八幡の武偵生活   作:NowHunt

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あまりハーメルン最近見てなかったけど、RTA流行ってるの?ていうか、小説でRTAってどゆこと??


いざ、京都へ!

「八幡さん、そろそろ着きます」

「……あ、もう?」

「はい」

「さすが新幹線速いな」

 

 うっすらと新幹線のアナウンスが聞こえる。どうやら寝落ちしていて隣にいるレキに起こされたようだ。……ていうかレキ近っ。もうちょい離れてもいいのよ? せっかくの窓際なんだから外の景色見てていいんだよ。

 

 まあ、なんで俺らが新幹線にいるかというと――――遂に修学旅行・Ⅰが始まったのだ。行き先は京都。これは表向きは一般の学生の修学旅行と変わりはないが、武偵にとってかなり重要な行事だ。詳しくは前回の話参照。それか原作6巻『絶対半径2051』の64ページにもっと詳しく書いてある。原作読め。

 

 と、それは置いておいて――――

 

「…………」

「どうかしましたか?」

「いや、何でもない」

「キンジさんのことですか」

「バレてるんかい。まあ、そうだよ」

 

 レキの勘の良さはホント侮れない。さすが一流の狙撃手なだけある。

 

「――――」

 

 で、俺は横目で遠山をチラッと確認する。一応は星伽さんといるみたいだけど……チーム編成どうなることやら。始業式終わってたからまた神崎とトラブルあったみたいだからな。遠山は今年で武偵を辞めるはずだからそこまで関係ないがないとはいえ、辞めるまでかなり前途多難だろう。……まあ、その原因に俺という部分があるから多少は気になる。

 神崎が遠山を避けている理由が理由なだけになかなか話しにくいのが現状だ。遠山のことを好きで遠山を殺すかもしれないとか……そんな気軽に誰に相談できる話でもないしな。避けしまう気持ちも分かる。俺からも伝えることなんてできないことだ。

 

「………………」

 

 ごめん、ちょっと待って。さっきから気になったんだけど。寝る前は眠くて確証なかったんだけど、やっぱいるじゃねぇか。なんで誰も突っ込まないの? 俺が可笑しいのか? この風景絶対異常だよな?

 

「レキ」

「はい、何でしょう」

「……いや、どうしてハイマキいるの?」

 

 レキの愛犬(本当は狼)がレキの座席の下で大人しく寝ていた。

 新幹線に狼だぞ? ちょっとみんな大丈夫? この学校ボケしかいないのか。いや、武偵高の奴らほぼほぼバカなんだけどね。

しかし、これだと漫才成り立たないぞ。突っ込みの有り難さを思い知るがいい。特に隣にいるレキなんて自然にボケるからな。

 

「世話が必要だからです」

 

 そんなキリッとした表情で言わなくても。

 

「別に数日放し飼いでもコイツなら問題ないだろ」

 

 うっ、ハイマキなら睨まれた。寝てないんかい。また魚肉ソーセージあげるから許して。ね?

 とは言っても、レキ仕込みの育成を受けているし、そこいらの武偵犬や警察犬よりかはよっぽど優秀だ。犬じゃなくて狼なんだが。猟友会辺りにも撃たれないようにあのレキがきっちり教育されてる。それだけでもう強い。

 

「ハイマキも普段から頑張ってるので、気分転換も必要でしょう」

「それは否定しないけど……先生から許可貰ってんのか?」

「もちろんです」

「てことは、動物オーケーの宿泊施設探さないと」

 

 武偵高の先生は基本適当だから修学旅行のパンフレットには泊まる場所とか全く書いてない。1日目は京都で神社や寺を3箇所回ってレポート、2日目と3日目は大阪か神戸の都市部で自由行動としか書いてない。

 適当さここに極まれり。これ教育委員会見たら怒られそうだよな。借りにも学校だし。

 だから当然、宿泊施設は自分たちで決めるしかない。だから本来は事前に予定とか決めておく必要がある。見学するルートは決めたけど、どこに泊まるかだけまだ決めていなかった。単純に安く済ませようと色々な宿を探していたら、いつの間にか前日になっていただけという。

 

「八幡さん」

「今度は何?」

「今日は金閣寺、仁和寺、龍安寺を回る予定ですよね?」

「ああ。調べたらそれなりに近い場所らしいし。あ、でも午前には清水寺行きたいな。午後にその3つ行くつもりだけど、どうかした?」

「比叡山の近くに動物を連れて大丈夫な宿がありました。宿もそこまで高くありません。金閣寺辺りからバスかタクシーを使うことになりますが、昨日のうちに予約しました」

 

 比叡山というと、北東の方だったかな。

 

「分かった。ありがと」

「いえ。お気になさらず」

 

 そうこうしていると京都駅に止まった。

 俺らは荷物まとめてホームまで降りた。……ヤベぇ、通り過ぎる人たちがハイマキを見ている。そうだよな、一般人ならそういう反応だよね。良かった、俺は普通だと再認識できた。

 

「お前らー、ここで解散な。死ぬなよー」

 

 と、蘭豹の雑な挨拶で武偵高の奴らは散り散りになった。

あ、もう終わりか。本当に適当だな。教育委員会にチクったら面白そうだ。まあ、その後蘭豹に殴られるのは確かだが。……絶対やりたくないな。

 えーっと、京都駅から清水寺まではバスを使うと。バス停は……あっちの方か。

 

「レキ、行くぞ」

「はい」

 

 バスを乗って清水寺まで移動と。

 着いた。さすが観光地。人多いな。外国人の人もけっこういるな。清水寺やっぱり有名なんだな。

 レキとハイマキは……いるな。ペットってどこまで連れて大丈夫なんだろ。入り口くらいまでは行けるか。というより、バスって良かったっけ? ……知らないな。

 

「…………」

「…………」

 

 互いに無言でレキの歩幅に合わせつつ長い階段を登る。

 仲悪いわけではないから。これが俺らのニュートラル。俺とレキがそこいらの人たちみたいにペチャクチャ喋る姿を想像しろというのが無理な話だ。1人は元ぼっちで1人はロボットのあだ名を冠するからな。居心地は寧ろ心地良い方だ。

 

 受付で2人分のチケットを買う。その横に『武偵高の人たちは武器をこちらで預かる』との張り紙があった。

さすがに神社や寺に武器を持ち込むことはできないよな。

 

「レキ、武器預けろってさ」

「分かりました」

 

 分解されたドラグノフが入ってるトランクを渡す。俺は俺でナイフと銃を纏めたケース渡す。今日は武器を預かる機会が多いと予め分かっているからいつでも渡せるように纏めてある。

 

「本当にそれだけだよな?」

「はい」

 

 なら良いんだが。レキならどこかに隠し持ってそうだ。……って、あ。俺の靴……仕込み刃があるんだった。イ・ウーで理子に使った代物。全然通用しなかったけど。

 あるの完全に忘れてた。…………まあ、バレないし大丈夫か。俺が存在忘れてたくらいの武器だし。

 

「ハイマキ、ここでお留守番です。私たちが戻るまで大人しくしておくのですよ」

 

 と、ハイマキは受付のすぐ近くでお座りの姿勢で静かにしている。

 周りがチラチラとハイマキを見ているが、ハイマキはハイマキで気にしてない様子。図太い精神してるよな、コイツ。さすがはレキのペット。

 

「じゃ、行くか。ハイマキのことお願いします」

 

 受付の人にそれだけ挨拶をして清水寺に入る。

 

「おぉ……」

 

 スゴい。これが噂の清水の舞台か。けっこう高いな。思った以上だ。遠くまで京都の景色を見渡せる。かなり綺麗な光景だ。

そういや、ここから飛び降りた人もいたそうな。

 しかし、実際のところ、飛び降りても死者数は少なかったらしい。確かにこの程度の高さなら受け身は取れるな。普通の人も骨が折れるだけで済むだろう。もちろん、打ちどころによれば死ぬこともあると思う。

 

「あ」

 

 そうだ。あれ買ったんだ。

 

「八幡さん? ……それはカメラですか?」

 

 カバンから取り出したのはデジカメ。

 ちょっと奮発して7万ほどのを購入した。一眼レフにしようとしたけど、荷物嵩張るからな。荷物は最低限にしたいし、今回みたいな遠出ならデジカメかなって。

 

「そう。せっかく観光するんだから記録に残さないと。レポート書けって言われてるし尚更な」

 

 ちょっと下がってレキをレンズに収める。

 

「八幡さん?」

「動くなよー。ハイ、チーズ……と」

 

 うん、綺麗に撮れてる。

 

「武偵はあまりこういった記録を残さない方がいいのですが」

 

 ああ、人によっては体の傷跡や立ち方で癖を見抜かれるからな。俺はもう衛星で戦闘しているところを撮られまくったから特に気にも留めなかったが、レキは狙撃手だ。隠密が真骨頂。余計に気になるのだろう。

 

「いいんだよ。誰に見せるわけでもない、これは俺らの写真だからな。気にするな。……うん、レキは美人だし画になる」

「…………そうですか」

 

 返答に間があった。微かに微笑んでるのが分かった。

 口ではああ言うが、実際はきっと嬉しいのだろう。

 しかし、その直後、レキはキリッとした表情で俺を睨む。

 

「でずか、八幡さん。1つ苦言が」

「えー、何さ」

「私たちの写真ならそこに八幡さんが写ってないのは不公平では?」

「俺は写真写り悪いから、撮る方がいいんだよ」

「……カメラ借ります」

「あっ、おい」

 

 俺の言い訳を聞かずに問答無用でカメラ取られた。

 

「申し訳ありません。撮ってもらってよろしいでしょうか?」

 

 同じく観光しているであろう女子大学生のグループにレキが声をかけた。

 

「あ、いいですよー」

 

 そう気前よく女子大学生のうちの1人が俺のカメラを受け取る。

 

「八幡さん、並びますよ」

「全く……」

「撮りますよ。ハイ、チーズ!」

 

 パシャッとフラッシュが光った。

 俺の隣にはレキ。めっちゃ近くに寄っている。てか、手を組んでいる。女子特有の匂いがしてスゴい照れる。恥ずかしい。多分視線外れてる。カメラ目線じゃない。

 

「どうぞ。撮れてますか?」

「大丈夫です。ありがとうございました」

「あ、ありがとうございました」

 

 慌てて俺も女子大学生の人にお礼を言う。

 

「八幡さん、視線逸れてますよ」

「恥ずかしかったんだよ、察してくれ」

「では、観光を続けましょう」

 

 おっと、切り替え早いですね。それと、そろそろカメラ返してくれません? 大事そうに抱えないで。取り返しにくくなるから! 高かったから!

 




前回に比べて早く投稿できました(前回が放置しすぎただけ)


それと前回宣伝した私のオリジナル小説読んでくださった方が多くてとても嬉しかったです!!

かなりの勢いでブックマークやPVが増えてベッドで飛び跳ねたい気分でした。二段ベッドの上なのでやりませんでしたがw
まだ読んでないという人も読んでください。面白いかどうかは人にもよると思いますが、わりと真面目に書いてます。暇な時間などあればぜひ

なろうで書いてます↓
https://ncode.syosetu.com/n2569fu/

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