やはり折本かおりは選択肢を間違えない   作:卯猫

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お気に入り100突破しました!ありがとうございます!
UAも5000を突破していて結構なプレッシャーがw

感想もらえると本当にうれしいですね~一言一言に関心していまいます。
「あぁ~こう感じてくれてるんだ」「なるほど・・・こう解釈されてしまうんだ」とか自分視点では気づけない点に数多く気づかせてもらえます!
今後の私の成長を助けると思ってこれからも感想・評価ドシドシ待ってます。

前書きが長くなってしまいました。
三話はたぶん誰も想像してない展開なんじゃないかな?

では、どうぞ!




三話「勝手」

「比企谷、はやく食べないと溶けちゃう」

「お、おう。」

 

 せっかく葉山君が頼んでくれのだから、溶かすのはもったいないよね。どっちの味にしようかな・・・

 私が悩んでいると、比企谷は堂々とイチゴパフェを手元に置いた。

 

「普通イチゴとかは女子が食べるんじゃないの?」

「俺の知ってる限り、食事で男女差別はない。つまり俺がイチゴパフェを食べてもいいってことだ。」

「なにそれ、ただの屁理屈じゃん…」

「屁理屈上等。俺は俺のしたいように生きる。」

 

 比企谷はドヤ顔でそういうと一口食べた。比企谷とイチゴパフェの2ショットの似合わなさに思わず笑ってしまった。

 さっきまでの険悪な雰囲気はどこにいったのか…安心した。

 

「やっぱ似合わないね。」

「うっせ。そもそもな「んー!冷たくておいしい!」…聞けよ。まぁ、悪くはないな。」

「ぷっ!w悪くはないだってw」

 

 でた、上から目線。やっぱりおもしろいなぁ比企谷は。

 私が笑うたびに少し照れるのはなんでだろう。惚れてるこっちからすると、いじめたくなって仕方ない。

 

 おっと…ついつい会話がはずんじゃった。

 

「で、比企谷。そろそろ告白の返事を聞かせてくれる・・・かな?」

 

 私は核心に迫る。今日の本題を忘れてもらっては困るよ。…私も忘れそうだったけど。

 

「はぁ……お前…マジで俺のこと好きなのか?」

「だからそう言ってるじゃん。私は比企谷のことが好き。」

 

 私は背筋をぐーと伸ばして比企谷に気づかれないように深呼吸をする。

 別に顔が赤くなってるかもしれないとか、目線が泳いでないかとそういうことが心配でしてるわけじゃないから。たぶん。

 

「異性として?」

 

 異性としてか…同性にこんな気持ちになったことないしな・・・異性だから比企谷に惹かれたのかな?うーん、はっきりしない。でも

 

「もちろん」

 

 私ははっきりそう答えた。好きって感情には変わりないから。

 

「はぁ…わかったよ。お前が俺を好きだってことは理解できた。でも、どこで俺のことを好きになったか分からないし、なにより先日会ったばかりで今日告白する理由がわからん。」

 

 ため息をついたように吐き捨てる比企谷。さっきからちょいちょいひどいな・・・私はこんなに緊張しているというのに。告白された本人はいたって普通なことに納得いかない。

 

 でも、比企谷の言うことはもっともである。比企谷と再会したのはつい先日で、遊んだのだって今日が初めてで、私だって急だと思う。

 

「そだね・・・急すぎるよね。でもほら私って自分勝手じゃん?収まりがつかなくてつい......」

 

 これは本当のことだ。比企谷に聞きたくて、話したくて、最初はそれだけだと思ってた。

 そして、気が付いたら告白していた。まだ比企谷のことが知りたくて堪らなかった。

 

「収まりがつかなくて…か。」

 

 顎に手を当て考える比企谷。

 

「やっぱ気の迷いなんじゃないか?

 第一、俺は一回お前にフラれている。今更付き合おうなんて「勝手だよね」」

 

「…。」

 

 

「勝手なのは分かってる。でも…でも…いつもの自分勝手とは違うってことを比企谷には分かってほしいの。私を知ってほしいの。」

 

 

 これから初めて話す本心について怖いのか目線を下に下げてしまう。

 私はいつだって自分勝手に生きてきた。でも・・・今回は違う。同じ自分勝手だけど違うんだ。

 私はありのままの自分を話そうと決心した。

 

『がんばれ私』そう言い聞かすと、重い顔を上げ

 

「ねぇ比企谷、『選択』ってしたことがある?」

 

「突然なんだよ。そりゃ文理選択とかテスト問題とか選択しなきゃいけない場面なんていくらでもあるだろ?」

「そうじゃなくてさ。どっちも半分半分。どちらかを選んじゃえば自分の人生が変わっちゃうような選択。例えるなら・・・告白とか?」

 

 

「そりゃ、何回かはな・・・・お前に告白したのだって俺自身の選択だし。あの告白のおかげで今の俺がいるって言っても過言じゃないな」

「なにそれウケる・・・」

「ウケてるんならそれらしい顔しろってんだよ。俺の渾身の自虐ネタがすべっちまったじゃねぇか。」

 

 私そんなに笑えてなかったかな?いつも、どう笑っていたか思い出せない。

 それにしても、

 

「自虐・・・?告白したことが?」

 

 彼は自虐と言った。でもなんで告白したことが自虐になるんだろう。

 

「・・・・まぁそこは置いといて、お前の言う『選択』ってのがなんだって言うんだ?」

「私ね。選択をしたことがなかったんだ。」

「…。」

 

 少し話すのが楽になってきた。比企谷はちゃんと聞いてくれる。私を見ていてくれる。

 ちょっと調子もどってきたかも。

 

「いつも周りを振り回したり、自分勝手に行動したり、好きなことばかりしてた。そんな人間なんだー私って。

 でもさ、やっぱり壁にぶつかることってあるじゃん?そのときは逃げてきた。友達に合わせたりしてさ。」

「そうだな。それが俺の知っている折本かおりだ。今のお前とは似ても似つかない。」

 

 思わず驚いてしまう。

 

「さすが比企谷。気づいてたんだね。そう、今の私はいつもと違う行動をとってる・・・はじめて自分から告白しちゃうとか・・・ね。」

「意外だな。はじめてなのか。」

「告白はよくされるんだけどね。比企谷とか?」

「おい、俺は一回しかしたことねぇぞ」

「なんなら今からしてくれたら即OKするけど?」

「・・・しねえよ。」

「だよねw」

 

 うれしいな。触れてほしくないところは話を反らしてくれる。こんなに優しかったんだ。

 

 私は、まだまだ比企谷のことを理解してない。

 

「とにかく!私は始めての選択で比企谷に告白した。あぁこんなにおもしろい人ともう会えないんだなぁと思ったら、いてもたってもいられなかった。

 選択したっていうより選択せざるを得なかったとでも言うのかな?葉山君とのやり取りを見て影響されちゃった。」

 

 

「折本…お前は結局自分勝手なままだよ。」

 

 

 比企谷はどこか寂しそうに斜め下に視線を落としていた。

 目が合うと、お互いぎこちない笑顔になった。

 

 

 あぁ・・・私、察しちゃったな。

 

 比企谷は真剣な顔をすると頭を下げた

 

 

「悪いが俺は今の折本に対して好意をもっていない。だから付き合うことはできない。」

 

 あぁ、やっぱりね。

 

「そっか・・・比企谷ならそう言うと思ったよ。」

 

 あーあ。フラれちゃったよ私。人生初めての告白なのに。

 まぁ今日始まって今日終わるような恋なら悲・・しく・なん・・・・て。

 あ、あ・・・れ?

 

「ちょ・・・どう・・して・・涙なんか」

 

 私は涙を流していた。

 涙…そっか悲しいんだ。比企谷にフラれたことが堪らなく悲しいんだ。

 

「ほ、ほら使えよ。まさか泣くとは思わなかった。すまん。」

 

 慌てた比企谷がハンカチを差し出してくれた。

 

「あはは・・・なんで比企谷が謝ってんのよ。」

「いや、だって泣かせちまったのは…俺だしな。」

 

 また優しくしてもらっちゃった。もうフったんだから、いっそ突き放してくれたら楽なのに。

 中学校の時、知らなかった比企谷の優しさを今日は何回も感じた。

 ふと、疑問に思ったことを聞いてみる。

 

「ねぇ、比企谷。私にふられた時泣いた?」

「・・・・言わねぇ」

 

 分かりやすいよ比企谷。でも泣いてくれたんだ。

 

「じゃこれでお互い様だね。」

「…まぁそういうことになるか」

 

「フラれるって結構悲しいんだね。ウケるw」

 

 振り絞った笑顔はどのような顔だったのか。

 

「お前は強いよ・・・俺なんかよりずっとな。」

 そういうと笑みを見せてくれた。

 そして彼は

 

「なぁ折本・・・フられた直後で悪いんだが俺の話聞いてくれないか?」

 

何を言い出したかと思うとフッた相手に頼み事をしてきた。

普通なら言うことなんて聞かないで帰ってしまうだろう。でも私は

 

「…うん、いいよ。聞いてあげる。」

 

 私は笑顔で返事をした。

 

 残ったパフェのアイスはもうほとんど溶けきっていた。

 




よし、まず謝らなければなりませんね・・・・・・

「折本に悲しい思いさせてすいませんでしたあああああああ」

私は書いてる時に良心が痛みました・・・でも!これで終わる折本じゃないですよ!!
次回も楽しみにしていていただけると幸いです!

ここまで読んでいただきありがとうございました!
感想・評価お待ちしております!誤字のお指摘もお待ちしております。

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