十勇士   作:妖狐

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「……」

「記憶を失くした後は、ずっと旅をしてた……


京都に住んで、小さな村に住んで……そして、百に会って彼の下に付いた」

「そうだったのか……」


限られた時間

“バシャ―ン”

 

 

突然、二人に水が掛かり滝壺の方に目を向けると、そこに鎌之介と大助が悪戯笑みを浮かべながら立っていた。

 

 

「鎌之介!!テメェ!!」

 

「ハッハッハッハ!!二人して、びしょ濡れだぁ!!」

 

 

大笑いする鎌之介に、突如水が掛かった。それを隣で見ていた大助は噴き出したが、彼にも水が掛かった。

 

 

「お返し」

 

「やりやがったな!!風術風起し!!」

 

 

鎌之介が起こした風は水を巻き込み、渦を作り上げ桜華と才蔵に掛けた。びしょ濡れになった桜華は、顔の水を振り払うように頭を振り、着ていた上着を脱ぎ捨て川へ飛び込み水飛沫を上げさせた。水飛沫に驚いた大助は、尻を突き鎌之介は手で飛んできた水を防いだ。

 

 

笑いながらか、三人は水をかけ合った。

 

その様子を見る才蔵……ふと後ろを振り返ると、そこに真助が立っていた。

 

 

「真さん……」

 

「何者なのでしょう……光坂を滅ぼし、桜華を奪おうとしたあの者達は」

 

「……」

 

「話を全て聞きましたけど……

 

 

タイミングが良すぎますね」

 

「え?」

 

「襲うなら、桜華が幼い頃に襲うはず。それに、一族の者もあの儀式を終えた後に、彼女を閉じ込めるはず……

 

 

しかし、僕がいた頃は何の音沙汰もありませんでした……閉じ込めようという気も、なかったと思います」

 

「……まさか、一族の中にスパイが?」

 

「可能性は十分にあります。

 

僕がいなくなるのを待っていたのかも知れない……」

 

 

夕方……

 

 

暗くなりかけている森の中を、才蔵達は歩いていた。その時、近くに生えていた木から優之介が飛び降りてきた。

 

 

「あ!!テメェ!!」

 

「何の用だ!!」

 

「(うるさい連中だ……)

 

桜華と話がある」

 

「とか言って、どさくさに紛れて桜華を連れて」

「いいよ」

 

 

才蔵の後ろにいた桜華は、鎌之介の言葉を無視して返事をした。

 

 

「周りにあの二人の気配はない……

 

本気で私と話したいんでしょ?二人だけで」

 

「……」

 

「後から帰るから、才蔵達は先に帰っていいよ」

 

「桜華がそう言うなら……

 

おいガキ!桜華に何かしてみろ!この俺が許さないからな!!」

 

「オイラも!!」

 

「……何もしねぇよ」

 

 

真助に軽く礼をすると、優之介は先に森の方へ行きその後を桜華はついて行った。

 

 

「彼は三人の中で、桜華ととても親しかった友人です。心配入りませんよ」

 

「そういや、あいつと一緒にいた椿って女が、何か言い掛けてたな。『優はアンタの』って……真助、何か知ってんのか?」

 

「時期に分かりますよ」

 

 

少し微笑みながら、真助は先に歩き出し彼に続いて才蔵達も歩きだした。

 

 

 

森の中にある広間へ、優之介と桜華はやって来た。

 

 

「話って何?」

 

「本当に留まるのか?」

 

「え?」

 

「知ってるだろ?光坂一族の呪い」

 

「……」

 

「武田以外の殿に付くと、その一族は滅ぶ……」

 

「知ってる、それくらい。

 

けど、私はあそこにいる。私の今の居場所は才蔵達の所」

 

「……」

 

「それに……もう限られてるし」

 

「え?」

 

「私には、もう時間が無い……

 

才蔵達といられる時間も限られてる」

 

「どういう事だ?」

 

「お前には関係ない……」

 

「……」

 

「話は終わり?」

 

「いや……聞きたいんだ」

 

「?」

 

「蓮華さんは、本当に死んだのか?あの日」

 

「……死んだはずだよ。

 

母さんは、アイツ等の囮になったんだから」

 

「生きてるって可能性は?」

 

「ある訳無いじゃん……

 

あったら、私をいち早く探しに来るはずよ!!」

 

「っ……」

 

 

振り返り、桜華はその場を去ろうとした時だった。

 

 

「あの時……」

 

「?」

 

「あの時……すぐに行ったんだ。

 

 

お前を助けに、行こうと思って里へ向かった。けど……もう遅かった」

 

「……」

 

「あの里の状況を見た時、お前はもう生きてないと思った……」

 

「だから何……伊勢に逃げてたくせに」

 

「行く気なんてなかった!!

 

俺本当は、里に残ろうとした。けど親もお頭も許してくれなかった……」

 

「……」

 

「襲われたって聞いた時、大社抜け出して行った……」

 

「信じると思ってるの?」

 

「これは……!」

 

 

振り返った桜華の目に、涙が溜まっていた。それを見た優之介は頭を下げた。

 

 

「ゴメン……」

 

「遅いよ……いつも」

 

 

それだけを言うと、桜華は去って行った。




狐:いや~、最近忙しくて更新が遅れた遅れた。

才:何呑気な事言ってんだよ!!

猿:何で遅くなったか、教えて貰おうか?

狐:イベントがあって、それに行ってた。

才:何だよ!!それ!!

狐:仕方ないじゃん、学校の行事と個人で参加してる行事が重なったんだから。

猿:どんだけ忙しいんだよ……お前

才:ちなみに、何歳だ?

狐:秘密。言ってごらん?一発で、小説書けなくなるからね。

才:え、遠慮しときます……

猿:右に同じく……

狐:また次回、更新します。お楽しみに~。

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