比企谷八幡と一色いろはの話   作:のこのこのこのこ

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ラッキーノート編①

1日目(水曜日)

 

廊下

 

 

八幡「ラッキーノート...?」

 

八幡(え、なにこの怪しいノート)

 

八幡(このピンクの色合い。由比ヶ浜のいたずらか?)

 

八幡(しかし何だろう。シチュエーション的に拾わなければいけない気がする元中二の悲しい定め)

 

 

 

八幡「このノートに名前を書かれた人間と書いた人間の間にラッキーなことが起こる」

 

八幡(...うそくせえ)

 

八幡(でもこれ、ルールは良くできてんな)

 

 

 

1.ノートに名前を書かれた人間と書いた人間との間にラッキーなことが起こる。

 

2.書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない。ゆえに同姓同名の人物に一度に効果は得られない。

 

3.名前のあとに40秒以内に状況をかくと、その通りになる。

 

4.状況を書かなければランダムに決定される。

 

5.状況を書いた後、更に40秒以内に時刻を書けば発生する時刻を操れ、その時刻は名前を書いてから40秒以内でも可能である。

 

6.書き入れる状況は、その人間が物理的に可能なこと、その人間がやってもおかしくない範囲の行動でなければ実現しない。

 

7.「所有権を放棄する」と宣言することで所有権は放棄できる。ただし所有権を放棄したとき、ノートに関する一切の記憶を失う。

 

 

八幡(ま、とりあえず拾っておくか。何もなければ平塚先生にあげよう)

 

 

 

奉仕部 部室

 

 

 

八幡「なんでお前いんの?」ガラガラ

 

いろは「先輩おそいですよー!」

 

結衣「あ、なんかね、いろはちゃん相談があるんだって!」

 

雪乃「揃ってからがいいとのことだったので、あなたが来るのを待っていたのよ」

 

八幡「ああ、すまん」

 

 

雪乃「それで、相談というのは何かしら?」

 

いろは「はい。実は来週末に近隣の数校の生徒会が集まって活動報告会をするんですけど」

 

いろは「副会長と書記ちゃんが揃ってインフルになってしまって...手伝いをお願いしたいんです」

 

雪乃「つまり、人手が足りないということね」

 

いろは「そうなんですよー。私と庶務くんで進めてるんですけど、作る資料が無駄に多くて...」

 

八幡「おい、もしかしてその報告会を言い出したのって」

 

いろは「はい!海浜総合高校です」

 

八幡(玉縄かぁー!)

 

 

結衣「資料....資料か...」

 

八幡「由比ヶ浜、お前は書類の整理とかお茶出しとかでいいぞ」

 

結衣「ヒッキーひどい!私だって作れるし!」

 

八幡「え、お前Excelとかつかえんの?」

 

結衣「なんで英語がでてくるの!」

 

八幡「わかった。もう何も言うな」

 

結衣「なんか諦められてる!!」

 

 

いろは「と、とりあえず、引き受けてくださるということでいいですかー?」

 

雪乃「かまわないわ。仕事の内容だけれど...」

 

いろは「そしたら、一回先輩をお借りしますねー!」ガタッ

 

結衣「え?な、なんで。みんなで行くよー?」

 

いろは「生徒会の仕事に詳しい先輩と、仕事を分担してからお二人に回そうかと!」

 

雪乃「別に私たちが直接いっても変わらないのではないかしら」

 

いろは「だって奉仕部を空にするわけにはいかないじゃないですかー?」

 

いろは「一人だけつれていくなら、先輩が適任ですよね?」

 

 

雪乃「た、たしかにそうだけれど...」

 

結衣「ヒッキー...」

 

八幡「なんだよ。仕事するだけだろうが」

 

いろは「さあ、先輩行きましょー。ではでは、すこーしだけお借りしますね!」ガラガラ

 

 

生徒会室

 

 

八幡「一緒に進めてた庶務が見当たらないんだが」

 

いろは「あー帰らせました。先輩が来るからいいかなって」

 

八幡「おまえ依頼しに来た理由おぼえてる?」

 

いろは「まーまー、かわいい後輩と2人で嬉しいくせにー」

 

八幡「はいはい、あざといあざとい」

 

 

いろは「それとも」

 

いろは「かわいい彼女っていった方がドキッとしますか?」アザトッ

 

 

八幡「くっ...」デレッ

 

いろは「ふっ...」ドヤァ

 

八幡「と、とりあえず仕事をくれ」

 

いろは「はーい!ちょっと待ってくださいねー」

 

 

八幡(一色は付き合ってから更にあざとくなった)

 

八幡(なんとかぎゃふんと言わせたい)

 

八幡(そうだ...ラッキーノート)

 

 

 

八幡「使ってみるか」ボソッ

 

いろは「なにかいいましたー?」

 

 

 

ノート:一色いろは

 

 

 

八幡(確か40秒だったか...そろそろだな)

 

八幡「.....」

 

 

シーン

 

 

八幡「.....」

 

八幡「まあ、こんなもんだよな」

 

 

いろは「せんぱい。そしたらこれとこれを...きゃあ!」ツルッ

 

八幡「うおっ」

 

ムニュ

 

 

八幡「これは.....」

 

八幡(転びそうになった一色に手を伸ばしたら......)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

 

いろは「せ、せ、せんぱい!!どこ触ってるんですか!サイテーです!謝ってください!」

 

八幡「お、おう、すまん」

 

いろは「いやです!確かに付き合ってればゆくゆくはこーゆーことになるのかもしれませんが早すぎますし心の準備もできてませんごめんなさい!」

 

八幡「ほんとにそーゆーつもりじゃなくてだな。不可抗力で...」

 

いろは「この仕事持ってさっさと奉仕部に帰ってください!....恥ずかしいです」カァ

 

八幡「はい」

 

 

廊下

 

 

八幡「本物なのか?」

 

八幡「しかし一回だけでは偶然ということも...お」

 

八幡「あれはマイスウィートエンジェル戸塚」

 

 

八幡「仕方ないな。試すだけ、本当に」

 

 

 

ノート:戸塚彩加

 

 

 

八幡「さあ、どうなる」ドキドキ

 

戸塚「あ、はちまーん!」

 

八幡「決まりだわこれ、本物だわ」

 

 

戸塚「なにしてるの...わあ!」

 

八幡「戸塚ああ!」ドサッ

 

戸塚「いたたた、ありがとう八幡。でもそんな飛び込んで助けてくれなくても...少し転んだだけだよ」

 

八幡「何言ってんだ、怪我したらどうする。大丈夫か?救急車はいるか?」

 

 

戸塚「もう!心配し過ぎだよ...ありがとう」テレッ

 

八幡「ぐはっ!」

 

 

八幡(こ、転びそうになった戸塚を助けたら)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

 

戸塚「じゃあ僕、部活に戻るね、また明日!」

 

八幡「.....」

 

八幡「間違いない」

 

八幡「このノート...本物だっ!」

 

 

 

八幡(くそっ、なんて力をもったノートだ。今のは命が危なかった...!)

 

八幡「部室に戻るか」

 

???「比企谷?一人で何してんの」

 

 

八幡(この声は確か、川村さん!)バッ

 

沙希「えっと、あたまは大丈夫?」ビクッ

 

八幡「軽い発作的なものだ。心配ない」

 

沙希「え、あんたどっか悪いの?」

 

八幡「悪くはない。むしろ良すぎてそのまま天に召されるまである」

 

沙希「よくわかんないけどお大事に...」スタスタ

 

 

八幡「川中さん。意外といいやつだな」

 

八幡「.....書いてみるか」

 

八幡「いや、名前わかんねえや」

 

 

 

奉仕部 部室

 

八幡「仕事、持ってきたぞ」ガラガラ

 

結衣「ヒッキーおそい!なにしてたの!」

 

雪乃「そうね、しっかりと説明してもらおうかしら」

 

八幡「何って...普通に受けとってきただけだ」

 

結衣「うそ。いま少し間があったもん」

 

八幡(なんで君はこういうことだけ鋭いんですかね)

 

 

 

結衣「てゆーかヒッキー、最近いろはちゃんと仲良くない?」

 

八幡「なんで浮気した彼氏みたいになってるんだよ」

 

結衣「そんなこと言ってないし!...ヒッキーまじキモイ!」カァ

 

雪乃「そうね、今のは確実にセクハラだわ。由比ヶ浜さん、弁護士を紹介しましょうか?」

 

八幡「え、これ俺が悪いの?」

 

雪乃「観念して自首することをお勧めするわ」

 

 

八幡「たく、そろそろ仕事の話をしてもいいか?」ドサッ

 

雪乃「あなたの最後の仕事になるわね」クスッ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

八幡「というわけで、俺たちの分担はこんなところだな」

 

雪乃「このくらいの量なら2人だけでもなんとかなりそうね」

 

結衣「なにげに私はぶられてるっ!?」

 

雪乃「由比ヶ浜さんはこの資料を整理してくれるかしら、並びをそろえるだけでいいわ」

 

雪乃「....並びをそろえるだけでいいわ」

 

結衣「雪のん酷いー!1回でわかるよー」

 

 

八幡(...さて、)

 

八幡(書いてみるか)

 

八幡(下心とかではなく、ただの好奇心です。はい、ウソです下心です)

 

 

 

ノート:由比ヶ浜結衣

 

 

 

八幡(どうなる...?)

 

結衣「うーん、なんだかずっと文字見てたら疲れてきちゃったー」ノビー

 

八幡「あ、これ先見えた」

 

結衣「うーん...え?」パーン

 

八幡(くっ、刺激が強い)

 

結衣「きゃああああ!ボタンとれたー、ヒッキーこっち見ないで!」

 

八幡「お、落ち着け由比ヶ浜。とれたよりも弾けたの方が表現的に...」

 

結衣「ヒッキーまじキモイ!」

 

雪乃「ご、ごめんなさい。こんな時どんなフォローをしたらいいのか分からなくて」

 

八幡(わらえ...ませんよね、ごめんなさい雪ノ下さん)

 

結衣「わ、私今日はもう帰るね、またあした、じゃーねー!」

 

雪乃「.....」

 

八幡「.....」

 

八幡(罪ない女の子を2人も傷つけてしまった.....)

 

雪乃「私たちも、帰りましょうか」

 

八幡「そう、だな。」

 

 

八幡(でも...)

 

 

八幡(疲れた由比ヶ浜が伸びをしたら......)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー

 

 

比企谷家

 

 

八幡「ノートによると、ラッキーの状況と時刻は操ることが出来る」

 

八幡「つまり、特定の相手に何かをしてもらうことも可能なはずだ」

 

 

小町「お兄ちゃーん!ごはんだよー!」

 

 

八幡「試してみるか...」

 

 

 

ノート:比企谷小町

夕食時、比企谷八幡に「おかずを取ってくれ」といわれ、取ったついでにあーんをする。

ラッキー!

 

 

 

八幡(我ながら気持ち悪いな)

 

 

 

 

小町「いただきまーす」

 

八幡「いただきます」

 

 

小町「うーんやっぱり小町の料理はおいしいなー」

 

八幡「自分で言うなよ、自分で」

 

小町「えーだって嘘はいってないしー」

 

八幡「そうだな、やっぱり小町の料理は最高だ」

 

小町「お兄ちゃんに言われても嬉しくないけど、ありがとー」

 

 

八幡「...小町、おかず取ってくれ」

 

小町「いいよー。はいっ」

 

八幡「おう、サンキュ」

 

八幡「....」ドキドキ

 

小町「あ、そうだお兄ちゃん。小町があーんしてあげようか?」

 

八幡「!!」

 

八幡(きやがった!)

 

小町「あ、今の小町的にポイント高いっ!」

 

八幡「まあ、どうしてもというなら...」

 

小町「はい、あーん」

 

八幡(なにこれ、天国?俺死んだの?)

 

 

小町「おいしい?」

 

八幡「おいしい」モグモグ

 

小町「嬉しい?」

 

八幡「嬉しい」モグモグ

 

小町「じゃあ明日お米買ってきてくれる?」

 

八幡「じゃあ明日お米買ってくる...え?」モグモ

 

小町「特売だから2袋ね、よろしくね?」

 

八幡「特売だから2袋....え?」ゴクリ

 

 

小町「あーよかったー!さすがに2袋も持てないし困ってたんだよねー」

 

八幡「小町、おまえハメたのか」

 

小町「お兄ちゃんが勝手にハマったんだよ」

 

八幡「くっ、なんて恐ろしい妹だ」

 

小町「てゆーかお兄ちゃん。兄妹であーんとか恥ずかしくないの?」

 

八幡「いや、言いだしたのはおま...」

 

小町「恥を覚えなよ、恥を」

 

 

八幡(返す言葉もねえな)

 

 

小町「いろはさんには黙っておいてあげるから、しっかりしてよね」

 

八幡「え?おまえなんで一色の事知ってんの」

 

小町「なんでって、お兄ちゃんたまに電話してるじゃん」

 

小町「小町的に、結衣さんか雪乃さんだと思ってたから意外だったけど」

 

 

八幡「おれそんな電話の声でかい?知らなかったんだが」

 

小町「違うよ、その後!終わった後の独り言が大きいんだよ」

 

小町「かわいいなくそー!いろはすー!愛してるぜー!」

 

八幡「.....」

 

小町「聞いてるのが小町だけで良かったね」ハー

 

八幡(また黒歴史が増えた...)

 

 

 

 

八幡(でも...)

 

八幡(小町におかずを取ってもらったら......)

 

八幡(ラッキーが起きた!!!!!!)テッテテー


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