比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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交際報告編①

 

 

生徒会室 昼休み

 

八幡「付き合ってることを報告したい」

 

いろは「どうしたんですかいきなり」

 

八幡「やっぱ嫌か?」

 

いろは「そうですねー」

 

いろは「そんな事が知れたら、クラスの女子から見下された視線を浴びせられて不快です」

 

八幡「....」グサッ

 

いろは「やだなー冗談にきまってるじゃないですかぁー」

 

八幡「リアルなとこ突いてくるのやめようね」

 

いろは「嫌じゃないですよー。嬉しいです」

 

いろは「でもいきなりだったので。なにかありましたかー?」

 

 

八幡「この間、駐輪場から一緒に登校したことあったろ?」

 

いろは「お弁当作ったときですか?」

 

八幡「そうだ。その時に由比ヶ浜に見られててな」

 

いろは「あーそうなんですねー」

 

八幡「アイツはほとんど気付いてる」

 

八幡「あの時はノートの力で逃げられたが、今はそう言うわけにもいかない」

 

 

八幡「それに、嘘をつくのは...」

 

いろは「ちょっと待ってください」

 

八幡「なんだよ」

 

いろは「由比ヶ浜先輩にノートを使ったんですか?」

 

八幡「お、おう」

 

いろは「そうですか、聞いてないんですけど」

 

八幡「いやだって、お前ノート見たんじゃねえの?」

 

いろは「そんなに見てないですよ!私だけだと思ってましたもん!え、なんですか先輩、浮気ですか最悪です謝ってください!」プンスカ

 

八幡「いや、ちょっと待て、下心は...」

 

いろは「ありましたよね?」ジロッ

 

八幡「ありました」

 

いろは「だーかーらー?」

 

八幡「ごめんなさい」

 

いろは「次のデートは先輩の奢りでお願いします!」プンスカ

 

八幡「はい...」

 

 

いろは「まあ、それはひとまず置いといてあげます」

 

いろは「それで報告って、どうするんですか?」

 

八幡「普通に奉仕部で言えばいいだろ」

 

いろは「...そうですか」

 

八幡「どうかしたか?」

 

いろは「ちょっと心配です」

 

八幡「なにがだ」

 

いろは「これで3人の関係が変わっちゃわないかですよ」

 

八幡「大丈夫だろ、俺に彼女がいたくらいで変わる理由がない」

 

いろは「思ってないこと言わないでください」

 

 

いろは「せんぱいが1番不安ですよね?」

 

八幡「まあ、な」

 

いろは「今日、言いますか?」

 

八幡「お前が良ければだが」

 

いろは「あんまり伸ばすと良くなさそうですもんねー」

 

いろは「わかりました。今日の放課後部室に伺います」

 

八幡「突然で悪い。ありがとな」

 

いろは「私にも関係ありますし、気にしないでください」

 

 

いりは「ただし、ノートの件は反省してください」

 

八幡「分かりました」

 

いろは「あと、先輩忘れてることありません?」

 

八幡「あ?なにかあったか」

 

いろは「報告会の資料ですよー!」

 

八幡「...わるい忘れてた」

 

いろは「雪ノ下先輩からはもうもらいましたよー?」

 

八幡「すまん。木曜までには終わらせておく」

 

いろは「わすれないでくださいね!」

 

八幡「わかったよ」

 

 

 

教室

 

 

 

八幡「なんだよ」

 

結衣「ヒッキー今日部活いくよね?」

 

八幡「それがどうした」

 

結衣「一緒にいこ!」

 

八幡「あ?ああ、まあ...」

 

結衣「ちゃんと待っててね!」タッタッタ

 

八幡(...不安。か)

 

 

隼人「まだ彼女たちには言っていないのか?」

 

八幡「突然話しかけんなよ、友達かとおもっちゃうだろ」

 

隼人「違うのか?」

 

八幡「...別に、改めて報告するほどの事でもないしな」

 

隼人「でも彼女達はきっと待ってる」

 

隼人「結衣もああみえて勘が鋭いからな」フッ

 

八幡「そうだな」

 

隼人「そんなに心配するなよ」

 

八幡「なにをだよ」

 

隼人「君が心配しているようなことにはならないさ」

 

八幡「お前に俺の何が分かる」

 

隼人「分かるさ、俺と君の本質はかなり近い」

 

八幡「どこがだよ、俺には女子を名前で呼ぶような芸当はできん」

 

隼人「分かっているのに、そうやってお茶を濁すところとかかな」ハハッ

 

戸塚「あれ、二人ともなに話してるのー?」

 

八幡「とつ...さいか」

 

戸塚「と、突然どうしたの八幡!」

 

八幡「くっ、やっぱり俺には無理だ」

 

隼人「まず戸塚は女の子じゃないぞ?」

 

八幡「そうだな、女子より女子だ」

 

八幡「つまり戸塚を名前で呼べないことが女子を名前で呼べない理由にはならない」

 

戸塚「もー、二人は何を言ってるのさー!」

 

 

優美子「なんか最近あそこ仲良くない?」

 

姫菜「ぐふふふふふふふう」

 

結衣「優美子、それには触れない方がいいかも」

 

優美子「た、たしかに」

 

戸部「ヒキタニくんと葉山君最近仲良いわー、妬けちゃうわー」

 

姫菜「どっちに妬いてるの!?トベハヤ、いやここはトベハチ!?」

 

結衣「もー戸部ッチのばかー!」

 

優美子「姫菜、擬態しろし、擬態!」

 

 

 

放課後 廊下

 

 

 

結衣「ヒッキーおまたせー」

 

八幡「おう」

 

結衣「最近隼人君と仲良いの?」

 

八幡「いや、まったく」

 

結衣「えーだってよく話してるじゃん」

 

八幡「葉山は誰とでもよく話してるだろ」

 

結衣「ヒッキーとだけは話してなかったじゃん!」

 

八幡(それ、さりげなくディスられてませんかね)

 

結衣「あ、そーゆー意味じゃなくて!」

 

八幡「...まあ、少しは良くなったかもな」

 

結衣「そっか。なんか嬉しい」

 

八幡「なんでお前が喜ぶんだよ」

 

結衣「わかんないよ。でも嬉しいの!」

 

八幡「....」

 

結衣「なにかあったの?」

 

八幡「あ?」

 

結衣「隼人君と!」

 

八幡「なにもねえよ」

 

結衣「えーじゃあなんでだろー」

 

結衣「サッカー部の事とかでなにかあったのかと思った」ボソッ

 

八幡「ゆいが...」

 

結衣「ご、ごめん!なんでもない!」

 

八幡「...ほら、ついたぞ」ガラガラ

 

 

 

奉仕部 部室

 

 

 

雪乃「こんにちわ」

 

結衣「やっはろー!ゆきのん!」

 

雪乃「あら、比企谷くんも一緒なのね」

 

結衣「うん。ちゃんと連れてきたよー」

 

八幡「おれは迷子かよ」

 

雪乃「そうね。そんなに愛嬌のある表現は似合わないわ」

 

結衣「えーと、じゃあー不審者?」

 

八幡「それは連れてきちゃだめだろ」

 

雪乃「...お茶を入れるわね」フフッ

 

 

結衣「それでさー、ヒッキー最近隼人君と仲良いんだよー」

 

雪乃「そう、あなたに友達が出来るなんて明日は何が降ってくるのかしら」

 

八幡「勘違いするな、友だちなら今までもいた。戸塚とか戸塚とか戸塚とか」

 

結衣「中二はー?」

 

八幡「あれは違う。付きまとわれているだけだ」

 

雪乃「ストーカー?」

 

八幡「その表現はやめろ。悲しくなる」

 

結衣「でもね、どうして仲良くなったかは教えてくれないの!」

 

雪乃「詮索するような事でもないと思うのだけれど」

 

雪乃「興味もないわ」

 

八幡「だそうだ」

 

結衣「えー気になるじゃんー」

 

 

 

コンコン

 

 

 

結衣「あ、お客さんだ―」

 

八幡(...きたか)ゴクッ

 

雪乃「どうぞ」

 

???「はーっはっはっ!!久方ぶりだなー比企谷八幡!」バンッ

 

八幡「かえれ」バンッ

 

???「な、なにを言うか、相棒の我を忘れたというか!」ドンドンドン

 

八幡「かえれ」

 

???「ま、待て、我も今日は依頼があってきたのだ。せめて中に」ドンドン

 

八幡「そうか。ラノベと漫画を読むこと以外だったら聞いてやる」

 

???「ななななな!」ドン..

 

八幡「やっぱりかよ。俺があのあと何回お前の作品を見たと思ってんだ!」

 

八幡「もう少し練ってから持ってこい!」

 

???「くっ....ならば仕方がない。再び会いまみえるときを楽しみにしておこう!」

 

???「さらばだ八幡!」ドドドドド

 

雪乃「何だったのかしら」

 

結衣「ヒッキー入れてあげればよかったのに...」

 

八幡「いや、いいだろ」

 

八幡「毎晩のようにあの怪文書が送られてきてな、しばらく距離を置きたい」

 

いろは「なんだか付き合ってるみたいなこといいますね」

 

八幡「やめろよ想像しちゃうだろ...ん?」

 

結衣「え、いろはちゃん!」

 

いろは「どうもでーす!」

 

雪乃「一体いつ入ってきたのかしら?」

 

いろは「お取込み中みたいだったので、後ろの扉からです」

 

結衣「全然気づかなかったー!」

 

いろは「まーまー、先輩も座ってくださいよー」

 

八幡「なんでお前に言われんだよ...」

 

 

雪乃「それで、一色さんは一体どうしたのかしら?」

 

結衣「この間の依頼で何かあったのー?」

 

いろは「あー」

 

いろは「えっと、それはですねー」チラッ

 

八幡(分かってる。さっさと言い出せってことだろ)

 

結衣「...ヒッキーがどうかしたの?」

 

いろは「えっ」ビクッ

 

八幡(さすが、由比ヶ浜さん鋭いです)

 

いろは「まーそうですねー」ハハッ

 

雪乃「どういうことかしら?」

 

結衣「ヒッキー?」

 

 

八幡「....」

 

八幡「実は、な...」

 

結衣「...」ジー

 

雪乃「...」ジー

 

八幡「...」

 

八幡「実は、生徒会の資料作りを忘れててな。さっき一色にあって怒られたんだ」

 

結衣「え?」

 

いろは「え?」

 

雪乃「仕事を忘れるなんてそろそろボケでも回ってきたのかしら?」

 

八幡「何も言い返せないな」

 

いろは「せんぱい?」

 

八幡「なんだ」

 

いろは「ほんとに先輩は...ダメですね」ギロッ

 

八幡「すいません」

 

結衣「終わりそうなの?」

 

八幡「ああ、問題ない。期限までには終わらせる」

 

雪乃「終わらないようなら早めに言ってもらえるかしら」

 

雪乃「一色さんに迷惑がかかるわ」

 

いろは「ほんとですよ。すでにだ!い!ぶ!かけられてますけどね」

 

八幡(分かったからそんなに怒んなよ、怖いから)

 

いろは「雪ノ下先輩はありがとうございました。さすがに速くて助かりました!」

 

雪乃「仕事だもの。気にしなくていいわ」

 

結衣「私も手伝ったんだよー!」

 

いろは「そう、ですか。ありがとうございます」

 

結衣「いろはちゃん信じてないでしょ!?」

 

いろは「...」チラッ

 

八幡(分かってるよ)ハァ

 

 

八幡「あの...」

 

結衣「そういえばさ、最近ね、ヒッキー隼人君と仲良いんだよ!」

 

結衣「いろはちゃん知ってたー?」

 

八幡「...」ポカーン

 

いろは「え?い、いえ。知りませんでした」

 

結衣「もしかしたらいろはちゃんのお願いなのかなーとか思ったんだけどさ」

 

結衣「違ったかーなんて」ハハー

 

雪乃「由比ヶ浜さん、ちょっと」

 

いろは「私が、先輩におねがいですか?」

 

結衣「うん。隼人くんとの仲を取り持つ、お願い」ウツムキ

 

いろは「....」

 

八幡「それはなにもねえって言ったろ」

 

結衣「そっかーごめん。...ごめん」

 

 

雪乃「お茶を入れなおしましょうか」

 

いろは「あの、」

 

いろは「雪ノ下先輩。由比ヶ浜先輩」

 

結衣「...なに?」

 

雪乃「...」ハァ

 

いろは「わたしから、お話があります」

 

八幡「おい、一色」

 

いろは「先輩は少しの間黙っててください」

 

八幡「でもな、」

 

いろは「いいんです。よくよく考えたら、私から言うべきことでした」スゥーハー

 

結衣「いって?」

 

 

いろは「私は、先輩と付き合っています」

 

いろは「お二人の気持ちを知りながら、本当に申し訳ないと思っています」

 

いろは「さんざん葉山先輩が好きって言っておいて、卑怯なやつだって怒られても何も言えないです。けど...」

 

いろは「私...本当に先輩の事が好きで、そのできるのなら...」ポロッ..ポロッ..

 

いろは「お二人にも認めてもらえたらなって、思ってます...」

 

結衣「そっか」

 

いろは「だめ、ですか...?」

 

 

結衣「私もね、ずるいんだ」

 

いろは「え?」

 

結衣「本当はね、わかってたの」

 

結衣「だけどヒッキーは言わないから、私たちを気にしてるんだなって思ってた」

 

結衣「でもそれじゃ諦めきれなくて、何度もヒッキーに聞いたりしてさ」

 

結衣「だから私は何も言えないやーなんて」ハハッ

 

 

雪乃「一色さんが気にする必要はないのよ」

 

雪乃「人が交際をするのはその二人の自由だわ」

 

いろは「でも...」

 

雪乃「直接あなた達からきくことができた」

 

雪乃「それだけで、私は十分だわ」ニコッ

 

結衣「ゆきのん...」

 

八幡「...話してもいいか?」

 

いろは「あ、どうぞ」

 

八幡「本当ならもっと早く報告すべきだったのかもしれない」

 

八幡「付き合った時の流れもあってな、なかなか言い出せなかった」

 

八幡「その間、誤魔化し続けていた。本当にすまなかった」

 

雪乃「話を聞いていなかったのかしら?」

 

雪乃「この一件は誰も悪くないわ。何も悪いことなんてないのよ」

 

八幡「そうか...」

 

雪乃「あなたたち二人はこれからも幸せに過ごすことを考えればいい」

 

雪乃「負い目を感じる要素など、なにもありはしないわ」

 

いろは「...ありがとうございます」グスッ

 

結衣「ほんとに、全然気にしないでー」

 

 

雪乃「比企谷くん」

 

八幡「なんだ」

 

雪乃「最近このあたりには不審者がでるそうよ」

 

八幡「そうか」

 

雪乃「そろそろ暗くなってくるわ、一色さんを送ってあげたら?」

 

八幡「そう、だな」

 

いろは「せんぱい?」

 

八幡「いくぞ、一色」

 

いろは「...はい」ガラガラ

 

雪乃「ふたりとも、また明日会いましょう」

 

結衣「また明日ね」

 

いろは「はい。また明日です」

 

八幡「じゃあな」バタン

 

 

結衣「...ゆきのん~」ブワー

 

雪乃「由比ヶ浜さん、無茶し過ぎよ」

 

結衣「わたし、嫌な女だったよね~、嫌われてないかな~?」

 

雪乃「大丈夫よ、あなたの気持ちはきっと伝わっているわ」

 

雪乃「きっとね」


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