個もってけ」

 

土方(銀時)は零斗(おそ松)に言われて余計取り乱す銀時(土方)にツッコミを入れた。

 

「オイもう、バファ○ン転送させた方が早くね!?」

 

銀時(土方)が取り乱して土方(銀時)にそう返したときだった。

 

「坂田先生、おそ松さん。このままじゃ装置は作動できません。つまり、元に戻れません」

 

たまが銀時(土方)とおそ松(零斗)に言った。銀時(土方)とおそ松(零斗)は思わず声を上げそうになったが、次のたまの言葉で声を上げるのを止めた。

 

「本当に覚えが無いのですか?何か事故の時に貴方の身に起こったりしませんでしたか?」

 

たまは銀時(土方)とおそ松(零斗)にそう訊いてきた。

 

「事故の時・・・」

 

銀時(土方)はたまのその一言から入れ替わった日に土方(銀時)の言っていたある言葉を思い出した。

 

『──夢を見た。トラックにはねられた俺達の身体が下に見えた。俺と隣にいた玉は急いでそれぞれの身体に戻ろうとした。背後から妙な毛玉と薄汚れた玉が飛んできて俺たちとぶつかった。毛玉と薄汚れた玉はそれぞれ衝撃で真っ二つに割れ、一方は土方(オレ)と零斗(アイツ)の身体に吸い込まれ、もう一方は……』

 

(猫のケツの穴ァァァァァァァァァァ!!)

 

そして、土方(銀時)の言葉を全て思い出した銀時(土方)は全力で外に走り出した。その様子を見た土方(銀時)たちも銀時(土方)を追いかけるように走り出す。

 

「頑張って取り戻してくるでござるよー!」

 

「じゃないと装置は使えないからなー!」

 

走り去る銀時(土方)たちに、風魔とアザゼルが源外とたまと共に4人を見送りながら声をかけていた。

 

「オイ待てェェェ、どういう事だァァ!!」

 

突然全力で走り始めた銀時(土方)を追いかける土方(銀時)は、何故走っているのかを尋ねる。

 

「つまりあの時、俺とおそ松の魂がお前と零斗の魂とぶつかり合って割れた毛玉と薄汚れた玉、猫の死骸のケツの穴に吸い込まれていった。その2つの片割れは」

 

「そうか!俺たちの魂の半身は猫の死骸のケツの穴に入ったまんまだからあの装置が使えなかったのか!!」

 

銀時(土方)の仮説の話を聞いたおそ松(零斗)は何故銀時(土方)が走っているのか、そして何故転移装置が上手く使えなかったのかその理由がよくわかった。

 

「つまり土方(オレ)と零斗の身体に入っているお前らも半身しかねーってことか」

 

「知るかぁ!!とにかく、あの猫見つけなきゃ俺らの身体は一生このままだってことだ!!」

 

4人は走っている内にトラックと事故を起こして入れ替わった場所まで来た。

 

「冗談じゃねーぞ、あんな猫の死骸とっくに片付けられてんだろ!!やっぱり見当たらねーぞ!!」

 

土方(銀時)は辺りを探し回るが、既に猫の死骸なんてどこにも見当たらなかった。

 

「土方さん、問題はそこじゃありませんよ」

 

顔を引きつらせている零斗(おそ松)が銀時(土方)の仮説からある可能性に気づき、それを話し始めた。

 

「もしその猫の死骸が、2人の魂を得ることで生き返ったとしたら・・・・」

 

零斗(おそ松)の仮定を聞いた3人はもし本当に猫が生き返った場合を考え、ゾクッと恐怖した。

 

「てめーらはあっちを探せェェェ!!俺たちはこっちを当たる!!」

 

土方(銀時)は銀時(土方)とおそ松(零斗)を十字路の右側を捜させ、土方(銀時)と零斗(おそ松)は十字路の左側を探しに行った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ああ、とんでもねぇことになっちまった!どうする、どうすればいい!?」

 

銀時(土方)は猫の死骸を探すために走り回るが、一向に見つからないでいた。

 

「落ち着け!ここは一旦タイムマシンを探してだな・・・」

 

「んなことしてる場合じゃねぇだろうが!!」

 

とうとう現実逃避し始めたおそ松(零斗)が近くの自販機に頭を突っ込むのを銀時(土方)はドロップキックをすることで止めた。

 

「お前たち、そこで何をしているんだ!!」

 

馬鹿なことをしている銀時(土方)とおそ松(零斗)の前に何者かが現れた。その人物は───

 

「確か、真選組鬼の副長土方十四郎と禍終素学園の竜ヶ崎零斗じゃないか」

 

青色の痛スーツを着、スタイリッシュ立ちをしている松野家次男のカラ松であった。

 

「カ、カラ松!?なんでこんな所に・・・」

 

おそ松(零斗)はチョロ松や一松と違い、いつも通りの痛い格好をしているカラ松に少し安堵するが、何故こんな所にいるのか気になって尋ねた。

 

「フッ、面接の準備のためにデカパンの所へ寄った帰りだったんだが、まさかお前たちと会うとはな」

 

(面接の準備!?その格好で面接受ける気なのコイツ!?)

 

痛スーツで面接を受けるつもりのカラ松に内心驚く銀時(土方)。どう考えても一発退場ものなのに自信満々なカラ松を見て、銀時(土方)は呆れるのだった。その時──

 

「おやおや、真選組副隊長がこんなところで呑気に散歩とはいいご身分だなぁおい?」

 

鉄パイプを携えたチンピラたちを引き連れてテロリストグループ『ワイルドハント』メンバーが1人、エンシンが帝具『月光麗舞シャムシール』の切っ先を銀時(土方 )に向けてきた。

 

(さ、最悪だァァァァァァァァァ!!こんな姿の時にまさかテロリストと出くわしちまったァァァァァァ!!)

 

銀時(土方)は声にならない叫びを上げるが、すぐにエンシンにこう言い返す。その間に銀時(土方)たちの背後にある一団が迫っていた。

 

「わ、悪いが今テメーらに構ってる暇はねぇ。そこどけ。今回だけは見逃してやるぜ、エ・・・強姦魔」

 

「おい、なんで名前を言い換えた」

 

銀時(土方)はエンシンにそう言い返すと、額に青筋を浮かべたエンシンはすぐにでも斬りかかれるような体勢を取り始めた。

 

「前からテメェにはムカついてたんだ。ついでに何度も俺らのアジトを破壊してくるそこの野郎もぶっ殺してやるよ」

 

「俺も!?」

 

エンシンが言った言葉におそ松(零斗)が驚く。以前からシュラ一行を見つけてはぶちのめしてくる零斗には殺意を常に抱いているのであった。

 

「殺っちまえテメェら!!」

 

『ヒャッハー!!』

 

「チィっ!!こちとらテメェらなんかに構ってる暇はねぇんだよ!!」

 

エンシンが合図するとチンピラたちが一斉に釘バットや鉄パイプなどの武器を振り回しながら迫ってくる。猫の死骸を一刻も早く回収したい銀時たちはまともに相手をする気はなく何とかして撒こうと考えていたその時だった。

 

ドドシャァァァアアアア!!(エンシン及びチンピラ共が仰向けに倒される音)

 

銀時たちの背後に迫っていた一団の先頭にいた1人の男性が銀時たちの前に躍り出るとそのままエンシンたちに刀一閃すると、エンシンたちは一斉に仰向けに倒れ伏した。銀時(土方)は目の前の男の顔を見て驚いていた。

 

「お、お前は見廻組の・・・・」

 

銀時(土方)の目の前にいる男は、真選組と同じこの嵐獄島の警察組織である『見廻組』の局長である、佐々木異三郎だった。

 

「真選組副長として情けないですよ土方さん」

 

異三郎は銀時(土方)にそう言いながら見廻組の白い制服を脱ぎ捨てるとその服の下からアラタたちが着ていたのと同じような侍の着物を着ていた。

 

「禍終素学園十番隊隊長、佐々木異三郎。この嵐獄島の平和を脅かす犯罪者たちは悪・即・斬!!Z組法度の誓いの元に成敗させてもらいます」

 

「「(何してんだお前ぇぇぇぇぇぇ!?)」」

 

そう言いながら牙突の構えをとる異三郎に銀時(土方)とおそ松(零斗)は声にならない叫びでツッコミをするのだった。

 

「なんでテメェーまでZ組入ってんだァァァ!!なんでテメェーまで牙突だァァァ!!」

 

「申し訳ありませんが土方さん。私は以前までの私ではありません。生まれ変わり、己を律する精神を持った坂田さんと共に歩む道を選ぶことにしたのです」

 

銀時(土方)が異三郎にツッコむと、異三郎は眼鏡を指でクイッと上げながら話してくれた。

 

「(いや、お前の隣の銀さん、昨日まで牙突撃ち合いしてた奴ぅぅぅ!!)」

 

おそ松(零斗)は異三郎に声にならないツッコミを入れた。性格など色々とクセの強いものが多い真選組とエリートが多い見廻組では衝突することも多く、特に真選組副長の土方と見廻組局長の佐々木異三郎は現場で出会う度に刀で斬り合いをするほど仲が悪いことで有名である。

 

「それにしても土方さん、犯罪者を前にして敵前逃亡とはそれでも真選組副長ですか」

 

異三郎はそう言うと銀時(土方)の喉元に日本刀の切っ先を突き付けてきた。

 

「そこに直りなさい。例え真選組だろうと私たちの悪即斬の掟から逃れる術はありません」

 

その時だった。

 

「待て」

 

銀時(土方)の右側にある建物の上から声がした。

 

「そんな小物に構ってる暇はねぇ」

 

銀時(土方)は声の聞こえてきた建物の上に目を少し動かした。

 

「密偵から連絡が入った。四丁目のパチンコ店の前で事件が起こったからすぐに駆けつけろだとよ」

 

建物の上にいたのは、なんと空条承太郎だった!承太郎は何故か『禍終素学園五番隊隊長』と書かれた法被をいつもの服(ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けないで着ていた服)の上から羽織っていた。

 

「(もっとヤバい奴まで傘下に入ってるぅぅぅぅぅ!!)」

 

銀時(土方)は承太郎を見て思わず叫びそうになった。しかし、それだけではなかった。

 

「気をつけなよみんな」

 

おそ松(零斗)の背後の建物からも声がした。

 

「アレは相当強いよ。先行した八番隊がやられたらしいよ。僕達も支援に行く」

 

背後の建物の上にいたのはトド松だった!トド松もまた『禍終素学園十三番隊副隊長』と書かれた法被を着ていた。後ろにはおそ松とカラ松の松野兄弟とイヤミやダヨーン、そしてホームレスの人間たちもまた同じような法被を着て立っていた。更に───

 

「眉唾もんよ」

 

銀時(土方)の左側にある建物の上から何者かが姿を現した。

 

「なんでも八番隊の隊員は喋る化け猫が出たって言ってるそうよ。人心を惑わす悪い噂よ」

 

その人物は銀時のストーカー、猿飛あやめだった!彼女もまた『禍終素学園四番隊隊長』の法被を着ていた。

 

「忍者部隊を先行させたわ。もう片付いていることでしょう」

 

彼らを見た銀時(土方)とおそ松(零斗)は思わずこう叫びそうになった。

 

「「(どんだけ大勢力になってんだァァァァァァ!!)」」

 

そのときだった。

 

「喋る猫、物の怪の類ですかね」

 

異三郎があやめの化け猫という言葉に反応していた。

 

「捨てては置けませんね。Z組法度の元に成敗しなくては、行きますよ十番隊」

 

そして異三郎たちは銀時(土方)とおそ松(零斗)の近くにいたカラ松も合流して四丁目のパチンコ店に向かっていった。

その場を去っていくバカどもを銀時(土方)とおそ松(零斗)は呆然と見つめていた。

 

「ん・・・?」

 

「喋る猫?」

 

銀時(土方)とおそ松(零斗)は先程の話から喋る猫が心に引っかかり、そしてあることに気づくとバカどもを追いかけ始めた。

 

「「ちょっと待てェェェェェェェェ!!それ、牙突撃っちゃダメェェェェェェェ!!」」

 

果たして銀時とおそ松は無事、魂の半身を取り戻し、元に戻ることができるのか?とりあえず次回に続く。




次回はいよいよあのキャラが登場します。ヒントは猫!お楽しみに!!

ED『バカ・ゴー・ホーム』

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