比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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ラッキーノート編③

三日目(金曜日)

 

 

昼休み 生徒会室前

 

 

八幡(小町にはああいったものの...)

 

八幡(生徒会室にはいない。メールを送っても)

 

 

いろは『すみません。今日は一緒には食べられません』

 

 

八幡(これはあれだな、嫌われ過ぎて振られるまである)

 

八幡(...いやマジであるわ。笑えねえ)

 

八幡「どうにかしねえと...ん?」

 

 

隼人「やあ、珍しいな。君がこんなところにいるなんて」

 

隼人「奉仕部の仕事か?それもといろはに用か?」

 

八幡「な、なんでもねえよ。てゆーか、なんでおれが一色に...」

 

隼人「付き合ってるんだろ?」

 

八幡「!!」

 

隼人「あれ、違うのか?」

 

八幡「いや、別にそれは、いや...」

 

隼人「いいよ、その反応でわかった」ハハッ

 

八幡「...なんでわかったんだ?」

 

隼人「見てれば分かるさ。俺にとっては、何で周りが気付かないのかが不思議だよ」

 

八幡「くっ、一応秘密ってことになってんだ...誰にも言うなよ」

 

隼人「ああ、分かった」ニッコリ

 

八幡「それと....お前に1つ頼みたいことがある」

 

隼人「君が俺に?」

 

八幡「ああ」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

放課後 校庭

 

 

隼人「よーし、休憩にしよう!みんなお疲れ様!」

 

いろは「おつかれさまでーす」

 

隼人「いろは、少しいいかな?」

 

いろは「はい!なんですかー?」

 

隼人「体育用具室から、取ってきてほしい備品があってね」

 

いろは「あー、戸部せんぱーい!」

 

隼人「いろは、頼むよ」ポンッ

 

いろは「...はーい。分かりました!行ってきます!」タッタッタ

 

 

隼人「これでいいかな?」

 

八幡「ああ、悪いな、騙すようなことさせて」

 

隼人「いいよ、むしろ嬉しいんだ」

 

八幡「あ?」

 

隼人「君が俺に頼みごとをするなんてな」ハハッ

 

八幡「そのくらい、今までだってあっただろ」

 

 

隼人「そうじゃない」

 

隼人「本当の意味でのお願いは、これが初めてだろう?」

 

八幡「何を言っているのかまるで分らないわ...」

 

隼人「雪ノ下さんの真似か」ハハッ

 

 

八幡「まあ、ありがとう、な」

 

隼人「...早くいけよ、帰ってきちゃうぞ?」

 

八幡「ああ、戸部によろしくな」タッタッタ

 

 

隼人「...比企谷。お前は変わろうとしているんだな」

 

 

戸部「あんれー?いまヒキタニ君いなかったー?」

 

隼人「戸部、練習再開するぞ。俺たちもがんばろう」

 

戸部「おっけー。もういっちょがんばりますかぁー」

 

 

 

体育倉庫

 

 

 

いろは「えーっと、あれ、ここかなー」

 

 

八幡「何探してんだ?」

 

いろは「葉山先輩に頼まれたライン引きの...って」

 

いろは「せんぱい!何してるんですかこんなところで!」

 

八幡「ちょっとお前と話がしたくてな」

 

いろは「えっ、こんな人気のないところで気が付いたら後ろに立ってるとか軽くホラーなのでやめてもらってもいいですか、ごめんなさい」

 

八幡(なんかこいつ、変わんねぇな)

 

 

八幡「黙ってきて悪かった」

 

八幡「避けられてる時にどうやって話をすればいいのか、俺にはよく分からなくてな」

 

いろは「え?」

 

 

八幡「一色、このノートの事なんだが」スッ

 

いろは「....なんですか?」

 

 

八幡「俺はもうこいつを捨てる」

 

いろは「そうですか」

 

八幡「もう二度と使わない」

 

いろは「そうですねー」

 

八幡「お前に持っててほしい」

 

いろは「いらないです」

 

八幡「え?」

 

 

いろは「いや、いらないですこんなノート」

 

いろは「私は先輩と違ってほどほどに充実してますので」

 

八幡「そ、そうじゃない。所有権を放棄すると俺は記憶を失う。だから処分を任せたい」

 

いろは「あーそーゆーことですか。いいですけど、燃やしちゃいますよ?」

 

八幡「おう。お前の好きにしてくれ」

 

 

八幡「それと、すまなかった」

 

いろは「何がですか?」

 

八幡「そのノートを使って、お前との仲を縮めようとした」

 

八幡「それは、本物の関係じゃない」

 

いろは「...せんぱい。1つ聞いてもいいですか?」

 

八幡「ああ」

 

いろは「避けられてるって、だれにです?」

 

八幡「誰って、おまえに...」

 

いろは「いやいやいや、私気にしてないですから!」

 

八幡「え、そうなの?」

 

八幡「だってお前、このメール」

 

 

―いろは『すみません。今日は一緒には食べられません』

 

 

いろは「私にだって予定はありますよー!」

 

いろは「今日はちょっと、クラスの子の誕生日だったんです。忘れてたんですけどね」

 

八幡「まじかよ。え、俺の勘違いなの?」

 

八幡「嫌われて振られるとこまで考えてたんだが...」

 

いろは「てゆーか普通、これ見て嫌われたとかないですから」

 

 

八幡「いや、でもな...」

 

いろは「まあ、このノートはちょっと嫌でした」バッ

 

いろは「昨日はどこまでがノートだったのか不安になりましたし」

 

八幡「本当に、すまん」

 

いろは「でも、私は先輩を信じてますから!」

 

八幡「一色...」

 

いろは「それに先輩ですし、仕方ないかなって思ってます」

 

八幡「俺はお前の中でどんな立ち位置なんだよ」フッ

 

いろは「そんなのは決まってるじゃないですかー?」グイッ

 

いろは「"ホンモノ"ですよ」ボソッ

 

八幡「そ、そうか」テレッ

 

いろは「だから別に忘れることないですよ」

 

いろは「てゆーか、忘れてほしくないです!」プンスカ

 

 

八幡「...お前にとっての、本物ってなんだ」

 

いろは「んーそうですねー」

 

いろは「また今度、教えてあげます」エヘッ

 

 

いろは「それでは先輩、また明日です!」

 

八幡「ちょっと待て」

 

いろは「もーなんですかー?」フリカエリー

 

 

ダキッ

 

 

いろは「....」

 

八幡「その、これは俺がやったことだ」

 

いろは「そうですか。がんばりましたね」クスッ

 

八幡「何で上からなのお前」

 

いろは「いえいえ、照れ隠しですよー」

 

八幡「それ自分で言っちゃうのかよ」

 

いろは「お昼断ったくらいで落ち込む先輩に言われたくないです」

 

 

八幡「一色」

 

いろは「はい?」

 

八幡「....好きだ」

 

 

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「なんだ」

 

 

いろは「私も...大好きです」ギュ

 

 

テッテテー!

 

 

 


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