そして今回で文通編最終回なので皆さんよろしく!
OP『桃源郷エイリアン』
前回のあらすじ。
文通相手のうららとデートする予定の新八。しかし何故か新八ではなく沖田が代わりにデートしていた。さらにそのデートの様子を監視していた零斗たちがうららの姉に見つかり、何故かうららの姉は新八とうららのデートを手伝ってくれることになった。しかしそれらは失敗に終わり、うららの姉はそのことに責任を感じてしまいどこかへと逃げてしまったのだった。
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夜の街の中をパトカーでパトロールしていた近藤と土方を謎の影が満月を背にして襲ってきた。
近藤、土方「おわァァァァァァァァ!!」
土方と近藤は悲鳴を上げ、土方はくわえていたタバコを落とした。 謎の影の正体は首輪を着けたうららで満月を背にして、二人に飛びかかってきたのだ。
そして、うららはパトカーのフロントガラスに足から飛び込んでフロントガラスを粉々に割り、そのままパトカーの運転席に飛び込んできた。
近藤「なっ、何者だァァァ!!」
土方「テロリストどもの回し者かァ!!」
うらら「車確保しました、御主人様」
近藤と土方が警戒してうららに刀を向けるが、うららは自らが走ってきた方に向いて言った。 そのうららの首に首輪を着け、そこから伸びる鎖を右手に持っていたのは──。
沖田「よーし、良くやった」
ほかの誰でもなく当然沖田だった。沖田の後には、零斗、霊夢、知弦が付いてきていた。明久、妹紅、鍵、深夏、ゼノヴィア、一誠、アラタは零斗たちと別れて探し、銀時と長谷川は用事があるようでそのまま帰ったのだった。
沖田「さァ、お前ら早く乗れィ」
零斗「なかなか気が利くじゃないか、この人」
零斗「これって犯罪じゃないの?」
知弦「細かいことは今は気にしちゃダメよ」
近藤「なっ……、何してんだおめーらァァ!!」
沖田「あっ、お疲れさまです」
近藤「あ、おつかれ様でーす。じゃねーよ!!」
零斗「よし発進だ。お姉さんを追え」
うらら「勘違いしないで。私がお仕えしているのは御主人様だけ」
零斗は沖田と近藤が話している間にパトカーの運転席をジャックしたうららに言って発進させようとするが、うららはそう言って返していた。
土方「何勝手なことしてんだァ!!あけろ、オイ!!」
土方が沖田達を制止しようとするがうららはそのままパトカーのエンジンを動かした。
近藤、土方「ああああああっ!!」
うららはパトカーを急発進させ、土方と近藤を置き去りにしようとしたがそうはさせまいと土方と近藤がそれぞれ右左のドアにしがみつくがパトカーの力に抗いきれずそのまま引きずられる。
近藤「あぶっ……!ちょっ……、とっ!止めてェェェ!!」
近藤は足踏みしながらドアにまだしがみついて沖田にそう言うが、うららは無視してパトカーを走らせる。
近藤「あぶないから!ちょ、止めて、マジ!」
近藤が止まるように再度頼み込むがうららは無視を続ける。ふと近藤は運転席にいるうららの存在に気づいた。
近藤「アレ?君は新八くんと文通してた写真の娘!!なんでこんな所に!?新八くんとデートしてたんじゃ……」
沖田「ちょっと勝手が違ってきたみてーで」
沖田はうららにパトカーを止めさせ、ようやく土方と近藤をパトカーに乗せる。
それと同時にうららが真実を明かした。
うらら「………ごめんなさい。新八さんと文通してたのは、私じゃないんです」
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新八「お姉さーん!!」
一方、うららの姉を追っていた新八はまだ街の中を走りつづていた。
新八「どこにいるんですかァ、お姉さ……そっか、僕。名前もわからないんだ、お姉さんの」
新八はうららのことを知っていたがうららの姉の名前を知らないで探し続けていた事に気づいた。 新八は途方に暮れたが、また走り出した。
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近藤「お姉さんが、新八くんの本当の文通相手だって!?」
零斗「どうやらそうみたいですよ」
霊夢「お姉さんがうららちゃんと上手くいくように私達に手を貸してくれたのも、多分写真見てすっかりうららちゃんに惚れてた新八を見ていたたまれなくなっちゃったからじゃないかしら」
零斗「でも色々、沖田(じゃま)が入ってなー」
沖田「沖田と書いて邪魔と読むのはやめてくれ」
知弦「上手くいかなくて自分を責めてどっか行っちゃったのよ。だましてたのはお互い様だったのに」
うらら「お姉ちゃん……。あの引っ込み思案のお姉ちゃんが、手紙を見て会いたいって言ったの……。きっとお姉ちゃん、新八さんのこと……」
「………辛かったんだと思う。そんな新八さんひとりの恋の手助けをするなんて。それでも……、自分のせいだって耐えて、でも、何の役にも立てなくて。……自分で自分が許せなくなっちゃったんじゃないかな」
うららは隣でうららの姉が新八との文通を楽しそうに書いてたのを見ていたからこそ、うららの姉の気持ちをよく理解しているのだろう。
近藤「新八くんは?」
霊夢「何も知らないわよ新八は」
知弦「何も知らないまんまお姉さん追いかけて行っちゃったのよ」
霊夢「目当ての娘をほったらかしにしてね」
零斗「アイツは理屈で動く奴じゃない。目の前で泣いてる女がいたら、惚れた女ほっといて涙拭きにいく奴だよ。まぁ、道理でモテないってワケさ」
土方「だったら今頃そのメガネがその女見つけてる頃だろ。いい加減車を返せ。公務執行妨害で逮捕するぞ。ガキの惚れた腫れたに付き合ってる暇はねーんだ、こっちは」
霊夢「いや暇でしょ。コイツは呼んだら簡単に来たし」
零斗「それって、思いっきりサボってるって事だろ」
土方「コイツはいてもいなくても同じなんだ」
うらら「そんな。お姉ちゃん、この街なんて初めてだから、変な所に行って事件に巻き込まれでもしたら」
土方「知らん。事件なら起きてから言え。俺達ゃ、くだらねー仕事こなす万事屋じゃねーんだ」
沖田「土方さん。それなら、心配いらねーや」
沖田が指さした方には中層のビルがあり、その周りには人だかりが出来ていた。
沖田「事件、起きました」
そしてそのビルの屋上にうららの姉が、一人、胸壁の奥に立っていた。見た限りでは彼女は、今すぐにでも飛び降りようとしているようであった。 土方は顔をひきつらせ、くわえていたタバコを落とした。
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うららの姉が屋上にいるのを見つけた零斗たちは急いでビルの屋上へ昇っていった。
うらら「お姉ちゃん!!」
鈴谷達と共に階段からビルの屋上に昇ったうららが姉に声をかける。
うらら「何やってんのよ!!バカな事はやめて!!」
姉「………うららちゃん」
姉はうららの呼びかけに反応してうらら達の方に向くが、すぐに胸壁の前の下に広がる人だかりに目をやって、こう返した。
姉「見て、あのたくさんの人を。あれだけ引っ込み思案だった私が……、あれだけ人の前に立つのが苦手だった私が、こんなにたくさんの人の前に立てるようになったよ」
うららの姉は、更に呟くように言う。
姉「皮肉なものね。もう死んでもいいって、自分の事がどうでもいいってなったら、あんなに苦しんでたのに途端に変われた。私、結局自分が可愛かっただけだったのね。自分だけが愛しくて尊い存在で。だから他人からどう思われているのか知るのが怖くて、傷つくことを恐れて逃げてずっと自分の殻に閉じ籠ってた」
その頃、下では新八が人だかりが出来ているビルの近くにまで来ていた。
姉「色んな人に支えられていながら、自分は誰かのために何かしようとも思わなかった。自分の事しか考えていなかった」
と、うららの姉がそう言っている時、新八は真選組によって立ち入り禁止にされているビルの入り口に来て入ろうとするが、真選組の隊士は通してくれなかった。
姉「新八さんの事もそう。うららちゃんの写真を送ったのは自分が否定されるのが怖かったから。新八さんは正体を明かしてくれたのに、私は……、嫌われるのが嫌で……、必死に隠して、そのくせに、……新八さんが私を見てくれないのが寂しくて、うららちゃんにとられるのが嫌で……」
そして、うららの姉は最後にこう言った。
姉「私……、汚い。こんなに……、汚い自分……、もう嫌……」
うらら「お姉ちゃん、ちょっと待って!私の話を聞いて!」
姉「いいの、私のことはもう放っておいて」
土方「ホラ見ろ、B型の女は話聞かねーっていったろ。俺の言う通りだ」
姉「私はA型です」
土方「……ヤベ、聞こえてた」
沖田「A型って、土方さんと同じじゃないですか。道理で最悪のはずだ」
土方「一緒にすんじゃねーよ、あんなのと!!血液型なんぞで人を判断すんな!!」
うらら「ちょっとォォォ、刺さってますから!全部お姉ちゃんに刺さってますから!」
うららの姉に言葉が刺さっているとも知らずに沖田と土方はうららの姉の傷つく言葉を言うのだった。
姉「死にます」
零斗、霊夢、土方「「「待て待て待て待て待て待て」」」
零斗「土方さんA型だったんだ……、A型はアレ、なんかいいトコ沢山あったよな、なぁ?」
霊夢「だよね、土方さん」
土方「オメーら俺に振んじゃねーよ。わかんねーよ。ロクにしゃべったことねーんだから」
零斗「テメェA型だろーが!適当でいいからなんか自分のいいトコ言えよ!」
土方「お前、俺が言ったら自画自賛してるみてーでなんか変なカンジになるだろーが!お前らが言えや!」
霊夢「んなこと気にしてる場合じゃないわよ!」
零斗「なんで俺達がテメェのいい所発掘しなきゃなんないんだよ!!この恥知らず!!A型は恥知らずなのか!!」
沖田「そうでさァ、A型は恥知らずなんだから汚くてもやってけるでしょう。だから死ぬな~」
知弦「死んだらA型はマヨラーで恥知らずって明日の新聞に乗るわよ。だから死んじゃダメよ」
霊夢「説得になってないわよ!」
姉「死にます」
零斗、霊夢、土方「「「待て待て待て待て待て待て」」」
再度飛び降りようとするうららの姉を三人は制止し、何とか説得しようと試みる。
零斗「あのアレ、A型はアレ、前髪がAを逆さまみたいになってるよな」
土方「完全に俺限定だろーが!つーかそれいいトコ!?」
霊夢「ひろがらない、パサつかないわよね」
土方「シャンプーのCM!?」
知弦「局長法度を守らない人を斬りたくなってしょうがなくなるわね」
土方「いやそれただの危ない人!!って誰が危ない人だゴラァ!?」
零斗たちが説得?をしているがあまりうららの姉に効果はでず、土方にただツッコミを入れられるだけだった。
しかし、さっきから近藤の姿が見当たらない。零斗達は辺りを見回すと、階段の近くで近藤がうずくまっていた。
霊夢「ちょっとッ!ゴリラ、何やってんの!説得に参加……」
零斗「……アレ、なんか泣いてない?」
うずくまっている近藤を見ると何故か泣いていた。
近藤「いや泣いてねーよ」
零斗「いや、泣いてんじゃん」
近藤「泣いてねーっていってんだろ、うっせーよ」
知弦「アレ何かしら」
霊夢「いやアレじゃない、ゴリラもひょっとしてAが……」
近藤「いや違うよ」
近藤が自分がA型では無いと霊夢に否定した時だった。
姉「死にます」
うららの姉は、そう言いながらとうとう飛び降りてしまった!
近藤「なんでだよォォォ!?」
近藤はうららの姉が飛び降りたのを見て思わず叫んでしまった。
近藤「今、何も悪い事言ってないよね!明らかに俺と同じとわかって飛んだよね!?」
零斗「言ってる場合じゃない!!」
零斗は近藤にそう返すと、うららの姉を追ってビルの胸壁に向かう。 ビルの胸壁に向かいながら零斗は鎖を創り出すと土方に向けてなげた。
零斗「ちゃんと掴んどけよ土方!!」
土方「テメェもな!!」
土方が鎖を掴んだのを確認した零斗は鎖を掴みながらビルから飛び降り、ビルの壁に脚をかけて急激に落ちないようにスピードを調節して、飛び降りたうららの姉を追いかける。
そして────
零斗は、見事にうららの姉の手を掴んだ。 下からは野次馬の人々の叫び声が響き渡り、うららの姉の手を掴んだ零斗はビルの中程で宙吊りになった。
姉「……放して」
うららの姉は小さな声で、だがハッキリと聞こえる声で零斗にそう言った。
姉「あなたが放さないなら私が放す」
零斗「で、新八に助けてもらうってワケか」
うららの姉の言葉に零斗がそう返すとうららの姉は驚いた顔をして零斗を見上げた。
零斗「うららちゃんの目の前でビルから飛び降りようとするところに新八が来て、うららちゃんにいいトコ見せる、そういう事だろ」
零斗はうららの姉の魂胆を見破っていたのだ。
零斗「悪いが、新八にはこんなアクロバットは無理だ。……なんでここまでやった」
姉「………」
うららの姉は少しの沈黙の後に、零斗にこう返した。
姉「す……、すいません。飛び降りるつもりはなかったんです。……つい入り込んで勢いづいてしまって。素敵な、……手紙だったから。新八さんの……、皆さんの手紙。あれ皆さんで書かれていたんですよね」
零斗はうららの姉の質問に答えなかった。 しかし、零斗の考えていることはうららの姉の前にはお見通しだった。
姉「わかるんです。私、ずっと一人で文字にばかり触れてきたから。不器用で大雑把、でも表情豊かで不思議なぬくもりがあって、新八さんのために皆さんで頭を悩ませて書いているのが伝わってくるようで、あれは私宛じゃない皆さんから新八さんに宛てた手紙だったんですね」
「私の手紙はいつも自分に宛てた手紙でした。誰か助けてって、私に手を差しのべてくれって。手紙の相手なんて見てなかった。私は自分しか見てなかったんです。自分に宛てた手紙が返ってくるわけもなかった」
「不思議ですね。人は自分のために筆をとっても、臆病で小さくまとまったつまらない文ができてしまうけれど、誰かのためになら、いくらでも強く自由な素敵な文が書けるんです。自分じゃなく誰かのためになら、いくらでも強くなれるんです。新八さんと皆さんを見てそう思いました。だからそんな大切な事に気づかせてくれた新八さんに……、私も何かしてあげたいと」
「差出人は不明でいいんです。私ってわからなくても、うららちゃんのままでも、それでも新八さん宛てに手紙を書きたかった。でも……、届かなかったみたいですね、……私の手紙」
うららの姉の話を黙って聞いていた零斗は何かに気づいた。
それに呼応するかのように、うららの姉も自分が飛び降りたビルの向こうにあるビルの屋上に目をやった。
そこには、スケッチブックを持った新八が立っていた。
姉「新八さん」
うららの姉が思わず声を漏らしたときだった。
『名前教えてください』
新八はスケッチブックに書いた言葉をうららの姉に見せる。
そして、新八はさらにスケッチブックのページをめくってうららの姉にこう伝えた。
『僕も今度はちゃんと君宛てに手紙送りたいから』
うららの姉は、新八の書いた言葉を読んで驚き、目を見開いた。
姉「……新八さん……、気づいて……」
零斗「とっくに届いていたみたいだな。お姉さんの手紙……、ちゃんと」
零斗は近くのビルの空いている窓を見つけるとゆっくりとビルの中に入った。ビルの中には明久たちがいて零斗に向かって親指をグッとした。どうやら明久たちはこの騒ぎを聞き付けて窓を開けてくれたようだ。
零斗「返事……、返してやってあげろよな」
零斗に言われうららの姉は涙を流しながら、明久から受け取ったスケッチブックに『きららです』と書いて向こう側のビルの屋上にいる新八に見せた。
これを見た新八は笑顔と共に『ようやく ちゃんと文通ができたね きららさん』とスケッチブックを通して返した。
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うららとうららの姉こときららと別れてから数日後。
妙「新ちゃん、お菓子もっ……?」
妙がいつも通り新八に差し入れをしようとしたときだった。
妙「アラ……、寝てる」
新八は机に突っ伏しながらグーグーといびきを立てて眠っていた。
妙「もォ、だらしないんだから」
妙は新八の事をそう言ってから、眠っている新八の後ろに近づき、机の上に置いてある物を確認した。
そして、妙は口元を緩ませると見守るように新八の部屋を後にした。
新八の机に置いてあったのは、きららとうららが、他の女の子に囲まれて笑顔になっている写真と、きららから届いた手紙の数々であった。
有頂天「これで文通編終わりました!そして今回のゲストは『鬼灯の冷徹』主人公である鬼灯様に来てもらいました!」
鬼灯「私、まだ仕事があるんですけど......」
有頂天「あ、それはすいません。ですがすぐに終わらせるので少々お待ちください」
鬼灯「まぁそれならいいんでけど、ところであなたこの間笑ってはいけないをやってみたいと言ってましたが出来るんですか?」
有頂天「一応参加する人は決めたんですけどネタとかどうすればいいのか分からなくなってるんで時間がかかると思いますが頑張って十二月後半から投稿できればいいんですけど、出来なかったら別の話書いていつか出来たら投稿する気です」
鬼灯「ならとっととこんなところで無駄話していないでさっさと書きなさい!」
有頂天「は、はい!それでは皆さん次に会う時をお楽しみに!」
鬼灯「地獄は良いとこ一度はおいで」
ED『バカ・ゴー・ホーム』