比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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ラッキーノート編②

二日目(木曜日)

 

総武高校 駐輪場

 

 

いろは「せーんぱいっ!おはようございます!」

 

八幡「こんな所で何してんのお前」

 

いろは「何って、登校してきたとこに決まってるじゃないですかー?」

 

八幡「いやここ駐輪場だからね。チャリ通だったっけお前」

 

いろは「細かいことはいいじゃないですかもー」

 

 

八幡「...どんくらい待ってたんだ?」ボソッ

 

いろは「30分くらいですから、気にしないでください」ヘヘッ

 

八幡「そうか。次からは先に言え」

 

いろは「驚かせたかったんですよー」

 

八幡「おどろいたおどろいた」

 

いろは「もうちょっと感情込めてください」

 

八幡「まあ、なんだ...嬉しかったよ」

 

いろは「え?えぇ!...よかったです」テレッ

 

八幡(くそ、かわいいなこいつ)

 

いろは「先輩もずいぶん丸くなりましたよねー」ヘヘッ

 

八幡「...ほっとけ」

 

 

昇降口前

 

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「なんだ」

 

いろは「えーっとですね。今日、お昼は?」

 

八幡「普通にパンだけど」

 

いろは「そうですか。よかったです」

 

八幡「え、なにが?こわい」

 

いろは「今日のお昼、生徒会室に来てください」ボソッ

 

八幡「まじかよ。昼まで働かせる気か」

 

いろは「違いますよぉ..まあいいです。待ってますからね?」

 

八幡「...分かった」

 

いろは「ではでは、のちほどですっ」アザトッ

 

 

 

八幡(...期待しちまうな)

 

 

結衣「ヒッキー?」

 

八幡「うおっ、由比ヶ浜」ビクッ

 

結衣「おはよーヒッキー」

 

八幡「あ、ああ。おはようございます」

 

結衣「ヒッキーなんでそんなとこ立ってるの?教室行こうよ」

 

八幡(いや行きたいのは山々なんですが、由比ヶ浜さんの顔が笑っていないので怖いんですよね)

 

 

八幡「そう、だな。行くか」

 

結衣「ところでヒッキー。いろはちゃんどうしたの?」

 

八幡「どうしたって...」

 

結衣「駐輪場から二人で歩いてきたてたからさ~なんでかなって」

 

八幡(こわい。ガハマさんこわい)

 

結衣「ヒッキーといろはちゃんはさ、つきあっ...」

 

 

カゼブワー

 

 

結衣「え?」

 

八幡(ピンクか...)

 

結衣「ちょ、きゃー!ヒッキーみた!?」

 

八幡「みてな...みました」

 

結衣「うー。もういい!わたし先行くね!」カァ

 

八幡「お、おう」

 

 

八幡「.....」

 

八幡(...計画通り)フッ

 

 

ノート:由比ヶ浜結衣

 

 

八幡(ポケットに忍ばせておいたノートの切れ端)

 

八幡(俺は由比ヶ浜に話しかけられた時点で、その紙に名前を書いておいたのさ)

 

八幡(...悪い由比ヶ浜。秘密にするって約束しちまってるんでな)

 

 

八幡(ともあれ...)

 

八幡(由比ヶ浜に追い詰められていたら......)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

 

教室 

 

 

八幡「....」

 

戸塚「あ、はちまーん!おはよう」

 

八幡「戸塚、おはよう」

 

八幡(ああ、この笑顔だけで今日も1日頑張ろうと思える。戸塚まじ天使)

 

 

 

ノート:戸塚彩加

比企谷八幡が教室に入ってきたのを見つけると、すべての会話を中断して「おはよう」と挨拶をしに来る。

ラッキー!

 

 

 

教室 1限 現代文 終わり

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

戸塚「八幡。今のところ分かった?よかったら教えてほしいんだけど」

 

八幡「ああ、あれはな...」

 

 

 

ノート:戸塚彩加

1限の現代文が終わった後、授業で分からなかったことを比企谷八幡に聞きに来る。

ラッキー!

 

 

 

八幡(幸せすぎてこわい)

 

八幡(なんだこれ、このノートもしかして最強なんじゃないか?)

 

八幡(いまだかつてこんなに戸塚と話した日があっただろうか、いやあるか、あるな)

 

 

八幡(さてと、次の戸塚タイムはいつだったかな...?)

 

 

 

ノート:戸塚彩加 12:35

授業が終わり、昼休みの鐘が鳴った後、比企谷八幡と昼食を食べるべく誘いに来る。

 

 

 

八幡(.....)

 

八幡(やっちまった)ガクー

 

八幡(一色とダブルブッキングしてしまうとは...どっちをとるべきか)

 

 

八幡(そりゃあ勿論とつ....一色だよな、うん。迷ってないから、ほんとに)

 

 

八幡(え、おれ戸塚の誘い断んなきゃいけないの?まじで?)

 

 

 

教室 4限終わり

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

八幡「....」

 

戸塚「エヘッ、八幡。今日は一緒にお昼食べようよ!」

 

 

八幡「....」

 

八幡「ぐはっ!」

 

 

八幡(なんだこの破壊力は...これがノートの力を乗せた戸塚なのか)

 

 

八幡「わ、わるい戸塚。今日は奉仕部の仕事があってな....」

 

戸塚「え、そう、なんだ...」シュン

 

八幡「ぐはっ!」

 

 

八幡(これ以上はもたない。はやくここから出なければ)

 

八幡「そ、それじゃあな。また...」ガラガラ

 

 

廊下

 

 

八幡(危なかった。危うく罪悪感で倒れる所だった)

 

八幡(これからは無責任な書き込みは控えるようにしよう)

 

 

 

八幡(はあ....)

 

八幡(戸塚の事をノートに書きまくったら....)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

八幡(はあ....)

 

 

生徒会室

 

 

八幡「わるい、少し遅れた」

 

いろは「あーせんぱい、待ってましたよー!」

 

いろは「って、なんですかその顔。死人?」

 

八幡「限りなく近いが残念ながら生きてる。限りなく近いが」

 

いろは「そうですか...成仏してください」

 

八幡「生きてるっていってんだろ」

 

 

八幡「それでどうしたんだ?」

 

いろは「はい?」

 

八幡「呼び出した理由。なんかあんだろ?」

 

いろは「あーはい。それなんですが...」モジモジ

 

八幡「なんだよ」

 

 

いろは「その、先輩。昨日はすみませんでした!」

 

八幡「...は?」

 

いろは「その、先輩が、私の....むね、を触ったときのことです」

 

八幡「あ、あれはその...」

 

いろは「分かってます!わざとじゃないです。あんなの」

 

いろは「それを私、あんなに怒ってしまって...」

 

 

八幡「別にいいって、触ったのは俺が悪かった」

 

いろは「それはもちろんそうです当たり前じゃないですか。忘れてください」

 

八幡「お、おうすみません」

 

八幡(え、ここで怒られるの俺?)

 

 

いろは「でも、私も言い過ぎました」

 

いろは「なので、お詫びの気持ちとして、お弁当を作ってきました」

 

 

八幡「え、まじで?」

 

いろは「まじですよ」

 

八幡「お前が作ったの?」

 

いろは「なんですか、疑ってるんですか。これでも料理は得意なんですよー?」

 

八幡「いや、お前の料理なら安心してくえる」

 

いろは「なっ!...先輩もしかして浮気してますか」ジトー

 

八幡「なんでそうなるんだよ」

 

いろは「なんだか今日は捻デレどころかデレデレなので...」

 

八幡「安心してくれ、浮気しようにもする相手がいない」

 

いろは「......」ジー

 

八幡「疑うなよ、本当にしてねえよ」

 

いろは「まあいいです。さっ、早くたべましょう!」

 

 

 

いろは「ところで先輩、資料作りの方は進んでますか?」

 

八幡「昨日はアクシデントがあってな。奉仕部的には今日からになる」モグモグ

 

八幡(ま、俺のせいなんですけどね)

 

いろは「そうですか、間に合いますかねー?」

 

八幡「こっちの分は大丈夫だと思うぞ。俺と、雪ノ下もいるしな」

 

いろは「そうですねー。お二人なら安心です!」

 

八幡(今日は真面目にやろう。え、おれが真面目とか言っちゃうの?)

 

 

いろは「向うの学校に配る用に印刷もしないとなので、前日までには私に渡してもらえますか?」

 

八幡「となると、土日挟んであと7日か。わかった」モグモグ

 

いろは「雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩にもよろしくお伝えください!」

 

八幡「ああ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

いろは「あっ、そろそろ戻らなきゃですねー」

 

八幡「そうだな、行くか」

 

いろは「せんぱい、お弁当どうでした?」

 

八幡「ああ、上手かったと思うぞ。小町には負けるが」

 

いろは「そうですか。ありがとうございます」

 

八幡「おう」

 

いろは「せーんぱいっ」

 

八幡「なんだよ」

 

いろは「照れ隠しに小町ちゃんを出さなくてもいいんですよ?」フフッ

 

八幡「無理だな。俺に小町を裏切ることはできない...むり」

 

いろは「ま、いいんですけどねー」

 

 

八幡(.....)

 

八幡(一色、すまん。)

 

 

 

ノート:一色いろは

 

 

 

八幡(二人きりに耐えきれずについ書いてしまった)

 

 

いろは「そろそろ行きましょうか!」ガラガラ

 

 

八幡「ちょ、ちょっと待て。うぉ」ガクッ

 

いろは「はい?」フリカエリー

 

 

ダキッ

 

 

いろは「え、せんぱい?」

 

八幡(なるほど、俺からのパターンもあるのか)

 

 

いろは「ちょ、いきなりどうしたんですかもー」アタフタ

 

八幡「...すまん。嫌か?」

 

いろは「嫌じゃないです。けど....」

 

八幡「.....」

 

いろは「こんな所見られたら、バレちゃいますね?」テヘッ

 

八幡(なんでこいつこんな可愛いの?)

 

 

いろは「と、とりあえず!扉しめてもいいですか?」

 

八幡「いや、わりい。離れるわ」ハナレッ

 

いろは「えー」

 

八幡「遅れたらお前だって困るだろ」

 

いろは「そんなことないですよー?」

 

八幡「俺は困る。あとから入った時の『なにアイツ。ちょっとアウトロー気取ってんのかよ、ぼっちかよ』の雰囲気は耐えられない」

 

いろは「それは考え過ぎだとおもうんですけど...」

 

八幡「とにかく行くぞ。...また今度な」

 

いろは「はーい」クスクス

 

 

 

八幡(......)

 

八幡(一色を呼び止めたら....)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

 

 

八幡(やべえ、まだドキドキが止まらねえ)

 

 

放課後 奉仕部

 

 

八幡「....」

 

雪乃「....」

 

結衣「ねえ、私の仕事は...」

 

八幡「ない」

 

雪乃「ないわ」

 

結衣「酷くない!?」

 

 

結衣「そんなに大変な量なの?」

 

八幡「いや、実はそんなこともない」

 

雪乃「そうね、7日もいらないわ。なんなら今日だけでも終わる量ね」

 

八幡「ああ、それは無理だ。おれ今日は早めに帰らないと」

 

結衣「え、なんで...?」

 

八幡(そんな目で見るなよ。勘違いしちゃうだろ)

 

 

八幡「小町に買い物を頼まれていてな。特売で米を2袋も買わなきゃならん」

 

雪乃「そう。小町さんのお願いなら仕方ないわね。早引きを許可するわ」

 

結衣「あ、私も手伝おうか..?」

 

八幡「いやいいだろ。雪ノ下を手伝ってやれよ」

 

結衣「あ、じゃあ...」

 

雪乃「遠慮しておくわ。私の分は今日で終わらせたいの」

 

結衣「ゆきのーん」ガクッ

 

 

八幡「それじゃあ、またな」ガラガラ

 

結衣「うん。またあしたねー」

 

八幡「....」

 

八幡「帰る前に、一色の様子でも見に行くか」

 

 

生徒会室前

 

 

八幡「いやでも、まてよ。もし入っていって...」

 

 

いろは『は?何ですか先輩。帰る挨拶だけしに?』

 

いろは『どんだけ私の事好きなんですか。気持ち悪いです』

 

 

八幡「とか言われたらどうしよう」

 

八幡「...帰るか。あ、」

 

八幡(ラッキーノート...)

 

 

 

ノート:一色いろは

生徒会室の前で悩んでいる青年に気付き扉をあける。

その後、ごく自然な流れで生徒会室に招き入れ談笑する。ラッキー!

 

 

 

八幡(まずいな。ノートに依存しすぎている気がする)

 

 

いろは「あれ、先輩じゃないですかー!」ガラガラ

 

八幡「お、おう。奇遇だな」

 

いろは「生徒会室の前でなにいってるんですか」ジト

 

八幡「いや、帰る前にな。仕事が進んでいるか確認にきた」

 

 

いろは「もっと気のきいたこといえないんですかね」ボソッ

 

 

八幡「何か言ったか?」

 

いろは「いえ。まあ立ち話もなんですし、入ってください」

 

八幡「あ、ああ」

 

 

いろは「ささ、鞄もおいて、こちらへどうぞー」ポンポン

 

八幡(自然に隣に座らせるとは。さすがいろはす)

 

 

八幡「ていうか、庶務は今日もいないのか?」

 

いろは「え?あーそうですねー。仕事は家でもできますし」

 

八幡「そうか。俺は絶対にやりたくないことだが」

 

いろは「先輩のこれからが心配です」

 

八幡「家に仕事を持ち込まないんだぞ。すげえやり手だろ」

 

いろは「はぁ、まあなんでもいいんですけど」

 

八幡「一色。仕事は...大丈夫なのか?」

 

いろは「先輩たちにも手伝ってもらってますし、大丈夫ですよー」

 

八幡「そうか。大変だったら言え」

 

いろは「なんですかーそれ?」クスッ

 

八幡「心配してんだろーが、一応」

 

いろは「心配してるなら、『俺に出来ることはないか?』とか、『お前に無理はしてほしくないんだ』とか、決まったセリフがありますよねー?」

 

八幡「あいにく俺は型にはまらない主義なんでな」

 

いろは「はまれないの間違いですよね」

 

八幡「やめろよお前、傷つくだろ」

 

いろは「....」

 

いろは「じゃあ、お言葉に甘えてもいいですか?」ポフッ

 

八幡「え?....え?」

 

いろは「ちょっとだけでいいので、肩かしてください」

 

八幡「お、おう」

 

 

八幡(一色の髪からすげえ良い匂いがする。やばい。耐えろ俺の理性)

 

八幡(こんな時は円周率を....3.15151515151515...続きが分かりません先生)

 

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「ななな、なんだ?」

 

いろは「見に来てくれて、ありがとうございます」

 

八幡(こいつほんと可愛いな)

 

八幡(.....)ニギッ

 

 

いろは「せんぱい」

 

八幡「...はい」

 

いろは「これは?」

 

八幡「いやいや、ほんの握手ですよ、はい」

 

いろは「ぼっちの先輩は知らないかもしれませんが」

 

いろは「これ、恋人つなぎっていうんですよ?」

 

八幡(いや知ってるよ。ぼっちをなめないでください)

 

いろは「....嬉しいです」ヘヘッ

 

八幡「....」テレッ

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

いろは「さーてとっ、引き止めちゃってすみません!」

 

八幡「いや、きたのは俺だ。別にいい」

 

いろは「そうですねー」

 

八幡「おい」

 

いろは「まーまー。てか先輩、鞄開けっ放しじゃないですかー」ガタッ

 

八幡「あれ、そうだったか」

 

いろは「中身ドババーッて落ちたら恥ずかしいですよ」

 

八幡「すまん....ん?」

 

いろは「.....」

 

八幡「どうした?一色」

 

いろは「先輩、この悪趣味なノートは何ですか?」

 

八幡「なっ!それはな...」

 

八幡(さっき生徒会の前で書いた時に...しまった)

 

いろは「ラッキーノート」

 

八幡「な、なんでもない。なんでも」バッ

 

いろは「えーっと、このノートに名前を書かれた人間と、書いた人間の間にラッキーが起こる...」ヒョイ

 

八幡「一色、まて....」

 

いろは「先輩、なにか悩んでたりしますか」

 

八幡「いや、違ぇよ。そうじゃなくてだな」

 

いろは「こんなの本当なわけ....え?」

 

 

 

ノート:一色いろは

生徒会室の前で悩んでいる青年に気付き扉をあける。

その後、ごく自然な流れで生徒会室に招き入れ談笑する。ラッキー!

 

 

 

いろは「なに、これ...」ペラ..ペラ

 

 

八幡「あのな、一色...」

 

いろは「先輩」

 

八幡「はい」

 

いろは「正直に答えてほしいんですが」

 

いろは「このノートはなんですか?」

 

 

八幡「...拾ったんだ。廊下で」

 

いろは「使ったんですか?」

 

八幡「使った」

 

いろは「いつからですか?」

 

八幡「昨日からだ」

 

いろは「本物だったんですか?」

 

八幡「多分、本物だろう」

 

 

いろは「私にしてくれたのは全部、このノートの力だったんですか?」

 

八幡「...きっかけは、全部ノートを使った」

 

 

いろは「そう、ですか」

 

八幡「すまん」

 

いろは「謝らないでください。別に怒ったりとかしてませんから」

 

いろは「ちょっとだけ、ショックだっただけです」

 

八幡「ショック。か」

 

 

いろは「私、嬉しかったんですよ」

 

いろは「だって私の事抱きしめるのだって、手をつなぐのだって」

 

いろは「今までの先輩だったら絶対やらないじゃないですかー?」

 

いろは「だから、私のために頑張ってくれてるのかなって...思ってたんですけどね」ウツムキー

 

 

八幡「一色。確かにノートの力はあったが、その行為はおれの気持ちだ」

 

八幡「信じてもらえないかもしれないが...」

 

 

いろは「いえ、信じますよ」

 

いろは「先輩がいうんですから、信じます」

 

八幡「...ありがとな」

 

いろは「でも、すみません。今日はちょっと笑えそうにないです」ガラガラ

 

 

八幡「...ああ、わかった。今日は帰る」

 

いろは「はい。また明日、です」

 

 

 

スーパー

 

 

 

店員「ありがとーございましたー」

 

八幡「米が...重い」ウツムキー

 

沙希「あれ、比企谷」

 

八幡「おまえ...なにその顔、そんなに俺と会ったのが嫌か」

 

沙希「そ、そうじゃないよ」

 

沙希「けーちゃんが保育園で喧嘩してね、それでちょっと...」

 

八幡「そうか、たいへんだな」

 

沙希「ずいぶん他人事なんだね」

 

八幡「他人だからな」

 

沙希「そうだね」

 

八幡「...けーちゃんはどうしてんだ」

 

沙希「悪いとは思ってるんだと思う。でもなかなか言い出せないみたいだ」

 

八幡「そうか。まあ、子どもの喧嘩なんて時間が解決してくれるもんだろう」

 

沙希「そうかもね。でも大切なのは考えることだよ。相手の事とか、自分の気持ちとかをね」

 

八幡「お前、お母さんみたいだな」

 

沙希「でも、人との関係ってそう言うもんだと思う」

 

八幡「そうか、そうだな」

 

沙希「お米、重そうだね」

 

八幡「いや、少し軽くなったよ。ありがとな」

 

沙希「え?う、うん」

 

 

 

比企谷家

 

 

 

八幡(さて、状況を整理しよう)

 

八幡(一色にノートのことがばれた)

 

八幡(あの様子を見る限り、かなり落ち込んでいるように感じる)

 

八幡(悪いのは...俺だ)

 

 

―いろは『私、嬉しかったんですよ』

 

 

八幡(初めはただの好奇心と少しの下心だったが)

 

 

―いろは『だって私の事抱きしめるのだって、手をつなぐのだって』

 

―いろは『今までの先輩だったら絶対やらないじゃないですかー?』

 

 

八幡(いつの間にか逃げの手段に使っていた)

 

八幡(仲を深めるきっかけに使っていた)

 

 

―いろは『だから、私のために頑張ってくれてるのかなって...思ってたんですけどね』

 

 

八幡(本当に一色との仲を縮めたいのであれば、俺自身が踏み出すべきだったんだ)

 

八幡(それで失敗したとしても、それが俺にとっての”本物”なのだから)

 

 

小町「お兄ちゃん?」

 

八幡「小町...」

 

 

小町「電気もつけないでなーにやってんの?」パチッ

 

八幡「ちょっと考え事だ」

 

小町「結衣さんたちとの事?それとも、いろはさんかな?」

 

八幡「まあ、一色のことだ」

 

小町「聞いてあげるから話してみ?」ハァ

 

八幡「いや...それはいい」

 

小町「え?」

 

八幡「いや、すまん。変な意味じゃない」

 

 

八幡「ただこれは、俺が考えて俺が行動したい」

 

八幡「もう誰かに理由をもらって動くのは、やめる」

 

小町「お兄ちゃん....」

 

 

小町「そんなの、当ったり前だからね!」

 

八幡「あ...え?」

 

小町「なーんかかっこつけてるけど、それが普通なの!」

 

小町「今までがごみぃちゃん過ぎただけだよ」

 

八幡「す、すいませんでした」

 

八幡(怒られんのかよ)

 

 

小町「...でもま、いいんじゃない?」

 

小町「今までのお兄ちゃんじゃしなかったことだし、心配だけど、小町はお兄ちゃんを信じてるよ」

 

八幡「小町...」

 

小町「あ、今の小町的にチョーポイント高っかーい!」

 

八幡「ふっ愛してるぜ小町」

 

小町「小町はそれほどでもないけどねー」

 

八幡(知ってた。お兄ちゃん知ってたよ)

 

 

小町「....プッ」

 

八幡「....フッ」

 

 

小町「じゃー明日。がんばってね!」

 

八幡「おう」

 


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