ROCK-ON!   作:ローリング・ビートル

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The Village Green Preservation Society

 しばらくしてから全員集合し、出発することになったわけだが、律はニヤニヤ笑いながら、こちらを肘でつんつん小突いてきた。

 

「江崎さん、ツイてますね~。休日に女子高生5人とデートなんて。このこの~」

「ああ、多分前世でたっぷり徳を積んだか、日頃の行いがいいからだろうな」

 

 律の軽口に、それらしい返しをしていると、澪がやたらと手をわたわたさせていた。

 

「ちょっ、デ、デデ、デートとか!わ、私達はそんなんじゃっ!」

「…………」

「あ~、こういう奴なんで、今さらなんですが察してやってください」

 

 うん、知ってた。

 

「うふふ、やっぱり澪ちゃんは可愛いわね~」

「まったくもう、律先輩が紛らわしい言い方するからですよ」

「あはは、りっちゃんおもしろ~い。江崎さん、これデートなんですか?」

「ふふっ、澪さん顔真っ赤ですね。江崎さん、これデートなんですか?」

「…………」

 

 何だろう、左右からやんわりとプレッシャーかけられた気がしたんだが……いや、気のせいだろうな。多分もう夏だからだろう。

 

 *******

 

「わぁ……いい場所ですね。結構人も多いし」

 

 駅二つ分離れた場所にあるその公園は、そこそこ人も多く、賑やかな場所だった。おそらく春は花見客で賑わうのだろう。

 あまりに綺麗な緑を見ていると、何だか深呼吸したくなってきた。

 憂は目を輝かせているし、唯もやたらとはしゃいでいる。

 

「ここでお茶しようよ、ムギちゃん!」

「え~と、今日は持ってきてないから、ごめんね~」

「いや、ムギは謝らなくていい。唯が無茶振りしただけだ」

「確かにいいな。てか、梓よくこんな場所知ってたな」

「昔はここでジャズバンドのイベントとかやってて、ウチの家族も出てたんですよ。今はなくなっちゃったんですけど」

「なるほど……」

「じゃあ、私達もジャズやってみようよ!」

「思いつきで言うな。あと今日ここに来た理由を忘れるな」

「まあ、でも聴いてみてハマったらいいんじゃないか?演奏も難しいけど、慣れてきたら楽しいし」

「えっ、ジャズも演奏できるんですか?」

「さすがにバンド組むほどじゃないけど」

「でも、すごいですよ。何なら今度ウチでセッションしませんか?お父さん達喜ぶと思います」

「マジか。行ってみようかな」

 

 やっぱり色んな人とセッションするの楽しいからな。

 最近、ギターを弾くのが、高校時代のように楽しくなった気がする。多分理由は……

 

「「…………」」

 

 何やら視線を感じるが、これもまあ気のせい……ですよね?

 


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