モモンガさん、世界征服しないってよ   作:用具 操十雄

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修正済みギャグは言い換えるとペナルティ。


12日目 王都→ナザリック

 

 

 

 ヤトは相も変わらず眠りたいだけ眠った。早めに起きるという気遣いは、強者の彼に存在しない。朝もそろそろ終わろうかという時刻、のろのろと起き上がった黒髪黒目の男は食堂で遅い朝食にして早めの昼食を摂った。寝ぼけながらもしっかりと食事をする主に、セバスはコーヒーを飲みながら昨晩に出会ったクライムという若者の報告をした。

 

「面白そうな奴だな。次はここに連れてきてね、俺も会いたいから」

「はい、直接こちらへ来るそうなので、いらっしゃった時は必ず」

「主君の為に強くなりたい、か……あ、はいコレ、ポーションの補充」

「ありがとうございます」

 

 ヤトは誰かのために強くなりたいなどと思ったことはない。何よりも、ユグドラシルのアバターは強くない。改めて考えるのは、強い敵に出会ったら不安なので絶対強者が味方にほしいという不安だ。

 

(素早いだけじゃ今後が不安だよ、本当に)

 

 彼の問題はそこではないが、現時点でそこに気付くことはない。強者と敵対するのは今しばらく先のことだ。

 

 ヤトは昼食(ブランチ)を終え、冒険者組合へ出発した。

 

 

 

 

「ヤトノカミ殿、お手紙を預かっております」

 

 冒険者組合に着くと組合長が出てきて、アズスの手紙を渡してくれた。内容は今回のお礼と今後の希望だ。

 

 何よりも重要なのは、八本指の調査、特に幹部の名前・人相書きと組織全体の勢力図が好ましい。

 警備部門・武力担当、“六腕”と呼ばれる六人は、アダマンタイト冒険者に匹敵するので注意して調査をしてほしい。

 

 と、以上の二点が書いてあった。

 

《ある程度の目途が付いたらでも構わない。時間を気にせず、いつでも私の邸宅まで頼む。どこで聞かれているかわからないので、手紙は読み終わったら焼き捨ててくれ》

 

 読み終わった手紙はクシャクシャに丸めてセバスへ渡した。

 

「……アダマンタイト級に匹敵って、何がだ? 変態なのか?」

「何か仰いましたかな?」

 

 組合長は不審な目で見た。アダマンタイト級とつくのは、なべて一人の例外なく変人だという思い込みが強い。ヤトは弱いだけでなく変態まで付く者の相手をするので、自分が動くことが億劫に感じた。

 

「あ、なんでもないです。セバス、ちょっとこちらへ」

 

 隅で話した結果、セバスをここに残して冒険者の依頼をこなさせ、ヤトはナザリックへ帰還すると決まる。セバスは護衛の必要がないので、両手放しで賛成してくれた。

 

 その間の外貨の獲得や名声を高める業務はセバスへ一任されるが、彼ならば淡々と依頼をこなすだけで自然とそうなる。ヤトがいなくても、アズスの依頼という大義名分があるので不審にも思われない。

 

「組合長、私はアズスさんの依頼をこなすため、数日間は席を外します。普段はセバスが冒険者として活動しますので、何かあれば彼にお願いします」

「分かった。くれぐれも気を付けてな」

「お気をつけて」

 

 セバスは頭を下げ、組合から出ていくヤトを見送った。ナザリックへ帰還するのだから、この世界のどこよりも安全だ。これでヤトを気にせず、指示された仕事をこなすだけで彼は満足する。

 

 店を出たヤトは宿に戻り、エイトエッジ・アサシンとシャドウ・デーモンを複数集め、六腕の調査を頼んでからナザリックへ帰還した。本来の姿で飲食や睡眠をした場合の検証、つまり自堕落に過ごすためだけに。娼館に出入りをしようかとも考えたが、どんな影響が出るか分からない。女と情事の途中、あるいは事後に人化の術が解けてしまう可能性を考えると、とても集中できなそうにない。

 

 欲望に従った結果、検証不足の事態が起きて、王都を追放されたら目も当てられなかった。何よりも恐ろしいのは、それを知ったアインズのお説教だ。

 

 これに勝る厄介事はない。

 

 

 

 

 セバスはヤトを見送ってから、改めて受付嬢に話しかけた。

 

「失礼、何か依頼はございますかな? 金級で最も難しいとありがたいのですが」

「あ、セバス様ですね! お噂はかねがね。現在、金級ですと、こちらなどいかがでしょうか!?」

 

 どういうわけか受付嬢の鼻息が荒い。何に興奮しているのかと思ったが、考えても分からなかった。差し出された一枚の羊皮紙には、依頼内容が簡素にまとめてあった。

 

《組合が外部で魔物・地理・自然の調査を行うための護衛。金級以上限定。報酬金貨6枚。実力が保証されたもの限定》

 

「なるほど、護衛するのはどなたでしょうか?」

「わた――」

「彼女は受付のシフトがあるため出られませんの! 私と組合の調査員の2名ですわ!」

 

 横から別の受付嬢が割り込んできた。

 

「そ……そうでしたか。早速ですがこれをお受けしましょう。出発はいつ頃ですか? 私はすぐに出発しても構いませんよ」

 

 最初の受付嬢がもの凄い顔で割り込んだ彼女を睨んでいた。

 

「で、では、行きましょう! 私はいつでも大丈夫です。私達の今後について打ち合わせしましょう!」

 

 セバスは手を引かれて応接室へ入っていった。

 

「くやしいいい! 私があの依頼を勧めたのにい! さりげなく手も握ってさー!」

 

 机に突っ伏して頭をぶつける受付嬢の悲鳴がこだました。

 

 

 

 

 仲間と依頼に行きそびれたアズスは、邸宅で姪と打ち合わせをしていた。目下のところ、議題は黒粉畑を焼き払った助っ人についてだ。やや食い気味でくる姪に、アズスは押し切られていた。

 

「叔父様、そろそろ説明していただけませんか?」

「実は私にもわからんのだ。君のとこのティアと共に、村に着いたら既に燃え尽きていた」

「私もそうです。気が付いたら火がついていました」

「だからその、私に聞かれても困る」

「しかし、今回の作戦で、叔父様は確信めいたものがおありでした。それくらいは教えていただいてもよろしいのではないでしょうか」

「実はな――」

 

 説明したところで、アズスの知る情報もたかが知れていた。しかし、話しが進むにつれてラキュースは納得がいったような顔になった。

 

「新人冒険者、ナザリックのヤトノカミ殿ですか?」

「そうだ、銅のプレートなのだが――」

「存じ上げています」

「ん? そうなのか?」

「はい、実はガゼフ・ストロノーフ殿がカルネ村でお会いした方、それも立ち合いをして敗れた方がその方と」

「なにい!?」

「それも正々堂々と勝負した上で敗れて、本人は清々しいほどに完敗をしたと」

「そんなことが、あるのか」

「更に私の仲間が口説かれたとか」

「なんだとぉ!? あいつ女性に興味ないような素振りをしていたくせに」

 

 二人は、噂の彼がイビルアイを少年と勘違いしていることは知らない。

 

「仲間と同じ宿のようですね」

「あの財力を見るとそれは仕方ないな。マジックアイテムの力だと言い張っていたが」

「私もお会いしてみたいです。次はいつお会いするのですか?」

「いや、しばらく会わない。六腕の戦力調査を依頼したからな。数日は姿を消して調査にあたると、組合長に伝えたそうだ」

「そうなんですか……それは残念です」

 

 心から残念がる姪を見て、アズスはニヤニヤと笑った。

 

「お前の事を売り込んでおいたぞ」

「あら、そうなんですか?」

「あまり関心がなさそうだな……」

「私の仲間のイビルアイを口説いたと聞いています。その方の好みは背の低い女性なのではないでしょうか」

「まあ……人の好みはなんとも言えないが。女性に大した興味がないのではないか?」

 

 もっとも最悪の事態は、件の彼が八本指側のスパイだという点だ。手際の良さを鑑みれば、初めから黒粉畑を捨てて冒険者の懐へ入る作戦の可能性は捨てきれない。小さい女性が好きという点も、拡大解釈すれば年端も行かない女性を欲望のままに犯すのが好きだという可能性だってある。八本指の娼館でなければ、王都でそれは実現できない。近頃は貴族まで出入りしていると聞いていた。

 

 胸の奥から湧き上がる不快感で、頭が怒りで真っ白になった。

 

(糞が。ああ、本当に胸糞悪い! 欲望でしか考えられない人間はとっとと死ね!)

 

 八本指の娼館とは、暴力・幼児嗜好・その他、どのような欲望をぶつけても構わない娼館だ。一呼吸おいて心を落ち着け、話を再開した。

 

「興味はあります。今度お会いする時は、私もお連れ下さい」

 

 “蒼の薔薇”のラキュースは、楽しそうに笑った。警戒心は少しも解けていないが、実際に会わなくては何も始まらない。

 

「では、ラナー王女は任せたからな。私が王都に居るうちに、成果を上げたいものだ」

 

 邸宅で話している品の良い二人は、王国貴族そのものだ。

 

 

 

 

 ナザリックの自室に戻ったヤトは、まずアインズに連絡をした。アインズはヤトの行動は読めないと思っているが、それは同様にヤトにも言える。仕事ができる人間は、できない人間の気持ちがわからないが、仕事ができない人間もまたできる人間の気持ちがわからない。

 

「ジャンガリアンハムスターを飼うことになった」

 

 開口一番の話題に、ヤトの頭に特大の疑問符が浮かび上がった。

 

「カルネ村近くの森で困ってたから。そのまま連れてきたんだよ」

「それは見たいッスね。死んだら一週間ログインしない真似はやめてくださいね」

「大丈夫だ。そういえばミスリル級に昇格したよ」

「そうですか、ミスリル級に昇格ですか……」

「ん? どうしたの?」

「いえーなにもー。せっかく、俺が苦労して金級になったのにー、それを上回る活躍をしてるからって嫉妬なんかしてませんよー」

「なるほど、そういうことか。男の嫉妬は見苦しいぞ」

 

 してやったりと、アインズの声は嬉しそうだ。すぐに返す刀がヤトの鼓膜に付き込まれた。

 

「で? なんで冒険者やってんの?」

「え? あーいやー……王都で生の情報を集めようかと」

「エ・ランテルでも同じだろうに。誘ったじゃないか」

 

 実は嫌われているのではないかと疑念が湧いた。

 

「でも、なくてはならない存在になりつつありますよ」

「チーム名は?」

「ナザリックです」

「はぁ!? 馬鹿かこの馬鹿! なに堂々と名乗ってんだ!?」

 

 アインズは精神の沈静化を図っていた。

 

「いや、だって面倒でしたし」

「はあー……何をやっているんだ。カルネ村の件だって誤魔化すのにどれだけ大変だったか。薬師にはバレるし。そっちはガゼフと面が割れているだろう」

 

 精神の沈静化があるので声は荒げないが、アインズは割と本気で怒っていた。ヤトも事前に言い訳くらいは考えてあったので、そのまま伝えた。

 

「考えてみてくださいよ。ナザリックで名乗って善行を続けて行けば、こちらの名声も高まり続けますよ。セバスも居ますし」

「だからなんだ?」

「つまり、いずれはカルネ村の事は露見するじゃないですか。その時にこちらの信用を無限大に高めておけば、ちゃんと話ができますよ」

「言い分はわかるが、やはり駄目だ」

「どんな敵がいるか不明ってことですかね? 調べた限りだと、王国にはいませんね。アダマンタイト級冒険者も変態ばかりですし」

「変態?」

「そうッスよ! 本当に酷いですよ。ゴリラみたいな女性とちっちゃいアンデッドの少年、後はあまり賢くなさそうな脳筋さんとか」

「なんだ、それは……動物園にでも居るのか?」

「次は王都に巣くう八本指の調査を依頼されてますが、アダマンタイト級変態というので大したことはないでしょうね。調査はエイトエッジとシャドウさんにお任せしちゃいました」

「変態が好きだな。だが、八本指っていうのは面白いな。犯罪組織なら情報にも精通しているはずだ」

「アインズさんが殺してしまった女の代わりに捕まえますよ。アダマンタイト級なら武技くらい使えて当然ですからね」

「そうだな。俺も次に見つけたら捕まえるよ」

 

 ヤトの王都での生活は、自堕落な生活に対する欲求に負け、一旦の幕を下ろした。ナザリックにて飲食・睡眠不要のアイテムを外し、何にも考えずに眠りこけた。食欲が満たされたので軽く昼寝をしたつもりだったのだが、24時間以上も眠っていた。

 

 いくら自堕落に過ごそうと思っても、そこまで眠るつもりはなかった。予想以上の時間浪費を、自室でしばらく嘆く羽目になった。

 

「蛇の時に指輪は外しちゃだめだな……」

 

 頼んでいないので、誰も起こしてくれるはずがない。

 

 

 

 

 ナザリックの執務室。巨大で豪勢な机の上に、ナザリックの内務に関する書類が小さく積み上がっている。アインズはヤトと入れ違いにナザリックへ戻り、悠然とした動作で椅子に腰かけた。冒険者の依頼はナーベに任せている。なるべく小まめに戻るとアルベドと約束した手前、ナザリックの内政に手を付けないわけにはいかない。

 

 正直なところを言えば、名声が高まり始めた現状こそモモンとして動き回りたかった。

 

「ヤトからの金貨はこれだけか?」

「はい、持ち帰るように言われたのはこれだけでありんす」

 

 話に聞いたよりも大分、少ない。これは、ヤトが一部しか彼女に渡さなかったからだ。少しだけ着服しようとしたアインズは、当てが外れて残念に思った。

 

「あの、アインズ様」

「ん? どうした、シャルティア」

「はい、ヤトノカミ様がこなたに大変助けられたと伝えて欲しいと」

「よくやったな、シャルティア。彼も嬉しかったのだろう。お前の忠義に応え褒美を与えよう。何か欲しい物があるなら教えてくれ」

「光栄にありんす。ですが、守護者が欲しい物はアインズ様のお褒めの言葉だけでありんしょう」

「今でなくても構わん。ゆっくり考えてから教えてくれ。それでお褒めの言葉というならそれでもよい」

「畏まりましたでありんす。失礼致しんす」

 

(シャルティアに伝言を頼んだというのは、何か別の意図があるのか?)

 

 顎に指をかけ悩んだ。

 

(シャルティアに機嫌をとっておけという意味合いと考えるのが自然か。王都で何かあったのかもしれんな)

 

 ただ褒めてやれという意味なのだが深読みしてしまうのは悪い癖だった。悩んでいる最中、デミウルゴスが羊皮紙を持って入室した。

 

「失礼します、アインズ様。新しい羊皮紙が出来上がりましたので、ご確認下さい」

 

 デミウルゴスお手製の羊皮紙は、それぞれの色合いが違った。

 

「白いのが王国産、黄色いのが法国産、茶色いのは野良でございます」

「色だけでこんなに差が出るものか。魔法の位階はどの程度まで耐えられるのだ」

「はい。全て同様に第一、または第二位階です。今後、改良を重ねれば、より高度な魔法を封じられるかもしれません」

「そうか。これは確認しておこう。ご苦労だった、デミウルゴス」

 

 どうせ羊だろうと思っていたので、それ以上は聞かなかった。

 

「はっ、御身のためであれば如何様にも。それでは、失礼します」

 

 デミウルゴスと入れ替わり、パンドラが入ってきた。どうやら執務室の外で、アインズと謁見の順番待ちをしているようだ。

 

「お久しぶりでございます。私の創造主、アインズ様!」

 

 自分で創造した彼は黒歴史だ。所作、言葉の言い回しが苦手だ。派手な動きをするたびに精神の沈静化を要する。唯一、軍服だけは今でも格好いいと思っていた。何かの機会があれば、外を出歩かせたいと考えていた。問題は、その所作だ。

 

 今も敬礼をしたまま動かない。

 

(だっさいわー……)

 

 精神の沈静化を行い、パンドラの報告を受けた。食事を一般メイドのみと限定し、ナザリックの経費削減計画は順調に進んでいた。

 

「POPモンスターであるスケルトンは、いずれ何かに使える。エクスチェンジボックスに放り込む物資の獲得のためにな。金貨の換算価値はどうだ?」

「この世界の金貨は単純に金、つまり鉱物としての価値しかないようです」

「他の鉱物で試してはいないからな。武器や防具の換算価値はこの世界のものか?」

「いえ、ユグドラシルの換算価値によるものだそうです」

「法国の装備品は期待できないな」

「しかし!」

 

 パンドラは大きな声をあげ、胸に手を当てた。アインズは驚いて体が跳ねあがりそうになるのを必死で堪えた。

 

「食料に該当する品の価値は、この世界よりも僅かに高価であります。音改(ねあらた)様の姿を取った場合、小麦、農作物、調理された食材などはエクスチェンジボックスに放り込み、魔法で作り出す方が僅かに浮く物が一部に見られました」

「それは素晴らしい成果だ。パンドラズ・アクター、流石は私の創造した守護者だ」

「はい、光栄の極みにございます。アインズ様の高き叡智が、わぁぁずかでも私に宿るように精進いたします!」

 

 跪き、両手を上に差し出した。剣を捧げる騎士のようだが、何も持っていないから不自然だ。

 

(ちょっと褒めたらこれだよ)

 

  顔に手を当てて精神の沈静化を図り、パンドラを下がらせた。

 

「食料品の価値による差異か。やはり、財政問題解決は食料の方向で安定供給を図るべきだな」

 

 広大な畑を開墾して支配地域へ食料の供給を支配地域へ行い、余った食料を換金するのが安定した方法に思えた。支配地域もさほど広がる見込みはない。目途として広げる予定もなく、カルネ村だけで十分だ。

 

(支配地域内で増え過ぎた生物の間引きを試してみよう。生き物は放り込めないから、屍肉でも放り込んでみるか)

 

 椅子にもたれかかって考えごとをしていると、アルベドが入室した。

 

「アインズ様、失礼します」

「アルベド。ヤトが手に入れた書物、情報精査の進展具合はどうだ?」

「恐れながら、順調とは言い切れません。王国の図書館には捏造された情報などもあり、一つ一つに時間が掛かっております」

「……あの国は駄目だな。図書館まで怪しい本ばかりとは」

「その通りです。現在、参謀三人で分担し進めておりますので、何か新たな情報が分かり次第、ご報告を」

「そちらはアルベドに一任しよう。私の代わりに情報をまとめてくれ」

「畏まりました」

 

 ヤトがねぎらいの言葉を掛けろと言っていたのを思い出した。

 

「アルベド」

「はい。なんでございましょうか」

 

 アインズの呼び掛けには目を輝かせて応えてくれる。

 

「いつもすまないな。情報戦を制し相手を制するのは得意戦略だ。お前は私にとって情報精査という最も重要な任務についていることを分かって欲しい」

「アインズ様ぁ!」

 

 当然のように抱き着かれた。恍惚とした顔でアルベドは抱き着き、椅子ごとアインズを押し倒した。天井のエイトエッジ・アサシンが迷っているのが見えた。

 

「アインズ様! アルベドは準備がいつでもできております!」

「アルベド……アルベド? アルベド! 放せ!」

 

 凄まじい力で抱き着いているアルベドを引きはがすことはできなかった。気を使ったわけではなく、単純な腕力の問題だ。自分で言ってしまった手前、誰かを呼ぶわけにもいかない。彼女は頭が一つのことに囚われ、呼びかけも聞こえていないようだ。

 

 いつまでも出てこないアルベドの次に順番待ちをしていたアウラが、こっそりとドアを開けて事態に気が付くまで、アルベドの喘ぎ声を聞かされ続けた。

 

 

 




調査内容→2六腕の調査
アズスの滞在日数残り 1d6→5日

情報収集率 1d20
スレイン法国 d+20→ 20+20→40%
バハルス帝国 d+10 →13+10→23%
リ・エスティーゼ王国 d+15 → 2+15→17%
プレイヤー情報 d-5 →2 →0%
他国情報 d÷2→17 →8%


補足
アインズさんの甘さは原作通りです。警戒をするのは被害が出てからというのは彼の戦い方に影響を受けています。最初は負けて、その後は勝ち続ける彼のやり方は、言い換えれば最初に犠牲が出るということです。ですが、王国内で敵もいないので、被害もでません。
故に彼の警戒度はまだ上がっていません。どんなに友人の行動がアホでも、ちょっと怒るだけで済んでます。

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