レイナース邸宅からの帰り道、ヤトは肩を落として歩いていた。
予定通りにこっぴどく振ったものの、酒の勢いもあって過剰に言い過ぎたと、思い出して暗い気持ちになっていた。洒落た振り方など思いつかない彼は、はっきりと言うつもりではあったが、泣いている可能性を考えるといい気分はしなかった。
そうでなくても、翌日に宮廷で顔を合わせる確率が高い。
彼女とどの面下げて会えばいいのかと、苦悶していた。
いつかの、唇と胸を思い出してしまう。
「勿体なかっ……いや、ハーレムなんて冗談じゃない」
心中を誤魔化すように呟いた。
異世界転移した一般人が、数多の浮名を流す宿命に不満を抱きながら、落ち込んだ彼は宿へ向かった。
◆
宮廷で催された魔導国対策の会議に、まだ結論は出なかった。
時刻は深夜に差し掛かろうとしている。
行き詰った会議は静寂をもたらし、見るに見かねたフールーダが話題を変えた。
「ジル、百年ほど前に私が旅をしていた時、馬車に同乗した某国の秘書官から聞いた話です」
「聞かせてくれ、何か参考になるかもしれない」
「赤く純度の高い宝石を運搬中に、盗賊に襲われました。国宝級の宝石を奪われ、慌てた彼は宝石が出回れば分かるよう手配をしたのです。しかし、半年たっても宝石はおろか、情報さえも出回りませんでした」
年季の入ったフールーダの話に、皆が聞き入っていた。
「別件で、盗まれた現場付近の村を訪れた彼は、幼い子供達が赤い宝石を蹴って遊んでいるのを目撃しました。盗賊は宝石を捨てていたのです」
「なぜ盗んだ? 誰かに頼まれたのか?」
「それが楽しいと思ったからです。世界には損得や利害で行動しない者がいます。そんな相手に、買収も、交渉も、説得も、脅しや理屈も通用しません。世界を破壊してでも、自分が楽しみたいだけなのです」
「……そんな者がいるだろうか」
「同盟を断れば、彼らは喜んでこの国で金貸しを始めるでしょう。化け物が営む性質の悪い金貸しは、この国の人口を減らし、治安を悪化させます。それこそ奴らの……いえ、そちらこそが本来の目的かもしれません。あの歪んだ蛇の顔、理性ではなく破壊衝動や殺戮欲求に身を任せかねません。ガゼフ・ストロノーフを含む魔導国側三名の怯えた顔は、まだ覚えていますぞ」
視界の端で蛇と向かい合った四騎士が、死の恐怖を思い出し体を震わせた。
“激風”ニンブルは色白の顔を蒼白に変えた。
「王国最強の戦士が怯える怪物……か。王国貴族を惨殺した蛇は、奴で間違いないな」
こめかみに指をあてて間を空けた。
悩みながらジルは言葉を続ける。
「フールーダ、魔導国に行って無事に帰ってこられるか?」
「陛下、私は奴の話を信用したわけではありません。私より優れた魔法詠唱者の存在など、とても信じられません。魔法に携わる者として、興味はありますが」
「問題は魔導王か……今までこちらに回ってきた情報は、全て真実の可能性が高い。情報通りだとアンデッドという話だが、さすがにこれは虚偽ではないか? 情報を駄々漏れにする、馬鹿の心理はわからん」
ジルは忌々しそうに顔を歪めた。
「しかし、素直に同盟とは、腹の虫が治まらんな」
黙って聞いていた秘書官が、ジルへ進言した。
「陛下、飼い殺しにしている貴族を、引き取らせては如何でしょうか」
「それはいい考えだな……貴族を集めて舞踏会を開き、奴へ挨拶をさせよう。待遇に不満のある貴族は、魔導国へ下るだろう。人間社会の知識も、おつむの出来も足りなそうな蛇に、一矢報いる事が出来るかもしれない。レイナースが明日には来る、より詳しい話を聞くとしよう」
用途の少ない貴族であれば、魔導国に下って損害を与えるだろう。
あわよくば情報を持ち帰ってくれる可能性もある。
仮に殺されたとしても、帝国としての損害も無い。
ジルの表情は数時間ぶりに、穏やかな笑顔を浮かべていた。
◆
翌日、ジルの理想通りの状況が宮廷では展開されていた。
怪しげな全身鎧の蛇は、舞踏会と聞いた途端に動揺を始める。
「……い、異形の蛇が参加するのはまずいだろ」
「その姿なら人間にしか見えないよ、ヤト」
この姿で参加しろと言いたいのか……?
玉座に通されたヤト一行は、同盟の返事だけ聞いて帰ろうと考えていた。
予想しなかったジルの申し出に、ヤトが過剰に動揺する。
踊れない・話に自信も無い・ドレスコードが分からない、テーブルマナーの知識も無いなど、数々の不安要素が頭に浮かぶ。
「貴族に面通しが出来るだろう。同意の上なら魔導国にお連れしても構わない、そちらに損はないと思うのだが」
「いや、しかし」
「まさか、踊れないなんてことはないよな?」
穏やかな笑顔が、氷の冷笑に見えてくる。
踊れませんと言いたかったが、前日に好き放題やったこの状況で、素直に腹の内を見せる気分にもならなかった。
レイナースの一件も加わって、気分も暗かった。
「魔導国の支配者ともあろうものが、舞踏会
「フン、暗殺仕掛けた礼は、まだしてないからな」
「おや? 昨日は水に流すと言わなかったかい?」
「……」
「王国戦士長、ガゼフ・ストロノーフ殿、貴殿も護衛として参加して欲しい。もちろん他の方々も構わないよ、歓迎しよう」
「旦那、俺は遠慮するぜ。代わりに頑張ってくれや」
「私も人間社会の事はよくわかりませんので、辞退します」
ガガーランとザリュースが、早々に逃げ道を断つ。
魔導国と帝国が同盟する式典に、戦士長だけ出席というのはあり得なかった。
思い込みや勘違いが激しいとしても、ジルは帝国を率いる皇帝なのだ。
ぽっと出支配者のヤトが、気軽にいなせる相手ではない。
「魔導王陛下にもお会いしたいのだが、時間を考えると難しいだろう。妻を連れて来る時間も無いだろう。踊りのパートナーを探して欲しいのだが、よろしければこちらで斡旋しようか?
穏やかな笑顔の口端が、僅かに歪んだのをヤトは見逃さなかった。
「……舞踏会、明日だよな? 俺がいなくても」
「ヤトがいなければ話が進まないだろう?」
「俺だけ……」
「私も護衛として参加する。安心してくれ」
宥めるガゼフの言葉は、砂漠のように渇き始めた未来図に、一滴たりとも清涼をもたらさなかった。
心細いと思っても、既に口に出せる雰囲気ではない。
ガガーランを盗み見ると、笑いを押し殺して苦しそうな表情をしていた。
蛇神の彼がやりこめられている様は、そうそう見れるものではなかった。
「都合が悪かったかな?明日であれば、貴族が全て集まる。君達にも都合がいいと思うのだが。」
「……わかった、明日の夜にまた来る」
足早に玉座の間を後にした。
報いを受けた気分になり、個人的にやるせなかった。
彼らが退出した後、ジルは愉快そうに笑った。
宮廷を出た彼らは、帝都の広場で頭を悩ませる。
「俺、踊れないんだけど……」
「頑張ってくれや、旦那」
豪快に笑ったガガーランを見て、ザリュースも密かに口元を歪めた。
仮にガガーランが踊れたとしても、踊りがどうというより絵的にまずかった。
「ラキュースを呼んでもいいが……この国の踊りを知っているかわからない上に、時間が無い。フルト家に……長女は送ってしまったな。金貸しに……娼婦も送ったな。ジルの紹介した女で手を打つべきか……」
他に知り合いがいない帝国では、これ以上の妙案も浮かばなかった。
レイナースが貴族出身の騎士と思っているヤトは、彼女が踊れると考えもしなかった。
三名を宿に返した彼は、歩きながら考え事に耽る。
ガゼフは心配そうに何度か振り返っていた。
広場の中央で子供達が両手を空に伸ばしていた。
何か解決の糸口になればと思い、彼らに話しかける。
「何しているんだ?」
「雲をつかんでるのー!」
「そうか……掴めるといいな」
足掛かりにもならず、金貸しから買い取った者を性急に送った事が悔やまれる。
他に踊れそうな貴族と言えば、ナザリックの黒い油虫しか思いつかない。
彼にはあまり触りたくなかった。
「踊りの上手い女性を知らないかな?」
「しらなーい」
一緒に空を見ながら、頭を悩ませた。
今夜は晴れそうだった。
◆
《星になったスピアニードル》
スピアニードルは、白くてふわふわした丸い生き物です。
怒ると柔らかい毛が針に変わります。
スピアニードルは、人間が嫌いでした。
毎日毎日、誰も寄せ付けまいと針を立てます。
「すぐに裏切る人間なんか大嫌いだ」
ご飯をくれた優しい人間を、針を立てて追い払いました。
そんなある日、病気になってしまいました。
心配した人間が食事を持ってきてくれます。
他人が怖かった彼は、針を立てて傷つけました。
やがて彼の周りには誰も近寄らなくなります。
お日様とお月様を繰り返す度に、彼の体は悪くなっていきました。
血を吐いて、痛みに怯えて、震えて眠ります。
永い眠りに落ちる前、しくしくと声を出して泣きました。
声は小さな女の子に届きます。
スピアニードルを見つけた女の子は、優しく抱き着きました。
弱っていて、もう針は立てられません。
「ごめんなさい」
「だいじょうぶだよ。わたしがいるからね」
泣いて謝る声は女の子にしか聞こえませんでした。
女の子は優しく撫でてくれました。
暖かい温もりに包まれ、安心して死んでいきました。
孤独で寂しがり屋の魔獣スピアニードルは、星になって仲間と輝いています。
もう寂しくありませんでした。
◆
暖かい暖炉のある一室で、私は母親の膝の上に小さく座り、読まれる絵本に見入っていた。
読み終わった後、悲しそうに母親を見上げた。
「おかあさま、スピアーニードルかわいそう……」
「大丈夫よ、お友達と一緒にお空で輝いているのだから」
母は僅かな間を空けて、優しく言葉を続けた。
「レイナース、寂しい時は寂しいと言わなければいけないのよ」
「わたし、言います! 寂しい時は寂しいって言います!」
「そう、あなたは強い子ね。自分の気持ちに素直になるのは、とても勇気がいるのよ」
笑顔の母は、幼い私の頭を撫でた。
理解はできなかったが、褒められて嬉しくなった私は母に抱き着いた。
幼い頃の夢から目覚めると、応接間で泣いたままの格好で眠っていたらしい。
立ち上がると、固まった体がコキコキと音を立てた。
急激に循環し始めた血液で、立ち眩みが起きる。
凝り固まった体をほぐす事から始めた。
宮廷に連絡し、体調不良を理由に休暇扱いにしてもらう。
騎士として弱体化し、精神的に滅入っている状況で、帝国四騎士が務まるはずも無い。
明日は必ず朝から来るように言っていたが、何かあったのだろうか。
啓示のように現れた、幼い頃の夢を思い出す。
寂しいと認めることはできたが、その後どうすればいいかわからなかった。
この先、何を目的に生きればいいのだろう。
誰でもいいんだろと言い放った、黒髪の男を思い出す。
数日間、私の世話になっておきながら、傷つけようとする酷い言い草に、悲しみと同時に猛烈に腹が立つ。
一発くらい殴られてもと言いかけた言葉を思い出し、お礼参りをしてやろうと、町娘の普段着に着替えて顔を洗い、彼らの滞在する宿に向かった。
口実は何でもよかった。
一人でいたくないだけなのだ。
広場に差し掛かると、見覚えのある奇妙な全身鎧が、子供達と何かを話していた。
早足で彼に近づいていくと、向こうも私に気付く。
「あ……お、おはよう」
「もうお昼ですが」
「ああ、そうだな。じゃあな」
私を避けるように手を上げて立ち去ろうとした。
「待ちなさい、よくも言いたい放題言ってくれましたね。話があるので、付き合いなさい」
「いや、今日は忙しいから」
「いいから来なさい」
強引に彼の手を掴んだ。
どうなるにせよ、自分の気持ちにケリを付けなければならない。
「俺は明日の舞踏会に向けて踊りの相手を探さなくてはなら――」
「舞踏会?」
彼の手を掴んだまま、舞踏会の言葉が私の動きを止める。
隣の子供達が面白そうに見ていた。
「ジルの奴が仕組んだんだよ。踊れない俺は、明日までに踊れる相手を探さないと」
「私が踊れる。」
「……えぇー?」
鎧で表情は窺えないが、疑っているのだと声が物語っていた。
「踊りは私が教える、今夜は私の家に泊まるといい」
「遠慮する。ジルが踊れる貴族を紹介するって」
「ラキュースに嘘を吹き込むために、魔導国へ行くぞ」
「……」
顔を横に向けていた昆虫の鎧は、ようやく私を真正面から見据えた。
自分でも汚いと思ったが、彼を繋ぎ止める手段が他に思い当たらなかった。
「本当に踊れるのか?」
「これでも貴族の嗜みは身に着けているが、舞踏会なら新しいドレスが必要だ」
「……仕方がない。先に言っておくが、俺は妻がいるし、妾を作るつもりはない。それをよく覚えて」
「早く行こう」
何か言い続ける彼を遮り、手を取って歩き始めた。
今夜は寂しくなさそうだ。
◆
ヤトは異常事態の報告に、アインズへ連絡をする。
明るい声のアインズは、話を聞いて真っ先に吹き出した。
「ぶっ」
「笑い事じゃないス、代わって下さい」
「
「……怒りますよ」
「代わるのは無理だ、魔導国は忙しい。せいぜい頑張ってくれ。ついてくる貴族がいるなら好きにして構わん」
「他人事ですね……正直、笑えないんですが」
「他人事だよ。日頃の行いが悪いからだ」
「だって……アインズさんが悪のロールプレイしろって」
「頑張れ、魔導国の蛇! 面倒だったら蛇に変わるのも手だぞ。シャルティアでも、そちらに送るか? プレアデスの誰かでも構わないが」
「いえ……余計に拗れるんでやめときます」
「転んで情けない姿を見せるなよ?」
「……自信ねえッス。マジで代わってくれませんか」
「舞踏会なんて俺だって避けるわ。念のため暗殺対策で毒対処はしておいて」
「何もしなくても、元から対処済みです」
「それじゃ、後は頑張ってくれ! アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ! ナザリック地下大墳墓に永遠の繁栄を!」
最後は投げやりに《
報告を受けたアインズが、魔導国執務室で楽しそうにしている姿が、容易に想像できた。
憂鬱なため息を吐き出しながら、ガゼフへ舞踏会は現地集合でと連絡をする。
真面目な彼はとても心配していたが、それどころではなかった。
貴族の女性向けにドレスを販売している店に戻ると、レイナースは着せ替え人形のように次々とドレスの試着をしていた。
知識のないヤトは、全身鎧を解除し入口のソファーに座って欠伸をした。
「宝石が赤なのだが、やはり青のドレスがいいでしょうか」
「ピンクなどもお勧めですわ。最新のドレスがピンク色ですのよ」
「試着したいのですが」
「はい、こちらへどうぞ」
腕を組んで舟をこぐ彼は放置された。
商売っ気の盛んな貴族の女性店主は、髪を整え、装飾品を揃え、化粧品まで選んでくれた。
「奥様、とてもお似合いでございますわ」
「綺麗……」
久しぶりに見た呪われていない自分の顔は、施した化粧や装飾品で飾られており、彼女自身が見惚れる程に美しかった。
さりげなく奥様と呼ばれた事は、反対側の耳から抜けていった。
「唇にも紅をお差ししますわね。唇が厚めですので、さぞかしお似合いでございましょう。舞踏会でしたら、殿方の視線を独り占めですわよ。旦那様を羨む視線がさぞかし集まる事でしょうね」
「ふふ……ありがとうございます。お金はあそこの人にお願いします」
「はい、畏まりました。お買い上げありがとうございます」
貴族の店主が請求書を回すために、ヤトを揺り起こした。
金額に何か文句を言っていたが、鏡に見惚れるレイナースの耳にまで届かなかった。
◆
夜になり手早く食事を済ませた二人は、踊りの稽古に入った。
「ドレスを踏んでいる! そこで足を出すな!」
「……すまん」
日頃の恨みと言わんばかりの厳しい稽古は、困難を極めた。
現実社会で一介のサラリーマンである彼が社交ダンスの経験などある筈も無く、身のこなしの荒い彼は練習用のドレスを何度も踏みつけてしまい、その都度彼女は本気で怒鳴った。
昨晩の罪悪感も重なり、彼女に
「ここで相手を抱き寄せろ。愛する人を抱くように」
「……こうか?」
「下手くそ! もっと優しく抱き寄せろ!」
「うぅ……」
彼女の怒りには、個人的な感情も含まれていた。
「私は、綺麗だろうか?」
「はい」
「私をどう思う?」
「美人」
下を向いて足の運びに気を取られているヤトの生返事は、彼女の心へ染み込んでいく。
仮初の甘い時間に微笑んで浸っていると、不意に左足を踏みつけられた。
「痛っ! 足を踏むな! 馬鹿っ!」
「すいません…」
怒られ続けてしょげるヤトを見て、前日の溜飲が下がる彼女は、その後も厳しい指導に熱が入る。
アインズより厳しい彼女の個人授業によって、不器用な踊りはそれなりの形になったが、気を抜くとまだ足を踏んづけていた。
凛々しい女性の怒鳴り声は、ヤトが眠気と精神疲労で倒れる深夜まで、一人暮らしの邸宅に響いた。
◆
ソファーで眠りこける彼に毛布を掛け、私は寝室に入った。
昨日まで記入した空想日記のページを破り捨て、白紙のページを開く。
この日、書いた内容は空想では無かった。
自分の気持ちをはっきりさせようと、彼の嫌いな所、好きな所など、書いては破り捨てる作業を繰り返し、ノートのページは数枚しか残らなかった。
そこまでしても、自分の心に結論は出なかった。
重たい寂しさは無く、心が軽くなっていた。
踊りの練習で感じた、彼の体温を思い出す。
誰かと肌を重ね合えば、寂しさは刹那だけ満たされるだろう。
虚しさが残ったとしても、今は誰かを追いかけていたかった。
私は覚悟を決めた。
帝国四騎士レイナース・ロックブルズは、自宅でしくしく泣くような弱弱しい女ではない。
両親を粛清した私が、孤独に泣くなどあってはならない。
仮に全てを失ったとしても、自分の運命は自分で勝ち取る。
私は明日、宮廷に行かなければならない。
全てのページを破り捨て、そのままベッドに入った。
もう空想日記は必要ない。
眠りに落ちる前、窓から三日月が見えた。