比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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交際報告編②

昇降口

 

 

八幡「由比ヶ浜に救われたな」

 

いろは「ですね...」

 

いろは「きっと私たちが言い出しやすいようにしてくれたんだと思います」

 

八幡「俺が情けなくて、すまん」

 

いろは「まったくです」

 

八幡「本当にわるかった」

 

いろは「冗談ですよ、いいんです。さっきも言いましたよね」

 

いろは「私が言うべきことだったんですよ」

 

八幡「でもな...」

 

いろは「先輩?こーゆーときは彼氏らしく黙って手を握ってくれればいいんです」

 

八幡「お、おう」ニギッ

 

いろは「抱きしめてくれてもいいんですけどねー?」

 

八幡「昇降口でそれはやばいだろ」

 

八幡「今だってギリギリだ」

 

いろは「まあ、いいです」

 

八幡「かえるか」

 

いろは「すいません先輩。せっかくなんですけど、私行かなきゃいけないところ思い出しました」

 

八幡「いまからか」

 

いろは「思い出した今いきたいんです」ヘヘッ

 

八幡「そうか...」

 

八幡「俺は帰った方がいいか?」

 

いろは「はい。待たなくていいですよー」

 

八幡「わかった。...がんばれよ」

 

いろは「ありがとうございます」クスッ

 

 

グラウンド前

 

 

隼人「おつかれさま。また明日なー」

 

隼人「ん?」

 

いろは「葉山せんぱーい!」ブンブン

 

隼人「いろは、用事はもう終わったのか?」

 

いろは「あ、はい。部活も終わっちゃいましたか?」

 

隼人「いま丁度な、だから今日はもう帰っていいよ」

 

いろは「それなんですけどねー」

 

隼人「なにかあるのか?」

 

いろは「ちょっとだけ、話せますか」

 

隼人「いいよ、場所はかえる?」ニコッ

 

いろは「あ、ここでいいです。すいません」

 

 

隼人「気にするなよ、何かあったか?」

 

いろは「あの...実は私、先輩と付き合ってるんです」

 

隼人「比企谷と?」

 

いろは「はい...」

 

隼人「そうか、おめでとう」ニコッ

 

いろは「....」

 

いろは「葉山先輩、もしかして気付いてました?」ジー

 

隼人「まあな」ハハッ

 

隼人「最近の比企谷といろはの様子をみて、なんとなくだけど...」

 

いろは「そうじゃないです!」

 

隼人「ん?」

 

いろは「あのディスティニーランドでの会話、覚えてますか?」

 

隼人「...ああ」

 

 

ディスティニーランド お城前

 

 

いろは『わー葉山せんぱい。花火ですよーきれいですねー!』

 

隼人『見慣れてる気がしてたけど、中で見るとやっぱり綺麗だな』

 

いろは『...あの、葉山せんぱい』

 

隼人『なんだい?』

 

いろは『この間ですね、ある人の告白をきいてしまったんですよぉー』

 

隼人『それは気まずいな』ハハッ

 

いろは『ほんとですよねー!...でも、その人の告白が本当に真剣で、なんだかいいなって思ったんです』ヘヘッ

 

隼人『そうか』

 

いろは『あの告白を聞いて、私もホンモノが欲しくなったんです』

 

いろは『だから、言います』

 

いろは『葉山せんぱい。良かったらわたしと...付き合ってくれませんか?』ウルッ

 

 

隼人『ホンモノ、か』

 

いろは『....』

 

隼人『キミは今、ホンモノが欲しいって言ったな?』

 

いろは『はい。私も嘘じゃない本物の関係が欲しいです』

 

隼人『残念だけど、俺はキミの本物にはなれない』

 

隼人『いや、ちがうな。一色いろはの本物は俺じゃないんだ』

 

いろは『そんなことないです!私は葉山せんぱいのことが!』

 

隼人『すまない。いろは』

 

いろは『っ!....』タッタッタ

 

 

グランド前

 

 

いろは「あの時は体よく断られたと思ってたんですけどー」

 

いろは「でも、もしかしたら葉山せんぱいはこうなる事に気付いてたのかなって、少し思っちゃいました」ハハッ

 

隼人「いろは。それは違うよ」

 

いろは「ですよねー。さすがにそんな..」

 

隼人「そうじゃないよ。あの時から、キミにとってのホンモノは彼だ」

 

隼人「だから彼が本物になることに気付いてたのとは、少し違う」ニコッ

 

いろは「えぇーさすがにそれはどうなんですかねー」

 

隼人「あの時キミは、みんなが大好きな葉山隼人を好きな一色いろはを演じていた」

 

隼人「それを変えたのは、比企谷だろう?」

 

いろは「...なんとなく。分かったかもしれません」

 

 

隼人「今日は奉仕部にいってきたのか?」

 

いろは「はい。報告してきました」

 

隼人「そうか。良かったな」

 

いろは「そうですねー。奉仕部のお二人にとても助けられました」

 

いろは「私が同じ立場ならあんな風に言えたんでしょうか...」

 

隼人「どうだろうな」ハハッ

 

いろは「もーいじわるいわないでくださいよー」

 

隼人「これでも心配してたんだ。でもよかったよ」

 

隼人「キミは本物を手に入れたんだな」

 

いろは「はっ!もしかして今のって口説こうとしてましたか。ごめんなさいちょっと一瞬ときめきかけましたが彼氏がいるのでやっぱり無理です」

 

隼人「え....ハハッ」プッ

 

いろは「....フフッ」プッ

 

 

戸部「隼人くーん!そろそろ着替え行こうぜー!」

 

隼人「ああ、待たせて悪かったな」

 

戸部「いやいや全然いいってー」

 

戸部「...いろはすー。なんか隼人君といい感じじゃん?」ヒソヒソ

 

いろは「え?そうですか?」

 

戸部「まじ今までにないくらい仲良さげっつーかー」

 

戸部「もしかしていけんじゃねー?」

 

いろは「あーそれはないですね」

 

戸部「あー?なんで?」

 

いろは「私、付き合ってる人がいるので」

 

戸部「えぇ!ちょ、俺聞いてないんだけどー?」

 

いろは「戸部先輩には言ってませんからねー」

 

戸部「まじ誰よー!おれの知ってるやつ?」

 

いろは「先輩の良ーく知ってるお友達ですよ」

 

戸部「え、もしかしてヒキタニくーん!?それは予想外だわー」

 

いろは「なんで一発で分かるんですか...」

 

戸部「でもヒキタニくん海老名さん狙いじゃネーノー?」

 

いろは「え?なんですかそれ」

 

隼人「いや、昔のことだよ。な?」

 

戸部「修学旅行で俺より先に告ったのにまじヒデーわー」

 

いろは「こくっ...え?」

 

隼人「いやそれは色々とあってな」

 

戸部「それでなーいろはすー。ヒキタニくんたらサーアー?...」

 

隼人「と、戸部!はやくいこう。な?」

 

戸部「ちょ、いろはすー今度話聞かせろよー!」

 

いろは「え、あ、また明日でーす...」

 

 

校門

 

 

いろは「あれ?着信?」

 

いろは「先輩からだ...」

 

 

トゥルルルルル...

 

 

八幡『もしもし』

 

いろは「あ、先輩。どうかしましたかー?」

 

八幡『別になにもねえな』

 

いろは「あ、もしかして可愛い彼女が心配で電話かけちゃいましたかー?」

 

八幡『自分でかわいいとか言うなよ』

 

いろは「えー否定するんですかひどいですよぉー」

 

八幡『まあ、心配はしたな』

 

いろは「そうですか。ありがとうございます」ヘヘッ

 

八幡『おう』

 

いろは「せんぱい。1ついいですか?」

 

八幡『なんだ』

 

いろは「海老名先輩の事好きだったんですか?」

 

八幡『は?なにそのNEVERまとめ並の情報』

 

いろは「戸部先輩が言ってたんですよぉー」

 

八幡『...それはあれだ。ちょっと依頼でな』

 

いろは「へー」

 

八幡『なんだよ、怒ってんのか?』

 

いろは「怒ってないです」

 

いろは「あーでも、不安になっちゃったかも知れません」

 

八幡『絶対ウソだろ、棒読みだぞせめてもっと隠せよ』

 

いろは「せんぱい。不安になっちゃいましたぁー」

 

八幡『なにしろってんだ』

 

いろは「いろはの事が大好きだ」

 

いろは「言ってみてください」

 

八幡『は?何言ってんのおまえ』

 

いろは「責任、取ってくれるんですよね?」

 

八幡『いや、あのな』

 

いろは「....」

 

八幡『...』

 

八幡『一色のこと..』

 

いろは「いーろーはーです!」

 

八幡『いろはのことがだい..』

 

小町『お兄ちゃんご飯出来たよー!』バタンッ

 

八幡『あ』

 

小町『あ』

 

八幡『小町、これはな』

 

小町『いいのお兄ちゃん!小町の配慮が足りなかったよ』

 

小町『ごめんね。お幸せに、さよーなら!』

 

八幡『お前はどこに行く気なの?』

 

いろは「....」クスッ

 

 

八幡『一色。すまん、邪魔が入った』

 

いろは「いいんです。ありがとうございました」

 

八幡『もういいのか?』

 

いろは「まあ、今回はこれでいいです」

 

八幡『そうか』

 

いろは「せんぱい」

 

八幡『あ?』

 

いろは「また明日です!」 

 

八幡『ああ』

 

八幡『また明日な』

 


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