十勇士 作:妖狐
『赤き瞳を輝かせ、自然の神達から力を借り多数の技を出す忍』
『そして、闇を蘇らせないためにいる一族』
『闇を決して蘇らせては駄目』
『蘇れば、三人の命は無い』
『桜華は選ばれた子だ』
『桜華をあの狸に渡してはならん!』
「あそこだな」
丘から双眼鏡で何かを見ながら、甚八はそう言った。彼の言う方を見ると、そこは山と森に囲まれ外部からは見えづらいが、上から見ると微かに燃えた民家が見えた。
「これじゃあ、見つかるはずもねぇな」
「ずっと許された者しか、入れぬ場所だからな。
周りから見えない方が好都合なんだろう」
「とっとと調べて、さっさと帰ろうぜ」
「だな。
桜華、行く……?」
後ろを振り向くと、桜華は才蔵の傍から離れた場所で辺りをキョロキョロと見回していた。
「桜華!どうかしたか?」
「……ここ」
「?」
「覚えてる」
「!?」
「確か……」
歩き出す桜華……彼女の後を、才蔵達は追い駆けていった。
桜華が歩く道は全て、獣道だった……そして、着いた場所。そこはパズルの岩が壁に描かれた岩壁だった。
「い、行き止まり?!」
「丘から見えた里は、この奥だぞ」
「え?!
じゃあ、どうやって……」
「このパズルみてぇの、動かせばいいんじゃねぇのか?」
「これ、動くのか?」
「どれ、某が」
岩のピースを動かそうと、十蔵は岩を握った。だが岩はどんなに力を入れても、ビクともせずそして……
“グキ”
「オオオオオウ!!て、手首がぁ!!」
「無理に動かそうとするからだ」
「やっぱ、動かせねぇのか……」
「じゃあどうやって中に?」
「んなの事、俺が知るか」
その時、才蔵の傍にいた桜華は、スッと前へ出て行き岩を握った。握ると、岩は白く光だしそれに合わせて桜華はピースを一つ一つ動かしていった。
やがてパズルは、完成した……それは、陰陽大極図だった。
「陰陽太極図?」
「パズルはこれで完成……したのか?」
「けど、開かねぇぞ」
「……」
手に暖かさを感じた桜華は、手を見た。右手の甲の一部が光っていた。彼女の光る手に、才蔵達は気付き驚いた。
「手が……光ってる」
「どういう事だ?」
手の甲を見つめた桜華は、完成したパズルに翳した。パズルは手に反応するかのようにして、光だした。すると岩は動き出し、左右に開いた。
「ひ、開いた?!」
「凄ぇ仕掛けだ……」
「これで、外部からの侵入を防いでいたのか……」
「……!おい、桜華!
待て!!」
扉が開いたと共に、桜華は突然駆け出した。才蔵達は慌てて彼女の後を追った。
壁を抜けた向こう……そこは、荒れ果てていた。
焼けた屋根には草が生え、よく見ると屋根は黒く焼け焦げていた。燃えていない家を覗くと、赤黒く渇いた血がまだ残っており、その上には白い粉が散らばっていた。
「ひ、酷ぇ……」
「まだ、小さな子もいたであろうに……」
家に置かれていた、人形を手にしながら十蔵はそう言った。
三人が民家を調べている中、桜華はレオンと共に辺りを歩いていた。目に映る光景……そこにはかつて幼い自分が、他の子達と遊ぶ光景が広がっていた。
(……ここで、遊んだ)
更に奥へと桜華は進んでいった。
「桜華!!勝手に……って、桜華!!」
「この里にいる間は安全だ。心配は入らぬだろう」
「だといいが……」
「レオンがいるから、大丈夫だろう」
「それより早く、調べることを調べよう」
十蔵に言われ、才蔵は作業をやり始めた。
里の道を歩く桜華……景色を見る度、彼女の脳裏に数々の記憶が蘇った。
最初に着いた場所……そこは、火で溶けたのと溶けずに残ったおはじきが、ばらまいていた。桜華はおはじきを一つ、手に取った。
『桜華ちゃん、次だよ!』
おはじきを投げる自分の幼い姿が、目に映った。自分の近くには、数人の女の子がいた。
(……ここで、育ったの?私)
手に取ったおはじきを捨て、桜華は更に奥へと進んだ。すると石階段が目に入り、彼女はそこを登った。
何段か登ると、階段は終わりそこは小さな社が建っていた。その時微風が吹き、桜華の髪をそして、木々の葉を靡かせた。
目に映る光景……
神主とその前に立つ露出度の高い服を着た桜華を含む男女四人の幼い子供。
『あなた方は選ばれた子供……
各々の魂を守り、各々の運命を辿りなさい。
桜華、あなたはこの四人の中で、特別な存在……一番に用心しなさい。
さぁ、これを受け取りなさい』
神主が出したもの……それは、赤・青・黄・緑の翡翠の勾玉だった。
それを思い出した桜華は、首から下げていた青の勾玉を手に取り見た。
「(……これ)
!!」
またしても、頭に激しい痛みが桜華を襲った。彼女は頭を抱えながら座り込み目を見開いた。その様子に、レオンは心配そうに鳴き声を上げた。
(痛い……痛い痛い痛い!!
嫌だ!!こんな痛みを味わうくらいなら、思い出したくない!!思い出したく……!!)
頭に流れる映像……黒い玉を持つ自分の姿。振り向いた先には、巨大な岩が入り口に置かれた洞窟。その前に、自分は黒い玉と四つの勾玉を手に持っていた。
(……な、何?
今の……
才蔵!)
怖くなり、桜華は才蔵の元へ行った。
桜華が一人でいた頃、才蔵達は焼けた民家を一軒一軒調べたが、何も見つからず大きい鳥居が建つ神社の前の岩に座っていた。
「何もねぇ!!
どうなってんだ?!」
「既に持ち去ったか、元から無かったか……」
「持ち去ったなら、何で半蔵は桜華を狙ったんだ?」
「そうだな……
考えられるとしたら、持ち去った何かの鍵を持っているのが、桜華なのかも知れない」
「アイツが?」
「ガキが元から持ってたもんに、何か怪しいの無かったのか?才蔵」
「アイツが持ってた物……
刀と首飾りくらいしかねぇぞ」
「刀?
あの鞘に桜吹雪が描かれたあの刀か」
「あぁ。
アイツ、刀は扱えるみてぇだし。山賊を前にした時、柄を握って足もしっかり構えていた。
相当刀の修業したと思うぜ」
「弱い女子かと思っていたが……まさか」
「……?なぁ」
「?」
「どうした?甚八」
「今思ったんだけど、この神社まだ調べてねぇよな?」
振り返り才蔵達は、神社を見た。大きな桜の木が神社を覆い隠すようにして、生え伸びていた。
「……そういえば、この里の所々に桜の木が植えられていたな」
「桜……」
『綺麗……
また来年も来ようね!才蔵!』
「才蔵!」
ハッとした才蔵は、呼ばれた十蔵の方に向いた。
「大丈夫か?お主」
「あ、あぁ。
大丈夫だ……それより、早く調べようぜ」
そう言うと、才蔵は鳥居を潜り神社へ行った。
才:雑談コーナー!
狐:何話します?
才:そうだな……って、テメェは作者だろうが!!
狐:いいじゃーん。暇なんだから。
筧:暇なら、ちゃんと仕事をせい!!
狐:はい……
甚:で?どうすんだ?今日の話題。
才:狐の秘密を話すってのはどうだ?
甚:お!いいじゃねぇか。
狐:異議あり!!
才:何だよ……
狐:駄目だから!秘密公開なんて!
読者の人、引いてこれ読んで貰えなくなるよ!いいの?!
読まれなくなったら、この話しもう書かないから!そして終わらないから!
才:書け!そして、終わらせろ!!
狐:そう言われても、私も色々忙しいんだよ?
才:知るか!!
あ!そうだ!
狐、桜華が持ってる勾玉、あれ何だ?
狐:あー、あの勾玉。時期に分かるよ。
筧:勾玉?そんなもの、持っていたのか?
甚:青色の翡翠だ。
筧:ほー、それは珍しい。
狐:もう終わりにしていい?
ネタが尽きる。
才:だな。
狐:それではまた次回!よろしくお願いしまーす!