禍終素学園の混沌な日常   作:有頂天皇帝

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OP『桃源郷エイリアン』


文字だけじゃ伝わらないものもある

新八の文通を書くのに協力することになった零斗たち。もちろん真面目にやるわけもなく全員ふざけながらやるのでそれに新八がツッコミをいれたりした。

そしてなんやかんやで新八の手紙は送られたのだが─────

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

嵐獄島北側の貴族などの金持ちたちによる別荘などが多くある海の浜辺に控えめなメガネの少女がしゃがみながら新八から送られてきた手紙を見ていた。その隣に新八が拾った瓶の中に入ってた写真の少女がいた。

 

「まさかホントにあの手紙を拾ってくれる人がいるなんて」

 

「見せて見せて、なんて書いてあるのお姉ちゃん!」

 

この二人はこの辺りにすんでいる姉妹で、メガネの少女が姉、写真の子が妹のようだ。

 

姉「・・・・・・てっ、手紙届きました。文通これからよろしくお願いします」

 

「僕の名前は志村新八です」

 

姉が手紙と同封された写真を見るとそこにはいつの間にかメイガスモードになってたアラタの黒皇剣ジュデッカによる斬撃を受けて写真の手前に飛ばされている新八が写っていた。

 

「プハハハハ、なにこの人決めすぎ~‼でもちょっとかっこいいかも。それにお姉ちゃんと同じ年頃よ。良かったじゃない」

 

もちろん妹が言ってるかっこいい人とは写真の手前にいる新八のことではなくアラタのことであるのはお察しいただけるだろう。

 

姉「う・・・うららちゃん。・・・私・・・うららちゃんに謝らなきゃいけないことが」

 

うらら「?」

 

姉「じ・・・実はわ・・・私、あの手紙にうららちゃんの写真を同封して・・・流しちゃったの」

 

どうやら新八が貰った手紙の主は写真の女の子のうららではなくその姉が書いたものだったようだ

 

うらら「いっ⁉私の?なんで?」

 

姉「う・・・うららちゃんとってもカワイイから。この人が手紙を書いてるってなったら・・・きっと誰か手紙を返してくれると思って。ごっごめんなさい‼」

 

姉はそう言い終えると肘まで砂辺の砂に付けて謝った。

 

うらら「もぉー何でそんな事するかな。自分の写真入れればいいのに」

 

姉「ダッダメよ‼私なんか・・・誰も相手にしてくれないもの」

 

うらら「もっと自分に自信もってよ。お姉ちゃんカワイイよ。私もカワイイけど」

 

うららは自分に自信のない姉にそう言うと続けてあることを提案した。

 

うらら「じゃあ友達つくれたら許してあげるよ」

 

姉「えっ?」

 

姉はうららの提案に思わず声をあげた。つまりうららは姉が今回の文通を通して友達をつくることが出来たら写真の件を水に流そうというのだ。

 

うらら「今度こそ変わるんでしょお姉ちゃん。ゆっくりでいいから頑張ろうお姉ちゃん」

 

姉「・・・う・・・・うん」

 

姉はうららにそう返した。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

新八が手紙を出してから三日後、新八に手紙が届いた。

 

零斗「私、新八さんのことがもっと知りたい」

 

新八の部屋の外にある縁側に腰かけた零斗が、新八に届いた手紙を読み上げた。

零斗の周りでは前回新八の手紙を一緒に考えたメンバーが零斗の持ってる手紙に目を通していた。

 

霊夢「やったじゃない新八のこと知りたいってあるわよ」

 

アラタ「もうメロメロじゃね?どうする新八。教えるか?あんな事やこんな事まで教えるか?」

 

霊夢とアラタは後ろの方で新八が書いた手紙に同封した写真を見ている新八に言っていた。

 

新八「・・・いや・・・皆さん・・・コレ彼女が知りたがってるのって僕じゃなくてアラタくんじゃね?」

 

新八の言う通り、実際この写真を見た姉とうららは手紙の送り主をアラタと思っていた。

 

新八「コレが僕、志村新八ですってこの写真渡されたら誰が見てもアラタくんを新八と思わね?」

 

明久「大丈夫だよ。ちゃんと写ってるし」

 

妹紅「新八もいい顔してるじゃないか」

 

新八「写ってるって身体半分以上フレームアウトしてるだろうが‼ただの斬られ役Bだろーが‼」

 

ゼノヴィア「細かいことをグチャグチャ言うな。二枚目に勘違いされるならそれに越したことはないだろう」

 

深夏「私たちは別に一つもウソは言ってないからな。ちゃんと新八も写ってるしな」

 

零斗「それをむこうが勝手に勘違いしてもそれはもうこっちは知らないって話だから」

 

新八「こんなもん誰が見たって勘違いするわ‼」

 

鍵「ま、まぁとにもかくにも返信してもらうっていう第一関門はなんとか突破ってことで・・・」

 

「甘いな」

 

「えぇ砂糖と蜂蜜をぶっかけたショートケーキより甘々です」

 

突然縁の下から男の声、屋根から女の声が聞こえてきた。

 

近藤「第一関門?そんなものはまだまだ先だ」

 

文「あなたたちはまだ門の前にすら立てていないのです」

 

そう言いながら縁側の下からは近藤が、屋根の上からは文が姿を現した。

それを見た新八と妹紅はカチンと来たのか新八は近藤の顔を踏みつけ、妹紅は文にアッパーカットを決めた。

 

新八・妹紅「「門から入ってくることもできない奴に言われたくないんだよ‼」」

 

近藤・文「「ぐぼォ⁉」」

 

二人は悲鳴を上げ、近藤の後頭部は地面にめりこみ、文は空中に浮かびそのまま地面に落下した。

しかし二人はその程度では大して怯まなかった。

 

文「何も言わないでください明久さん。ここ数日といわず明久さんの毎日のいきさつは完璧に把握してますので」

 

近藤「俺は新八くんのここ数日ぐらいしか把握していないがだいたいのことは理解しているつもりだ」

 

妹紅「なんで把握してるんだよストーカーかお前らは⁉」

 

文「ストーカーじゃありませんよ‼恋の新聞記者って呼んでくださいよ‼」

 

近藤「そうだ!失敬だぞ君たち‼俺はただの恋のハンターさ‼」

 

新八「つうかあんたらいつから待機してたんだよ⁉」

 

近藤「恋の相談なら何故この恋愛のエキスパート近藤にしてくれない」

 

零斗「いや、どう考えてもあんたは恋愛じゃなくて嫌がらせのエキスパートだろ‼あんたらみないな泥だらけになってる恋愛のエキスパートなんて見たことない‼」

 

文「そう!恋をつかむコツは泥だらけになっても諦めないことです!」

 

アラタ「諦めろ!頼むから諦めてくれよぉ‼」

 

近藤と文はそれぞれ殴られた場所を押さえながら庭に出た。

 

近藤「しかし文通かぁ、懐かしいな。俺もやったことあったな」

 

深夏「いやあんたが貰ってるの想像出来ないんだが」

 

霊夢「どうせ真選組のマヨ方かサドの奴と勘違いされて渡されたやつよ」

 

近藤「失礼な‼六割はトシたちのだったけど残りは俺のだよ‼」

 

妹紅「あったのかよ」

 

近藤「手紙がくるたびにドキドキしたな」

 

近藤は自分が貰った文通のことをこう振り返った。

 

『この度は貴殿が利用された有料アダルトサイト利用料金について運営業者は利用料金遅延に関してブラックリスト掲載要請を承けました。至急30万円を下記の口座に振り込んでください』

 

近藤「何度振り込みに行ったかわからんよ」

 

新八「文通じゃねーよそれ‼架空請求‼」

 

近藤「架空じゃない‼確かに俺の胸に残ってる」

 

一誠「利用したのかよアダルトサイト‼」

 

どうやら近藤が貰った文通というのはアダルトサイトの利用料金支払いの催促の手紙だったようだ。

 

近藤「新八君。あんな恋愛のれの字すら理解してない男たちや好きな相手に奥手な女たちに文通などというプラトニックな恋愛がわかるワケもない。ここは未来の兄たる俺に任せなさい」

 

近藤が新八にそう耳打ちしているのを聞いた零斗たちは近藤の言葉にカチンときたのか額に青筋を浮かばせていた。

 

零斗「なんだゴリラテメーコラ。金の発生する疑似恋愛しかしたことなさそうな奴に言われたくねーんだよ」

 

霊夢「邪魔すんじゃないわよ。今いいトコなんだから」

 

近藤「じゃあ聞きますがね、君たちここからどーするつもり?相手は新八くんに興味を持ち始めた。しかし一体何を語る‼」

 

そして近藤は新八の現在の状況を示した。

 

『僕は万屋に在籍しています。万年金欠で趣味はアイドルの追っかけです』

 

近藤「こんなんでモテるかァァァ‼なんだよ万屋ってうさんくさっ‼なんだよアイドル追っかけって気持ち悪っ‼」

 

近藤にこき下ろされた零斗たちはとうとう堪忍袋の尾が切れ、思ったことを口に出した。

 

妹紅「テメェみたいなクソゴリラに言われたくねーんだよ‼」

 

深夏「一生モテそうにない癖に馬鹿にすんな‼」

 

ゼノヴィア「アイドルの追っかけがなんだ!嫌がる女性を追いかけるストーカーよりマシだ‼」

 

文「じゃあ皆さん聞きますけど新八さんって現在モテてますか?」

 

零斗・明久・鍵・アラタ「「「「いや全然」」」」

 

新八「少しは否定しろやテメーら‼」

 

新八がモテないことを零斗たちが肯定すると新八は涙目で文句を言った。

 

近藤「そうだモテてねーだろ!そうさ基本今の新八くんの生活を正面から書けば女性の食い付きがいいわけがあるまい‼」

 

ゼノヴィア「なら嘘をつけというのか⁉」

 

零斗「いくら新八がアイドルの追っかけだからって‼」

 

霊夢「新八がシスコンでキモイからって‼」

 

鍵「いやまったくフォローになってないから‼むしろ新八傷つけてるから⁉」

 

零斗と霊夢が新八のフォローをしようとしているが、むしろ新八の心を抉るような言葉を言ってる二人に鍵がツッコミを入れる。

 

文「新聞記者の誇りとして嘘を書くなんて出来ませんよ。ですか文章というのは言い方を変えるだけで大分印象が変わるものなんです。たとえば・・・・」

 

文はそう言いながら例を一つあげた。

 

『僕は銀さんという侍の下で侍道を学ぶべく日夜修行に励んでいます。趣味は音楽観賞。こればっかりには財布のヒモも緩みます。おかげで万年金欠です』

 

深夏「おお‼」

 

妹紅「さっきと書いてることは同じなのに印象がまったく違う‼」

 

近藤「さらに付け加えるとこうだ‼」

 

『僕の夢は実家の剣術道場を再興させることです、姉も僕の夢を支えようと一緒に頑張ってくれています。姉は本当によくできた女性で、キレイだし気も回るし僕も結婚するなら姉のような奥さんが欲しいと常々思っています。最近はその美しさも磨きがかかり、弟の目から見ても眩しささえ感じます。 その美しさはたとえるなら、一輪の花。 触れれば散ってしまいそうな儚さを持っていながらその花は決して折れない凛とした強さも内包しているのです。 さらに驚嘆すべくは、そんな美しさを持ち合わせながら彼女はそれに傲ることなく、その魂すらも清く美しく暁光の如く光輝いていることにあります。 これは奇跡でしょうか。いや奇跡ではない。 何故なら奇跡とは、彼女の存在そのものであり、今我々が目にしているのは奇跡が起こしたプチ奇跡に過ぎないからです。 さらに、驚くことに姉は…… 』

 

新八「長いわァァァァァ!」

 

延々と妙の事ばかり語る近藤に新八はツッコミを入れた。 やはり近藤は近藤であった。

 

鍵「どんだけ長々とお妙さんの事語ってるんだよ!!こんな弟、気持ち悪いわ!!視点変えるって、完全にアンタの視点になってるでしょーが!」

 

新八「まぁ確かに、僕を語る上で姉上の存在は欠かせませんよ。でも、もうちょっと簡潔にしないと何のための手紙がわかりませんよ」

 

一誠「まぁ新八は根っからのシスコンだからな」

 

新八「うるせぇ変態ドラゴン」

 

新八をからかう一誠が新八に茶々を入れるが新八はそれを一蹴する。

 

近藤「そうだな、仕方ない涙をのんで一行にまとめよう」

 

 『ムラムラします 』

 

零斗「どんな弟だァァァ!!」

 

明久「コレ、完全に近藤さんの気持ちじゃん!!あんだけ長いことゴタク並べて結局ムラムラしてるだけかい、アンタ!!」

 

近藤「言わないでね、お妙さんに」

 

新八「言えるかァァ!!」

 

ゼノヴィア「もうお妙さんの事省こう。今回の文通にあんま関係ないだろ。ヤバイキーワードは全部とろう。必要な事だけ書いてればいいんだ」

 

ゼノヴィアがそう言って修正した手紙の内容はこうだった。

 

 『僕は、銀さんという侍の元で零斗くんとゼノヴィアさんがイチャイチャしてるのを見て日夜ムラムラしてます』

 

新八「なんでそーなったァァァァ!!」

 

新八の怒号が部屋中に響き渡った。

 

新八「何でいつの間にかあんたと零斗くんが入ってんだよ!!てか堂々と嘘を書くなよ!?」

 

ゼノヴィア「いや、こうやって周りから囲んでいけば私と零斗が恋人になれると思って」

 

新八「全然マシじゃねーんだよ!!なんで僕の手紙なのに他人のこと書かなきゃいけないんだよ!?」

 

霊夢「そうよちゃんと書きなさいよ」

 

アラタ「そうだぞ俺たちを見習えよな」

 

妹紅「ふざけるのも大概にしとけよな」

 

『霊夢さんと零斗くんは毎日博麗神社でイチャイチャしています』(霊夢)

 

『アラタくんは多くの美少女と毎日まぐわっています』(アラタ)

 

『藤原さんと吉井くんは誰もが認めるカップルです』(妹紅)

 

新八「あんたらもふざけてんじゃねぇかよ!?」

 

霊夢たちは真面目に書いてるかと思われたが自分達の欲望に沿ったことを書いていたのであった。

 

新八「もういいです、射命丸さんの前半だけ使ってあとは却下、……あとは」

 

新八はそう言って自室に戻って、一人で後半の部分を考えた。

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

とある海辺の崖の上にある、お屋敷。

そこに、新八が書いた手紙が届いた。

この時の新八が書いた手紙の後半の部分はこうなっていた。

 

『君は……、うららさんは、一体どんな生活を送っているんですか? 』

 

新八の手紙に目を通していたのは、うららではなく、引っ込み思案な姉であった。

 

「お嬢様、海風はお身体に障ります」

 

姉「いいの、開けておいて」

 

体調を心配する執事らしき人物に、うららの姉はそう返しながら、文机で手紙を書き始める。

うららの姉が書いた手紙の内容はこうだった。

 

『新八さんにもお姉さんがいるんですね。私にも姉が一人います。 でも新八さんのお姉さんと違って、とても弱い姉です。 幼い頃から身体が弱かったこともあって家にこもりがちでいつも一人。 すっかり引っ込み思案になってしまって、身体が治った今も人とうまく接することができません。 まともに話せるのは妹の私と執事の狭洲父蔵せばすちゃんぞうくらい。 たまに外に出たと思えば、海ばかりながめて遠い世界に思いを馳せています。自分の殻を破ることもできないのに。 こんな姉をどう思いますか? 』

 

 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 

翌日の新八の部屋にて前回集まったメンバーに加えて銀時、知弦、幽香、リリスが集まっていた。

 

銀時「しかしまさか新八の癖に文通してるなんてな」

 

知弦「にしてもこの手紙、お姉さんの話題にガップリ食い付いてるわね」

 

幽香「全然自分の事書いてないのだけど……」

 

リリス「こちらが姉さんの話題ふっかけたからじゃないですか?」

 

銀時たちが新八の手紙に目を通しながら言った。

 

零斗「だからお姉さんの事省けって言っただろ。こーなるような気がしたから」

 

霊夢「しっかし、手紙でわざわざ互いにお姉さんの話に花咲かせちゃってどうすんのよ」

 

鍵「話題すぐに切り替えないとマズイな」

 

近藤「しかし、無下にもできんぞ。相手は彼女の肉親、優しくフォローを入れてからさりげに話題をうつさんと」

 

新八「でもフォローって、一体どうやって」

 

新八が近藤に返したときだった。

 

「あっ、やっぱココにいやがった」

 

開きっぱなしの窓から、聞き覚えのある、低い声音がした。

 

土方「近藤さん、いい加減にしてくれよ」

 

窓に手をかけて、近藤を呼んでいたのは、真選組鬼の副長土方十四郎だった。彼は近藤を探しにここにやって来たのだ。

 

土方「隊士達にフォロー入れる俺の身にもなってくれよ」

 

近藤「おっ!!丁度いい所に来た!!フォローの男、土方十四郎!!」

 

近藤が待ってましたと言わんばかりにそう言った。

 

近藤「上にも下にも問題児をかかえ、フォロー三昧の日々。トシにかかればまずフォローできないものはない!!」

 

土方「なんの話だよ」

 

近藤「コレを読んでみろ、十四フォローくん」

 

土方「十四フォローって何だよ、十四郎だ!無理があるだろ!」

 

新八「お願いします、フォロ方さん」

 

土方「統一しろよ!!何もかかってねーよ!!」

 

と、土方は新八にもツッコんだ後、渋々手紙に目を通した。

 

土方「オイ、メガネ。お前、こんな女のどこがいいんだ。コイツぁどう見てもB型の女だぞ」

 

新八「B型?」

 

土方「B型の女は自分勝手で、まず人の話を聞かねェ」

 

土方はタバコを吸いながら手紙の書き手の血液型と性格をそう言って、新八達にこう続けた。

 

土方「自分の話だけまくしたてるように喋り、それで会話が成立してると思うタチの女だ。この手合いは下手にフォローに回ると延々と一人で喋り続けるぞ」

 

ここで土方は一旦言葉を切り、くわえていたタバコを口から離して煙を吐く。

 

土方「かといって、強引にこっちの話を振ってもまず聞かねェ。相当にうまくやる必要がある」

 

と、土方が言ったときだった。

 

銀時「ちょっと何この人?血液型なんかで人を見るのかよ?」

 

妹紅「あの人B型の女の人に何か恨みでもあるのか?」

 

土方「ねーよ!!」

 

近藤「トシ、アレまだひきずってんのか」

 

土方「いい加減なことを言うな!!」

 

土方は銀時、妹紅、近藤にツッコミを入れた。

 

一誠「いや、でもモテる男はやっぱ言う事違うわ。便りになるぜB方さん」

 

土方「イチイチ呼び方変えんじゃねェ!!」

 

と、またしても呼び方を変える一誠にも土方はツッコんだ。

 

鍵「A型は今日は何をやっても空回り。めげずに頑張れ」

 

零斗「AB型は今日は友達とうまくいかないかも。トラブルには気を付けて」

 

深夏「O型は急な雨にみまわれるかも。外出の際は傘を忘れずにな」

 

土方「ただの占いだろーが!!なんでO型の上にだけ雨が降るんだよ!」

 

土方は何故か血液型占いを始めた鍵、深夏、零斗にもツッコんだ。

 

知弦「要するに、絶妙なさじ加減のフォロー、そして相手が気づかない程の自然な話題替えが必要ってことね。まぁ簡単ね、私に任せて」

 

知弦は自分が考えた、新八の手紙の内容を書き始める。

 

知弦の書いた手紙の内容はこうだった。

 

『お姉さんのことを思うと、とても心が痛みます。 でも、うららさんのお姉さんを思う気持ちはきっと伝わっていますよ。 いつかきっと心を開いてくれると思います。 ……開くといえば、うららさんはSとMの扉、どちらをひらいてくれるんでしょうか

 

新八「不自然過ぎるだろーが!!」

 

新八はとんでもない書き方をした知弦に対してツッコミを入れた。

 

新八「なんつー話題に切り替えようとしてんだ、あんたは!原始人でももっとマシな口説き方するわ!!」

 

知弦「人はSとMのどちらかにしかなれないのよ」

 

幽香「私と知弦はいうまでもなくSよ」

 

新八「あんたらは原始にでも帰れ!」

 

新八は3年のドSコンビにツッコミを入れるのであった。

 

霊夢「ダメダメ、あんな建前もクソもないドSに書かせちゃ。ここは私がいくわ」

 

と、今度は霊夢が書き始める。

霊夢が書いた手紙の内容はこうだった。

 

『……お姉さんのことを思うと、とても心が痛みます。 でも、うららさんのお姉さんを思う気持ちはきっと伝わっていますよ。 いつかきっと、お姉さんのATMの番号を教えてくれますよ 』

 

新八「だから不自然過ぎるだろーが!!」

 

新八は霊夢にツッコミを入れた。

 

新八「なんでここからATMの番号を聞くことになるんだよ!魚介類でももっとマシな口説き方できるわ!!」

 

霊夢「恋をする時、人は皆、生命の海に帰るのさ」

 

新八「お前だけ海に還れ、二度と戻ってくるな」

 

新八は、かっこよくキメているようだが、全然かっこよくキマっていない霊夢に対して、冷たく怒りを込めながら言った。

 

近藤「全く話にならんな」

 

知弦、霊夢に続き、近藤がそう言って動き出した。

 

近藤「フォローが足らん。お前ら揃ってペラペラじゃねーか。お前らは真剣にお姉さんのことを考えていない」

 

そう言うと近藤は新八の手紙にこう書いた。

 

『お姉さんを思うと、ムラムラします。 』

 

新八「見境なしかい!」

 

近藤の一文を見た新八は、思わず叫んだ。

 

新八「フォローどころかお姉さんのことしか考えてねーじゃねーか!!アメーバでももっとマシな思考してるぞ!!」

 

近藤「恋をする時、人は皆、ネバネバさ」

 

新八「お前の頭の中がネバネバだろ!」

 

知弦・霊夢と同じようにキマっていないカッコ付けをする近藤に、新八はツッコんだ。

 

一誠「仕方ないな。今度は俺がいくぜ」

 

一誠が新八の手紙に書かれた一文を訂正し、こう書いた。

 

『ところで、うららさんのスリーサイズはいくつですか? 』

 

新八「なんでだァァァァ!!これ、もうフォローもクソもねーんだけどォ!!重要な事何も訊いてねーじゃねーか!!つーかスリーサイズ聞くってただの変態じゃねーかよ!!」

 

銀時「兵頭だからこんなもんだろう」

 

文「まぁ新八さんも一誠さんも同じ変態なんだからこの手紙を送ってもいいと思いますよ」

 

新八「ぶちのめすぞテメーら」

 

銀時と文による変態扱いに新八は額に青筋を浮かべるのだった。その後もリリス、零斗、鍵、明久、ゼノヴィアたちが新八の手紙の内容を考えて書いてみたが、どうもしっくり来なかった為、新八は土方に声をかけた。

 

新八「土方さん」

 

土方「……仕方ねェ」

 

やれやれ、といった感じで土方が動き出し、新八の手紙を代筆し始めた。

 

『お姉さんのこと、色々と心配なさってるようですが、僕はその必要はないと思います。 僕はお姉さんに対し、同情の気持ちも励ましの言葉も何も持てません。

だって、友達ならいるでしょ、僕が。』

 

近藤「なにィィ!!突き放すと見せて、超弩級のフォローに!!」

 

近藤が驚いて声を上げる。土方は新八の手紙をまだ書き続ける。

 

『僕がお姉さんの友達になります。 自分の殻が破れないというのなら、僕が外から殻を破りに行きます。』

 

新八「しかもフォローからさりげに会う約束をとりつくろった!」

 

新八も驚いて声を上げた。だが土方はまだ書き続ける。

 

『会わせてください、お姉さんに。 あっ……、ごめんなさい、突然こんな事書いて……。

キレイ事ばっかり並べて……、本当は僕、そんな大層な人間じゃないんです。

だって僕……、本当は、……ただ、……ただ、君に……、会いたいだけだから。』

 

新八「フォローしたァァ!!最後うららさんもフォローしたァァ!!」

 

新八は更に驚き、声を上げた。しかし、土方のフォローの真髄はここからだった。

 

土方「最後じゃねェ、コイツを消しておしまいだ」

 

そう言いながら土方は修正液を筆に付け、先程書いた『君に会いたいだけだから』の一文を消し去った。

 

明久「け……、消したァァァ!?『君に会いたいだけだから』を消した!!何故!?」

 

明久が驚いて声を上げながら、土方の行動に疑問を感じたときだった。

 

零斗「ま……、まさか」

 

知弦「『君に会いたいだけだから』は新八くんのような純情ウブな人間は照れて書けない一文……」

 

妹紅「!!……じゃあ、書いた後、やっぱり照れて消したことを演出するために……!?」

 

零斗と知弦は土方が『君に会いたいだけだから』の部分を消した理由を理解した。

 

アラタ「スゴい!新八にまでフォローを!!」

 

深夏「完璧……!!完璧だァァ!!」

 

幽香「これがフォロ方十四フォロー!!」

 

アラタ、深夏、幽香が驚いて声を上げるなか、土方は自慢気にタバコの煙を吐き出した。

 

土方「至急送れ」

 

新八「ハイ!!ありがとうございます」

 

新八は感謝して土方に頭を下げ、土方から手紙を受け取ると、一人舞い上がりながら手紙を送りに部屋の外に飛び出していった。

零斗達はそんな新八の背中を見送るのだった。

 

銀時「おい、礼は言わねーぞ」

 

近藤「ああ。礼はいらねーよ。男なら誰しも一度は通る道だろ?」

 

と、近藤は零斗達に返すと、ワハハハハと声高に笑いだす。

土方は零斗達に背を向けながらタバコを吸う。だが──。

 

土方「あ」

 

タバコを口から離した土方は、急に何かを思い出した。

しかもそれは、手紙としては致命的なものだった。

 

土方「……やべ、近藤さんが書いた文、消すの忘れてた」

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

うらら「ギャアアアアアアア」

 

新八から届いた手紙を読んだうららが、ドン引きしながら手紙を床に叩きつけた。うららが読んだ手紙は、土方が消し忘れた近藤の書いた文『お姉さんを思うと、ムラムラします』がそのまま残った状態で届いてしまったのだ。

 

うらら「気持ち悪い!!何この人!!ムラムラって何よ!!ちょっとお姉ちゃん、やめよ!!もう、文通なんてやめっ……」

 

慌てたうららが姉にそう言ったのだが──。

 

うらら「……お姉ちゃん?」

 

うららの姉は、なぜかかたまっていた。

 

うらら「ちょっ……、どうしたの、お姉……」

 

姉「不思議な人」

 

うららの姉は、うららに背を向けたまま、言葉を返した。

 

姉「この人、手紙を書く度に別人のように文体が変わるの。まるで一人でたくさんの人格をもっているみたい。今まで友達なんて一人もいなかったのに、一度にたくさんの友達ができたみたいだわ」

 

うらら「何言ってんのお姉ちゃん。ただの変態じゃない、コレ。ちょっと、しっかりしてよ」

 

うららは変なことを言う姉にツッコんだ。だが、姉はうららにこう返した。

 

姉「それに……、私……、うららちゃんのフリして手紙書いてたのに、私のこと……、助けたいって……。ム……、ムラムラするって」

 

うらら「お姉ちゃんんんん!!ムラムラの意味わかってる!?ムラムラっていうのはね……」

 

と、うららが姉にまたツッコミを入れたときだった。

 

姉「……いたい」

 

うららの姉は、何かを呟いた。うららは驚いたが、姉は更にこう呟く。

 

姉「私……」

 

そして、うららの姉はうららの方に向き、こう言った。

 

姉「私……、この人に、会ってみたい」

 

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 

 

新八が手紙を出した次の日。

 

新八「皆さんんんん!!ちょっとォォォ、この手紙見てくださいよ!!」

 

新八が嬉しそうにまたしても遊びに来た零斗達に駆け寄っていく。

 

零斗「ヤバッ……、俺もう知らないし、もう知らないから」

 

明久「ボクも知らないよ」

 

霊夢「私も知らないし」

 

銀時「俺は何も言えねぇよ」

 

アラタ「どうするんだ、コレ」

 

近藤「俺も知らん。トシだよな、トシが悪いんだよな」

 

土方「元といえば近藤さんが悪いんだろ!俺も知らねーよ!」

 

土方以外の全員が頭を抱え、土方は責任転嫁をする近藤にぶちギレていた。

と、ここに新八が嬉しそうな顔をして縁側を走りながらやって来た。新たな手紙を持って。

 

新八「やりました!!ついにやりました!!うららちゃん、僕と会いたいって!!」

 

新八の言葉を聞いた零斗達は絶望し、顔をひきつらせた。




有頂天「皆さんこんばんはー、文通編は全部完成しているのであと残り2話も1日ずつ投稿します。」

洋「今回の話は随分、早いな」

有頂天「まぁ話は少し前に出来たので今回は早いんです。あ、今日のゲストは『キューティクル探偵因幡』の主人公因幡洋さんです」

洋「どうも」

有頂天「キューティクル探偵因幡。漫画終わっちゃいましたね」

洋「いやいつの話してんだよ!?それ結構前の話だよな!?」

有頂天「まぁ、原作は終わっちゃいましたがこの作品でもどうかよろしくお願いします」

洋「おう、まかせとけ!」

有頂天「それじゃ次回予告始めます!」

洋「きららとデートの約束をとることが出来た新八。しかし文通の相手はきららの姉でデートはどうなるのか?」

洋「法の番犬が牙をむくぜ!」

ED『バカ・ゴー・ホーム』

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