比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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八幡告白編③

稲毛海岸駅(17:15)

 

 

いろは「ここから電車ですよねー」

 

八幡「ああ、自転車とめてくるから待っててくれ」

 

いろは「はーい」

 

 

戸部「あんれー、いろはすじゃーん」

 

いろは「戸部先輩、何してるんですか?」

 

戸部「いや、隼人君たちと待ち合わせをナー」

 

いろは「へー」

 

戸部「あ、もしかしてヒキタニ君とデート?」

 

いろは「...戸部先輩にしては勘がいいですね」

 

戸部「いやだって、俺とヒキタニ君の仲じゃーん?」

 

戸部「ヒキタニくんちょー頑張ってたしナー」

 

いろは「がんばってた?」

 

戸部「っべー緊張してたけど、俺たちに理想の告白聞いて回ってサー」

 

戸部「絶対、いい告白してくれるってー」ヘヘッ

 

いろは「そう、ですか」

 

 

戸部「じゃっ、俺いると邪魔だろうし、もう行くワー」

 

いろは「戸部先輩」

 

戸部「あー?」

 

いろは「ありがとうございます」

 

戸部「うぇい!...ん?」

 

戸部「いろはすがお礼言うなんて珍しくネ!?」

 

いろは「戸部先輩といると邪魔なので早く行ってください」ニコッ

 

戸部「そりゃねえぜいろはす~」

 

 

八幡「待たせたな」

 

いろは「いえいえ。少しいいこともあったので!」

 

八幡「良いこと?」

 

いろは「ナイショでーす」

 

八幡「なんだよ。気になんだろ」

 

いろは「ほら、先輩!早く電車乗りましょー!」

 

八幡「おい」

 

 

葛西臨海公園(18:15)

 

 

いろは「わー見てください噴水ですよーすごーい」

 

八幡「いや、そう言うの良いから」

 

いろは「なんか反応ひどくないですかねぇー」

 

八幡「いや、今のは些細な事に感動してハシャいじゃう私可愛いアピールだろ?」

 

いろは「....か」ボソッ

 

八幡「ん?」

 

いろは「素で噴水に感動したらだめなんですか!!」バッ

 

八幡「うぉう!素だったのかよ」

 

いろは「当たり前です!先輩相手に作り物の私は出しませんから」プンスカ

 

八幡(え、何そのセリフ。ぐっときますね。うん。グッときます)

 

八幡「それは悪かった。...行こうぜ」ニギッ

 

いろは「あっ...」

 

八幡「....」カァァァ

 

いろは「せんぱい、顔真っ赤ですよ?」クスッ

 

八幡「ほっとけ。こんなリア充の印みたいなことしたことがないんでな」

 

いろは「私的にはこっちの握り方の方が憧れるんですけどねぇー」ツナギッ

 

八幡「なにこれ?捕まってんのおれ?」

 

いろは「恋人つなぎですよー知らないんですかぁー?」

 

八幡「恋人なんていた事も、いる友達もいなかったからな」

 

いろは「はあ...」

 

八幡(本気で憐れむのは止めてください。お願いします)

 

いろは「でも今は、私がいますもんねー?」

 

 

八幡「なんでお前そんな機嫌良いの?」

 

いろは「だからナイショですってー」

 

八幡「えーチョー気になるんですけどー」

 

いろは「は?」

 

八幡「ごめんなさい」

 

いろは「ほらほら、先輩どこいくんですかー?」

 

八幡「水族館でもどうだ」

 

いろは「わーカップルみたーい」

 

八幡「カップル...だよな?」

 

いろは「まだ告白されてませんからねぇー」

 

八幡(一色さんて根に持つタイプだったんですね。知ってましたごめんなさい)

 

 

水族館

 

 

いろは「ここには前に来たことあるんですかぁー?」

 

八幡「まあな」

 

いろは「へー。...結衣先輩ですか?」

 

八幡「なんでそうなるんだよ」

 

いろは「女の勘ですかねぇ」

 

八幡「言っておくが、雪ノ下も一緒だぞ」

 

いろは「そうですか」

 

 

八幡「....一色」

 

いろは「はい?」

 

八幡「その、なんだ。由比ヶ浜たちとは手は繋いでないしだな...」

 

いろは「もしかしてそれフォローのつもりですか?」

 

八幡「お、おう」

 

いろは「そんなこと気にしませんてばぁ!先輩私をなんだと思ってるんですかぁー!」

 

八幡「意外と嫉妬するだろ?」

 

いろは「....まあ、ありがとうございます」

 

八幡「気にしませんてばぁ」

 

いろは「.....」

 

八幡「いや何とか言えよ」

 

 

いろは「わー先輩サメですよ、サメ」

 

八幡「知ってるか一色。ここ写真撮ってもいいんだぞ」

 

いろは「は?」

 

八幡「え?」

 

いろは「それってフツーですよね」

 

八幡「え、そうなの?」

 

いろは「先輩、もしかして水族館とかきたこと...」ヒキー

 

八幡「いやそれくらいあるから」

 

八幡(学校行事でなんどかな)

 

 

いろは「これは...」

 

八幡「なんだよ」

 

いろは「ナーサリーフィッシュ...え?」

 

八幡「だからなんだよ」

 

いろは「...いえ、やめておきます」

 

いろは「ゼッタイ先輩たちも同じことを話しているので」

 

八幡(その察しの良さはさすがだと思います一色さん)

 

 

いろは「意外と水族館もたのしいですねー」

 

八幡「意外とってお前、期待してなかったのかよ」

 

いろは「まあ、そうですね」

 

いろは「正直水族館とか中学生かよーとか思ったりもしましたが」

 

八幡(おれの恋愛は中学生どころか小学生で止まってるからね、ごめんね)

 

いろは「でもまあ、先輩とならどこでも楽しいですし」ヘヘー

 

八幡「はいはい、あざといあざとい」

 

いろは「やだなぁー、素に決まってるじゃないですかぁー」

 

八幡「ここ出たら、あれ乗るか?」

 

いろは「観覧車ですか」

 

八幡「ああ」

 

いろは「ちょっとベタすぎますね」

 

八幡「嫌なら他を考えるが」

 

いろは「いえいえ、行きましょー!」

 

八幡「やっぱお前機嫌良いだろ」

 

 

ダイヤと花の大観覧車(19:45)

 

 

いろは「わーおっきいですねー」

 

八幡「まあ日本一だからな」

 

いろは「そうなんですか?」

 

八幡「地味だけどな」

 

いろは「こんな地味なところに…」

 

八幡(そんなに言うなよかわいそうだろ。だれだよ最初に行った奴、俺か、俺だな)

 

いろは「さー早く乗りましょーぉ!」

 

大観覧車 乗車

 

いろは「ちょっ、ちょっと怖いですね」

 

八幡「お前って結構こわがりなのな」

 

いろは「そ、そんなことないです!ただ観覧車って揺れるじゃないですか」

 

八幡「まあな」

 

いろは「あ、でもキレイですね。あれなんですか?」

 

八幡「首都高だな。光ってるのは車のライトだ」

 

いろは「それ聞くと一気に冷めます」

 

八幡(どう答えればいいんだよ)

 

 

いろは「あ、もうすぐ頂上。ですね…」

 

八幡「ああ、そうだな」

 

いろは「…..」ドキドキ

 

八幡「…..」

 

いろは「…..」ドキドキ

 

八幡「…..」

 

いろは「…せんぱい?頂上すぎましたけど」

 

八幡「なんだよ、頂上でなにかしたかったのか?」

 

いろは「いえあのー。え、違うんですか?」

 

八幡「なにがだよ」

 

いろは「も、もういいです!すいませんでしたっ!」

 

八幡「いやなんで怒ってんだ」

 

いろは「怒ってません!」

 

大観覧車 降車(20:10)

 

いろは「….」

 

八幡「おい、一色」

 

いろは「なんですか」ジロッ

 

八幡「い、いや、少し歩かねえか」

 

いろは「…いいですよ。今日は先輩にお任せしてますから」

 

八幡「行きたいところがあってな」

 

 

クリスタルビュー(20:20)

 

 

いろは「ここですか?」

 

八幡「ああ」

 

いろは「真っ暗ですね」

 

八幡「明かりがないからな」

 

いろは「そうですか….」

 

八幡「一色。話したいことがある」

 

いろは「なんでしょう」

 

八幡「俺は、お前の事が好きだ」

 

いろは「….」

 

八幡「今まで何度もお前に救われたことがある。いつからか、お前といる時間が楽しく感じられるようになっていた」

 

八幡「先輩なのに情けないと言われればそれまでだが、よかったら俺と付き合ってくれないか?」

 

いろは「そう、ですか」

 

 

八幡「どうだ?」

 

いろは「いやです」ニコッ

 

八幡(それ笑顔でいうことじゃないからね)

 

 

いろは「その言葉、なんでさっき、観覧車の中で言ってくれなかったんですか!」

 

いろは「なんでわざわざこんな真っ暗なところで告白するんですか!」

 

いろは「わたしにはぜんっぜん、分かりません!」プンスカ

 

 

八幡「…実はな、今日のコース。アイツらと回ったコースそのままなんだ」

 

いろは「そうでしたか」フンッ

 

八幡「気付いてたか」

 

いろは「まあ、そんなところかなぁーとは思ってました」

 

いろは「結局、わたしはお二人の次にしかなれないってことですか…」ボソッ

 

八幡「それは違う」

 

いろは「じゃあなんですか」

 

 

八幡「今の俺にとっての1番はお前だ。だから、告白するならここだと思った」

 

八幡「ここは、俺たちが偽物を否定した場所だから」

 

いろは「なんかいい感じのこと言って誤魔化そうとしてません?」ジトッ

 

八幡「つ、つまりだな…」

 

八幡「俺とお前の関係は偽物じゃない。改めて始めると考えた時、俺に浮かんだのはここだったんだ」

 

八幡「アイツらとのことが関係してるのは否定しないが、これが俺の理想の告白だ」

 

八幡「お前には直接関係のないことだから、言うつもりはなかったんだが…」

 

いろは「まあ、そこまで言うのならそれはいいです」フンッ

 

 

いろは「でもっ!ロマンチック要素をなくしたのはマイナスです!最悪です!赤点です!」

 

八幡「…それなんだがな」カタダキー

 

いろは「な、なんですか!?」

 

八幡「あれで、許してくれないか?」

 

いろは「え?」

 

 

ヒュ~~~パーン。パーン

 

 

いろは「あれって、花火?」

 

八幡「さすがディスティニーランド。京葉線の時刻表より正確だ」

 

いろは「花火を見せるためにここへ?」

 

八幡「観覧車でも良かったんだが、8時半に合わせて場所を調整するのは難しかったんでな」

 

八幡「この時間なら人も少ないし、ゆっくりできると思った」

 

いろは「….」

 

八幡「まあ少し遠いけどな。だめか?」

 

いろは「そ、そーですね。合格とまではいきませんが、努力したのは認めますっ」フンッ

 

八幡「おう」

 

いろは「…というわけで」ハァ

 

いろは「こんな私で良ければ、よろしくですっ」

 

八幡「だからあざといっての」フッ

 

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「なんだ」

 

いろは「1つお願いきいてくれますか?」

 

八幡「内容によるな」

 

いろは「これからは私の事、いろはって呼んでください」

 

八幡「ことわる」

 

いろは「えーなんでですかぁー!」

 

八幡「馬鹿野郎。恥ずかしいだろ。あとほら、恥ずかしい」

 

いろは「ヘタレ?いえ、意気地なしですね」

 

八幡「なんで言い直したんだよ。ほとんど同じ意味だろ」

 

 

いろは「…じゃあ」

 

いろは「じゃあ、駅につくまででいいです」

 

八幡「なにがだ」

 

いろは「駅につくまでは、名前で呼んでくれませんか?」アザトッ

 

八幡(なんでそんなに目ウルウルしてんの?目薬いらないね。あとかわいいですとても)

 

八幡「わかった」

 

いろは「え?」

 

八幡「名前で呼べばいいんだろ?」

 

いろは「いいんですか!?」

 

八幡「駅までならまあ、いいだろ」

 

いろは「わーおとこらしー」

 

八幡(せめてもっと感情込めようね)

 

 

いろは「いやー晴れて私たちもカップルですねー」ノビー

 

八幡「今までの事は無かったことになったのかよ」

 

いろは「なんというか、」

 

いろは「周りの人たちに認めてもらえて、先輩から改めて告白されて、」

 

いろは「ここから始まるのかなぁーって」

 

いろは「てゆーか、先輩も似たようなこと言ってたじゃないですかぁー!」

 

 

八幡「…そうだな」

 

八幡「これからもよろしくな。い、いろは。」

 

いろは「……」ボーゼン

 

八幡「なんだよその腹立つ顔」

 

いろは「い、いえ。先輩らしくない行動に驚いただけです」

 

八幡「約束したから言っただけだ。悪かったな」

 

いろは「嬉しかったですよ?」

 

八幡「そうか」

 

 

いろは「...あれ?」

 

八幡「どうかしたか」

 

いろは「いえ、おかしいなーと思いまして」

 

八幡「何がだよ」

 

いろは「この流れなら先輩が私にキスをする流れかと...」

 

八幡「何言っちゃってんのお前」

 

いろは「だめですか?」

 

八幡「まだはやいだろ」

 

いろは「したくないんですか?」

 

八幡「そりゃあお前、したい。です。」

 

いろは「....」クスッ

 

八幡「いいから帰るぞ」

 

いろは「はーい!これからもよろしくお願いしますねっ。はちまん先輩っ!」アザトッ

 

 

おわり

 

 


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