モモンガさん、世界征服しないってよ   作:用具 操十雄

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雨後、月は朦朧の夜

 

 

前夜の酩酊時に取った行動により、ヤトとレイナースと目を合わさなかった。

不思議そうに首を傾げる他の三名は、滞りなく朝食を終える。

二人が黙っていたため、人数に反して静かすぎる風景だった。

 

「ザリュース、今日はここで待機だ。転移ゲートを開く者が後で来るから、相手をしてくれ。」

 

喜んで尻尾を振り回しているザリュースに見送られ、ワーカーが集まる宿へ向かった。

 

 

 

 

ワーカー達が仕事や交際を求めて訪れる宿、“歌う林檎亭”ではワーカーチームの“フォーサイト”リーダーであるヘッケラン・ターマイトが、仲間兼恋人の半妖精(ハーフ・エルフ)のイミーナと、遅めの朝食を摂っていた。

宿に他の人影はなく、偶然にも他のチームは全て出払っていた。

 

「なんで王国の戦士長と冒険者が帝都にいるんだよ。」

「私にもわからないわよ。観光じゃないの?」

 入口の扉が開き、噂の人物が入ってくる。

 

「入口見てみろよ。」

「うわ……噂の二人と帝国騎士じゃん。他の……って何あれ? 蟲人?」

 

昆虫の全身鎧を蟲人と勘違いしたイミーナは、身を乗り出してヤトを見た。

視線に気付いた彼が近づいてくる。

 

「済まない、フォーサイトというチームに会いたいのだが。」

「俺たちがそうだが、あんたは?」

ヘッケランは訝しげに眺めていた。

 

「あー……フルト家の者に会いたい」

「フルト家?」

「馬鹿!アルシェの事よっ!」

「……知らねぇな」

「チームメイトなのに知らないのか?ワーカーは犯罪者だから、大した情報交換もしておらず、仲間意識も薄っぺらいのか。所詮はゴミの集まりだな。」

 

無為な発言はヘッケランを挑発し、立ち上がってヤトを睨んでいた。

護衛と思われるガゼフとガガーランに勝てる見込みは無いが、舐められると今後の仕事に差し支える。

 

「で!?アルシェがどうしたって?」

「俺は借金取りだ。金貨三百枚の回収に来たのだが、アルシェはいつ戻るかな?」

「そんなこと知るか。」

「時間が掛かるなら仕方ない。ガゼフとガガーランは昨日渡した家を回ってくれ。」

 

「ヤト、殺しは止めてくれ。」

「ラキュースが悲しむぜ。」

ガゼフとガガーランが心配そうにこちらを見ていた。

 

「大丈夫だよ。そちらも気を付けてな。」

 

 二人は手を振って宿を出ていった。

青筋を立てているヘッケランと、きつい目で睨んでいるイミーナに向き直った。

 

「さて、フォーサイトさん。ワーカーについて教えてもら――」

「失せろ。」

「レイナ、なぜこんなに怒っているんだ?」

首を傾げて尋ねるヤトに、レイナースはため息を吐いた。

 

「ところで彼女はエルフか? 帝国ではエルフは奴隷と聞いたが、ここでは違うのか?」

「あぁ!?」

 

意図したわけではないが、順調にヘッケランを怒らせていた。

青筋に加えて顔を赤く染め、今にも飛びかかってきそうだ。

 

「俺のおん――」

言いかけた言葉は、イミーナの拳骨で止まった。

 

「ちょっと!何言ってんのよ!」

「いってぇ……イミーナ、こいつは」

「私はハーフエルフよ。あんたは?」

「ハーフエルフって事は、人間との混血だよな? ふーん……異種族交配の産物、成功例はこうなるんだな。これは持ち帰りたい。魔導国に引っ越さないか?」

「は?」

 

理解が出来ずに、目を白黒させた。

険悪な空気は雲散霧消し、沈黙が辺りを支配する。

 

「ヤトノカミ、その辺にしなさい。次の予定もあるのでしょう。」

「そうだよなぁ……アルシェは戻ってくるか? ちょっと今日は忙しいから、戻らないなら家に直接行くが」

「あんた、名前は。」

「ヤトノカミ、魔導国の蛇だ。聞いたことないか?」

「知らねえな。なんだ蛇って。虫けらに見えるぜ。」

「じゃあ家に直接行くから、借金取りが行くと――」

言いかけた言葉は入口の扉が開く音で止まった。

 

「ただいま。」

「帰りましたよ。」

 ドアが静かに開き、呟くような女の声、一泊置いて折り目正しい男の声がした。

 

ヘッケランが入口に駆け出し、アルシェの手を取って連れ出そうとした。

だが、ヤトは余裕を持って入口へ立ち塞がる。

 

手を掴まれたアルシェは、状況が把握できずに周囲を見渡していたが、何もヒントにならなかった。

 

「フルト家の“将来有望”な長女アルシェ、借金の回収に来た。金貨三百枚を払って欲しい。」

 

鎧の目を赤く光らせる奇妙な借金取りに、状況を把握する。

“フォーサイト”は全員が身構え、隙あらば逃げ出そうとしていた。

 

「両親の借金。私には関係ない。」

 

さらさらの金髪にカチューシャをしたアルシェは、杖を両手に持って身構える。

 

 

「フルト家の借金は魔導国が買い取った。」

「私には関係ない。」

「妹が二人いたよな?」

「だったら何?」

「悲しむだろうなぁ、幼い妹が。」

「……妹に手を出したら許さない」

「これから魔導国で一家揃って暮らすといい。今よりいい暮らしができる。特にお前はワーカーでそれなりのチームだから、情報を提供して欲しい。」

「あなたが信用できない。」

「どちらにしても力ずくで攫う。」

 

「お待ちなさい。」

 

視線を衝突させてこう着状態に陥るはずだった場は、優しそうな顔をした体格の良い神官が止める。

 

「誰だ?」

「ロバーデイク、彼女の仲間です。少し落ち着いて話されませんか。」

「断る、時間が無い。闘技場に来い。来なければ夜にアルシェの家に行く。」

 

彼らより金策の方が重要だった。

失敗したら魔導国に出入り禁止を言い渡されるのだ。

 

 長くなりそうな話に、この場での解決を諦め、足早に出ていった。

慌ててついて行くレイナースを目で見送り、静かになった宿には“フォーサイト”だけが残された。

 

彼らは机に座って話を始める。

 

「アルシェ、どうなさるおつもりですか」

「無視すればいいじゃない、相手は借金取りなんだから。」

「行ってみる。妹を人質に取られた。」

「今から逃げろ、協力してやっからよ。」

「それは難しいと思う。それにどのみちこのままでは、同じ運命を辿る。」

過去の栄光にしがみ付く父親の顔が浮かんだ。

 

「魔導国について誰か知ってっか?」

「情報が回ってこないのよね。話だけ聞きに行ってみる?」

「私も付き合いましょう。逃げる時の時間稼ぎはお任せください。」

「ったく、しょうがねえな。そいじゃ、久しぶりに闘技場へ行きますか。」

「……みんな、ありがとう」

 

机に座った少女は頭を下げた。

 

 

 

 

「後にした方が良かったかもな。」

「知りません。ラキュースさんも苦労しているのでしょうね。」

「……否定はしない」

 

棘の無い喧嘩をする二人は、闘技場の入り口に着く。

入場するための列ができていた。

 並ぶのを躊躇っていると、レイナースを見つけた一般騎士が走ってきた。

 

「帝国四騎士の重爆様、ようこそ闘技場へ。本日はどう致しましたか?」

「私の個人的な知り合いに、闘技場を案内したいのですが。」

 

ヤトを怪しい者を見る目で眺める。

 

「これでもとある国家の要人です。今日は内々で観光をしていますので、私がご案内を。」

「よろしくお願いします。これ、チップです。」

ヤトは白金貨を一枚手渡し、深々とお辞儀をした。

 

「おお、ご丁寧にありがとうございます。こちらへどうぞ、ご案内します。」

 

思わぬ特別ボーナスに、騎士は嬉しそうに案内をしてくれた。

受付を通さず、柔らかいソファーのVIPルームへ通される。

二人きりになったので、遠慮なく鎧を解除して横になった。

 

「試合を見るわけじゃない、賭けをしたいんだよ。」

「そこに今日の組み合わせと倍率一覧表が置いてあります、勝手に見て下さい。」

「ああ、そうか。」

「ええ。」

「……」

「……」

 

会話が途切れ、妙な間が出来てしまう。

ヤトのペースは昨晩から乱されていた。

 

「第二試合1.9倍と1.1倍…あ、飲み食いは好きにしてくれ。」

「特にお腹は空いていません。」

「……そうだよな」

 

貴賓室から試合会場をみると、第一試合の武装したトロールが敵をなぎ倒していた。

咆哮を上げている武装した異形種に、少しだけ興味が湧く。

 

「えーっと、第三試合の倍率が1.5倍と2.8倍か……《必勝法》」

 

スキルを使って倍率を確認すると、2.8倍が勝つと分かった。

レイナースに白金貨の入った袋を渡す。

黙っていると妙な空気になってしまうので、早く彼女を追い出したかった。

 

「これを第三試合の2.8倍に全額賭けてくれ。」

「全財産を預けてもよろしいのですか?持ち逃げするかもしれませんわよ。」

「信じている。」

「あ、はい。」

「……」

「……」

「早く行け。俺は寝る。」

 

白金貨四千枚程度入った袋を、両手に抱えて出て行こうとしていた。

背中に向かって声を掛ける。

 

「さっきのワーカーが来たらお連れしてくれ。」

「はい。それでは、おやすみなさい。」

「……おやすみ」

 

王都で待つ可愛い妻の顔を思い出し、眠りに入った。

そうでもしなければ、彼女へ感情移入してしまいそうだった。

大恋愛の末に結婚したのに、一月も経たずに妾など作れない。

 

「俺…金髪のお転婆貴族に弱いのかな……?」

 

独り言は誰にも聞かれなかった。

 

 

 

 

「しょごっ!正気ですか!?」

 

受付嬢はレイナースの出した袋を確認して、顔面蒼白で卒倒しそうだった。

ゴンッという重量を感じる音を立てる袋の中に、白金貨は4,051枚も入っていた。

 

「お願いしますわね。」

 

茶色く重量のある袋は支配人に届けられ、受付嬢が何かを説明していた。

支配人の顔色も蒼白となり何かを命じていたが、賭けた者が帝国四騎士レイナースとわかり、肩を落として諦めていた。

皇帝の護衛も務める帝国四騎士に何の文句も言えず、支配人は物陰で賭けが外れる事を天に祈った。

 

頼まれた仕事が終わったが、ワーカーが来るのを待たなければならない。

手持無沙汰になったので、壁にもたれて呆けているところに、呟くような若い女性の声がした。

 

「あの、騎士様。先ほどの借金取りはどこに。」

「あなたは先ほどの。」

先ほど“歌う林檎亭”で見た四人が立っていた。

警戒しているのか目はきつかった。

「皆さんお揃いですわね、こちらへどうぞ。」

 

 

貴賓室のドアを開けると、ヤトはまだ眠っていた。

 

「起きなさい、ワーカーさんたちが来てくれましたよ。」

「うーん……あー、ありがとう。試合は……まだ始まってもいないのか。それで……えーっと、借金か。アルシェは魔導国で暮らしてくれ」

 

寝癖を立てた借金取りは面倒くさそうに起き上がり、黒髪をわしゃわしゃと掻きまわした。

いきり立った寝癖が左右に揺れていた。

 

「妹達に手を出さないで。」

「わかった、出さない。魔導国で頑張って暮らしてくれ。」

「え?」

妹達を人質にして娼館に売られる交渉をされると思っていた彼らは、間の抜けた顔で聞き返す。

 

「なんだよ……解決しただろ」

「よう、旦那。ここであんたを殺せば、借金もなかったことになんのかい?」

「なるだろうな。」

「試してもいいかしら?」

イミーナとヘッケランは武器に手をかけた。

 

「皆さま、敵対なさるなら私も止めますわよ。彼は大事な人ですから。」

誤解されかねない事を言いながら、レイナースは槍を構えてソファーの傍に立つ。

槍はフォーサイトへ向いていた。

 

「ふあーあ。」

ヤトが欠伸をして険悪な空気が緩む。

 

「あのなぁ………お前ら落ち着け。大切な嫁が悲しむから、殺しは駄目なんだよ。試合が終わって換金するまで時間はあるから、座って好きに飲み食いしてくれ。質問はそれまで受け付ける。」

「ヘッケラン、イミーナ、少し落ち着きましょう。アルシェをどうなさるのですか?」

「魔導国で平和に暮らせばいい。妹と親の命は保証する。農場で働いてくれ。ワーカーや帝国の情報も欲しい。他に何か希望はあるか?」

「……おかしい、私に都合よすぎる」

「そうだな。レイナ、試合は終わった?」

 

疑いの視線を向けるアルシェに適当な返事をして、横にいるレイナースに問いかける。

 

「始まってもいませんわよ。」

「この不毛な会話をまだ続けろと……酒とツマミを頼んでくれ」

「頼んできます。」

 

レイナースは足早に部屋を後にした。

ため息を吐いて、魔導国の説明に入った。

 

 

「そういうわけで、俺が魔導国の建国式典で結婚したヤトノカミだ。ここまでわかったか?」

「……うん」

「アルシェ、俺は別に取って食おうってんじゃない。ただ、働く場所を与えるだけだ。死ぬも生きるも好きにしろ。だが、魔導国へは来い。わかったか?」

「信用する根拠は?」

「ない。」

 

レイナースが持ってきた魚の燻製を口に入れた。

口の端から燻製の尻尾が覗いていた。

 

「そこまでして人を集める理由は何?」

「魔導国の人口増加、税収の拡大、帝国とワーカーの情報入手、くらいかね。他に理由なんか無い。」

「おいおい、そんな程度の理由で金貨三百枚も使ったのか?」

「いや、使ったのは白金貨千枚だ。他にも魔導国に攫う家族はいる。」

「はぁ!?頭おかしいんじゃねえのか?」

 神話のような遠い金額に、ヘッケランは目を限界まで見開いた。

 

「……俺もそう思う。まぁレイナの御蔭で金は増やせたから、問題ないだろ」

 

自分でも失態だと思っていた彼は、恥ずかしそうに頬をポリポリと掻く。

 

「増やせたって……まだ試合終わってないんでしょ?」

「俺にはわかるんだよ。これで白金貨八千枚以上は持ち帰れるな。」

厳密に計算すると白金貨は1万枚を超えるのだが、そこまで計算していなかった。

 

「……狂っていますね。それだけの財力があって、一介のワーカー程度のアルシェをどうなさるおつもりですか? 事と次第によっては私達が止めますが」

静かに話しているロバーデイクは、返答を誤れば大きな拳を打ち込むだろう。

 

「疑い深いな、主な目的は先ほどの通りだ。俺達は情報が欲しい。お前らの日常会話に出てくる内容を、俺達は知らない」

 

その程度の話だよと続けて、グラスの酒を飲み干した。

 

「……信用してもいい?」

「アルシェ!まだ信用できないわよ!」

 

空のグラスに酒を注ぐ彼は、気性の荒いイミーナに見向きもしない。

 

「昼間っから酒飲むのも、意外とつまらんな。ところでタレント持ってるか?」

「……持ってたらどうする?」

「待遇が良くなる。武技が使えれば更によくなる………かもしれない。」

「持っている。妹達と暮らす家を用意して欲しい。仕事は私が頑張るから。」

「……それは魔導王に言え。悪いようにはしないだろうが、念のためヤトノカミが許可してたと伝えてくれ」

 

握手をしようと差し出された手は取ってもらえなかった。

ヘッケランとイミーナがアルシェの前に手を出して止めていた。

アルシェとロバーデイクは、何かを考えていた。

 

「まだあんたを殺して無かったことにする選択はあるんだぜ。」

「そんな都合のいい話、信じられる訳ないでしょ!」

「そうだな。」

 

興味なさそうに欠伸をするヤトが、二人を苛立たせる。

レイナースは退屈そうに試合を眺めていた。

白金貨を賭けた試合が始まっていた。

そちらの決着が早そうだなと、ぼんやり考えていた。

 

「引越しする資金を渡そう。君らも準備があるだろうから、夕方か夜になったら家に行く。」

「わかった、待っている。」

「アルシェ!」

「逃げるより妹が助かる確率が高い。」

「意外と現実主義だな。」

 

“フォーサイト”を初め、皆がしばらく黙り込んだ。

ロバーデイクが沈黙を破る。

 

「アルシェが抜けるとチームとして大損害ですからね。私も同席致しましょう、構いませんね?」

「わかった、俺も付き合う。いざとなりゃアルシェを逃がすぜ?」

「……仕方ないわね」

「ご自由に。」

 

片手を彼らに差し出した。

貴賓室から見える会場から、大衆の歓声が届き試合の終わりを告げた。

 

「ヤトノカミ、試合が終わりましたわ。予定通りです。」

「意外と早かったな。換金が終わったら逃げるぞ。じゃ、また夕方に。」

 

 

 

 

鎧を装備したヤトが受付の端で呆けていると、レイナースが小袋を二つ重そうに運んでいた。

支配人と一悶着あったらしく、受付の内側から恨みがましい目で見ていた。

「大丈夫だったか?」

「私は帝国四騎士です。陛下の名前を出して納得してもらいましたわ。」

「大丈夫か、そんなことして。」

「今日で呪いが解けるのなら、他の事はどうなっても構いません。」

「……本当にそうか?」

 

まじまじと彼女の顔を見据えた。

 

 やはり中二病じゃないのか? なんだよ、舌づけって……すげー恥ずかしいわ。

 

羞恥により鎧内部の顔が熱くなった。

終わったらしばらく引きこもろうかと思いながら、白金貨が詰まった袋を受け取り、闘技場を出て行った。

 

「次は図書館に行こう。」

 

 

 

図書館に向かう道すがら、皇帝について雑談を始める。

 

「貴族や自らの兄弟に対する大規模な粛清により、絶対帝政を敷く鮮血帝を恐れる者は多いのです」

「恨みも充分に買ってるだろう。それより今日は口数が多いな。」

「ええ、今日で呪いが解けるのなら機嫌も良くなりましょう。」

「そうか、そうやって楽しそうにしていればすぐに結婚できるだろう。」

「余計なお世話です、蛇の旦那さん。」

 

彼女からは棘を感じなかった。

世間話をしながら和やかに歩く二人は、かつて大量の図書を奪った図書館に着く。

アイテムボックスから大量の本を取り出して、無造作に積み上げていった。

 

「以前に盗んだ本なんだが、全部返しておいて欲しい。盗まれた本を市場で見つけたとある王族が、わざわざ返しに来たとでも伝えてくれ」

「ちょっと量が多いですが、わかりました。」

「夜には家に戻る。また後でな。」

 

ヤトは片手を上げて去っていった。

レイナースは積み上げられた本を少しだけ持って、司書を呼びに行った。

帝国から盗まれた本の棚は、未だに空だった。

本が好きな司書は、喜びのあまり涙を流した。

 

「あら……? 確かこの本は……懐かしい。帰ってゆっくり読もう」

 

積み上げられた本の中に一冊の絵本を見つけ、司書に言って借りていた。

 

 

 

 

 一人でアルシェ邸宅へ向かう道中、酷い夕立に遭う。

鎧を着ているので濡れることは無かったが、視界を遮る強雨により雨宿りを余儀なくされる。

雨はすぐに止んだが、水分を多く孕んだ霧が立ち込め、視界は未だに悪かった。

場所がわからなくなったが周囲に人影もなく、道を尋ねようにも相手が見つからない。

 

 ジエットと名乗る若者に道を尋ねたところ、彼はフルト家で働いていた元使用人の息子だったらしく、親切にも案内をしてくれた。

それでも着く時間は、予定より大幅に遅れていた。

 

「御嬢様とはどのような御関係ですか?」

「彼女は魔導国に引越しをするんだ。金貨三百枚で魔導国に買われた……っていうと印象悪いけど、今よりいい暮らしができる」

「……そう、ですか」

アルシェの境遇を悪い方向に想像する彼は、肩を落とした。

 

「ジエット。魔導国に来れば元気な彼女に会えるぞ。」

「お嬢様には恩があります……代わってあげられるのなら、代わって差し上げたいのですが…」

「ふーん……タレントは持ってるか? なんなら代わるか?」

「タレントは持っています。私でよければ代わりますが……病気の母が」

「そいつは好都合だ、少年。今日、この後時間はあるか?」

 

ジエットの肩に手を置いた。

 

「はい、学校の準備はもう終わってますので。」

「学校?」

「帝国魔法学院の学生です。」

「アルシェも同じ学校か?」

「はい、お嬢様は天才でした。第三位階まで使えるとお聞きしています。あのフールーダ・パラダイン様を師匠に持って、将来が有望視されていましたが……ご存知の通り、家庭の事情で」

 

ヤトは立ち止まって悩み始めた。

アインズが学校を作ると匂わせていたのをまだ覚えていた。

小学校までの学歴しかない二人で、一から学校を作るのはあまりに無謀だった時に、降って湧いたこの偶然の出会いに運命を感じる。

タレントを持って、魔法学院の学生で、アルシェと知り合いという付加価値まで付いてくる彼を、既に逃がすつもりは無かった。

あとは弱みに付け込めばよい。

 

「少年、母親の病気を治してやる。そのままアルシェと共に魔導国で暮らせ。他に何か望みはあるか?」

「………………はい?」

 

ジエットは自らの耳を疑い、裏返った声で聞き返した。

 

「青少年に優しい解決法だろ。病気の母は元気になって魔導国で働き、お前は学校を作るために協力する。他に何か望むか?白金貨数枚なら渡してもいいぞ。引越しの資金として。」

「……はい、わかりま……えぇ?」

彼の声は再び裏返った。

 

「……そうか、嫌なら仕方ないな。まぁ学生一人増えたところで学校が作れるとは」

「あ、あのー本当ですか?」

「疑ってたのか。君の母親を治しに行くから、終わったら付き合え。」

「あ……着きました。こちらがお嬢様のお宅です」

「ありがとう。ここで待っていてくれ。さっさと終わらせてくるから」

 

降って湧いた新たな魔導国の資産により、皇帝への謁見は明日に持ち越された。

どちらにせよ、これから起きるフルト家の騒動は、すぐに終わらずに持ち越される事となる。

 

 

 

 

玄関のドアをノックしても誰も出てこなかったので、勝手に入っていく。

 

「ふざっけんじゃねえぞ!この駄目親父がぁ!」

「下劣な若造めが、さっさと出ていけ!ジェイムス、アルシェ!こいつらを叩き出せ!」

 

応接間でヘッケランとアルシェの父らしき貴族が、互いの胸倉を掴んで睨みあっていた。

年配の女性がオロオロと周りを行き来して、他の面々はアルシェの父を睨んでいた。

老年執事とアルシェが、申し訳なさそうにヘッケランの腕を掴む。

 

彼らよりも大声で泣き叫ぶ、二人の少女が気になった。

 

「ちょうどいいところに! このくそ親父をぶちのめしてよ!」

「おお、本当に良い機会に訪ねてきて頂けましたね。実は我らで交渉を先に行おうと思ったのですが、予想を超える聞き耳持たずでして、ヘッケランと口論になっているのです」

 

先ほどの敵意剥き出しとは打って変わり、現実の見えていない没落貴族の相手に疲れた二人は、親しみを込めてこちらを見ていた。

 

「へえー。」

 

素っ気なく返事をしたヤトは、小さな双子の少女に近寄る。

 

「はいはい、泣かないでねー。君達はもう眠りなさい。明日起きたらお姉ちゃんと一緒にいれる所にいるからね。」

「びえーん!」

「本当に“びえーん”って泣くんだな……」

 

声を揃えて泣き声を同調させる双子は、昆虫の全身鎧を見て泣き声を大きくした。

小さな二人のさらさらな金髪が、涙で顔にへばりついていた。

 泣き声を大きくさせた二人に、アルシェが慌てて駆け寄ってくる。

 

双子の少女を寝室に連れていくアルシェとその母が戻るのを待ち、改めて交渉が始まった。

 

 

 

 

家の格に似合わないソファーにもたれ掛かり、片手を差し出した。

対面に座ったアルシェの父は、不快な表情を隠そうとしなかった。

 

「という訳で貴方たちは金貨三百枚で魔導国に買い取られました。拒否は不可能です。何か質問は?」

「ふざけるな! 我々は由緒ある帝国貴族のフルト家だぞ! 新興国家で下賤な下働きをしろというのか! そんな事をしなくてもあの糞っ垂れな愚か者が死ねば我が家は貴族として――」

 

 フォーサイト全員と執事がため息を吐いたところを見ると、同じ言葉を何回か聞いたのだろう。

話の通じない愚か者と分かり、武力行使に期待を寄せる。

ここまでの馬鹿は王国の腐敗貴族以来、めっきりお会いしてなかった。

 

「没落貴族に復興の道はない。貴族としてはこれで滅亡だ、お疲れさん。」

 

脚を組んで、顔を上に向けて見下す。

挑発の効果によりアルシェの父は、トマトに変わる。

 

「ふざけるなぁぁ!平民風情がぁ!」

 

殴りかかろうとした彼を、ロバーデイクとジェイムスが止めていた。

落ちぶれた貴族に、体格の大きいロバーデイクは解けなかった。

 

「アルシェ、君の希望を聞きたい。」

「……私は、妹達と家を出たい」

 

アルシェの目は覚悟を決めていた。

 そちらの方が早いと判断し、ロバーデイクに押さえられている貴族を無視した。

 

「その場合、両親は死ぬ。」

「……共に暮らすのは難しい」

「そうだろうな。妹二人と魔導国に来るか?」

「私はそれでも構わない。」

「貴族としては暮らせないが構わな――」

 

「貴様! 私の家族は私のものだ! お前などいなくともフルト家は――」

 

大きな怒鳴り声に会話が中断され、鎧の中で不快を露わにする。

 

「……一つ聞きたいのだが、子供は可愛いか?」

「当然であろう! 彼らは跡取りを娶って血を存続させなければならない。家の存続のためには身を売る覚悟で――」

「……んだとてめぇ」

 

言い終わる前にアルシェの父の顔には、鎧を纏った拳がめり込んでいた。

一撃で多数の前歯をへし折られた彼は、まともな言葉が喋れなくなる。

子を犠牲にしようとする親を見て、瞬時に燃え上がった黒い炎がヤトを焼く。

 

「おぼぁ!」

「死体で魔導国に来い。」

 

綺麗に掃除された赤じゅうたんに鼻血が滴る。

 顔を押さえて蹲る彼の髪を掴み、無理矢理引き起こした。

 

「立てよ。後悔してから死ね。」

「待って!」

 

 顔面蒼白で震えている母に代わり、アルシェがヤトの腕を掴む。

 

「……お前か妹は、幼児愛好者に身売りされるところだったんだぞ」

「それでも、親だから。」

 

振り上げた拳を掴む少女を振り払えなかった。

親を思う子の想いに、瞬間的な憎悪の炎は小さくなっていく。

振り上げた手は静かに降ろされた。

 

「馬鹿な娘だ。ここで殺しておけばよかったと、後悔するぞ。」

「そうかもしれない……父を殺さないで、ありがとう」

「とんだ甘ちゃんだな。外にいるジェットも失望するだろうよ。」

「……ジエットに、何かしたの?」

 

アルシェの目に険が宿った。

弟の様に可愛がっていた少年に、危害を加えたのかと疑っていた。

 

「彼はお前と共に魔導国に来る。これから病気の母を治しに行く。」

「そう……ありがとう。本当に何から何まで、ありがとう。私の事は好きにしていいから」

「ガキに興味はない。」

 

赤い目を光らせて彼女を見るヤトに、嘘を言っている雰囲気は無かった。

子ども扱いされて不満だったが、それ以上に感謝していた。

 

「それで、君らはどうする?」

 

親子の修羅場に取り残されたフォーサイトに問いかけた。

機嫌の崩れた彼の赤い目は光り続けている。

 

「へへ、あんたいい奴だな。」

ヘッケランが鼻を擦りながら笑った。

 

「俺は王国の腐敗貴族を惨殺した、魔導国の蛇だ。」

「自分の兄弟を殺した皇帝の方が酷いわよ。アルシェを助けてくれてありがとう。」

イミーナは微笑み、頭を下げた。

 

「助けてねえよ。そこの生ごみは、まだ殺したい。」

「鉄拳制裁はあなたがいなくとも、私が行ったでしょうね。我々もついて行ってよろしいですか?」

ロバーデイクが朗らかに笑った。

 

「……勝手にしろ。アルシェ、さっさと支度しろ。両親はここに捨てて、妹と魔導国にいく準備をしろ」

「あの、それで、使用人を解雇するのにお金が」

「連れてっても構わないが、いくらだ?」

「今後はわからないから、ちゃんとしておきたい。金貨百枚程あれば。」

 

白金貨を数えず適当に渡した。

 

「あ、あの、ちょっと枚数が」

「お前の“元”両親に渡せ。」

「……ありがとう」

 

アルシェは両親に向かって歩み寄り、白金貨を母親に握らせた。

 

「今までありがとうございました。私は魔導国に行きます……さようなら」

「アルシェ……ごめんなさい」

 

ここまで誰かの影に隠れていた母親は、涙を溜めて娘を抱いた。

お腹を痛めて生んだ娘に二度と会えないと悟っている。

 

「ちっ……俺は外で待ってる。後は任せる」

 

過去の記憶を刺激されたヤトは、その場を退散した。

抱き合う母娘の隣で、不満そうなアルシェの父は、憎悪を込めた目で射殺そうとしていた。

ヤトがそちらを見ると急いで目を逸らした。

 

彼らの余生は明るいものではないだろう。

だが、子に見捨てられた親の行く末など、考えたくなかった。

嫌な記憶が胸を貫き、大切な妻に会いたくなった。

 

 

 

 

「ジエット、待ったか?」

「いえ、それよりも御嬢様は……」

「慌てるな、妹を連れて出てくる」

「そう……ですか、よかった」

 

ジエットは胸を撫で下ろし、安堵の息を吐いた。

程なくして“フォーサイト”とアルシェの妹がでてくる。

妹は目を覚まさなかったらしく、ロバーデイクに抱えられていた。

アルシェの姿を見つけたジエットは、彼女に駆け寄る。

 

「お嬢様!」

「ジエット、元気だった?」

「お嬢様、良かった……本当に良かった……」

「男の子なら泣かないで。」

「悪いが時間が無い、さっさと行くぞ。レイナースの邸宅に……あー、ジエット。また道案内を頼んでいいか?」

 

道案内でようやくたどり着いたヤトは、帰り道さえまともにわからなかった。

 子供達を起こさないように気を遣うロバーデイクは、あちこち歩かされて額から汗を流していた。

 

 

 

 

特に厄介な抵抗も無く、ガゼフとガガーランは借金で買い取られた家族を魔導国へ送った。

二人の交渉は滞りなく行われ、経費の浪費も最小限に抑えられた。

なかなか戻らないヤトを待ちくたびれた彼らは、一足先に宿屋に戻る。

レイナースはペスと共に寝室へ籠っていた。

 

「エイトエッジ・アサシン殿、ヤトが戻ったらよろしく頼む」

「俺達は宿にいるって伝えてくれや。」

 

「御意。」

 

異形の彼から暗く静かな返答があった。

取り立てて問題なく仕事を終えた彼らは、足取り軽く宿へ向かった。

 

入れ違いでヤトが邸宅を訪れる。

ガゼフ達が宿に移動した報告を受け、こちらも急いでゲートを開く。

道に迷ったために、時間経過による眠気が訪れていた。

 

はじめてみる異形の隠密と赤黒い転移ゲートに、一行が騒めくが一切構わなかった。

ヘッケランに白金貨を手渡す。

 

「すげー!白金貨なんて初めて見たぜ!」

「馬鹿、静かにしなさい。子供が起きるでしょ。」

「今日は夜遅いから、宿に泊まってくれ。明日、王宮にヤトノカミから言われたと行けば分かる。」

「ありがとう、ヤトノカミさん。何から何まで、感謝してる。」

アルシェが無表情で礼を言った。

 

「礼を言われる筋合いはない。現地に行ったら魔導王によろしく言ってくれ。」

「わかった。」

「ありがとよ、蛇の旦那。」

 

ヘッケランが手を振ったのを皮切りに、皆が転移していった。

皆が吸い込まれたのを確認し、一息ついて眠気を払った。

ペスを呼ぶために邸宅の中へ入る。

 

「ヤトノカミ様、お帰りなさいませ。」

「任せて悪かったな。呪いは解けたかい?」

「こちらです……あら?」

 

後ろにいたはずのレイナースがおらず、ペスは足早に寝室に戻っていった。

 何かひそひそと内緒話をしていたが、やがて二人が出てくる。

 

 

「すっかり綺麗になりました。」

「そうだな。」

「……黙りなさい」

素直に褒められたと思ったレイナースが口を尖らせる。

眠気に不安を感じるヤトは、彼女の顔を一瞥しただけだった。

 

「ペス、悪いが今日はまだやる事がある。この後付き合ってくれ。」

「よろしいのですか?」

「何が?」

「呪いが解けて美しくなった彼女とお過ごしに。」

「犬語忘れて何言ってんだ。」

「わん。」

「行くぞ、急がないと眠気で俺が倒れる。」

 

「今日は戻ってくるのですか?」

レイナースが恐る恐る問いかけた。

 

「明日は仕事だろ?戻らなかったら、鮮血帝に魔導国の蛇が会いに来る、と伝えておいてくれ。」

「……わかった」

 

綺麗になって自信がついた顔を見て欲しかったが、自分からは言い出せなかった。

彼らを見送るため、外について行った。

 

 

「うぃい!?」

 

縫合された犬の頭を持つメイドに、ジエットが目玉を飛び出さんばかりに驚いていた。

 

「落ち着けジエット。彼女は俺の部下で、優秀な神官だ。」

「あ……はい……はい?」

「面倒だ、後で説明する。行くぞ。」

ジエットをゲートに押し込んだ。

 

「いってらっしゃい。」

「ああ、行ってくる」

 

 自らもゲートに吸い込まれながら、夫婦のような会話をしたことに気付く。

お互いにこれ以上の感情移入を抑えようと考えながら、ジエットの家に向かった。

 

 

 

 

 

「これで治りました……わん」

「御苦労様、ペス。」

「ありがとうございます。」

 

最初はペスに怯えていた親子は、病を治されてから平伏していた。

こちらからすれば大した事もしていないので、深すぎる感謝が重たかった。

 

何よりも眠かった。

 

 

「今日はここで寝ていいか?物置とかでいいから。」

「はい、私の寝室を」

「物置でいい。ペス…アインズによろしく。」

「はい、わかりました…………わん。」

 

 ペスとエイトエッジ・アサシンをナザリックへ帰し、横になった。

レイナースの邸宅に帰る余裕はなかった。

 

「疲れたー……もうだめだ、何もかも明日考えよう。白金貨の数……外交……闇の呪い……」

 

用意された簡素な布団で、朝まで眠った。

 

 

 

 

レイナース邸宅では、浮かれ気分の彼女が、机に向かって何かを記入していた。

 

机の傍らに設置されたゴミ箱には、黄色くなった布切れが山積みになっていた。

二度と膿を吸う事のない布切れは、その生涯をゴミ箱で閉じる。

 

空想日記は未来日記に変わり、これからの予定を順調に書き込んでいた。

思考が口から漏れ出ていた。

 

 

《ドレスを買いに行く》

 

「宝石は彼に貰ったから、次はドレスを買わなければ。あの時、服屋も回れば買ってくれたかも。」

 

 

《旅行をする》

 

「魔導国……行ってみようかな。彼の奥さんにも興味があるから」

 

 

《髪型を変える》

 

「下ろした右の髪は切ってしまおう。隠す呪いは消えたから。」

 

 

《性格を変える》

 

「これは必要かもしれない。これから誰かと結婚して子を産むのに、気の強い性格は受けが悪い。」

 

 

《話し方を変える》

 

「騎士として話す必要はないのだから、脳が足りない女の話し方を……誰の為にだろうか」

 

 

《再就職する》

 

「魔導国で冒険者やって気楽に暮らしてって言ってたな……それも悪くないか」

 

 

《恋愛》

 

「黒髪黒目の……」

 

途中まで浮かび上がった妄想を、首を振って掻き消した。

 

「馬鹿馬鹿しい。舞い上がって妙な事を考えているんだ。明日は王宮で仕事だから、今日は眠ろう。」

 

 前日までの喧騒が嘘のように静かな邸宅に、少しだけ寂しさを感じながらベッドに入った。

一部が膿で黄色くなったシーツに横になって、司書から借りた絵本を開く。

 

短い絵本だったが、ここ数日の疲れが溜まっていた。

最後まで読む前に眠りに落ちる。

 

 

すやすやと寝息を立てる彼女の胸に、ふわふわした丸い生物が描かれた一冊の絵本が置かれていた。

 

 

この夜、月は暗雲に覆われていた。

 

 


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